Re:スタート ♯.20
お待たせしました。
前回の続きです。
突然の崩壊に巻き込まれるようにして落下した俺たちが辿り着いたのは全てが無色透明な水晶で作られている部屋。
ここが地下で、且つこのダンジョンの最下層だからだろうか。一般的な部屋や階層のような窓はなく、本来は開けていてはならないはずの天井にある俺たちが落ちてきた大穴以外には、はっきりと分かる出入り口は存在しない。
つまりはこの部屋と外を普通に出入りできる扉が見当たらないのだ。
出るどころか入ることすらできない場所に来てしまったという現実に、俺はこの場所を設計した人がここを作った時はどうしていたのだろうと考えてしまう。
僅かな思考を巡らせると直ぐに納得した。
現実では建造不可能な構造だとしてもゲームならば問題ないということだろう。
そして、俺がこの場所を部屋と直感したように、ここは先程まで戦闘を繰り広げていた場所よりも一回り以上も小さい。
無色透明な水晶が広く見せているだけのようだ。
「どうやら、時間をかけて探索するほどの広さはないみたいだな」
「だとすれば、アレを確かめるだけで終わりってコトか」
落下した割に少ないダメージのは今も変身を維持しているからに他ならない。
鎧竜状態のアラドがその竜の顔で指示したのは水晶で出来た一つの箱が設置されていた。
「棺…だよな。普通こういう場所には宝箱が置かれてるんじゃないのか?」
「フツウじゃねェってことだろ」
鎧竜のアラドが水晶の上を歩く度に独特な足音が響く。
俺も変身姿のままその様子を見ていると、遂にMPが一割を切り、視界の左端にあるHPバーとMPバーを点滅させた。
MP残量が危険域に達したのだと気付いたことで変身状態を解く方法を考える。
何よりも先に思い浮かんだのは強化の切り替えならば別の強化をすればいいということ。それで変身が解除されるかどうかは不明だが、最も手軽で何の悪影響も生じない方法なのだからやってみても問題ないだろう。
確信はなくともそれ自体は慣れたもの。
戦闘が終わっているということもあってか、俺はリラックスした感じで呟いた。
「〈ブースト・ディフェンダー〉」
攻撃をする必要は無く、速度を速めた自然回復と自動回復でMPとHPを回復させるべきと判断したことで防御力強化を発動させた。
浮かぶ盾の意匠がある魔方陣が俺の体を通り過ぎる。
魔方陣を透過したことで俺の体は鎧のそれから元の人族のそれへと戻ることができた。
「…ふぃ。やっぱりこっちのほうが落ち着くな」
防御力強化を使用すれば自然とHPとMPは回復していく。それでもまだ変身の影響が残っているようで、回復の速度は防御力強化しているとは思えないほどにゆっくりだった。
「アラドは元の姿に戻らないのか?」
「あン?」
棺へ近寄っていくアラドの姿は鎧竜のまま。大剣が備わっている尻尾が歩く度に左右に揺れている。
「オマエはどうやって戻ればいいのか知ってンのか?」
「いや」
何一つ困ってなどいないというような声色で問いかけてくるアラドに俺は首を横に振る。
「俺は別の強化を使えば戻れたけんだけど……アラドはそもそもアーツを使えない状態なんだよな」
「らしいな」
「で、アイテムも使えないと」
「それはオマエもだろうが」
「今は違う」
振り返った鎧竜のアラドは手甲と一体化した自分の手を見てコンソールを操作し始めていた。
他人のコンソールを覗き込むことはマナー違反だと分かっていても自分とは違い元の姿に戻る方法を模索する必要がある現状だ。短く「いいか」と訊ねるとアラドは微かに首を縦に振った。
了承を得たと判断し、俺はアラドの手元のコンソールを覗き込む。
今アラドが出している画面は所持しているアイテムの一覧。よく使うアイテムを種類順でソートしているようで回復アイテムが軒並み上部に表示されていた。
しかし全ての文字は灰色で、俺の目にはそれら全てが使用不可なのだと訴えているかのように映った。
