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極大迷宮篇 Ep.04『第四層』


 第一層とさほど変わらない景色の第二層を進む。

 上層に出てくるモンスターはさほど強くないというのが現在の常識。事実、上層というのは初心者であっても戦闘が不得手なプレイヤーでも問題無く進むことができる階層である。事前調べの一環として見た情報サイトにあったそんな一文が思い起こされた。

 実際問題、この階層で手こずっているプレイヤーは皆無だった。


「初心者ならともかく、わたしたちならこの階層はスルーしても良いですよね?」

「そうですね」


 正直こういうダンジョンは脇道一つ残さず探索してマップを埋めるのが好きだ。しかし極大迷宮(ダンジョン)では簡易マップを使えない。つまり埋める地図がないということになる。であれば自分たちの実力に相応しい階層になるまでショートカットも同然のザルな探索でも構わないだろう。


「目指すのは次の階層に続いている階段です」


 イナミナが声に出した目的地を共有して余計な戦闘を避けつつ第二層を進む。

 第一層、第二層ともに似たような景色が変わらない。

 出現するモンスターもまた同じハウントばかり。階層が進んだからか中にその上位種だと思わしき個体も紛れるようになっていたが、脅威という意味ではさほど違いはない。

 合流する術のない状況では二手に別れて探索するわけにもいかず、安全のためという建前を取り除いても一緒に行動することが自ずと求められている状況にいた。

 行動を共にすると言ってもまだそんなに仲が親しくなれていない。気軽な会話というものができず気まずい無言の時間が度々繰り返されている。それでも何とかやれているのはモンスターの襲撃が空気が微妙になり始めた頃を見計らうように起きたからだ。

 どんなに脅威にならないモンスターといえど襲われたのならば無視はできない。

 順当に各々の武器を構えて迫るモンスターを迎え撃つ。

 大抵は俺もイナミナも数度の攻撃でモンスター“ハウント”を葬っていく。

 ランクが上がって間もなくレベルが低い現状、経験値を得られる機会は貴重だが望むほどの結果には繋がらない。

 幸いなのか不幸なのか、ドロップアイテムの類は一つとして手に入ることもなく延々と光石だけが増えていった。


「近くに他のモンスターは見当たりませんね」


 目の前のハウントを掃討したイナミナが細剣を鞘に戻しながら振り返る。

 それから遅れること数秒、俺も自分の前にいる全てのハウントを倒しきった。


「ランクの差があれば当然、というわけにはいかないだろうな」


 聞こえないように声を潜めて自分の現状を振り返った。

 足りないのは技や道具ではなく純粋な攻撃力。


「とはいえどうしたものか」


 より声を小さくして呟く。

 剣銃(ガンブレイズ)をホルダーに収めて居住まいを正す。

 見据えるは先。

 まだ見ぬ階層。


「どうかしましたか?」


 戦闘を終えてなお険しい顔付きをしている俺を訝しんでイナミナが声を掛けてきた。


「あ、いえ。なんでも」

「そうですか?」

「気にしないでください」

「わかりました。そういうことなら一度奥の方にまで行ってみませんか? この辺りはだいたい一本道のようですし」


 細い横道に逸れなければという前提ではあるがイナミナが言うように第二階層を進んでいると大きな通路が目立ち始めていた。それに合わせて他のプレイヤーの姿もちらほらと見受けられる。余計な衝突が起きないのはこの通路がとてつもなく幅広になっているからだろう。

 まるで大きな町を作る予定で先に地面だけを整地した後に何も作られなかったと言わんばかりの広大さがあるこの場所には遮蔽物らしきものさえ見当たらない。先程からモンスターの出現があるが、その多くが地面を突き破って急襲してくるというものばかり。固い地面を突き破ってくるのならば壁や天井からくる可能性もある。そのせいもあってか通路の壁際に行こうとする人は疎らだった。

 壁際とは言いつつも実際は自分たちが立っている位置から壁を見ることはできないほどに幅が広い。果てがある階層だからこそ壁や天井があると仮定しているに過ぎないのだ。


「この先に次に進める階段があれば良いんですけど」


 心配そうに先を見つめているイナミナの視線を追う。それから辺りを見回してみると自分たちと同じ方向へ進んでいるプレイヤーの姿が見受けられた。


「どうやらあながち間違いってわけではなさそうですよ」


 同じように進んでいるプレイヤーを指さしながら言うとイナミナがほっと安心したように表情を和らげていた。


「行きましょう」


 念の為に周囲を警戒しつつ進む。

 危惧した通りにモンスターの襲撃は奥に行くほど頻度を増していた。が、強さ自体変わらないのだから問題はない。

 他のプレイヤーたちも難なくモンスターを倒しながら歩を進めているようだ。


「思った通りこの先に階段があるみたいですよ」


 人の流れが収束しているのを見て告げる。

 立ち止まる人は僅かながら見受けられるが、誰一人として引き返す人がいないことからもこの先に目的の場所があるのは間違いなさそうだ。

 階段があるであろう場所が近付くにつれてモンスターの襲撃は減っていた。


「並んで待ちますか?」

「そうするしかなさそうですね」


 大半の人が行儀良く並んでいるというのに自分たちが列を無視して行くわけにはいかないだろう。元々からして目立つ行為は避けたいと考えていた俺はここで事を荒立てて騒ぎを起こすつもりにはなれなかった。

