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World:Shock  作者: Hru
1/3

転生:異世界行



「ふざけんなふざけんなふざけんな! なんだってんだ! 俺が何をした! このクソみたいな世界なんて失せろ!」


俺は、自分の勤めている会社のビルの屋上から、そう叫び、一歩踏み出した。


この言葉が誰かに伝わってるのだろうかなんて知らないが、そんなことは関係なく、頭から地へ落ちていった。






















「----------」


何か意識がある。 ふわふわした感覚。 なんだろうかと考えていれば、ふと目が開いた。


青い空が広がる。 視界の端には木らしいものが見える。


「・・・ なんだここ」


確かに死んだ。 死んだはずなのにも関わらず、どこかわからないところにいる。 天国とかいうやつではないだろう。 そういうのは信じてないから。


キョロキョロあたりを見回す。 平原というか準田舎というようなところにいる。


「なんなんだよ・・・」



よくわからないまま途方に暮れていると、遠くから馬っぽいものが歩いてきた。


「あー・・・ 異世界転生とかいうやつ?」


遠くの馬に乗ってるのは、騎士のような者がいた。 現実離れしたものはなんかそういうものなのだろうと、混乱している中だからこそすっと理解できてるのかもしれない。


何かと察しのいい俺は、何か起こるだろうななんて思いながら、その騎士の動きを見ていった。


「これは・・・ 何かすれ違う際に才能がどうとか言われるパターン・・・か、怪しいものだと思われて切られて終わるかのパターンか・・・」


そんな変な予感をしながらボーっと見ている。


その予想に反して、何事もなくスルーしていった。


「ま、これが普通だよな・・・  って違うよ・・・ 俺は死にたかったっていうのに何でこんなところに居るんだよ・・・」


うなだれて、考える。 何が起きたのか。 考えても仕方ないような気がするが、考えないと始まらない。



「キミ、どうしたんだい?」


「あ?」


話しかけてきたのは、鎧を着た長身の女性。 剣を携えている。 さっき同様の騎士的な人だろう。


「何か困っているのか? 聞くぞ?」


こういうのは普通は好かれるようなタイプなのだろうが、今の俺には全く嬉しくない。 しかし、その善意を無視するようなものではない。


「じゃあ・・・ その剣貸してくれ」


「なぜだ?」


「死にたいからだよ。」


「なんでだ? そんなに気を病むな。」


「困ってるなら聞いてくれるんじゃねぇのかよ・・・」


「聞くが、死にたいというやつをそう簡単に見捨てるようなものではない。」


「じゃあいいよ」


そいつとすれ違うように歩いていったら、手を掴まれた


「まて、お前は見るからに察するが、行く当てがないのだろう?」


「ああ。 そもそもなんでこんなとこに居るかもわからねぇし」


「旅のものか?」


「まあ、そんなとこだ。」


「うちに来い。」


「いやだ。 それなら剣を少し貸してくれるだけでいいんだ。」


「だめだ。」


「じゃあ、俺を切ってくれ。 剣士なんだろ?」


「不用意に剣を振るような私ではない。 剣は人を殺すためのものではない」


「生真面目かよ・・・」


しばらく黙った後、こいつの剣を取ろうとかかった。


「なんのつもりだ?」


さすがに簡単に避けられた。


「貸してくれねぇっていうなら奪うだけだ」


「ふっ、いい心がけではないな。」


諦めず、向かった。


しかし、あっという間に押さえつけられた。


「どうだ?私のところに来る気になったか?」


「・・・だいたいなんで俺がお前のところに行かなけりゃならないんだよ」


「ん? 素質を感じるからだ。」


胡散臭い理由をつけてなんか怪しい勧誘でもしているのだろうか


「下らねぇ」


「それは、しばらく結果を見てからでも遅くはないと思うぞ。」


「はぁ・・・」


根負け という形だろうか、このまま開放してくれないなら従うしかないだろうか。 そこそこ強いし。



結局つれられるままこいつの家らしきところに来た。



「申し遅れたな。 私はイルカ。 聖剣徒見習いだ。」


「・・・ 俺は鈴木銀河(すずきぎんが)。」


「変わった名前だな。」


「俺からいわせりゃそっちの方が変わってるけど。」


「そうか。 さて、私は、貴様を聖剣徒にしたい。」


「俺は成る気なんてない。」


「そういうな。 行くぞ。」


「どこに?」


「都の方だ。」


