R:ep.09『剣士、影と戦う』
二対七といっても常に数の有利な状況を維持したまま戦えるわけではない。
ユートとフォラスはキャラクターの体の大きさ的に言えば一般的な大人程度。つまり二人に攻撃を仕掛ける側は入れ替わり立ち替わり攻撃を仕掛けるしかないのだ。攻撃が止まないと言えば脅威に思えるとはいえ、余り連携らしい連携を行えていないことからも比較的余裕を保って対処することが出来ていたのだ。
「くそっ、なんで攻撃が当たらねえんだ」
ユートと対峙しているメイスを構えるアネスが苦虫を噛み潰したような顔をして言い捨てた。
自らが使う武器は大して重さを感じてなどはいないはずなのに、次第にその先が下がっていく。そしていつしかデブラが撃っていた頻度も落ちていた。それに反してフォラスが放つ矢は的確に対峙している相手を捉えダメージを与えている。
七人のプレイヤーは皆、HPを全損させるまでには至っていないが、半ば一方的にダメージを蓄積させられていれば過分な苛立ちを募らせられているようだ。
苛立ちを募らせれば募らせるほどに攻撃は荒くなっていく。それ故に自然と攻撃の命中率を下げる要因となっていった。
「まだやるか?」
時間が経過するとともに一方的な展開を見せる戦闘が一段落すると同時にユートが問い掛けた。
息も切らさず平然と問い掛けるユートの傍で地面に座り込む面々。落胆したというように肩を落とし、いつしか武器を構える気力すら失してしまっているみたいだった。
バツが悪そうに目を伏せる七人にフォラスは弓を引いたまま近付いていく。
「おれたちを殺すつもりかよ」
「その必要はないと思いますが」
憎々しげに言ったターレットにフォラスが呆れたように返す。
フォラスが矢を引く手から力を抜き弓を下げながら肩を竦める。弛緩した空気を自ら醸しだし戦闘が終わったことを伝えようとしたのだが、事態はそれを許さなかった。
七人のプレイヤーの足元にある影が揺らぎ、そこから無数の刃が出現したのだ。
剣、槍、突撃槍、大剣、ありとあらゆる刃を持つ影がその上に立つ七人を貫き飲み込んだ。
咄嗟の反応で後ろに下がりそれらを回避するフォラス。だが、影の中という出現地点である以上、完全に逃れることは困難を極めた。
「――っ!」
「フォラスさんっ!?」
言葉無く驚愕する素振りを見せるフォラスは自身の左腕を掴んだ。
これが現実だったのならそこから血が流れているだろう。装備が壊されて剥き出しになっているであろう傷跡もこの仮想の世界ならば描写されなければ誰の目にも映らない。
「大丈夫です。それよりも――」
「あれは、シャドウ……なのか?」
「見た感じだとそうですが……」
言葉尻を濁すフォラス。
それもそうだろう。これまで戦ったことのあるシャドウと目の前で起きた異変とでは結果変貌した姿意外に共通点が見受けられないのだから。
影の中から出現した様々な刃。それを受けた七人のプレイヤーは体を影に浸食されていき、最後には全身を漆黒に染めたシャドウと遜色のない姿へと変貌してしまっていたのだ。シャドウとの最大の違いはその手。武器と一体化している通常のシャドウとは違い、目の前に現れたシャドウらしきものは人と同じく手で武器を掴んでいた。
「それなら――」
ユートは銃形態に変えたガンブレイズで目の前の内の一体に狙いを定めた。刹那浮かび上がるその名称とHPのゲージ。
これまで七人のプレイヤーに自分達が与えていたダメージはリセットされているらしく、ゲージはフルの状態。しかしそれ以上にユートが知りたいと思っていた答えはこの行動によって白日の下に曝されることなった。
「『シャドウ・イロウション』。それがこいつらの名前みたいです」
「イロウション――浸食ですか。見たままですね」
「でも、こんな事態これまでに確認されているんですか?」
「残念ながら」
変貌した七人のプレイヤー――シャドウ・イロウションから視線を外さないまま、僅かに頭を横に振った。