 どれくらいの待ち時間になるのだろうなどと並ぶ前には考えていたものだが、実際に列に並んでいると驚くほどすんなりと自分たちの番がやってくきた。


「あ、本当に階段がありましたよ」


 最前列となった自分たちの目の前に現われたのは地面に穴を掘って作られた土作りの階段。舗装がされてなく今にも崩れそうなそれは大勢の人に踏まれることで表面が多少削られてしまっている見た目をしていた。


「この先も同じような景色なんでしょうか?」

「ん?」

「あ、いえ。また洞窟っぽい見た目なのかなって思って」

「あー、聞いた話では暫くは洞窟が続くみたいですよ」

「え?」


 キョトンとした顔をするイナミナに人差し指で頬を掻きながら申し訳なさそうに笑いかける。

 聞きたくなかった事実に落胆するのかと思いきや、イナミナはからからと笑い返してきた。


「大丈夫。わかってますから。言ってみただけですよ」


 一度振り返り軽やかな声で言うイナミナを追い抜いて、次の階層へと向かう。

 階段を下りきった頃に強い光が差し込んでくる。

 眩い光に満ちたその先は、やはりまだ洞窟の中だった。


「ここが第三層ですか」

「ユウさんが言った通り洞窟ですね」

「とはいえ少しばかり変化があったみたいですけど」


 今度は想像よりも低い天井を見上げる。

 そこにはキラキラと輝く緑色をした結晶が夜空に輝く星々のように瞬いていた。


「うわぁ」


 予想外の光景に目を奪われつつ感嘆の声を漏らすイナミナ。

 辺りを見回すと自分たちと同じように立ち止まって天井を見上げているプレイヤーも居るようだ。


「天井はそれほどじゃないけど、横幅は第二層以上っぽいな」


 ただでさえ広大だった第二層よりも果ての見えない第三層。これだけの広さの中からたった一つの階段を見つけ出すのは至難の業だ。


「下に行くたび広がっているのでしょうか」

「もう良いのですか?」

「はい。十分に堪能しました」


 幻想的な洞窟の光景を満足いくまで眺めていたイナミナが周辺の様子を探っていた俺に合流してきた。


「ここもさっきの階層みたいに最奥に階段があるのでしょうか?」

「それだと解りやすいんですけどね」


 確証はないが第三層は違う気がする。どちらかといえば第三層のどこかに隠されている階段を見つけることが先に進めるように思えたのだ。


「とりあえず俺たちもこの階層を散策してみましょう。途中で階段を見つけられれば最良、そうでなくても何か手掛かりを得られれば良しということで」

「そうですね。ではあちらから見て回りましょう」


 バラバラに散っていくプレイヤーたちの流れに乗って自分たちもまた第三層を進み出した。

 今自分たちが立っているのはちょうど第三層の中心になっているのか、前後左右どこを見ても一番奥の方にある光との距離感は似通っている。

 イナミナが最初に向かおうと決めた東側へと移動するとさらにそれまでには見受けられなかった建造物らしきものがいくつか確認できた。とはいえ建造物と言っても家屋や店舗のようなものではない。いくつかの大きさと形が異なる石を積み重ねて作られた土台のようなものだ。これらの用途は解らないが、それが自分たちの身を隠すための遮蔽物となり得るのも容易に想像することができた。


「何かから隠れる必要が出てくるのでしょうか?」


 プレイヤーの身長を優に超す土台を見上げながらイナミナがふと問い掛けてきた。


「上の階層に出てきたハウントが相手だと必要は無いですよね」

「はい」


 聞き返された問いに迷わず答えてみせたイナミナの顔を見つめ返す。そして俺も土台を見ると未だ見ぬ脅威に体を震わせた。


「謎の存在に出会わないように気を付けて先を進みましょう」


 立ち止まっていては何にもならないと歩き出す。

 開けることの無い夜空のように緑色の結晶の光に照らされている第三層は明るくも暗い。正面を向いたときにある程度の景色は明るく見通すことができるが、自分の影に遮られた足元は洞窟本来の闇に包まれている。

