16話 ベアとの出会い、そしてはじめてのぼす戦
[ベア]
いわゆる熊のモンスターで町のまわりのフィールド最強モンスターで
攻撃力、HP、防御力ともにウルフの倍、素早さもウルフより少し遅いくらい、それでも十分早い
一応このフィールドでの出現率はかなり低いらしいのだが
出会ったら最後
死に戻りを覚悟しなくてはいけない
と言われてる
ちなみにこのゲームのデスペナはかなりゆるく
死んでも町に戻されて経験値1%減るだけで他には特にない
パートナーが死ぬと何もしなくても10分待てばまた呼び出せる
(そのかわりHPは1)
システム的にはかなりゆるいが
その分、敵は鬼畜なくらい強い
それがこのゲームの売りらしい
確かに町のすぐ近くならパートナー一匹で何とか倒せるくらいだが
少し奥に行っただけでパートナー一匹では対処しきれない、ウルフのようなモンスターが出て来る
ウルフに限らず、フィールド奥に出て来るモンスターは初期モンスター一匹ではかなり無理に近い強さのモンスターが出て来る
現在ウルフなどを倒してるプレイヤーも二匹から三匹、多い人はもう既に6匹捕まえて戦ってるそうだ
これは、捕獲石の作り方が見つかってなかったら全然進むことができなかっただろう
僕たちは一応PTを組み慎重に奥に向かってみる
「さすがしょっぱなからベアは出て来ないよな」
「バカ、フラグ立てるな」
「そういえば他にはどんなモンスターがでるんだっけ?」
「ん~~情報によると、鹿のモンスター[ディア]あとは猿のモンスター[エイプ]かな」
そんな話をして歩いてると
向こうの方から物凄いスピードで走ってくる人がいる
「あぁぁぁ~~~はっ、はやくにげて~~~」
その後ろをよく見るとなんだか茶色い毛皮の大きなモンスターの姿が・・・
って
「ベアだ・・・」
「だからフラグ立てるなっていったんだ」
「しょうがない、召喚:パール」
「ちょっ、無理だってにげて~~~」
走ってきた人が叫びながらも横を通り過ぎていく
向こうもこっちの存在に気がついたみたいで二本の足で立ち上がり
二メートル位の巨体に両腕を広げ威嚇してきた
しかし
「パール・・・ゴーー!!」
と言ったとたん
パールの姿が消えた!!
そして
ポトッ
落ちるベアの首
そして体も光の粒子になって消えていった
「「えっ?」」
もう一度言う
[ベア]
最初のフィールド最強のモンスターで最大の難関
ステータス的にウルフの倍近い強さを持つモンスター
しかし、パールのスピードと[必殺][暗殺]スキルの前では
最強のベアであろうと一撃で殺してしまう
おい
確実にチートだ
バランスブレイカーだ
「えーーっと・・・ここだけの話にしてくれませんか?」
そーいうと
二人は無言で
コクコク
と頷いてくれた
「って、おいなんだよ、詳しく説明してもらおうか」
「他の人には言わないでね」
「言わないから」
「この子、パールは初心者フィールドで最もレア度の高いモンスターらしくて」
「種族がボーパルラビットって言うの」
「えっ?」
走ってきた男の人がかすかに震えながら
「なっなるほど・・・首狩りウサギか・・・」
「それって特殊能力なのか?」
「能力って言うか、パール限定のスキルらしい」
「ほかにこのスキル持ってる敵はいるかは不明だけど・・スキル石にはできなかった」
「なっ、なるほどこれはあんな人の多いところでは見せられないよな」
「うん、見せたらたぶん大問題になって、大量の人が押し寄せてくるかも」
それだけは避けなくてはならない
「あっありがとう、パートナーが瞬殺されてしまってほんと助かったよ」
忘れてた
逃げてた男性 よく見ると見覚えがある
「たしか、ユージさんでしたっけ?」
「あっああ確かに自分はユージだけど、覚えててくれたんだ」
そう、この人は昨日ギルド前の騒ぎの時にレアハンターユージと名前を間違えられた
ただのユージさんだ
「レン、知り合いか?」
「昨日の騒ぎのときにちょっとね」
「例のレアハンターと名前を間違えられただけだよ」
「なるほど、それはご愁傷様でした」
「あははっ、さすがに例のアイツもこのゲームにいないだろうしな」
「えぇ、彼、即行ゲーム売ったみたいですね」
「そのゲームを買って今日やっと始められました」
「えーーー」
「あっはっはっ、それ本当のことなんで」
「えっと、大丈夫だったんだ」