何故このような事態が起ったのか。原因究明に望もうにもそんな余裕は残されていない。
「来ますっ!」
フォラスが素早く弓を構える。
矢を引き狙いを定めようとする僅かな時間、その隙間を狙うように二刀のナイフを持ったシャドウ・イロウションが襲いかかってきたのだ。
「くっ、速い――」
迎撃することを諦め、その弓の本体で二刀のナイフを受け止める。
無理矢理押さえ込もうとするシャドウ・イロウション。フォラスはなんとか堪えているが、その圧力や攻撃速度など、ありとあらゆるものが浸食される前のスクイブから大きく上昇していることもあって苦悶の表情を浮かべていた。
「離れろっ」
ユートはフォラスを助けようとガンブレイズで撃つ。
狙いはナイフを持つシャドウ・イロウションだ。だというのに弾丸を受けたのは別のシャドウ・イロウション。ランスを使っていたゼロ・デイを浸食したシャドウ・イロウションが己の武器で防御してみせたのだ。
そしてその後ろから三体のシャドウ・イロウションが飛び出してきた。その三体の得物はそれぞれ片手剣、曲刀、細剣。元となった人物では到底行えないであろう連携がユートにガンブレイズを変形させる暇さえ与えない。
ガッと大きな音を立ててガンブレイズの銃身とシャドウ・イロウションの曲刀が打ち合う。
フォラスに比べて近接戦闘を行うために純粋な攻撃値の高いユートであってもシャドウ・イロウションを押し返すことはできていない。
「く、この……」
せめて剣形態にできていれば。無理矢理にでも押し退けて薙ぎ払いの一撃を食らわせてやるのに。奥歯を噛み締めながら堪えているユートは心の中で呟いていた。
とはいえ警戒すべきことはまだある。自分に襲いかかって来たのは曲刀を持つ個体だけではないのだ。
顔を動かさずに視線だけで周囲の様子を窺う。
一定の距離を保ったまま攻め込んで来る気配の無い二体に警戒心だけは緩めないまま目の前の相手に集中していく。
頭の中でいくつもの戦闘をシミュレーションして選択した迎撃方法を実践に移すべく両足に力を込めた瞬間だ。不意に自分を押さえ付けている圧力が弱まったのは。
「あ、ぐっ、ああああっ」
体勢を崩しそうになるのを堪えたのと同じ瞬間、ユートの胸に猛烈な衝撃が走った。
後方へ吹き飛ばされながらも見たのは曲刀を構えていたシャドウ・イロウションの上半身が吹き飛び、その足元にはパンパンに膨らんだ水風船が割れる時のように黒い染みが広がっている光景。それを生み出したのはメイスを持ったシャドウ・イロウションで、味方のことなどお構いなしにただダメージを与えることを優先した攻撃を行ったのだった。
ユートは地面にぶつかるとそのままゴロゴロと転がりどうにか勢いを殺そうとした。少し勢いが弱まった頃を見計らって空いている左手で地面を掴み両足で地面に踏ん張る。そうすることでようやく止まることができたのだ。
「ユート君、回復を!」
自分も二刀のナイフを持つシャドウ・イロウションに押さえ付けられているというのにフォラスはユートを案じながら回復の指示を送っていた。
「わかっています」
言うよりも速くユートは自身のストレージから回復ポーションを取り出して片手で蓋を外すとそのまま一気に飲み干した。
先程の一撃で減らしたHPは全体の三分の一にも満たない。だが、この時点でユート達が所有している回復アイテムによって回復できる量がそれよりも少し多い程度でしかなく、半分以上減らされていた場合にはその場で二つ使用しなければならなくなり、生じてしまう隙も倍になる。だからこそ早めの回復は欠かせないのだ。
ユートが回復した後、今度はフォラスが窮地へと追い込まれてしまう。ユートの時と同じように押さえ付けているシャドウ・イロウションごと別のシャドウ・イロウションが攻撃を加えたのだ。攻撃を加えたのはピストル型の武器を持ったシャドウ・イロウション。
身体にいくつもの穴を開けたシャドウ・イロウションはその場で弾け飛んだ。