 いつしか自分たちの周りに他のプレイヤーはいなくなり、代わりに何処か遠くから戦いの音が聞こえ始めていた。

 上層では聞くことの無かった金属同士がぶつかり合う音。それは第三層に出現するモンスターが武器を携えている、あるいは武器を使うプレイヤー同士が戦っている音。

 自ずと足が止まる。

 並ぶイナミナと互いの顔を見合わせて耳を澄ませる。

 幸いにも聞こえてくる戦いの音はまだ遠い。


「よかった――」


 と安心しそうになった自分たちを嘲笑うように、近くに地面がボコッと隆起してその中から小さな人型のモンスターが姿を現わした。

 子供よりも背が低く、纏っているのはボロ切れ。人のそれと違う黒い瞳。骨と皮だけの痩せこけた身体もまた土色というよりは限りなく黒に近い深緑色をしている。

 目立つのはそれだけではない。手の中にあるのはおよそその体長には似つかわしくないほど大きな肉切り包丁。そして頭の上には薄汚れた赤いパーティー帽がある。

 “レッドキャップ”と呼ばれているモンスターが同時に五体。群れとなって現われた。


「なるほど。聞こえていた音はコイツらが相手だったってわけか」


 得心がいったと独り言ちながら腰のホルダーから剣銃(ガンブレイズ)を引き抜く。


「囲まれる前に先手を取りましょう」

「了解です」


 細剣を抜いた直後に駆け出した自らの言葉通りに駆け出した。

 すかさず突き出して正面にいるレッドキャップの喉元に突き立てる。

 グギャっと短い悲鳴を上げて仰け反ったレッドキャップが瞬く間に砕け散ると小さな光石を残して消えた。


「流石。良い一撃ですっ」


 キレの良い一撃を目の当たりにしては称賛の言葉を贈らずにはいられない。

 仲間意識など微塵も無いのか、たった今一体が葬られたというのに一切気にした素振りも見せずに残りの四体が遅い掛かってきた。

 先んじて前に出たイナミナと入れ替わるように前に出て剣形態の剣銃(ガンブレイズ)で横一線に薙ぎ払う。

 想定していたよりも柔らかいのか斬り付けられたレッドキャップは皆、大きく体力を減らしてその場に崩れ落ちた。


「トドメをっ」


 起き上がろうとした個体を蹴り飛ばしながら叫ぶ。

 身を翻して背中合わせになったイナミナは立ったレッドキャップの腹を細剣で貫く。

 蹴り飛ばしたレッドキャップが地面に転がり霧散するのと貫いていた細剣を引き抜いたことで霧散するのはほぼ同時。

 残された二体は瞬く間に仲間が葬られたことに動揺しているかのようにオロオロと辺りを見回して逃げだそうとしている。


「逃がしません」


 再度駆け出したイナミナが背を向けたレッドキャップを捉えて突きを放つ。

 二体が方角をバラバラに逃げ出したことで残る一体はイナミナの刃が届かない位置にいる。

 素早く剣銃(ガンブレイズ)の撃鉄部にあるスイッチを押して銃形態に変えると躊躇わずにトリガーを引いた。

 刀身が展開して露出する砲身。そこから撃ち出された光弾が逃げるレッドキャップを射貫く。

 戦闘に要した時間は驚くほどに短い。

 まさに瞬く間に終演を迎えた戦闘で獲得したのはやはり小さな光石が五つ。同じパーティならば獲得したアイテムの数は平等。個人が倒した数を計算するのではなくパーティで倒した数が計算される。今回の極大迷宮(ダンジョン)で手に入れられる光石は倒したモンスターにつき一つ。パーティを組んでいる全員の手に入るようになっていた。


「お疲れさまでした」


 細剣を鞘に戻してイナミナが隣に並ぶ。


「かっこいいですねその武器種。確か剣銃でしたよね?」

「昔は使い難い武器だとか言われてましたけど、今では俺のお気に入りの武器です」


 一度剣形態に戻してホルダーに収める。


「イナミナさんの細剣も鋭さが並じゃないでしょう」

「他にも正確さも高めているので命中率にも補正があるんですよ」

「なるほど」


 攻撃力もさることながらイナミナのランクにまでなると重要なのはそれ以外の要素。細い刀身でも致命傷を与えられるように手を加えられているようだ。


「この辺はまだまだ余裕を持って探索できそうですね」

「はいっ!!」


 自分が感じた戦闘の手応えとイナミナの様子を併せていうと元気の良い返事が返ってきた。

 レッドキャップの急襲に警戒しながら探索を進める最中、それまでと同じハウントの襲撃もあった。階層が進んでいるからか、最初に相対した個体よりも少しだけ体躯が大きくその分だけ体力が増え、その分だけ攻撃力が増しているようだ。