「スキルまで覗き見るつもりはないけど、多分同じ状態なんだろうな」
何の抵抗も無しにコンソールを操作しようとするアラドに暗に制止するように告げる。
俺がコンソールを覗くことができない距離まで離れた後にアラドが自分のスキル一覧、そしてアーツ一覧を確認していくのをその手の動きで察した。
「そのようだ」
何の感傷も無く呟くアラドの横で、俺はどうすればいいものかと深い溜息を吐いた。
「どうするつもりなんだ」
「別に今はこのままで構わねェよ。それよりもだ」
棺の上蓋をずらすようにしてアラドが鎧竜の手で押し込む。すると大した抵抗も無く、外された上蓋が棺の裏に落ちた。
水晶の床と水晶の上蓋がぶつかる音が響く。
「こっちの確認が先じゃねェか?」
「…そうだな」
棺の中に入っているものと言われ思いつくものはおおよそ二つ。
それ故に俺は中に収められているであろうそれが一体誰のものなのかという疑問と、不用意にそれを開けてよかったのだろうかという後悔に苛まれながらも意を決して棺の中を覗き込んだ。
水晶の棺の中身は俺の予想していたものとは大きく違っていて、一言でいうならば形状の違う二つの首輪。
一つは丸く赤い宝石が埋め込まれ、もう一つは菱形の青い宝石が埋め込まれている。
俺はとりあえず自分に近い場所にある青い宝石が埋め込まれている首輪を拾い上げ、その詳細な情報をコンソールに出現させた。
『解呪の首輪』――使用した者は一度だけ、どのような呪いでも打ち消すことのできる秘宝。使用後は自壊する。
簡潔かつ的確な説明がなされているが、それの云われのようなものは一切記されていない。
このゲームにおいて、世界観を深めるフレーバーテキストが無いアイテムというのはそう珍しい話ではないのだが、その大半はプレイヤーが作り上げたアイテムだ。
通常のプレイで手に入るモンスタードロップ産やダンジョンドロップ産のアイテムは大抵全てにおいて何らかのフレーバーテキストが備わっているものだった。
ちなみにプレイヤー産のアイテムも製作者が設定に凝り、そしてその設定が性能に見合うものであれば自由にアイテムの説明欄に記すことができるようになっている。
極端な例を挙げるならば所謂『伝説の武器』なんて物を作ろうとしても、それに見合う性能はプレイヤー産であってもダンジョン産であっても作り出すことは不可能。
どんなに高い性能を持った武器であろうとそれらは全て武器としての常識の範疇に収まるとされているからだ。
それでも無理矢理に『伝説の武器』にしようとすればそれは『伝説の武器を目指して作られた一品。性能は高いがそれにはまだ及ばない』という類のテキストが強制的に付与されてしまうということ。
これには一部の生産プレイヤーが異を唱えたみたいだが、今に至るまで改善される気配は無い。
結果として運営側を非難する声が上がったようだが、それと同時に生産職以外のプレイヤーの一部から伝説の武器を作ろうとすること自体が幼稚という風潮が流れ出したことで、余程の物好き以外は『伝説の武器』や『最強の武器』なんて物を作ろうとするとこ自体が行われなくなった。
「そっちはどういうアイテムだったんだ?」
俺が解呪の首輪を手にしたのと同じようにアラドがもう一つの首輪を拾い上げていた。
丸い赤色の宝石が埋め込まれているそれは鎧竜のアラドの手の中で水晶の光を反射して微かに輝いているように見える。
「『英竜の首輪』だとよ」
「どんな効果があるんだ?」
「さァな。俺は生産スキル何てもン持ってないからな。分からねェよ」
当たり前のように首輪の性能を確認することが出来ていたから忘れてた。
本来はダンジョン産のアイテムは未鑑定品とされ、性能を知ることができないようになっている。サービスが開始された最初期の頃はその名称すら分からないという設定だったが、それでは通常のプレイにも支障が出るとして現在では名称のみは誰でも知ることができるようになっていた。
