円卓の生存者篇 13『サードセクション―②―』
強引に戦闘を止めた上で俺たちは四人纏まって洋館の探索を続けることにした。何よりもこの洋館にはまだ自分たち以外の参加者がいる。それを探すことが第一だという認識は共通できた。しかしそう考えながらもすんなりとことが進まないのは常であり、モンスターがいないおかげで安全なはずの洋館ですら探索が滞っているのもまた事実だった。
まだ見つけられていないのはミストとタビーの二人。この洋館のどこかにいるはずの人物を探して歩き回っているのだが、開く扉開く扉全てが空振りに終わり、誰もない閑散とした部屋を覗き込むだけだ。
「どうしましょう」
意気消沈したように呟くえんぺえに共に移動している突貫はあからさまな不満を顔に出していて、ラーザは無言のまま付いてきているとはいえ完全に納得していないのは伝わってくる。
別の部屋の扉を開けるもやはりもぬけの殻。
「…ハズレか」
部屋の中を見回して小さく呟いた途端、後ろで何やら大きな音がした。
驚き振り返ると苛立ちを露わにした突貫が近くの椅子や机を蹴り飛ばしていた。
「はぁ」
「んだよ!?」
「そんなことしても意味ないでしょ」
「あぁん」
吐き捨てるようにいったラーザに突っかかっていく突貫。
仮想の世界であるからこそ自身よりも体格に優れた人物が相手ですら対等に対峙することができる。身の安全云々ではなく完全に実力が拮抗しているという自負があるからこその態度のようだ。
「まだ他にも部屋はありましたよね?」
「おそらくは」
近付いて来たえんぺえが小声で訊ねてくる。確証がないままあやふやに答えるとえんぺえは心なしか不安そうな顔を浮かべている。
「にしても、外から見たときにはここまで広かったとは思っていませんでした」
「それはそうですね。ここに来るまでに開けた扉の数、覚えてます?」
「えっと、確か……」
「二十三、です」
きっぱりと数を断言するえんぺえに若干驚きの顔を向ける。
「職業病みたいなものですかね。こういう閉鎖的なダンジョンでは扉や階段の場所と数を記憶しておくのが癖になっているんです」
「なるほど」
「それでこの先にある部屋の数ですけど」
部屋の中から顔を出してまだ行っていない方向を見る。
「ここから見ただけでも既に確認してある部屋の数と同じかそれ以上あるような気がしませんか?」
「確かに」
「それは明らかに異常です。外と内が明らかに釣り合っていません」
「なんか見てくれだけの人間に対する評価を聞いている気になりますね」
「冗談を言っているわけじゃないんですよ」
「すいません」
扉を閉めずに再び部屋の中に戻る。
「一つ皆さんに思い出してもらいたいのですが、この洋館の部屋の内装はどれも同じではありませんでしたか?」
険悪な空気を醸し出しているラーザと突貫に向けて問い掛けていた。訊ねられたことが意外なことだったのか、二人はきょとんとした表情で互いの顔を見合わせている。
その様子を見ればあれだけ険悪な雰囲気になることもないだろうにと思ってしまう。
「覚えてねえな」
「似てるような気がするといえばそんな気もするけど」
確証は持てないと曖昧に答える二人に続いて俺も、
「申し訳ないですけど、はっきりとは覚えてないですね」
そう答えながらすぐ傍の別の部屋の扉を開ける。念の為に誰かいないか確認してから部屋の中へと足を踏み入れる。
気を付けてみてみればよく分かる。
まるでどこかのホテルのように同じ家財が置かれた同じデザインの部屋がそこにあった。
「よく気付きましたね」
後から付いて現われたえんぺえに称賛の言葉を贈りつつ振り返る。
「つーかさ、部屋の内装が同じだからってそれがなんだよ」
「はっきりと断言することはできないですけど、どれだけ部屋のなかを見てみても意味がないと思うんです」
「でも、部屋の中に他の二人がいるかも知れないんだよね?」
「同じ部屋だって言っても、部屋自体は別なんじゃないのかよ」
「言葉通り、同じ部屋ってことかもしれない。そう考えたんでしょう?」
「はい」
えんぺえが神妙な面持ちで頷く。
「せいぜい異なる部屋は二つか三つ。それが延々と繰り返し表示されているだけ、だと思うんです。だから探すのなら部屋じゃなくて」
「それ以外の場所ということですね」
「はい」
一度部屋から廊下に出て辺りを見回す。
「この階層は殆どがこれと同じ部屋。となれば、上か下か」
「下ってさっきまでいたトコだろ。行くなら上じゃねえの?」
「確かに」
「上となると、屋上?」
「いや、確か三階もあったはずです」
「だったら階段を探した方が早いな」
同じ部屋を延々と見て回ることに余程ストレスを感じていたのか、突貫が我先にと歩き出した。