 いくつかの戦闘を乗り越えて東側の探索を終えるとそのまま南側へと時計回りに第三層を行く。

 程なくして人集りを見つけられたが第二層に比べると人の数は少ない。他のプレイヤーの会話に聞き耳を立てていたところどうやら第三層にはここ以外の下層に続く階段も存在しているらしい。

 思えばあれだけ広大な階層に下に続く階段は一つだけというほうが妙な話だ。

 少しばかり探索のコツにするには気が進まないが、下層に続く階段を見つけるには他のプレイヤーが集まっている場所を探せば効率がいいのかも知れない。

 大きな階段を下りつつそんなことを考えていると、遂に第四層がその姿を表わした。


「また洞窟……」


 変わらぬ景色にイナミナががくりと肩を落とす。


「確かにまた洞窟は洞窟なんですけど」

「けど?」

「ほら。地面に水が流れてて川みたいじゃないですか」

「川ってこれのこと言ってます?」


 俺の視線を辿ってイナミナも地面に流れるか細い水流を見た。小川と呼ぶにも値しないようなただ地面を水が伝っているだけに過ぎないものだ。

 強くそうだとは言えない俺にイナミナは苦笑を浮かべて微笑んだ。


「ここは他の階層に比べて少しだけ湿度が高いみたいですね」

「少し、ですか?」

「えと…かなり……ですね」


 ぐるりと周辺を見ると強い湿度の理由が手に取るようにわかった。

 上の階層とは違い通路の広さは一般的な洞窟ダンジョンと大差がない。決して狭くなく他のプレイヤーとかち合わせたとして互いの行動の邪魔になることがない程度の広さがある。そんな通路の天井や壁、地面などが常時濡れているのだ。

 目を凝らしてみるとよく分かるのだが、どうやら壁や地面から水分が染み出しているようで、そこから蒸発した水分が天井を濡らしているみたいだった。

 ピチョンッと天井から水滴が落ちる。

 地面に溜まった水に波紋が広がり、その周辺には仄かに光っている苔が広がっているようだ。


「足を滑らせないように気を付けないといけなさそうですね」


 ツンツンと苔の生えた壁を指で突きながらイナミナが呟いた。

 壁や地面の岩肌にこびり付いた苔に足を乗せるとそのままずるっとなってしまいそうだ。川の中にある苔石とはまた違う感じで足が取られる未来が簡単に予測できてしまう。


「って何をしているんですか?」

「この光っている苔がアイテムとして手に入れられば便利かなと思ったのですが」


 この先、光源の無い階層に出た時に使える明かりになるのではと思って足元に転がっている適当な大きさの小石を拾い壁に生えた苔を削っていたが、残念な事にそれは俺の手をすり抜けるように地面に落ちてしまっていた。


「駄目みたいですね」


 残念と手の中の小石を壁際にそっと置いた。


「光石は別にしても、この極大迷宮(ダンジョン)でアイテムを手に入れられていませんから、もしかしてと思ったのですけど」

「確かに。こういうダンジョンに付き物の宝箱も見つけられませんでしたよね」

「先に誰かが取ってしまったってことにはならないと思うんですが」


 戦闘で得られるアイテムに不平等が出ないように配慮されていることを考慮すると、極大迷宮(ダンジョン)内で手に入れられるアイテムの類も個人個人で別となっているはずだ。仮に先着順とでもなっていればもっと苛烈な攻略合戦が繰り広げられていることだろう。


「上層の浅い部分ではアイテムは見つけ辛いだけかも知れませんし、気を取り直して進みましょう……って、うわぁ」


 俺を励ます一言を述べてからイナミナが意気揚々と歩き出した。

 その直後、足元の苔に滑って転びそうになっていたのは如何にもお約束的な展開だと思ってしまったのは秘密だ。

 ジメジメとした洞窟を進む。

 この階層の形状で思い浮かぶのは蟻の巣だろうか。

 当然のことながら人の手が入っておらずジグザグな通路。突然枝分かれしたかと思えば、その先が行き止まりになっていることも一度や二度ではなかった。

 出現するモンスターは第三層と変わらずにハウントとレッドキャップばかり。この湿度高い洞窟だからこそもう少し水系のモンスターが出てくると思っていただけに若干肩透かしを食らった気分だ。

