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ガン・ブレイズ-ARMS・ONLINE-  作者: いつみ
第十三章  【revision:2】
324/665

ep.08 『謎の本・謎のレシピ』★

はい。今週分の更新です。

今週は時間を間違えずに投稿出来ているハズ!


 空を飛び回る鳥のモンスターの土手っ腹に一本の矢が突き刺さる。

 魔法でもアーツでもない矢の一撃はそれ単発で必殺の威力を秘めているわけではない。それでも数回矢で射貫くことと合わせて俺が射撃したことでモンスターのHPを削りきることに成功し、空中で霧散させることが出来ていた。


「実際に戦ってみた感想はどうですか?」


 使用した弓を背負い直すキョウコさんに問い掛ける。

 着ぐるみ装備を完成させた後、俺たちはそろって町の西側にある草原のエリアに来ていた。ここは俺がハルと一緒に最初の戦闘をした場所であり、初心者プレイヤーに適した戦場だとされている場所だ。

 現在キョウコさんとパーティを組んでいるのは俺一人。ついてきているリントの他に、着ぐるみ装備の出来を確認するために来ているリタもいるが、この二人は俺のようにパラメータを下げる装備を付けていないためにパーティには入っていない。

 草原エリアにいるモンスターは基本的にこちらから手を出さない限り攻撃してくることはない。このことと二人のレベルが高いことを合わせて比較的安全に付いて来られるというわけだ。


「思ってたよりリアルじゃないのね」

「そりゃあ全年齢対象のゲームですからね。攻撃を受けても血飛沫が舞うなんてことにはなりませんよ」

「そうじゃなくてさ。私のレベルって低いままじゃない? もう少しシビアな戦闘になると思ってたの」

「それこそ問題ないッスよ」


 少しだけ離れていたリントが戦闘が終わったのを合図に会話に加わってきた。


「この辺にいるモンスターはどれも弱いッスからね。下手にボスモンスターに手を出さなければ滅多にやられることなって無いッス」


 淡々としながらもはっきりと告げるリントに俺は思わず視線を逸らしていた。何せ俺にはリントが言った下手なことしでかしたことがあったからだ。当然結果は敗北、というか逃走。

 キョウコさんとこのエリアに向かうと決めた際、俺は心の中でひっそりと自分の二の舞だけにはならないように気をつけようと決めたものだ。


「ところで、ユウくん。その装備の感触はどんな感じ?」


 遠距離武器の心得も多少はあるのかリントがキョウコさんに立ち回りなどの助言を施している最中にリタが尋ねてきた。


「想定してたよりも動けてると思うぞ。狙いが外れることも無かったし、威力が下がってるのはさっきの戦闘で確かめられたし、狙った通りの性能を発揮してると思う」

「そう。他に気付いたことはある?」

「あー、そうだな。フードをしっかりと被っても視界が確保されてるのはびっくりしたかな」


 着ぐるみ装備の時、俺はフードを目深に被っていた。そうすることがこの防具を完璧に装備することになるからだ。

 そうすることで俺は頭からつま先まで文字通り着ぐるみに包まれる。この時問題になったのは殊の外俺の格好が目立つということ。一緒に並んで歩くリタはこの着ぐるみ装備が実際に動くところを真剣に観察していたから気付かなかったらしいが、少し離れて歩くリントとキョウコさんは若干恥ずかしそうな顔をしていた。

 竜頭(りゅうあたま)のリントですら端から見ても恥ずかしがっていると分かるのだから、普通の人族であるキョウコさんはより一層分かりやすい。

 結局、町からこの草原エリアに着くまでの間にどうにか慣れて貰ったのだが、今でもふとした俺の仕草に笑いを堪えているのが窺えた。


「フードにある犬の顔の目のところに穴が空いているわけじゃないのにな。どうしてなんだ?」

「えっと、それは全身鎧とかでも一緒なんだけど。本物と違ってゲームではプレイに影響がでないようになってるの。まあ、目隠しとか元々視界を奪う目的のものなら違うんだけど、フードとかマスク程度なら全く支障が出ないはずよ」