名称以外の性能を知るにはそのアイテムに対応した生産スキル、あるいは≪鑑定≫スキルが必要。
ソロで活動しているプレイヤーの中にはダンジョン内で不必要なアイテムを知るために≪鑑定≫を取得している人がいる。
それが全員ではないのは必ずしも取得する必要があるというわけではないからだ。
「俺が見てみるから貸してみろよ」
解呪の首輪の性能を知ることができたのだ。俺ならばもう一方、英竜の首輪の性能も確認することができるだろう。
アラドから渡された英竜の首輪を注視したまま視線を向けずに声をかける。
「生産しろとまでは言わないけどさ。せめて≪鑑定≫スキルくらいは覚えたらどうなんだ?」
「必要ねェよ。第一拾ったアイテムをそのまま使うなンてことするつもりはねェからな。それに鑑定なら町に戻れば専門にしてるヤツがいるだろうが」
「まあ、アラドの言うことも一理あるか」
アラドが言うようにこのゲームのプレイスタイルは千差万別。
生産を主にするプレイヤー。戦闘を主にするプレイヤー。攻略を主にするプレイヤーもいれば、素材集めを目的としたプレイヤーもいる。
当初は隙間産業と言われてたアイテムの鑑定を主にして資金を稼いだり情報を得たりするプレイヤーだっているのだ。
全てを自分一人で賄う必要が無いのは現実でもゲームでも同じということだろう。
「っと。鑑定できたぞ」
『英竜の首輪』――装備者に竜の如き力を与える。ATK上昇15%。SPEED上昇10%。INT上昇20%。呪い付与。
「ふーん、呪いねえ。どうやらこれらは組み合わて使う類のアクセサリみたいだな。解呪のほうが一回切りだから比較的安全に使えるのは一回だけみたいだけど」
「どンな呪いだ?」
「えっと、うわぁ。一回だけなら解呪できると言ってもこれは使わない方がいいと思うぞ」
「いいから話せ」
「はあ、わかったよ。この呪いは何でも錯乱と狂暴化が常時付与されるらしい。つまり装備すれば敵も味方も解らなくなって強化された攻撃力で暴れ回るバーサーカーが出来上がりってことだな」
自分ではなく鎧竜状態のアラドが暴れ回る様を想像して身震いする。
「ああ、嫌なこと想像した」
棺の中に二つの首輪を戻し嘆息する。
「持って帰らねェのか?」
「いやいや、使った瞬間にバーサーカー化だぞ。使い道はないって」
「そうでもねェよ。適当なボスモンスターに首輪を無理矢理使えば簡単に他のプレイヤーを殺すことができる化け物の完成だ」
「いやいやいや、そんなことするわけないだろ」
突然何を言いだすのかと疑念に満ちた視線を向けると、アラドが鎧竜の顔で大袈裟に笑った。
「ジョーダンだ」
「本当に?」
「ンなことで嘘ついても意味ねェだろうがよ」
落ちている上蓋を拾い棺を閉じようとする俺の手をアラドが掴んで止める。
「…どうした?」
「こっちの解呪の首輪は使った方がいいンじゃねェか」
「何に使うんだよ」
「何って、オマエが受けてる呪いを解くンだろうが」
何故に忘れているのかと言わんばかりの視線が俺に向けられる。
思えばドラゴ・エスク・マキナから呪いを受けていても影響が無さ過ぎてすっかり忘れていた。そのことを悟られないように咳払いをして誤魔化した。
「これは二つ合わせて使う用のアイテムだろ? 勝手に片方だけ使っていいのか?」
「ダンジョンの最奥と言えば報酬部屋だ。持って帰るかどうかはプレイヤー任せなンだろうが、攻略した俺たちが使ったとしても文句言われる筋合いはねェよ」
アラドの言い分は尤ものように思えて俺は再び解呪の首輪を手に取った。
そしてそのまま自分の首に掛けるとコンソールに解呪の首輪を使用するかどうかの確認画面が表示された。
迷わずにYESを選択する。
首輪にある宝石と同じ色の光が体を包み、視界の左端にあるHPバーの下に付随している呪いを受けていることを示すアイコンが消滅した。これならば減少している二つのパラメータも無事に元に戻っていることだろう。