 ここでの戦闘で問題となったのはやはり足元の不確かさだろう。

 気を抜けば苔に足を取られ体勢を崩してしまうだけじゃない。もし転んでしまったりすればモンスターの攻撃に晒されることになってしまっていたはずだ。

 総じて自ら果敢に攻めるのではなくカウンターを主体とした戦い方になっていたせいでそれまでよりも時間が掛かったのは言うまでもない。

 モンスターの強さ以上に戦場の状態が自分たちの敵になると強く思い知らされた階層だった。


「で、この先に階段があるんでしょうか」

「みたいですね」


 モンスターの襲撃をものともせずにはね除けながら到着したのは大きな空間の前の通路。不思議とこの近くには幾人かのプレイヤーが集まっていた。


「どうして進まないんでしょう?」

「それは…」


 と先の方に目を凝らすとそこには今まさに何かと戦っているパーティの姿があった。


「介入することは憚られるということですか?」


 自分たちと同じように戦闘を見守っている他のプレイヤーの様子を窺う。

 イナミナが言うように勝手に戦闘に乱入するのはマナー違反とされているが、ここで立ち止まっている理由はそれだけではなさそうだ。


「敢えて言うなら情報収集をしているんじゃないですか」


 食い入るように戦闘の様子を見ているプレイヤーの様子から推察できるのが自分たちが同じ状況になった場合のシミュレーションをしていること。

 戦闘が終わる前に当たりを付けて観戦を中断したプレイヤーが奥に向かう姿もちらほらと散見される。

 どうやら奥にもここと同じように戦闘を必須とする空間が待ち受けているようだ。


「ボス部屋みたいなものですかね」

「うーん」

「何か気になることでも?」

「ボスモンスターが出てくるには浅すぎると思うんですよね」


 首を捻る俺に尋ねてくるイナミナに正直な感想を口に出す。

 この先がどれくらいあるのかまだ正確には発表されたわけではないが、切りの良い数字でも何でもないたかだか第四層の階段前の区画でボスモンスターが待ち構えているとは到底思えないのだ。

 一番早くボスモンスターが出てくるとしたら第五層。その最奥。あるいは次のキリ良い数字として第十層だろうか。

 何よりも初心者でも探索できると謳われている上層の上積みの部分でそのような戦闘が強いられるのは違う気がする。


「どうします?」


 言外に訊ねてきたのはここで戦闘を観戦しながら待つか、先にあるであろう同じような戦闘を行う区画へ向かうか。


「依頼主であり俺よりもランクの高いイナミナさんが決めた指針には従うつもりですよ」

「その言い方は狡いです」


 きっぱりと強く指摘されてしまい思わず肩を竦めた。自分でも卑怯な言い回しだったと自覚しているだけにすぐに「申し訳ない」という言葉か出た。

 真剣な面持ちで考えている間イナミナはじっと黙って待ってくれている。あるいは自分と同じようにイナミナも最適解を探っているのかもしれない。どちらにしても決断を要する場面なのは間違いなく、その決断如何によって本日の探索の行方が決まってしまう。


「持ち込んだアイテムにはまだまだ余裕があります」


 これまでの戦闘では大きく被弾していない。つまりダメージを受けていないということ。用意してきたHP回復ポーションはまだ使用されることなく残っているのだ。

 一人(ソロ)なら追い詰められればそれまでだが、二人ならば。少なくともダメージを受けたとして片方が回復する時間を稼ぐことくらいは難しくはないはずだ。


「挑戦してみませんか?」


 意を決して進言する。

 するとイナミナは待っていましたと言わんばかりにぱあっと表情を輝かせて、


「やってみましょう!!」


 とはいえ今なお続いている戦闘に乱入するわけにはいかない。

 この場を離れて奥に向かって進むと見ていたのと同じような区画で戦っている様子が見て取れた。

 一つ二つと戦闘が行われている区画を通り過ぎるとようやくまだ誰も入っていない区画の前に到着した。


「準備はいいですか?」

「はい」


 ふんすっと気合いの入った声色でそう問い掛けてくるイナミナに短く答えて一歩を踏み出す。

 二人の体が完全に区画のなかへと収まると外から見ていた時には解らなかったが、出入り口を閉ざす光の膜のようなものが覆い隠した。

 磨りガラスのように景色を歪めているこの光。それに包まれてしまえば閉じ込められたと感じるのも無理は無い。中の声が届くかどうかも解らない状況では助けを求めることもできなかったのだろう。


「何かいます」


 警戒心を高めていくイナミナが見つめる先。それは広い区画の壁だった。外の通路と同じように湿っている壁だ。

 カラカラと壁から小さな石が剥がれ落ちる。

 途端壁から飛び出している石の塊がボトリと落ちるとそれが蠢き始めたのだ。


「ひっ」


 短い悲鳴を上げてイナミナが数歩後ろに下がる。

 それでも俺の陰に隠れなかったのは戦う意思が消えなかったからか。

 蠢く石の塊が形を変える。

 頭、胴体、腹と三つに分かれ、胴体の部位からは六本の足が広がった。

 頭の先には二本の触覚と鋭く大きな鋏のような顎。

 驚くべきはそのサイズ。大型犬とまではいかないが、確実に小型犬以上の大きさがある。


「“マドアント”」


 表示される名称を読み上げる。

 まず注視すべきはその名の通り蟻のモンスターであること。小型犬以上の大きさがある蟻というのは対峙するだけで独特な圧迫感を受ける。

 そして次にその冠詞である“マド”の部分。カタカナで表示されておりスペルが解らない以上その意味が泥を意味するマッドなのか、狂いを意味するマッドなのかは不明だが、この湿度の高い洞窟で出現するモンスターならば前者の可能性が高いような気がする。

