キソウチカラ ♯.26
「どうなっておるのだっ」
コロシアムにある観客席。その奥にある貴賓室とでもいうような場所に男の怒号が飛んだ。
男の名はシストバーン。
このコロシアムで開催されている獣闘祭の結果にて自身の領主の立場を賭けて争っている当人だ。
ゴリラの特徴がある獣人族であるシストバーンは普段冷静な男と名高いが、この時ばかりは目を見開き、感情を露わにしているのだった。
「落ち着いてくださいな」
「しかしだな――」
「今こちらが何を言おうとも結果は変わりません。ですからここは貴方様の懐の深さを知らしめる為にもどっしりと構えてはどうでしょう?」
シストバーンを宥めているのは中世のドレスを纏った女性。
豪華な装飾が施されているドレスを着ているからだろうか、女性の醸し出す雰囲気はシストバーンなんかよりも気高く高尚なもののよう。
だがそんな雰囲気も激昂しているシストバーンには何の影響も与えない。
むしろその落ち着きようが神経を逆撫でしているかのようだった。
「ふ、ふんっ…だがな、こっちの手駒は残り一つ、それに対してローズニクスは二つなんだぞ」
「私が居れば十分でしょう? 違うのですか」
「う、うむ。それは分かっているのだが、本当に大丈夫なのか? あのシシガミという連中をどうにかこちらに引き入れた方が……」
「それは無理というものです。あの者達は決してこちらに付くことは無いでしょう」
「何故そう言い切れる?」
「それがプレイヤーというものですから」
女性はさも当然というように告げる。
暖簾に腕押しというようにシストバーンの激昂を女性は全く気にも留めていない。そのことを知るシストバーンもまた苛立たしそうに視線を向けるだけだった。
このシストバーンの苛立ちの原因は何も自分たちの陣営が残り一組になったという事実だけではなかった。
どちらかと言えばそんなことは些細な要因に過ぎない。
シストバーンを一番苛つかせているもの。それは自分も知らない怪物が現れたからだ。知らないというのは誇張になるのだろう。シストバーンはあれが現れる可能性というものを女性から聞いていた。聞いていたが実際に目にして戸惑ったのだ。新種のモンスターというのなら珍しいことは珍しいがまだ無いわけではない。しかしあの場所に現れた怪物はシストバーンの知らない存在。
なによりも気に入らないのはそれを目の前の女性はさも全てを知っているかのように振る舞っていることだ。勿論シストバーンが問いかけたとしても答えてくれはしないだろう、そう思わせてくることも苛立ちを感じさせる要因となっていた。
「…もういい。それで、これからどうするつもりなのだ?」
「どう…とは?」
質問に質問で返した女性にシストバーンは顔を真っ赤にした。
より一層露わになる怒りの感情。だが、それが女性に届くことは無い。
なぜならば女性は常にシストバーンの事をどうでもいいと思っているのだから。
こうして会話しているように見えても、その実、女性はシストバーンに対して真摯な態度をとっているわけではない。寧ろその態度を隠すわけでもなく、知られても構わないというように振る舞っているのだった。
「何度も言うようだが、こちらの陣営は残り一組、それに対し――」
「比べるのは愚策でしょう。その一組が勝ち残ればいいだけの話なのですから」
どのみち勝ち残れるのは一組だけなのだと諭すように告げる女性にシストバーンは口を噤んでしまっていた。
このやり取りだけでどちらが上の立場なのかが解りそうなものだ。表面上はシストバーンの方が上だが実際に手綱を握っているのは女性の方ということが誰の目にも明らかだろう。
シストバーンもそこまで馬鹿ではない。この出来事に関して自分が実権を握れていないのは重々承知している。だがそれでもこの女性の持つ戦力を自分の側とした時に決めたのだ。例えその狙いがどこにあろとも利用してみせる、と。
「そろそろ三試合目の組み合わせが決まる頃でしょうか」
「うむ。そうだな」
「では、私は確認に向かうとしましょう」
そう言って女性はシストバーンのいる貴賓室から出て行った。
残されたシストバーンは忌々し気にその出て行った扉を眺めるだけで何も言わない。言う相手がいないのだから当然といえば当然なのだが。
「こちらに御出ででしたか」
「ホワイトホールか」
「あの者が何か言ってきたのですか?」
扉の向こうで女性を待っていたホワイトホールが言葉に怒気を込めて訊ねている。
「気にしなくてもいいわ。どうせ何も出来ないのだから」
「そうですか」
「次の試合の組み合わせが決まったのよね」
「はい。私たちの相手はローズニクス陣営の――」
「どっちなのかしら」
「ムラマサというプレイヤーのいるパーティです」
「…そう」
微かに、そう、本当に微かに女性は微笑っていた。
冷たすぎる笑顔のようにも見え、同時にとても綺麗な笑顔だった。
※
次の試合の組み合わせを確認した時、俺の全身に戦慄が走った。
相手はあのフリックとホワイトホールがいるパーティだ。それと同時にシストバーンの陣営で唯一勝ち残っているパーティでもある。
「普通の試合って訳にはいかないんだろうな」
予感でもあり確信でもある。
試合がどのように進むのか、細かなことまでは分からない。だが、相手の実力を鑑みるにこれまでのどの試合よりも苛烈なものになるだろう。
「気になるのは残る二人のプレイヤーだね」
「そうですね。昨日の試合の映像には映っていましたけど」
「……今日の試合では戦っていなかった」