サラサラと砂のようになった青い宝石が完全に消失した後には不格好な首輪だけが残る。
俺はそっとそれを外すと解呪の首輪だったものは既に別の首輪に変化していた。
「ありがとな」
鎧竜のアラドに向けて礼を述べる。
それは俺に解呪の首輪を使うことを許したこと、そして何の迷いも無くそれを譲ってくれたことに対して。
「で、ずっとその姿でいるつもりか?」
「――ンなわけねェだろ」
「でも、方法が分からないんじゃなかったか」
「そンなもん知ってるヤツに聞けばいいだけだろうが」
「知ってるやつ?」
またも何故気付かないのかというような視線が俺を捉える。
「そろそろ出て来いよ」
アラドが宙を見上げ言い放つ。
程なくして現れたのは俺が捕獲した琥珀色のドラゴン、フラッフ。その姿を見てようやく思い至ることが出来た。この変身について自分たち以上に俺たちのことを知っているであろう存在が誰のことを指しているのかを。
「フラッフが知ってるのか? 俺たちの変身を解く方法」
「はい。確かに知っていますよ、アラドさまの変身もマスターの変身も解く方法でしたら」
「教えろ」
鎧竜の顔とフラッフの生物的なドラゴンの顔が見つめ合っている。
なかなかにして現実離れした光景だ。
一触即発の空気が流れるかと思った矢先、フラッフの明るい声がその空気を打ち破った。
「わかりました。ではこれを」
ふわふわの毛に覆われたドラゴンの手が差し出される。
動物のように肉球があるわけでもなく、狂暴なドラゴンのように鋭い爪が備わっているわけでもない。しかし確かに竜のそれである手の上にフラッフの毛の色と同じような色をした紐で編み込まれた小さな指輪が二つ。
宝石らしい宝石も、装飾らしい装飾もなにもない。ただ純粋に紐で編み込まれているだけのシンプルな作りのそれは子供の頃、近所の誰かが大事そうに指に付けていたものを彷彿とさせた。
「今の俺なら付けれるだろうけどさ、アイテムを使えないアラドは無理じゃないか? それに確かアクセサリも装備限界まで装備しているんじゃなかったか」
「…まあな」
「やっぱり無理なんじゃ」
「そんなことないですよ。これはアイテムじゃありませんし、アクセサリでもないですから問題ないです」
どういう意味なのだろうかと首を傾げる俺の右手の中にある指輪はフラッフが言うように詳細な性能はおろかその名称すら表示されることはない。
足元に転がっている石ころですら『どこにでもある石ころである』という説明文が表示されるのが普通なのだからこれは変だと言い切れる。
正体不明のアイテム、いやフラッフの言葉の通りならばアイテムですらないのだろう。
しかし、フラッフが自信満々に差し出してきた代物だ。その能力は確実に俺たちの変身をコントロールするための物のはず。
ならば迷うことは無い。
「あー、ちょっと待ってくださいっ!!」
慎重に魔導手甲を付けていない方の手の指にそれを通そうとする俺を慌ててフラッフが止める。
「何だ?」
「付け方が違います」
「は? 違う? しかし、左手にはこれを付けてるから指輪なんて装備できないぞ」
「ですからこれはアイテムでもアクセサリでも無いんです。使うのなら手甲の上から」
「…こうか」
右ではなく左手の中指に指輪を通すと指輪が一瞬で燃え尽きて不可思議な紋様を残し消えた。
「確かにアイテムでもアクセサリの類でもないみたいだな」
魔導手甲の中指に刺青のように刻み付けられた。鎖のようなその紋様は見方を変えればDNAの模型のようにも見える。
「確かに俺でも使えるようだ」
「だからそう言ったんです」
「で、これを本当の意味で使うにはどうすればいい?」
鎧竜のアラドの右手の親指にも俺の左中指と同じ紋様が刻まれている。
胸を張るように動くフラッフにアラドが問いかけた。
「アーツと同じです。使うことを強く意識すればいいんです」
「けど、名称は? アーツと同じなら発動には使う意思とその名称が必要なはずだ」