 カチカチと顎を打ち合わせてこちらを威嚇してくるマドアント。最初の一体の出現を合図に次々と壁から石の塊が溢れ落ちて瞬く間に軍団を作り上げた。


「あの、今更ですけど虫は大丈夫ですか?」

「苦手ですけど、ここまできたらそうも言っていられませんよ」

「頼もしいです」

「本音は嫌ですけどねッ!!」


 剣を抜き構える俺たちを囲むように扇形に広がり陣形を作るマドアント。

 開戦の合図を告げる号砲など鳴るまでもなく、プレイヤー二人対モンスターの大軍という戦闘が幕を上げた。


「今はここを切り抜けることを第一に。アーツやアイテムの使用を躊躇わないでください!」


 地面を這うように近付き、攻撃するときには飛び掛かってくるマドアントを打ち払いながらイナミナが言った。

 これまでに戦った雑魚モンスターに比べるまでもない数だが、その一体一体の性能に大きな違いは感じられない。一撃のもとに葬ることができるとはいえやはり問題となるのはその数。目の前の一体を倒したとしても遠く壁の方ではまた新しい個体が生まれ襲い来る。

 何より押し寄せる波のように止めどない攻撃が一呼吸の休息を挟む暇すら与えてはくれなかった。


「はあっ<セイヴァー>」


 活路を切り開くのはまさに威力は攻撃範囲を増加させてくれるアーツの一撃。

 発動した斬撃アーツが自身の周辺のマドアントを根刮ぎ葬ることでようやく構えを直す時間が生み出せた。

 素早く視線を動かしてイナミナの様子を窺う。

 自分よりもランクが高いということはそれだけ戦闘経験が勝っているということ。今の自分のようにアーツを使わずとも自己の安全を確保することは難しくないのだろう。


「あれは…」


 戦闘能力に関しては全幅の信頼を置いた視線を向けているとふと彼女の周りに青く輝く光が漂っていることに気が付いた。


「どうしました?」


 近くのマドアントを斬り伏せて駆け寄ってくるイナミナが訊ねてくる。


「その光は?」

「これですか? わたしがよく使う<ボルテクス>という自己強化アーツです」


 【ARMS・ONLINE】にある自己強化のアーツの種類はそれこそ千差万別と言えるかもしれない。使用者が得意としている戦い方、物理なのか魔法なのか。使用者が得意とする属性。そして使用者が求める強化の系統。それぞれが組み合わさって一つの自己強化のアーツとなるのだ。

 チカチカと視界の端々で煌めいている閃光から想像するにイナミナが得意としている属性は光か雷であるらしい。


「詳しいことは省きますけど、この状態なら速度と威力が上がりますから。マドアントなんてどれくらい来ても負けませんよ」


 キラキラと弾ける閃光を水色の髪の表面に走らせながらイナミナは再度マドアントの大軍の中へと飛び込んでいく。

 強いイナミナが自己強化のアーツを使う必要があると判断したということはこの状況が決して初心者でも攻略可能という前提条件にそぐわないということであるような気がした。

 もしかするとこの戦闘に挑戦するパーティの能力値によってマドアントの脅威度が変動するのかもしれないが現状それを検証することはできないとすぐに割り切って疑問を意識の外に追いやるとそのまま目の前のマドアントたちに集中する。


「使ってみるか……<竜化>」


 俺の体に波紋が広がる。

 波紋が俺の姿を歪めて異なる姿に変貌させる。

 体のラインに沿った特殊スーツのような鎧。頭部を覆い隠す兜。見た目を変える変化のアクセサリの効果によって赤くなっていた俺だが、竜化した状態では本来の黒く細身の全身鎧を纏った姿となっていた。