「ゲームはじめるときにGMから色々聞かれたけど何とか始められましたよ」
「それはよかった」
そんなやり取りの後
「うーん」
「どうした?」
「いや、今のベア倒した経験値で自分とレーヴァのレベルが3になってる」
「まあしょうがないよ、僕だって最初にウルフ一匹倒しただけでレベル上がったし、それに僕とパールも今のでレベル6まで上がったし」
おかげでパールの素早が40まで上がってる
筋力はまだ8だけど
あっ
今ステータス調べて気がついたけど
パートナーのステータスは自動で上がっていくけど
自分のステータスはポイントを振らないと上がらないらしい15ポイントほど溜まってた
後で振らないと
パールも5ポイントほどあるからそれも後で振ろう
「じゃあもうちょっと、他のモンスターも見てみる?」
「ああ、そうだな」
ユージさんとはここで別れ二人でもう少し奥まで進んでいく
・・・・・
そして出て来るディアやエイプは
こっちが見つける前に
「きゅっきゅきゅ~~っ」
索敵スキルを持つパールによるサーチ&デストロイの結果
倒したディア10匹、エイプは15匹、そしてベアも1匹倒してしまった
そのせいで僕とパールのレベルは8、メリーはレベル6に
アインスとレーヴァのレベルが6まで上がってしまった
「さっ・・・さすがにこれって、寄生だよな・・」
「ごめん・・・流石にここまでとは思わなかった」
何せ、こっちがとめる前にパールが攻撃してしまう、しかも全部即死攻撃
このゲームのアイテム回収が自動回収でよかった
いちいち解体してたらあっちこっち走り回らなくてはならないとこだった・・・
それだけパールの行動範囲は広かった
「一応ここまでにして、後は自分ひとりでがんばってみるわ」
「そうだな、ごめんね、パールをあそこまで開放したの初めてで制御できなかった」
全力パール恐るべし
「あはははは」
アインスはそんな乾いた笑いをして
「じゃあ町に着いたら分かれるか」
「あっ、その前にアイテム分配どうする?」
「流石にそれは受け取れないよ、だってそっちしか敵倒してないし、流石に受け取れないよ」
「じゃあコレだけでも受け取って」
そういって・・持ってる捕獲石を何個かトレードする
「何から何まですまんな」
「寄生状態にしちゃったのはこっちの所為だし、それくらいはさせてよ」
「ありがとな」
「またね」
親友と別れ
いくつかアイテム生成をしていてちょっと気になったことが
パートナーが傷ついた時、回復薬を使い回復するのだが
どーしてもメリーには、液状の回復薬は飲みにくいみたいで
使用に結構時間がかかってしまう
コレだと戦闘中に瞬時に回復なんてできない
そこで考えた
パートナーにも使いやすい回復薬の作成
そこで試しに薬草に水分である水を加えずに東で取れたニンジンを擂り合わせていく
できたのが[回復丸 小 (草食用)]
[草食モンスター用回復薬、草食動物に対してHP40回復(その他の種族はHP10回復)]
うん
思ったとおりのアイテムができた
コレで戦闘中も手軽に回復できるはず
その他にも細工と錬金を使い、いくつか[下級捕獲石☆6]を作って
さっき行けなかった東平原セイフティーエリアの奥を目指す・・・・前に
東平原セイフティーエリアに移動し
「召喚:パール、メリー」
二匹を呼び出し
キョロキョロ
まわりを確認・・・ダレモイナイ
セイフティーエリアにある大きな木の木陰で寝そべってるメリーによりかかり膝の上にパールを乗せて・・・
もふもふ
もふもふもふ
もふもふもふもふ
うん、癒される
つい顔が緩む
メリーのふわふわの綿毛に包まれながら、パールのふかふかの毛並みに癒される
僕はコレの為にこのゲームをやってる(言いすぎ)
どれだけもふもふしてただろう
何故か急に寒気がしてきた
なんか・・右斜め前の方にある草むらから物凄い視線を感じる
ウィンドを開き
他の草むらもいくつか揺れた
フレンドコールで、キョウさんがいるのを確認して
『キョウさん、今平気?』
『あっ、レンくん丁度よかった、チェリー見かけなかった?』
やっぱり
『今僕、東平原の門から真っ直ぐ進んだセイフティーエリアにいるんだけどチェリーさんを迎えに来てもらっていい?』
『東平原のセイフティーエリアね、わかったすぐ行く!!』
少し待ってると
遠くから、キョウさんが走ってくる
「レン君お待たせ、チェリーは?」
「あそこ」
そう言って、寒気がする右斜め前にある草むらを指差す