「それは――」
目を伏せ俺の方へと振り返ったフラッフが次の言葉を告げようとした時、アラドの体を光が包んだ。
「名前は必要ねェみてェだな」
鎧竜のそれから人族の姿へ戻ったアラドが少しだけ小さくなった手甲を嵌めた両手を動かしている。尻尾の先となっていた大剣は背中の定位置に収まっていた。
「魔人族の姿には戻らないのか?」
「今はいい」
「そうか」
変身の解除という問題は解決された。
どうやら俺もMPの枯渇や別の強化を発動させて強制的に姿を戻す必要はなくなったらしい。
「他の報酬は………残念だけど無いみたいだな」
「ならサッサとここから出ンぞ」
「どうやって?」
相も変わらず出入り口となるのは天井の大穴だけ。
いかに現実離れした身体能力を誇るキャラクターの体だとしてもこの大穴から飛んで出ることは不可能だという他ない。
「出口を探す必要があるってわけか。まったく、クリアした後くらいは楽に戻らせてほしいな」
大穴を見上げたまま、がっくりと肩を落とした。
危険が無くなり、残っていた問題の一つも解決した。だがダンジョンからの脱出という大きな問題が残ってしまっていた。
どうするべきか、というよりもどうすればいいのかと考える。俺にはそれがプレイヤー個人でどうにかなる類の問題のようには思うことが出来ず、もっと別の要因が必要となるように思えてならない。
それが何なのか。
何が切っ掛けで起こり得るのか。
自分で可能性を模索したくとも、その可能性というもの自体が分からない。
途方に暮れるように棺を背に座り込む俺の隣にアラドも腰を下ろした。
「アラドはどうなると思う?」
「さァな」
「無事にここから出れると思うか?」
「そうじゃねェと問題だろ」
「問題…だね」
同じように空となっている天井を見上げながら適当に言葉を交わす。
しかし、それも直ぐに終わる。
数回言葉を交わしただけで話題が尽きてしまったからだ。
それからどれ位時間が流れただろう。
減少していたHPもMPも発動させていた〈ブースト・ディフェンダー〉の効果によって回復速度が増した自然回復によって全快していた。
ストレージから取り出した青い宝石を失った首輪を掲げる。
使い道のなくなったこれを直ぐに廃棄しなかったのは、また別の物に作り変えようと考えていたからだ。
手持ちのインゴットはほぼ使い果たしている。新しくそろえる必要があるのならそれを使ってこの首輪を修理しても悪くはない。
修理した首輪使い道は俺が装備するアクセサリではなく、新しく仲間になったフラッフに付ける首輪か腕輪だろう。クロスケの足やリリィの腕に付けられているものと同じ、効果は無く純粋な装飾品でしかないとしても、フラッフも俺の仲間になった証だと言って渡すつもりだ。
嫌がったら外せばいい。
とりあえずは作ってから。
ダンジョンを出た後のことを考えて僅かに心を躍らせた俺の目に長く待ち続けた変化が映った。
水晶の壁の一部に他の何者よりも強い白い光が扉状に現れ、そこから微かな風が流れてきた。
「出口みたいだな。時間が経てば出現するようになってるってわけか」
「行くぞ」
やれやれと立ち上がったアラドが光の中へ歩いていく。
俺もその後を追って進むと、視界の全てが白に包まれた。
光の中を進みながらようやく俺は実感していた。
ランクを上げようと思い始めた一連のクエストが今、終了したのだと。
ようやく第十章が終わりました。
この章は更新の間隔がコロコロと変化した章だったと思います。
なんというか、平日毎日更新していた頃が懐かしいような。
今回分で十章は終わりますが、本作【ガン・ブレイズ―ARMS・ONLINE―】自体は続きます。
とりあえずは幕間の投稿。それから十一章の開始ですかね。
更新間隔は不定期のままですが、現在の週一の更新は途切れさせたくはないので、それ程お待たせすることは無いかと思います。
次回は章と章の間の話となる幕間です。