「あれが、ユウさんの変身……やっぱ、かっこいい」


 竜化した俺を見て感激しているイナミナが熱い視線を送ってくる。

 なるほど。彼女が変身に対して強い憧れを抱いているのも、それを欲しているのも嘘ではないらしい。

 疑っていたわけではないが、漠然と納得した気持ちになれた。


「危ない!!」


 若干籠もった声で叫ぶ。

 ドンッと強く踏み込んだ俺は瞬く間にイナミナとの距離を詰めて、一撃の下遅い掛かったマドアントを斬り伏せた。


「あ、ありがとうございます」

「いえ、でもまだまだマドアントはいるみたいですから」

「はい。もう油断はしません」


 真剣な顔付きに戻ったイナミナが俺と入れ替わるように飛び掛かってきたマドアントを倒してみせる。

 竜化したことで純粋な攻撃力を増した俺と自己強化アーツを発動させたことで攻撃力を上げたイナミナは次々とマドアントを倒していく。

 今もなお壁際からマドアントは生まれ落ちているが、程なくして俺たちがマドアントを倒す速度が出現の速度を上回った。


「一気に攻めましょう!」

「わかりました」


 この戦闘を終える条件が相手の全滅なのかそれとも一定時間の経過かはわからない。しかしここで相手を全滅に追い込むことが自分たちを圧倒的に有利に導くことは言うまでもない。

 イナミナの声を合図に戦線を一気に押し上げた。

 壁から生まれるのならばその大元を叩けば良い。

 目を凝らして注意深く観察すると壁のどこからでも生まれているわけではないことが解った。どうやら壁ある一定のポイントからのみ産み落とされているようだ。


「なるほどね。あそこを破壊すればいいってことか」


 剣銃(ガンブレイズ)を銃形態に変えて狙いを定める。

 アーツを使わない通常の射撃ではどうだろうと懸念が過ぎらない訳でもなかったが、ちょっと視認しただけでも出現ポイントは複数存在していて、全てに射撃アーツを発動させるのではすぐに精神力が枯渇してしまう。

 ただでさえ竜化状態では常時精神力が減少している。変身の対価だとすれば安いものだが、戦闘中に他のアーツを使うつもりがあるのならば残量のコントロールは必須事項となってくる。

 故に射撃アーツが過剰な威力となるのならば使用は控えるべき。それが蓄えた戦闘経験からくる直感だった。

 じっと仁王立ちをして狙い撃つのではマドアントの攻撃に晒される。

 剣銃(ガンブレイズ)の攻撃はマドアントの出現ポイントにだけ集中させるのならば自分の身を守るのには別の手段を用いることになる。なおかつ一撃で倒そうとするのならば当然選択肢はもう一つの武器である魔導手甲(ガントレット)を装備した左手だ。


「はあっ!」


 飛び掛かってくる個体にカウンターを合わせて殴り飛ばす。

 吹き飛んだマドアントが地面に転がり霧散する様子を見てこちらでも十分な威力が出ることに安堵して次の個体に狙いを付ける。

 その狭間にマドアントの出現ポイントを撃つ。

 ドガンっと大きな音を立てて壁の一部が抉られた。

 破壊された出現ポイントからはそれ以上マドアントが生まれてくることはなかった。


「良し!!」


 狙い通りと喜ぶ俺に成る程と理解した素振りを見せたイナミナが頷き合図を送った。


「うそぉ」


 それから見た一連の動きはまさに驚天動地。

 頭を斬り飛ばして落ちたマドアントの身体をボール代わりにして思い切り出現ポイントに目掛けて蹴り飛ばしたのだ。

 泥の名を冠するマドアントといえどその体の硬度はどちらかといえば鋼鉄に近い。魔導手甲(ガントレット)を装備している手だからこそ殴っても反動を感じないが、機動性重視のブーツを装備しているイナミナが蹴り飛ばしたのでは多少の反動ダメージを受けてもおかしくは無い。

 心配する視線を向けて固まっていると、


「わたしの防具ならこのくらい問題ありません」


 もう一度別の個体を蹴り飛ばして出現ポイントを破壊することで平気なのだと伝えてきた。


「お、おう」


 大丈夫ならば問題ないかと自分に言い聞かせて次の出現ポイントを撃ち壊した。

 今も絶えず増えているマドアントだが、元々倒す速度のほうが上回っている状況で出現速度を遅くする出現ポイントの複数破壊も合わさって、いよいよ戦況は終結に向けて動き始めていた。


「残り三つ!」


 視認できる出現ポイントの数を叫び伝える。

 倒して回収ができていない無数の光石が地面に転がり煌めいているものの、それは自分たちの動きを阻害する要因にはならない。不思議とどんな風に立ち回っても光石には躓くことはなかったのだ。