「ああ、なるほど」


 戦闘が終わったことを確認してフードを外す。

 近くに他のモンスターの姿が見られないために、遠くまで探しに行こうかどうか相談しようと思った矢先のこと、不意にキョウコさんがストレージからアイテムを一つ取り出していた。


「それは?」


 リントと二人そのアイテムについて話しているキョウコさんに聞く。

 キョウコさんの手元を覗こうとする俺の隣でリタもまたつま先立ちになって覗き込んでいる。


「今の戦闘でドロップしたアイテムなんッスけど」

「リントくんは知らないっていうんだけど、ユウくんとリタさんは何か分かる?」

「私は初めてみたけど」

「俺も見たことないですね。ちょっといいですか?」

「どうぞ」


 キョウコさんから手渡された件のアイテム。その形状は一冊の本。豪華な装丁が施されたそれを俺が開こうとしてもビクともしない。


「ん、あれ? キョウコさんはこれを開けるんですよね?」

「勿論」


 再び返ってきた手元の本をキョウコさんが何気ない顔をして開いてみせる。


「となると所有者が固定のアイテムなんッスかね」

「みたいだな。それでその本には何が書かれているんですか?」

「さあ?」


 本を開いたまま持つキョウコさんが首を傾げた。


「さあって…もしかして読めないんですか?」

「そうなのよ。だからリントくんと相談してたんだけどね」

「リントも知らなかったと」

「面目ないッス」

「まあ良いけどさ」

「それでユウくんとリタさんは読める?」


 キョウコさんが開いたままの本を見る。


「あー、だめだ。俺にも白紙に見える」

「リタさんは?」

「私も同じね…って言いたいところだけど、そこに何かあるっぽいわよ」

「どこ?」

「そこ」


 リタが指差す場所は揺るがない。しかし、残念なことに俺には何か記されているようには見えなかった。

 自分に向けられているキョウコさんとリントの視線に俺はゆっくりと首を振った。


「何が書いてあるのか教えてくれるかしら?」

「いいわよ。そこに書かれているのはね、多分何かのレシピよ」

「レシピ?」

「それって料理の作り方とかが書かれてるやつッスか?」

「今回の場合はアイテムの作り方が記されている物ね」

「どんなアイテムのレシピなんだ?」

「それが分からないのよ」

「分からないんッスか?」


 困った顔一つしないまま告げるリタにリントは大きく驚いている。ゲームのことを詳しく知らないキョウコさんはキョトンとした顔のまま、俺としてもリタが何を言いたいのか今ひとつ掴みきれないでいる。


「何かのアイテムのレシピなのは間違いないと思うの。でも、それがポーション系なのか、それとも装備品なのか、あるいは何か特殊な素材アイテムなのかまでははっきりとしないの」

「どうしてッスか?」

「書かれているのが必要な素材の種類とか何が出来上がるのかとかじゃなくて、素材の必要数だけなのよ。それこそ何かのレシピを書き殴っていたものが滲んで読めなくなったって感じなのよね」


 内容が見えているリタがそう言うのならば疑う必要はない。ならば当然、気になるのはその中身。こうなってくると自分で読めないのが悔しく思えてくる。


「でもなんでリタさんだけが読めるの?」

「レベルが関係してるならキョウコさんが読めないってのは納得できるんッスけど」

「ランクだったとしても俺やリントが読めないのは不自然だし」

「となると生産スキルのレベルとか習得数かしら」


 それならば納得できるかも知れない。生産職であるリタはリントより多く生産スキルを習得しているし、一年間休止していた俺よりも生産スキルのレベルが高いのも納得できる。全くの初心者であるキョウコさんと比べると言わずもがな。


「次のページには何が書かれてるんです?」

「キョウコさん、捲ってもらってもいい?」

「はい」


 そういって捲られた本の次ページには何が書かれているのだろう。好奇心に駆られ注視しているのは俺だけじゃない。リタもリントも、ページを捲る張本人であるキョウコさんさえもどこかわくわくしているように見える。


