25話 村長とフォレスタリア
今回はちょっと短めです
「ウルフどもの鳴き声が聞こえたから来て見たのだが」
畑の向こうから来た、警備の人が周りを見渡し
「君達、大丈夫だったか」
そう言いながら僕達のほうを見て
「はい、ウルフリーダー達は北の方に逃げていきましたよ」
それを聞くと、警備の人はびっくりして
「き・・・君たちがあのウルフ達を追い払ってくれたのか」
「いや、今はそれ所ではないな・・・早く村の人達に伝えなくては」
「え?」
「今のうちに、町に荷物を届けなくては・・・ウルフ達がいない今がチャンスだ」
そういって、畑の向こうに見える小さな集落の方に走っていく
途中で振り向きながら
「君達も早くこっちに、やつらは村の中までは入ってこない」
その話を聞いた途端、急に体が動くようになった
「イベントがありそうだし村に行ってみますか?」
「そうだね」
「コレで流通が再開するのかな?でもウルフたちはまだ生きてるし・・・まだイベントは続きそうだな」
僕たちは、警備の人が走っていった方向にある村の前まで行くと
「ちょっとごめんなー」
「いそげー」
「ウルフ達はいつ戻ってくるかわからないぞーー」
村の方から何台もの荷馬車が町の方に向かっていく
その光景を見守っていると
「君達すまなかったな、あのウルフ達を追い払ってくれたのにお礼を言えなくて」
「いえいえ」
「あの大きな揺れがあった後、いきなりあの大きなウルフ達が、町に向かう唯一の道である橋の前に陣取ってしまって、町に荷物を運べなくなってしまっていたんだ」
なるほど、
「村や町は魔物避けの結界が作用してて魔物が近寄れないようにはなっているのだが・・流石に橋の近くまでは効果が届かなくなってしまったみたいだな」
「今までは、平気だったんですか?」
「ああ、あの揺れのせいで塔の魔力が弱まって、結界が弱くなってしまったのか、今までは橋までモンスターは近寄れなかった」
塔ってそんな重要な役割を持ってたんだ
「町では、ゲートが閉じたとか言ってましたが、それも塔がかかわっているんですか?」
それを聞くと警備の人は驚いて
「町のゲートも閉じてしまったのか」
「町は平気なのか?物資は、食料は!!」
かなりあわてている
「町は今、店が全部閉まっていますが特に事件が起こってるとかはなさそうですね」
町のほうを見て
「それに今運んでいったのって食料とかでは?」
警備さんは少し安心した様子で
「そうか、でもこれは村長に相談したほうがいいな、すまないがついてきてくれ」
警備さんがそう言って、村の奥にある少し大きめの建物まで案内してくれた
《東のボスは[PT:ショタと愉快な仲間達]によって討伐されました》
《それにより流通が一部再開して町の機能が一部利用可能になりました》
《今後、ボスが弱体して、討伐数に応じて徐々に町が活性していきます、それにより店やクエストなどが増えていきます》
今頃アナウンスがあった
これって討伐した数によって町が活性していくタイプのイベントか
だからウルフリーダーは死ななかったんだ・・・
あっ、経験値も入ったのか自分含めたメンバーみんなのレベルが上がってる
ドロップアイテムも物凄い事になってる
何故かウルフのドロップが50個くらいずつ入手してるんだけど
ほかにも、ワイルドウルフのドロップや逃げたはずのワイルドウルフリーダーのドロップまである
これって、ボスを倒せればボス戦で倒した取り巻きの経験地とアイテムもいっぺんに手に入るのかな?
倒せなかったら最初みたいに何も手に入らないと・・・
この経験値の量もたぶん、ボス自体の経験値と言うより、大量に倒した取り巻きの経験値の割合のほうが多いのかも
(たぶん取り巻きだけで100匹近く倒してるかも)
他の二人も大量に経験値が入ったらしく
特にイワンさんは、プチゴーレムが経験値オーバーしたーーとか嘆いてた
どうやらプチゴーレムのレベルが11まで上がった後進化してレベル1のゴーレムになったらしい
身長1メートルちょっとだったゴーレムが、二メートルくらいの大きさになっている
いままで、頭と胴体が一体だったのが、ちゃんと頭ができてるし
警備員さんに案内され村長の家の前にいくと見事な白髭の老人が家の前で待っていた
「村長、こちらの方が橋の前のウルフ達を追い払ってくれた冒険者様です」
それを聞いた村長は
「そうか、やはりあの揺れで塔の緊急装置が作動してしまったのか・・・なるほどだから塔は緊急モードに・・・」
と、ぶつぶつ言ってる
「あのー」
「おぉすまなかったの、話は聞いた、ウルフ達を追い払ってくれたおかげで食料を町に運べられた、一応コレで一安心じゃが・・」
長老がため息を漏らす
「まだ心配事があるんですか?」
「うむ・・・あなた方は、他の場所からこられたのであろうからわからないのであろうが」
え?
