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ep.etc 『守人の迷宮』


 古来より、そこは徒人が踏み入れてはならない禁忌の地とされていた。


 あるいは生者は辿り着けない場所。


 手付かずの自然が息づき多種多様な動植物が生息する小さな島。


 常時濃厚なミルクのような霧に覆われた小島。


 行き来する手段はない。


 船で行こうとすれば途中にある渦に飲み込まれ、


 空から向かおうにも霧が視界を奪い、霧の下には獰猛な大鷲が獲物を狙い自在に飛び回っているらしい。


 故に行こうとするのは常人ならず。


 自らの命を捨てに行く者。


 現世と隔絶された者。


 世界を諦め、世界から見捨てられた者。


 しかし一人としてそこに辿り着いた者はいない。


 禁忌の地に足を踏み入れることなくその命を散らすのだ。


 その言い伝えが風化して久しいとある時代。


 禁忌の地に、誰も見たことが無い秘宝が眠っているとまことしやかに囁かれ始めた。


 夢を追う人々は軒並みその場所を探し求める。


 大海原を航海し、


 大草原を駆け巡り、


 標高何千もある山々をも踏破した。


 けれど、その場所は見つからないまま。


 一年が過ぎ、


 十年が過ぎ、


 百年が経とうという頃、


 ある男が禁忌の地を見つけた。


 いくつもの渦がある海を越え、


 濃霧に阻まれたその先に自然豊かな島がある。


 巨大な木々に覆われた島の中に遺跡が一つ。


 文明の残滓など微塵も無い。


 いつ作られたのか、


 何故作られたのか、


 誰にも解らない。


 遺跡はこの惑星の中心へと続いていると言わんばかりに広大且つ深かった。


 男はその遺跡を時間を掛けて探索し続けた。


 やがて一年が過ぎ、


 十年が過ぎ、


 三十年が過ぎた。


 男は年老い、もはや遺跡を歩き回るほどの時間は残されていないと知ると、男は禁忌の地を離れることを決めた。


 それから男は人を集めた。


 禁忌の地を守るために。


 自らが果たせなかった夢を守るために。


 しかし、その意味は二つ。


 誰かにその夢を果たしてもらうべく、育むため。


 誰にもこの夢を奪われないよう、監視するため。


 時が流れ、男はこの世を去り、集められた人々は世界に散った。


 ただ一つ。


 男の意思を魂に刻んで。


 後にこの人々は防人と呼ばれ、


 遺跡は防人が秘匿し再び歴史の表舞台から消えた。


 それから気が遠くなるほどの時間が流れた。


 いつの頃からか防人は守人と名称を変え、禁忌の地は守人の迷宮と呼ばれるようになった。


 それが彼の地の云われである。



作者の風邪が長引いています。

ついでに目にウイルスが入り結膜炎みたいな状態に。

というわけで今回は本編の次の舞台である【守人の迷宮】の設定みたいなものをアップしてみました。


先週は丸々外出禁止と医師に言われ、ようやく次週からは生活リズムが平時に戻ると思いますが、眼鏡を長時間付けていられないため、少々文章量は減るかもですが、できる限り更新はしていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いします。


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