 地面から大きく跳びかかってくるマドアントをモグラ叩きの要領で上から叩き落とす。

 攻撃頻度が減少した今では間隔の空いたマドアントの攻撃に恐るるべき事な何もなくなっていた。

 ドガンっと大きな音が響く。

 イナミナが適当なマドアントの身体を掴み出現ポイントに投げ込み破壊した音だ。


「残り二つ――」


 イナミナが伝えて来てすぐ命中した光弾が出現ポイントを打ち砕いた。


「いや、一つです」


 二人の視線が残る一つの出現ポイントに集まる。

 これを破壊すれば戦闘が終わる。

 消費した精神力はそれなりだが、難なく無事に終えられると言えるだろう。

 だが、終わりが見えてきた状況だからこそ事態は次なる段階に移った。

 まるでタガが外れたように異常な速度でマドアントが生成され始めたのだ。


「一緒に行きましょう」


 駆け寄ってきたイナミナが俺に告げた。


「では俺が露祓いをしますから――」

「いいえ。出現ポイントを破壊するのはユウさんの方が適任だと思います。なので――」


 大波が押し寄せるように大量のマドアントが一斉に遅い掛かってきた。


「露祓いはわたしの役目です!!!」


 細剣を構えて飛び出した。


「<シル・ファード>!!」


 イナミナが発動させたのは超速の突きを放つアーツ。自己強化アーツを併用している状態では彼女の周りに青白い閃光が強く瞬き威力と攻撃範囲を増加させている。

 襲い掛かるマドアント。今から攻撃しようとするマドアント。どんな態勢のマドアントであってもイナミナの射線上にいる限り滅びの運命からは逃れられない。

 次々と塵となって消えていく大量のマドアント。


「今です!」


 その声を合図に俺はイナミナの後ろから飛び出した。


「貫け。<カノン>」


 それまで使わなかった射撃アーツを放つ。

 光弾が光線となって伸びていき出現ポイントをその傍で蠢くマドアントたちごと消し飛ばした。

 一拍の静寂の後、出入り口を塞いでいた光の膜が消えていく。

 戦闘が終わり次なる階層に続く階段が現われた。


「あ、レベルが上がったみたいです」


 自己強化アーツを解除して細剣を鞘にしまうイナミナが言った。

 続いて自分も伝える。


「俺もです」


 これだけ倒して一つだけという不満が無いわけじゃなかったが、それよりも一気に弛緩した空気にほっと胸を撫で下ろして安堵に一杯になっていた。

 それにしてもと辺りを見回して辟易する。

 地面に所狭しと散らばっている光石の回収をどうするかという問題が残っているのだ。

 竜化を解き元の姿に戻った俺とイナミナの視線がぶつかる。

 同じ問題に行き着いたのか、何気なく笑いかけた俺に返ってきたのもまた困惑気味の笑顔だった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


レベル【4】ランク【4】


生命力

精神力

攻撃力【D】

防御力【F】

魔攻力【E】

魔防力【F】

速度 【C】


専用武器


剣銃(ガンブレイズ)

↳アビリティ――【魔力銃】【不壊特性】

魔導手甲(ガントレット)

↳アビリティ――【フォースシールド】【アンカーショット】


防具


頭防具――【イヴァターレ・H】

胴防具――【イヴァターレ・B】

腕防具――【イヴァターレ・A】

脚防具――【イヴァターレ・L】

足防具――【イヴァターレ・S】

一式装備追加効果【5/5】――【物理ダメージ上昇】【魔法ダメージ上昇】


アクセサリ【6/10】

↳【生命の指輪】

↳【精神のお守り】

↳【攻撃の腕輪】

↳【魔攻の腕輪】

↳【魔防の腕輪】

↳【速度の腕輪】

↳【変化の指輪】

↳【隠匿の指輪】

↳【変化のピアス】

↳【―】


所持スキル


≪剣銃≫【Lv132】――武器種“剣銃”のアーツを使用できる。

↳<セイヴァー>――“威力”、“攻撃範囲”が強化された斬撃を放つ。

↳<カノン>――“威力”、“射程”、“弾速”、が強化された砲撃を放つ。

↳<インパクトノーツ>――次に発動する全てのアーツの威力を増加させる。

↳<ブレイジング・エッジ>――剣形態で極大の斬撃を放つ必殺技(エスペシャル・アーツ)

↳<ブレイジング・ノヴァ>――銃形態で極大の砲撃を放つ必殺技(エスペシャル・アーツ)

≪魔導手甲≫【Lv20】――武器種“魔導手甲”のアーツを使用できる。

↳<ブロウ>――“威力”を高めた打撃を放つ。

≪錬成強化≫【Lv110】――武器を錬成強化することができる。

≪竜化≫【Lv―】――竜の力をその身に宿す。

≪友精の刻印≫【Lv―】――妖精猫との友情の証。

≪自動回復・HP≫【Lv―】――常時発動。一秒毎に生命力が回復する。

≪自動回復・MP≫【Lv―】――常時発動。一秒毎に精神力が回復する。

≪状態異常無効≫【Lv―】――状態異常にならない。(特定の状態異常を除く)

≪全能力強化≫【Lv100】――全ての能力値が上昇する。


残スキルポイント【4】


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


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