動けずにいたフォラスはその銃弾を受けてしまい、HPを減らしてしまっている。それでも二刀のナイフを使うシャドウ・イロウションから解放されたことでどうにか回復することが出来ていた。
「なんて無茶苦茶な戦い方」
「けど、それなら自滅させることも出来るかもしれません」
「それまで私達が無事な保証は無いですけどね」
「確かに。やっぱり倒すつもりで戦うべき、ですよね」
「はい。その通りだと思いますよ」
吹き飛ばされたのを幸いとユートは回復を終えるとそのままフォラスの傍へと駆け寄っていった。そして自分と同じようにシャドウ・イロウションから解放されて回復に努めているフォラスと簡単に言葉を交わした。
そして攻撃に関して二人に躊躇する素振りが無くなったのは他のシャドウ・イロウションによって倒された個体が黒い染みを残して消滅してしまっているのを目撃したから。せめてその場に浸食されたプレイヤーが遺されているのならばどうにか助け出そうとしただろう。だがそこに何もないのならば、既にシャドウ・イロウションに移り変わってしまったのだとすれば、リトライ可能な回数が残されているだろう序盤ということもあって倒した方がいい。そう判断できたのだ。
体勢を整えた二人に今度はランスを持ったシャドウ・イロウションとメイスを構えたシャドウ・イロウションが突っ込んできた。
二体の挙動は直線的だ。しかしその勢いと速度は尋常ならざるものがある。土埃を巻き上げながら突進してくる二体に二人ができる行動は回避一択。それもかなりの回避距離を保った回避だ。
二人が左右に分かれたその間を二体のシャドウ・イロウションが通過する。
分断されたそれぞれにまた別のシャドウ・イロウションが攻撃を仕掛けてきた。ユートには片手剣を持った個体。フォラスには細剣を持った個体がそれぞれの前に立ち塞がった。
「手数が多いな。けどそう簡単にやられるわけには――」
片手剣を軽々と振り回すシャドウ・イロウションの攻撃は苛烈を極める。
ユートは剣形態に変えたガンブレイズで打ち合い、どうにかその攻撃を捌いていく。だがその均衡を崩すかのようにまたしてもメイスを持ったシャドウ・イロウションが突進攻撃を繰り出してきた。
視線を動かし迫る個体を把握する。
狙いは片手剣を持った個体を同士討ちさせること。それが自分が攻撃を仕掛けるよりも確実に目の前の相手を葬り去る方法であるというように意識が誘導されていることにこの時のユートは気付けないでいた。
「来いっ――」
ギリギリまで引き付けて片手剣を持つシャドウ・イロウションでメイスの突進を受ける。その狙いの通り、メイスを構えた個体はユートに向かって真っ直ぐ突進してきた。
心の中でタイミングを計る。3、2、1とカウントダウンをして訪れたその瞬間に、
「今っ!」
重心をずらして片手剣を持つシャドウ・イロウションの位置を変更する。ちょうど自分とメイスを持ったシャドウ・イロウションに挟まれる位置になったことで自分の作戦は成功した。そう思ったユートは不意に背中に衝撃を感じた。
足元から伸びる影がユートの背中を貫いたのだ。
「なに……?」
ダメージはそこまで多くない。しかしこれは七人のプレイヤーをシャドウ・イロウションへと変貌させた攻撃と同種であるはず。
「拙いっ」
こうなっては多少のダメージなど構っていられない。それこそHPがゼロにさえならなければ良いと割り切って目の前の片手剣を持つシャドウ・イロウションを押し退け、自らメイスの突進に身を晒した。
襲い来る衝撃は確かなダメージを刻み込んできた。けれどそれはまだHPを全損させるには足りない。
背中から広がっている嫌な感覚。文字通り何かに浸食されているような感覚を振り払うようにユートはフラフラする両足を強引に動かして近くにある朽ちた壁の残骸に背中からおもいっきりぶつかった。
ダンッと大きな音がする。壁の残骸は衝撃を受けて表面に大きな亀裂が入った。剥がれるように表面が削れていく。