早歩きになっている突貫の後を追い掛けつつ、廊下を歩き回ること数分。俺たちは雑多に敷き詰められた棚や椅子によって封鎖されて下層には行けず上層にだけ続いている階段を見つけた。
「あー」
「あからさまですね」
「あからさまね」
「胡散臭ぇ」
四者四様に感想を口にしながら階段を上り始める。
思っていたよりも長く続く階段を上りきった場所には先程と同じように上へ続く道が様々な物で封鎖されている踊り場に出た。
「まだ上があんのかよ」
呆れたように呟く突貫を無視して三階の様子を窺う。
二階と違うのはその暗さだろうか。
まるでお化け屋敷かと言わんばかりに薄暗く、それでいて視界がなくなるほどの暗闇でもない絶妙な明るさ。
光源は影に駆けられた燭台ではなく、足元に転がっている謎の光を放っている石が埋め込まれた調度品の数々。
「気を付けて進みましょう」
全員に向けて声を掛けるとえんぺえが先陣を切って歩き出した。
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レベル【24】ランク【3】
HP【10140】(+320)
MP【9050】(+770)
ATK【296】(+1810)
DEF【258】(+1880)
INT【282】(+900)
MND【209】(+1110)
AGI【336】(+1130)
【火耐性】(+10)
【水耐性】(+50)
【土耐性】(+50)
【氷耐性】(+150)
【雷耐性】(+100)
【毒耐性】(+100)
【麻痺耐性】(+200)
【暗闇耐性】(+150)
【裂傷耐性】(+40)
専用武器
剣銃――ガンブレイズ【Rank1】【Lv1】(ATK+600 INT+600)
↳アビリティ――【魔力銃】【不壊特性】
魔導手甲――ガントレット【Lv67】(ATK+460 DEF+460 MND+420)
↳アビリティ――【フォースシールド】【アンカーショット】
防具
頭――【イヴァターレ・ネックウォーマ】(MP+270 INT+210 MND+210 氷耐性+30 毒耐性+70 麻痺耐性+70 暗闇耐性+50)【打撃耐性】【衝撃耐性】
胴――【イヴァターレ・ジャケット】(HP+210 DEF+410 MND+380 雷耐性+30 氷耐性+60)【反動軽減】
腕――【イヴァターレ・グローブ】(ATK+330 DEF+240 AGI+160 火耐性+10 氷耐性+10 雷耐性+30 毒耐性+30)【命中率上昇】【会心率上昇】
脚――【イヴァターレ・ボトム】(HP+110 ATK+210 DEF+320 AGI+410 氷耐性+30 裂傷耐性+40)【命中率上昇】【会心率上昇】
足――【イヴァターレ・グリーブ】(ATK+110 DEF+370 AGI+460 氷耐性+20 雷耐性+40 麻痺耐性+30)【気絶無効】【落下ダメージ軽減】
一式装備追加効果【5/5】――【物理ダメージ上昇】【魔法ダメージ上昇】
アクセサリ【10/10】
↳【大命のリング】(HP+500)
↳【魔力のお守り】(MP+500)
↳【強力の腕輪】(ATK+100)
↳【知恵の腕輪】(INT+100)
↳【精神の腕輪】(MND+100)
↳【健脚の腕輪】(AGI+100)
↳【地の護石】(地耐性+50)
↳【水の護石】(水耐性+50)
↳【暗視の護符】(暗闇耐性+100)
↳【麻痺の護符】(麻痺耐性+100)
所持スキル
≪剣銃≫【Lv101】――武器種“剣銃”のアーツを使用できる。
↳<セイヴァー>――威力、攻撃範囲が強化された斬撃を放つ。
↳<カノン>――威力、射程が強化された砲撃を放つ。
↳<アクセルブースト>――次に発動する物理攻撃アーツの威力を増加させる。
↳<ブレイジング・エッジ>――剣形態で極大の斬撃を放つ必殺技。
↳<ブレイジング・ノヴァ>――銃形態で極大の砲撃を放つ必殺技。
≪魔導手甲≫【Lv1】――武器種“魔導手甲”のアーツを使用できる。
↳<ブロウ>――威力を高めた拳で殴り付ける。
≪錬成強化≫【Lv100】――武器レベル“100”までの武器を錬成強化することができる。
≪錬成突破≫【Lv1】――規定のレベルに到達した武器をRank“1”に錬成突破することができる。
≪竜化≫【Lv2】――竜の力をその身に宿す。
≪友精の刻印≫【Lv―】――妖精猫との友情の証。
≪自動回復・HP≫【Lv20】――常時発動。一秒毎にHPが少量回復する。
≪自動回復・MP≫【Lv20】――常時発動。一秒毎にMPが少量回復する。
≪全状態異常耐性≫【Lv40】――状態異常になる確率をかなり下げる。
≪全能力強化≫【Lv95】――全ての能力値が上昇する。
残スキルポイント【1】
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