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どこにも分類できない作品集

まだその時ではない、いつかの世界

作者: 矢田こうじ

 第4次世界大戦が終結した。


 金融戦争と言われた第三次世界大戦のすぐ後にそれは起こり、世界中を巻き込んだ最後の戦争になった。


 流石に被害予想が大きいと判断した各国は、開戦直後からすぐに小康状態になるよう戦場を調整し、陣営を形成して戦争集結への熱弁を繰り広げていた。

 しかし、水面下で繰り広げられた様々な情報操作、根回し、裏切りなどに各国が翻弄され、国家間の関係が崩壊してしまい、あらゆる国は一対多と呼ぶに相応しい戦い方を強いられ、急速に衰退し国力を失っていった。


 国としての存続が危うくなった、どこかの国が発射した大型ミサイルが発端となり、それを核と誤解した国がさらに別の国へと核を発射してしまう。

 結果、数珠繋ぎのように世界中であらゆる最終兵器が使用されてしまい、開戦わずか半年で国家自体が存在しない世界となり、戦争は集結した。


 この時代の日本でも、シェルターの存在は再認識され、既に要所要所に建設されており、使う事を誰ものぞまないまま用意だけはされていた。


 しかし開戦後、なまじ自衛隊が健闘し過ぎたため、世界中で一斉に使われた最終兵器使用時の初動が遅れてしまい、わずかな国民のみがシェルターに避難することしかできなかった。

 その上、地上を何回も破壊することができる兵器が一度に使われたため、地上、地下にあった殆ど全てのインフラは崩壊、大気中には電波障害も残り、各シェルターは孤立した。


 そんな中、日本で生き残ったわずかな国民は、シェルターの中で細く先細る命を繋げていく事に生存の意味を込めた。

 そのシェルター内部はそれなりに広く、5万人が収容可能だったが、実際にこのシェルターに入れたのは4000人を少し超える程度、そしてそれが結果的には日本の全人口でしかなかった。


 外界から隔絶された中、生き残ったわずかな有識者達は、どんな兵器が使われ、どの程度の規模だったかを議論し、シェルターを出る時期を検討していた。

 頼みの測定装置、センサーなどの地上に面した機械は殆どが破壊されており、ただ1つ残るカメラも首が回転せず、カメラの足元の荒地をただ映しているだけでしかなかった。

頑丈だったはずの各装置を破壊する爆発の規模、唯一残っているカメラの映し出された映像、最後まで集められた各国の信じるに足る情報を検討した結果、最低でも250年は外に出られないという結論を導き出す事になる。


 4000人の人々は、カメラに映る10メートル四方の焦土と化した映像を眺めて細々と生活していった。

 来月には、来年には、あの茶けた大地が緑に変わることをただ信じて。


 時が流れ、世代を受け継いだシェルターの人々は、カメラに映るこの場所に緑が戻り、花が咲き誇ったら外に出よう、と口々に約束を交わし、自分がいないさらに先の未来に運命をかけ続けた。


 そして420年が過ぎた。

 カメラは相変わらず茶けた荒地を映し続ける。シェルターの人々はまだ時期ではないと判断した。


 このシェルター内では、これまでにない全く新しい社会構造を持つコミュニティが形成されていた。

 それは、これまで人類が形成した国家とは比べ物にならない、精神的に安定した平和な世界。

 そして遂に、世界の全人口は日本の全人口と同じになっていた。


 そんな事になっているとは誰も何も知らず、最後の人類達は、自分たちが親から伝え聞いた、少ない自然のビデオや、ボロボロになった写真を持ち、緑の大地を夢見て、希望を捨てずに明日の為に眠りにつく。


 カメラが映す、その場所以外は自然を取り戻し、草木が生い茂り、花々が咲き誇り、新しい命が芽生えていることも知らず。


そしてその世界はとても平和だった。

いかがでしょうか。

書きおわって思ったのですが、こんな話なら誰か書いているのでは、と思いましたが出してみました。


一応、軽く検索してみたのですが、酷似した話などありましたら、教えてください。

とは言ってもびっくりするくらいで消したりしないですけど。

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