「あ……」

「白紙ッスね」

「右に同じく」

「ユウくんはどう?」

「俺も何も見えません」


 全員が落胆したのはいうまでもない。それでも、と俺たちの気を取り直すのに使えと誰かが言っているかのように、自分たちの近くにさきほどまで戦っていた鳥のモンスターが復活していた。


「とりあえずアイツを倒すのが先ッスね」

「だな。行きますよ、キョウコさん」

「まずは私が翼を射貫くのよね」

「それで落すことが出来れば俺が斬る。仮に落とせなくとも」

「ユウくんが撃つ」


 戦闘を始める前に決めた作戦を確認した。

 すかさずキョウコさんが背中の弓を持ち、矢筒の中にある矢を一本引き抜く。

 背筋を正し、弦を引く。そして狙いを定め放つ。

 重力に逆らい真っ直ぐ飛んでいく矢を目で追っていると、それは一瞬にして鳥のモンスターの翼を射抜き撃ち落として見せたのだ。


「そこっ」


 素早く着ぐるみのフードを被り走り出す。

 鳥のモンスターの落下地点を先読みし、その下で腰のホルダーから抜いたガン・ブレイズを剣形態へと変形させて待ち構える。

 最初の町付近のエリアである草原エリアに出没する雑魚モンスターの体力は大して多くない。それこそプレイヤーの攻撃が二度三度クリーンヒットすれば倒せるくらいだ。レベルを上げれば一撃で倒すこともそう難しくはない。


「<インパクト・スラスト>」


 威力特化の斬撃アーツを放ち落下する鳥のモンスターを両断する。

 赤い斬撃の軌跡を描き放たれた一撃を受けて消滅する鳥のモンスターはおそらく強さ自体は俺とキョウコさんが最初に戦ったのと変ってはいない。なのに僅か二発で倒すことができたのは俺とキョウコさんのレベルが僅かながらも上がっているから。


「ふぃ。そろそろ移動するべきかな」


 モンスターを倒しやすくなったということは反対に獲得出来る経験値が減ったということ。

 これまでの俺の経験からすれば戦う相手となるモンスターの強さは自分より少し強いくらいがちょうど良いと思う。強すぎれば勝てないことは勿論のこと、無為にアイテムを消費してまで逃走する羽目にもなりかねない。そして弱すぎればまともに経験値が入らずに一つレベルを上げるために想定以上の戦闘を行う必要が生じ、それでは時間の無駄だ。せめて獲得出来るドロップアイテムが欲しいものならまだ良いのだが、この周辺に出るモンスターから得られる素材はお世辞にも必要とはいえ無いものばかり。

 自分たちの適正レベルの相手を探して移動したほうがよっぽど効率的なのだ。


「お疲れ様ッス」

「全然危うげなく勝てるようになったね」

「あ、またレベルが上がったみたい」


 和気あいあいと話す三人を横目に俺は次に何処に行くべきかを考えていた。

 自分の昔をなぞるのならば南側にある森のエリアに向かえばいい。しかし、俺一人で戦っていた昔に比べてパーティを組んでいるキョウコさん、ひいては共に行動しているリタやリントがいる今、それが正しい選択かどうかの自信が持てなかった。


「ま、相談すればいいだけの話だよな」


 とはいえその自信のなさに対する心配は何もない。

 それこそ今の俺は一人で何かを決めなくてはならない、なんてことは無いのだから。





◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇





プレイヤーネーム 『ユウ』

種族 『人族』

所属ギルド 『黒い梟』



レベル【4】 ランク【2】



【総合計値】 [基礎能力値] (装備加算値) 《スキル加算値》



HP 【1620/1780】 [530] (±0) 《+1250》

MP 【560/780】 [280] (±0) 《+500》

ATK   【150】 [100] (±0) 《+50》

DEF   【140】 [90] (±0) 《+50》

INT   【130】 [80] (±0) 《+50》

MIND  【110】 [60] (±0) 《+50》

SPEED 【150】 [100] (±0) 《+50》

LUK   【83】 [80] (+2) 《+1》

AGI   【130】 [80] (±0) 《+50》

DEX   【130】 [80] (±0) 《+50》



『装備・武器』



専用武器・1 【ガン・ブレイズ】 精霊器(契約精霊・黒竜フラッフ)