そういって連れられたのは、都と呼ばれる、名前から察するにここらで一番大きな街。

その中央には、天へ伸びる塔があった。


ちなみに、聖剣徒とは、都に雇われた剣士の集団らしい。


「あの塔は?」


「あれは、「人」の世界とつながる塔だ。」


「人の世界?」


「ああ。この世界の上にある、いわゆる外の世界の一つだ。」


「外の世界・・・ねぇ。」


どうやら、世界観的に複数存在するようだ。



その後、剣を売っている店に連れられた。


「邪魔するぞ。」


「あ、イル姉! 久しぶり!」


「おう。 ちょっと私の弟子の剣を買いに来た。」


「誰が弟子だ」


「はは、そうなんだね。 ま、好きに見てってね。」


どうやらこの2人は知り合いのようだ。 ここに来る途中にもいくつか剣屋があった分、イルカはここに結構来ているようだ。



「なんだこの奇怪な形の剣」


俺が手に取ったのは、剣先が刺又のように二つに分かれた剣だった。

その剣を振ってみると、意外といい感じだったので、とりあえず候補の一つにしておこうと思った。


その後もいくつか剣を取って振ってみたが、やはりさっきの奇怪な剣が一番体になじんだ。


「これか。  すいません、これ下さい。」


「お、決まったか?」


店主と話していたイルカが振り返る。 その後ろの店主は、すでにこちらに視線を向けている。


「・・・お前、これ・・・」


「ん?ダメだったか?」


「この剣は・・・」


2人は、異様に強張った顔をしている。


「イル姉、これはタダでいいですよ。  君、名前は?」


「え?俺ですか? えっと、鈴木銀河っていいます。」


「そうか、俺はメント。 銀河君、俺は、君の将来性に賭けてこれをタダで渡す。 ぜひとも俺の期待に沿って下さいね。」


「あ、はぁ・・・」


正直何もわからないまま、その剣屋を出た。


「走って帰るぞ。」


「!?」


唐突に走り出し、数キロの道のりを走って帰った。


「ちょ・・・ なんで急に・・・」


さすがに数キロ走りっぱなしだと疲れる。


「ところで・・・聖剣徒って何するんですか?」


息を切らしながら、大事なことを聞く。


「そうだな、主に都の警備ではあるが、横の外の世界から来た生物の対策や、上の外の世界に行く際の警備などがある。」


「横・・・?」


「ああ。この世界は、都を中心に、北の郊外、東の郊外、南の郊外、西の郊外とあり、ここは西の郊外だ。で、この郊外のさらに外に未開拓地と呼ばれる世界が広がっている。」


「はあ・・・ で、上の世界について教えてください。」


正直これが一番の疑問。 「人」がいるという上の外の世界。 その「人」がいったい何なのかということによって大きく変わるものがある。


「端的に言えば、技術の高い悪魔だ。 少し昔話をしようか。」


「悪魔、ねぇ・・・」


「数十年前、前の都の王が、塔の完成記念として、警備を連れて外の世界に行き、塔とつながる国の王と話をしたらしい。 数日後、王はその警備に連れられ、無残な姿で帰ってきた。 

警備に話を聞くと、我々の理解のできないような出来事が起こったとしかわからなかったそうだ。

その「人」は、強欲で、計略的な生物であるというイメージを大きく植え付けた。」


「なるほど。 でも、塔の建設に至った経緯は何なんだ?


「もともと、外の世界とは、秘密裏に交流をしていた。 こちらもあちらも限られた数しかそのことを知らなかったが、ある日、都のものにそのことを知られてしまい、その流れで2つの世界をつなぐ塔を作ろうという話になったそうだ。」


「もともとは普通に交流できていたと。」


「ああ。そうなるが、先ほど言ったように、塔の完成時の相手側の王がそれを容認していなかったらしく、現在でも国交は数年に1度程度のものだ。」


「ちなみに、その相手側の国の名前は?」



「『日本』という国だ。 水に囲まれた島だそうだ。」


「・・・・・・!!」


その答えは願ったものか、大きく聖剣徒になる決意というものができた気がする。


正直剣を振る気にはならないが、「あいつら」に一矢報いることができるのならと思えば、安いものだ。 せっかく2度目の生を受けた以上、やるしかない。


ただ、一番気になるのは、この世界は、土の中の世界という位置づけなのだろうかということだ。

正直日本に住んでいてそのような話を聞いたことがない以上、本当に秘密裏にやっていたのか、全く別のたまたま同じ国名のところなのかは疑問だ。



イルカのイントネーションはトトロの方です。 とろろではありません。

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