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ep.74『雨』

今回、かーなーり短いです。

最近ちょっと余裕がなくなってこの有様。

文量が以前に戻せるのにはもう暫く時間が必要になるかもですが、更新は続けて参りますので、どうか本作をよろしくお願いします。

評価、ブックマークも引き続きお願い申し上げます。


体を駆け巡ったのは痛みなどではなく、純粋な衝撃だけだった。

一瞬、明滅する視界に目を凝らし、ようやく定まった視点に映るのは散々な光景。

勇敢に立ち向かっていた仲間は地面に伏し、戦場の端にいたはずの人物も壁際にまで吹き飛ばされ力なく項垂れている。

当然俺も無事なわけがなく、指先一つ動かせないでいた。



「何が起こった…?」



掠れた自分の声が虚しく消える。

少しずつはっきりとしてくる頭で状況を整理しようとすれば、真っ先に思い当たった原因は眼前に悠然と佇む『ザ・ビースト』なる獣の咆哮、否、息吹のみ。

たった一度。その一度の攻撃が、この絶望的な状況を生み出したというのか。


ふらりと視界の端に揺らめく人影が見える。

視点が定まらず虚空を見つめるその人は、変貌していた獣の中から引き摺り出したグリモア。

息吹の影響を全く受けていないようにすら見えるその様子に疑問を感じるのと同時に焦りを感じた。

誰一人動かずに停滞した戦場にグリモアという流れの起点ができてしまったからだ。


佇むザ・ビーストが妖しく輝く眼光をグリモアへと向けた。

7つに先の割れた尾はそれぞれが意思を持っているかのように蠢いている。翼幕の無い骨格翼が羽ばたき、巨大な腕が広げられる。

息吹を放った時とは違う甲高い金切り声が空気を震わせたその瞬間、ザ・ビーストの背後から複数の光が打ち上げ花火のように放たれた。



「ぐっ、ぐぅぅ」



時間が経ち感じ始めた鈍い痛み。

体を動かそうとするたびにに感じるそれを堪えつつ、どうにか立ち上がろうと地面を掴む。


天板の見えない天井に登り弾ける光弾。

文字通り光の雨の如く降り注ぐそれば慈悲もなく、この場に残る俺たちを打ちつけた。ただ一人、虚空を見つめるグリモアを除いて。




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