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闘争の世界 ep.32 『続、代表戦』

先週、先々週とお休みしてしまってすいません。

初めて掛かったのですが、流行り病というか、コロナは厄介ですね。高熱が出て何もできず、熱が引いても咳が出て満足に話すことも困難でした。

例に漏れず味覚や嗅覚にも異常が出て、後遺症の咳もまだ少しありますが、更新したい気持ちも強く、いつもよりも少ない文量ではありますが、また更新を再開させて頂きます。

次第にいつもの文量に戻して、話も先に進めたい。ですが今回の更新はほぼ作者のリハビリのようなものになってしまったかもしれません。

申し訳ない。

それでもどうか今後も引き続き本作をよろしくお願いします。



 全速力で舞台の上を走り回る。

 剣先をサベッジへと向けたまま。

 絶えずお前を狙っているぞと意思を見せつけるように。いつでも攻撃できるのだとプレッシャーをかけ続けるために。

 サベッジは走る俺に合わせるように体の向きを微調整している。追いかけて来ないのは、自ら攻撃を仕掛けて来ないのは彼が速度よりも力を伸ばしているからか。

 ずっと走り回っていても現状は何も変わらない。時折急加速して接近することで攻撃を仕掛ける。


「はあっ」

「無駄だ」


 俺が振り抜く閃騎士の剣をサベッジが振るう鬼灯が打ち払う。

 攻撃がいなされることなど想定済みだ。もう一歩深く踏み込んで返す刀でさらに切り込んだ。

 サベッジの纏う鎧に一筋の切り傷が刻まれる。

 与えられたダメージはそう多くない。それでもこの一撃は自分の攻撃が相手に届くという証明になった。

 即座にその場を離れて反撃を未然に防いだ俺は一定の距離をとった後にサベッジと向かい合った。


「成る程。これを繰り返して勝つつもりというわけか」


 何やら納得した様子で告げるサベッジ。

 いつまでもダメージが傷として表示されることはなく、すでにサベッジは元の傷一つない状態に戻ってしまっている。


「どうかな。そんなに甘くはないんだろうさ」


 平然と答えた俺にサベッジはどこか驚いた表情を見せた。尤も兜に隠れて実際の表情が見えたわけではないが、何処となくそのような雰囲気を感じ取ったのだ。

 足を止めて向かい合う俺にサベッジは微かに頷き、


「当然だ」


 鬼灯の背を肩に当てながら答えてみせた。


「あの攻撃で受けるダメージ量はだいたいわかった。ソレでは己に勝つことなど不可能」

「言ってくれるな」

「既に先程の攻撃は見切ったも同然。アーツを使わずに攻撃を仕掛けてきたことは素直に褒められるが、それだけだ」


 無言を返す。サベッジが言うように決定力に欠けていることなど百も承知なのだ。

 それでも突破口を見出すべく攻撃を仕掛けた。型の決まっているアーツではなく、自分の技術を用いて。


「けどさ、アンタも俺に合わせるだけで精一杯っぽいじゃないか。それでどうやって俺を倒すつもりなのさ」


 精一杯の虚勢を張っていう。

 そんな俺を見通しているかのようにサベッジは鬼灯を振り上げた。


「捌いてみせろ」


 そう告げてサベッジは一瞬にして俺との距離を詰めてきた。

 驚いたことにそれはアーツによるものではない。彼の純然たる自分の技術によって繰り出されるものだ。


「やってやるさ」


 自分に言い聞かすように呟いて、全神経をサベッジに、彼が持つ鬼灯へと集中させる。

 余計な音が遠のいていく。

 急激な加速を伴うサベッジの動きが肌で伝わってくる。

 現実の自分は武道の達人なんかじゃない。むしろ、何の心得もない素人だ。それでも、この世界にいる時は。ユウというキャラクターの体を用いている時は、無数の戦いを乗り越えた歴戦の戦士だ。

 現実に死の恐怖があるわけじゃない。

 あくまでも仮想。誰でも現実離れした動きすら可能になる場所に俺は立っているのだ。

 繰り出される鬼灯に閃騎士の剣を的確に合わせてみせる。

 最初こそ驚いたような息を漏らしたサベッジだったが、繰り返し攻撃を防いでいる俺にそれが偶然などではないことを悟ったようだ。

 さらに勢いを増すサベッジの攻撃。

 いつしか俺も、サベッジも、獣のように咆哮して全身全霊を以て目の前の相手を倒すこと、勝つことのみに意識を向けていた。



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