――(装弾数×4)(魔力銃)(ATK+300)(INT+200)(MP+300)(不壊特性)

専用武器・2 【魔道手甲】

――(ATK+50)(DEF+100)(INT+50)



『装備・防具』



頭・【なし】

首・【なし】

外着・【犬の着ぐるみ・柴】

――(DEF+200)(MIND+200)(スキルによる能力値の上昇を半分にする)

内着・【着ぐるみのシャツ】

――(DEF+50)(MIND+50)(スキルによる能力値の上昇を半分にする)

腕・【黒革のグローブ】

――(DEX+100)

腰・【犬の着ぐるみ・柴】

脚・【犬の着ぐるみ・柴】

靴・【犬の着ぐるみの靴・柴】

――(SPEED+200)(AGI+100



『装備・アクセサリ』 装備重量【6/10】



【証の小刀】(装備重量・2)

――(ATK+10)(DEF+10)(INT+10)(MIND+10)(SPEED+10)

【妖精の指輪】(装備重量・1)

――(契約妖精・リリィ)(LUK+2)

【早着替えの首輪】(装備重量・1)

――(登録装備セット1・ディーブルーシリーズ)(登録装備セット2・着ぐるみセット)

【制約の手枷】(装備重量・2)

【制約の足枷】(装備重量・2)



『所持スキル一覧』 スキルポイント【3】



≪ガン・ブレイズ≫ レベル・10

≪ガントレット≫ レベル・10

≪マルチ・スタイル≫ レベル・10

≪HP強化・Ⅲ≫ レベル・10(MAX)

――《HP+5000》

≪MP強化・Ⅲ≫ レベル・10(MAX)

――《MP+2000》

≪ATK強化・Ⅲ≫ レベル・10(MAX)

――《ATK+200》

≪DEF強化・Ⅲ≫ レベル・10(MAX)

――《DEF+200》

≪INT強化・Ⅲ≫ レベル・10(MAX)

――《INT+200》

≪MIND強化・Ⅲ≫ レベル・10(MAX)

――《MIND+200》

≪SPEED強化・Ⅲ≫ レベル・10(MAX)

――《SPEED+200》

≪AGI強化・Ⅲ≫ レベル・10(MAX)

――《AGI+200》

≪DEX強化・Ⅲ≫ レベル・10(MAX)

――《DEX+200》

≪鍛冶・武器≫ レベル・10

≪調薬≫ レベル・10

≪細工・アクセサリ≫ レベル・10

≪調理≫ レベル・7

≪採取≫ レベル・5

――《LUK+1》

≪採掘≫ レベル・5

――《LUK+1》

≪状態異常耐性≫ レベル・10

――対応状態異常耐性(毒)(麻痺)(睡眠)(火傷)(氷結)(沈黙)(気絶)(石化)(魅了)(遅延)



『使用可能アーツ一覧』



<インパクト・スラスト>

<アクセル・スラスト>

<サークル・スラスト>

<インパクト・ブラスト>

<アクセル・ブラスト>

<オート・リロード>

<チャージ・リロード>

<シールド>

<ブロウ>

<パリィ>

<クイック・スタイル>

<ブースト・ブレイバー>【選択中】

<ブースト・フォートレス>

<ブースト・ハート>

<インパクト・スラスト・バースト>

<アクセル・スラスト・バースト>

<サークル・スラスト・バースト>

<インパクト・ブラスト・バースト>

<アクセル・ブラスト・バースト>



『必殺技』



<シフト・ブレイク>

<ブレイキング・バースト>





◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇





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