本来ならばそれが浸食を止める手立てとはならないはず。そんなことユートは百も承知だった。けれど直感でそうすることが最善だと思ったのだ。
事実、功を奏した。背中から感じていた嫌な感覚は消え、代わりにその瓦礫の表面に黒い染みがこびり付いていた。
「はぁ、はぁ、はぁ。なんとかなった……」
自ら壁にぶつかったという行為ではダメージ判定は発生しない。ここでユートが受けたダメージはそれまでシャドウ・イロウションによって与えられたダメージだけ。
直ぐに残っている回復ポーションを使用する。
一本では足らず二本目も使ったことでようやくHPを全快させることができた。
「フォラスさんは?」
自分にランスとメイスのシャドウ・イロウションが向かってきていたということはフォラスを襲っている個体は細剣とピストルを使うシャドウ・イロウションのみ。自分に向かってきている数が少ないことを知り、フォラスは些か強引な迎撃に出ていた。狙いはピストルを持ったシャドウ・イロウション。弓を操り細剣をいなして素早く番えた矢を放つ。連続して放たれた矢はシャドウ・イロウションの四肢を穿ち、最後には眉間を射貫いていた。
プレイヤーであれモンスターであれ、シャドウであったとしても致命的な一撃は存在する。例を挙げれば首と胴を切り離したり、心臓を貫いたり、今回のようにヘッドショットを決めたりと。
ヘッドショットによる威力の加算が入り十分なダメージを与えられたピストルを使うシャドウ・イロウションはその場で爆発した。炎が上がるわけじゃない、黒い影が拡散する爆発だ。地面に広がる黒い染みがそれを倒すことが出来た証左となる。
「良かった。倒すことは出来るらしいな。だったら俺も――<琰砲>!」
射撃アーツを発動させる。
放たれる高熱線がランスを持ったシャドウ・イロウションの胸を貫く。これもヘッドショットと同じように致命的な一撃となりその存在を吹き飛ばした。
「残り三体!」
声を張り上げて叫ぶ。
曲刀を持ったシャドウ・イロウション、メイスを持ったシャドウ・イロウション、そして片手剣を使うシャドウ・イロウションだ。
「ダメージは大丈夫ですか?」
普段より声を大きくしてフォラスが訊ねてくる。
「回復したので問題ないです。ただ、これで残るポーションは二つだけになってしまいました」
「私が持っているものを渡しましょうか?」
「いえ、大丈夫です。相手が三体ならばなんとかなりそうな気がします!」
再び<琰砲>を発動させて放つ。
致命的な一撃とはいかずとも放たれた高熱線は片手剣を持つシャドウ・イロウションの腕を焼き飛ばしその攻撃力を奪った。
シャドウ・イロウションはやはりモンスターには該当しないらしく、味方がやられても、自らが傷ついても、敗北が近づこうとも感情を表に出すことは無い。それどころか感情というものがあるかどうかすらあやふやだ。
だからだろうか。無感情のまま対峙するシャドウ・イロウションという敵は数を減らせば減らすほど脅威度を減少させているように思えるのだ。
「<琰砲>!!」
武器を扱う腕を奪われても変わらない様子を見せるシャドウ・イロウションを貫く。爆散してその存在を消滅させた。
残るは二体。もうすぐ勝てる。そう思って油断しないようにフォラスが視線をユートに向けて頷いた。ユートも頷き返して二体のシャドウ・イロウションに銃口を向ける。
ランスとメイスはこれまで直線的な攻撃ばかりを繰り出してきた。新しい攻撃方法がないのならば対処は余裕だ。
気を引き締め直してことが動き出すのを待っていると突然二体のシャドウ・イロウションはその場に崩れた。
糸が切られたマリオネットのように受け身を取ることもなく崩れた二体は次に穴が開き空気が抜けた風船のように萎んでいった。但しその内部から漏れるのは空気などでは無く黒い染み。
側が消え、残ったのはランスとメイス。黒く染め上げられたそれらは既に本来のプレイヤーが使っていたものと同一であるとは思えないものだった。
「これで、終わったんでしょうか?」