さっきの反応といい、村長さんは何か知ってる?
「えっと、僕達が別のとこからきたって何でわかるんですか?」
それを聞いた村長が
「そりゃ、ゲートが閉じた今、見たことのない人が来たということは異界の民だと言う事くらいわかる」
それを聞いた警備員が驚いた表情をしてるが
「警備の人は驚いてますが?」
「あ・・・うむ・・・」
「村長・・」
警備員さんも心配そうに村長を見ている
「これはあまり大きな声で言えないのだが、昔からの言い伝えでの」
村長が諦めたように語ってくれた
「この世界のバランスが崩れた時、その異変を修復する為に異世界の民が心を通わせたモンスターとともに世界を救ってくれる・・・とな」
なるほど・・・そんな設定があったんだ
「じゃから、あの揺れの後、四方の塔が溜め込んでた魔力で異界の民を呼び寄せた反動で、塔が一部機能が停止してしまったのではないかと思う」
なるほど
だから村長さんは、警備員さんも知らなかった、ゲートが閉じた事も知っていたのか
だからこそ素直に喜べなかったと・・・
何かこのゲームのAIって物凄い高性能だな
「それじゃあ、この騒ぎを収める為には塔に登らないといけないんですね」
「ああそうじゃな、でもなあの揺れの後、塔の内部にモンスターが入り込んでしまったらしくて、我々でも登れなくなってしまってのぅ」
「塔の内部って複雑なんですか?」
「いや、ただ高いだけで中は、一階、中央の休憩部屋、あと屋上だけじゃな」
そんな複雑な造りでは無さそうだ
「その塔の制御装置って僕達が行っても扱えるものなんですか?」
「壊れてないのなら、制御装置に触れるだけで平気なはずじゃよ」
「そうすれば町のゲートも復活すると」
そういうと
「ふむ、ゲートの開放となるとたぶんここの塔だけではなく、四方の塔全てを緊急モードから解除しないといけないかも知れんな」
次の場所に行く為には全ての塔を登らないとダメと・・・
そこで、ホムラさんがちょっとした疑問を
「別の町に行く為にはゲートを通らないといけないんですか?南の海を越えていくとか・・」
それを聞いた村長が
「南の海?ここらへんには海などないはずじゃが?」
え?
そうすると警備員さんが
「町の南にあるのはここらへん最大の湖でこの地方最大の水源ですよ」
湖だったんだ
「それにあの先に行ってはいけない、危険だ」
そういう警備員さんに続いて村長さんが
「ふむ、何も知らんったんじゃったな・・・なら塔に登ってみることじゃ」
塔の方を見上げ
「塔に登れば、なぜゲートが必要なのかが全てわかるはずじゃ」
どうしても、塔は登らないといけないらしい
「じゃあ最後にいいですか?」
「なんじゃな?わしにわかることなら何でも答えるぞ」
前々から疑問だったことが・・・
「この村や町ってなんて名前なんですか?」
それを聞いた村長は
「ふむ・・・町やこの村もな、特に名前が無くてな」
やっぱ名前が無い?
「強いて言うのであれば[フォレスタリア]かの、この地方の名前での[平原と森のフォレスタリア]それがここの正式名称じゃ」
はい、これから東ボス、大量討伐イベントが開催されます、次の流通イベントまであと50回w
他のボスも倒した数に応じて町が活性化していきますw
目指せボス討伐1万回www
だんだん塔の重要性が増して来てしまった^^;
最初はほんとに次のゲートを開くためだけの装置だったのに・・・
いつの間にか村の結界や主人公達の召喚までできる様になってしまっていた