「チェリー!!そんなとこ隠れてないで行くよ!!」
キョウさんがずかずかと草むらに近付き手を突っ込むと草むらに隠れてたチェリーさんを引きずり出し
「何でいるの分かるの~~~~レンく~~~ん、たすけて~~」
キョウさんはチェリーさんの首根っこを掴みずるずると引きずっていく
「レン君ありがとねーー、さぁチェリーいくよ!!」
「あぁん、ちょっとまって~~レンく~~ん」
引きずられるチェリーさんを笑顔で手を振りながら見送り
さて・・もふもふ成分は十分補給できたし
「じゃあ僕は狩りに行きますので、それじゃあ」
そういい、笑顔で草むらの方に手を振ると
「「「「「「「お気になさらずに」」」」」」」
うん・・・・だいぶ人がいた
全然気がつかなかった
これはほんとに[感知]のスキルが必要かも
まぁ・・・
今まで行った事のない、セイフティーエリア奥に進んでみる
情報によるとここには[ウルフ]の他にも・・・
いた・・・
平原の奥にいる、白い体に赤い鶏冠、ニワトリのモンスター[コケッコー]が数匹そこら辺の草をついばんでる
たしか、コケッコーはノンアクティブだが一匹攻撃すると周りのコケッコーが一気に襲い掛かってくる[リンクモンスター]だったはず
その為、能力的にはウルフより弱いが場合によっては戦闘難易度はウルフよりキツイらしい
「パール・・・ゴーー!!」
しかし、流石のコケッコーの集団もパールの前では形無し
リンク反応しながらもほとんど反応できず
パールに首を落とされていく
・・・南無
その頃、後ろでは・・・
「「「きゃーーーー、ウルフが来たーーー」」」
「「「「「向こうからハチ!!蜂の大群がーーー!!」」」」」
大騒ぎになってる
ちなみに蜂とは、この平原に出て来るもう一種類のモンスターで50cmほどの蜂[キラービー]だ
キラービーもコケッコーと同じリンクモンスターだがこっちはアクティブモンスターでこっちが攻撃しなくても向こうから集団で襲い掛かってくる
まあ・・こっちもコケッコーを倒し終わったし
ウルフはキャーキャー言いながらも対処できそうなので
「すいません、助っ人に入りますね」
そう言い、キラービーの方に向かい
「パール、ゴーー!!」
パールに特攻させる
「キューーッ」
目にも留まらぬスピードで次々とキラービーの首が落ちていく
「「「助かりました、ショタ君ありがとーー」」」
「ウルフのほうはそっちでお願いします」
「大丈夫、ウルフだけならこっちで何とかなるよ」
「ほんと助かったーー」
「ショタ君ありがとーーー」
3匹いたウルフの方は女性8人がかりでボコ殴りになってる・・・
ドロップアイテムを確認してみると
(実は)ここに来るまでに倒してたウルフドロップの他に
[トリの羽][鶏肉][トリの鶏冠][コケッコの卵]の他に[コケッコーの頭]などのコケッコーのドロップ
[ビーの羽][毒針][蜂の顎]のキラービーのドロップの中に[ハチミツ]も何個かあった
ハチミツは嬉しい
ここら辺のモンスターを一通り倒し終わり
まわりを見渡すと
少し先に川が流れていて小さな橋がかかってる
その川の奥には・・・あれは畑?
近くに人が住んでるのかな?
そして橋の近くには小さな立て看板があり
[オオカミ出現注意]と書かれてる
「あっ、その橋わたっちゃうと特殊フィールドに飛ばされて、ボス戦になっちゃうよ」
「そーなの?」
「うんうん、橋の奥にはボスの[ワイルドウルフ・リーダー]ってのがいて大量のウルフを呼び出す厄介なボスだよ」
なるほど・・・
「うん、ちょっと挑戦してきますね」
「「「「「「「「えーーー」」」」」」」」
「初めてのボス戦だし、どんな感じなのか試してきますね」
そう言って、橋のを渡ると
急に後ろからの声が聞こえなくなり
「ウァォォォーーーーン」
遠くからウルフの遠吠えが聞こえてきたと思ったら
「「「「「ガルルルル」」」」」
6匹ほどのウルフの奥に一回り大きな青い毛並み(普通のウルフは茶色)の獰猛そうな顔のウルフが
[ワイルドウルフ・リーダー Lv10]
あれがここのエリアボスか・・・
徐々に数を増やす女性達
うん・・・・メリー確実に空気になってます
メリーだって呼び出しているんです、でもパールが早すぎて・・強すぎてレン君の足元にいるだけで全て終わってしまってる
パール強すぎた・・・
次回ついに、パール敗れる!!(ぇw