なんとも釈然としない終わりだとフォラスが訊ねてきた。
「さあ? どうでしょうね」
そもそもこのような事態が異常なのだ。
本来の仕様にはないシャドウであるだろうと想像しているユートにとってどこが終わりで、何処までが続いているのかは分からないことであった。
「終わりだといいんですけど――」
注意深く、そして疑い深く遺された二つの武器を見ている。
本当に終わりならばそれらは消えるはず。なのにどういうわけかそれらは消える気配が一切感じられない。それだけではない。周囲にこびり付いた黒い染みもまた残り続けている。
「――!」
ツンっと鼻腔を擽る嫌な臭いが広がった。
なんと形容すればいいのだろうか。生臭いわけでも、何かが腐ったような臭いがするわけでもない。嗅いだことの無い臭い。ただただ不快な臭いが漂い始めている。
フォラスを見れば彼女も同じように顔を顰めている。どうやらこの臭いを感じているのほ自分だけではないらしい。
腕で鼻と口を塞ぎながら一層険しい表情で辺りを見渡した。
そこで気付いた。
黒い染みが徐々に小さくなっているのだ。
この現象が戦闘の終結を告げるものでないことはもう分かっている。何かが始まったのだ。
「ここで逃げ出すわけにはいきませんよね?」
「そんな余裕は無さそうですよ」
冗談混じりの提案をするユートにフォラスはただ冷静に返す。
二人が見つめる先。そこに小さな黒点が現れた。それはすぐさま全てを飲み込むブラックホールの如く凄まじい勢いで付近の何もかもを吸い込み始めた。
最初に吸い込まれたのは風だった。目には見えない透明なそれは轟音を立てて次なるものを飲み込んでいく。荒廃した石だらけの地面に懸命に生い茂るほんの僅かな草花や、雨風によって削られた瓦礫や大地。
不思議なのはプレイヤーであるユートとフォラスにはその影響が全く現れなかったこと。そして、辺りにこびり付いた黒い染みが剥がれるようにして黒点に吸い込まれていったこと。
「黒点が消えた……いや――違う!」
戸惑い呟いたユートの言葉に引き寄せられるようにそれは再び現れた。これまでとは違う。不気味な光沢を持つ黒い二メートルくらいの球体となって。球体は地面には付かず浮いたまま制止している。そしてそれは次の瞬間に弾け再び周囲に黒い染みを作ったのだった。
黒い染みは一度地面を染めたものの直ぐに消えてしまう。この場に残されたのは黒い球体から現れた謎の存在。
全身鎧を纏った細身の人物。
性別どころか種族さえも分からないその存在は言葉を発すること無く落ちているランスとメイスを拾い上げた。
両手でそれぞれ違う武器を構えた存在の名を確かめる。玉虫色に映る色彩が奇妙な三本ものHPゲージの上に掲げられたその名前は『アモルファス』。
記憶を辿っても心当たりすら無いその名称が与えられた存在はゆっくりとランスを振りかぶった。
「フォラスさん。避けてっ!」
無言のまま敵意すら感じさせずに投擲されたランスは空気との摩擦で赤く発熱しているように見える。
ユートの声に反応して大きく回避した二人の遙か後方、街を外れ何もない荒野の地平線に巨大な爆発が見えた。
爆風が吹き付けるよりも速くアモルファスは残るメイスを掲げて回避したまま体勢を整えられていないユートに向かって二度目の投擲を放った。
ユート
レベル【15】ランク【2】
所持スキル
≪ガンブレイズ≫
≪錬成≫
≪竜精の刻印≫
≪自動回復・HP≫
≪自動回復・MP≫
≪状態異常耐性・全≫
≪HP強化≫
≪MP強化≫
≪ATK強化≫
≪DEF強化≫
≪INT強化≫
≪MIND強化≫
≪DEX強化≫
≪AGI強化≫
≪SPEED強化≫
残スキルポイント【9】
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【作者からのお願い】
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