そうなのだ。俺が見た昨日の動画にはフリックとホワイトホール以外のプレイヤーで今日、最初の試合で見たプレイヤーが戦っている姿は映っていなかった。
四人参加が条件となる獣闘祭でどうして違うプレイヤーが同じパーティに参加しているのだろうか。そう疑問に感じつつ記憶を探ってみる。
同じパーティに属するプレイヤーのはずが、日付を跨ぎ全く別人とすら思わせるキャラクターがそこに居た。そしてさらに気になったのが昨日の動画に映っていたフリックとホワイトホール以外のプレイヤーは武器を取る気配すら無かったのだ。
戦う気が無い。そのように見てとれた動画の中でも実際にフリックとホワイトホールの二人だけで勝ち進んでしまっているのだから侮れない。
そして今日の試合では別人のようなプレイヤーが凶悪そうな武器を使って対峙しているプレイヤーを葬っていた。
どっちのパーティ構成があのパーティの真の姿なのか未だに解らないままだが、俺たちとの戦いで判明するだろうという予感はする。
どちらが出て来てもいいように気を引き締めていると、
「ここにいたのか」
静かに闘志を燃やしている俺にシシガミが声を掛けてきた。
「どうしたんだ? 俺たちに何か用か?」
「これを返しに来たのだ」
シシガミが取り出したのは俺が渡していたタリスマン。シストバーン陣営のブローチのように何か仕掛けが施されていないか調べることを頼んでいたものだ。
タリスマンを受け取りながら俺は訊ねる。
「それで、どうだった?」
「結論から言おう。これには何の細工もされていなかった」
「そうか」
ほっと一安心し胸を撫で下ろした俺を見てシシガミは言葉を続けた。
「だが、こちらには仕掛けが在ったぞ」
壊れたブローチを取り出して見せてくるシシガミは神妙な顔つきに変わった。といっても顔は猪のそれのまま、表情は読めないのだが。
「基本的には装備しているプレイヤーのATKを上昇させるもののようだが、その真の効果は別だ」
「それがあの合成獣化だというんですか?」
「確率はかなり低く、その条件も厳しいようだがな」
「……それでも合成獣化する可能性はあるってことだよね」
「間違いないな」
きっぱりと肯定するシシガミにムラマサ黙って考え込んでいる。
「その条件がなんなのか確認できたのかい?」
「まだだ。流石に検証するには時間が足りなかったようだ」
「ふむ。それでもこのブローチが原因なのは間違いないんだね」
「そうだ。それに関しても間違いない」
「では聞こう。オレたちはこれを解析して意味があると思うかい?」
「意味か。ない…かもな」
またもきっぱりと言い切ったシシガミにヒカルとセッカは驚いているようだが、ムラマサはどこか納得した顔で頷いている。
それは俺も同様だ。
意味があるのかないのかの二択ならば、恐らく意味は無いのだろう。俺たちはそのブローチを持っていないのだから。そして持っている人とは戦うことになるのだから。
「だったらどうして調べたりしたんですか?」
「どうして、だと? それはそこの男に頼まれたからだ」
とシシガミが俺を指さした。
「まあ、俺からしたらついでだったんだけどさ」
そう、ついでだった。何より知りたかったのは自分たちの持たされたタリスマンの安全性。それと同時に何か解ればいいと思って頼んだに過ぎないのだ。
タリスマンの安全性が確認されたのならば上々。ブローチに関していえば何もかもがついでの域を出ないのが現状だった。
「とにかく助かったよ、シシガミ。何かお礼がしたいんだけど、欲しい物はあるか? 俺が渡せるものなら渡すけど」
「それには及ばん。俺のギルド内で賄えているからな」
「だろうな」
「だが、そうだな。次の試合、お前たちが勝ち残れ」
「それでいいのか?」
「これが一番難しいのではないのか」
「かもな」
ふっと笑い、肩を窄める。
シシガミの言うようにそれが目標だとしても、一番困難なことであるのは間違いないのだ。
勝算など無い。言ってしまえば簡単なことでもそれでは駄目なのだと俺は知っている。だからこそ何かを見つけ出さなければならないのだが、その何かが何なのか見当もつかないのだから困りものだ。
「時間があれば何か掴めそうなのか?」
「どういう意味だ?」
余程自信の無い顔をしていたのだろうか。シシガミが突然問いかけてきた。
「次の俺の試合、出来得る限り時間をかけて戦おう。その間に何か掴むがよい」
何気なく、それが簡単なことだというようにあっさり言ってのけるシシガミに俺は驚いて顔を見つめ返していた。
「僅かな時間だぞ」
「そう、だな。解ってる」
「レベルを上げたりする時間はないぞ」
「解ってる」
「装備を作り直す時間もな」
「解っている」
「だったら何をするんだい?」
「スキルでも見直すんですか?」
「……新しいアーツ…覚える?」
皆の視線が俺に集まる。
「皆それぞれに出来ることをしよう」
なんとも曖昧な返答だと思う。
けど、俺たちはプレイヤー。ギルドを作りパーティを組んだとしても、所詮は個人だ。誰かの指示で動くなんてことに向いているわけがないのだ。
それに、こういってしまうと元も子もないが、俺は自分の仲間が誰かの指示が無ければ何もできないなんて風には思わない。
「では俺は行く」
「本当に助かったよ。シシガミ」
「うむ。勝てよ」
「そっちこそ」
俺とシシガミは笑みを交わし別れた。
本来ならこの後すぐに始まるシシガミの試合を見たいと思うのだが、今はシシガミの言う通り自分たちの強化に努めた方がいいだろう。
「とりあえずはこっちの拠点に戻った方がいいかな」
「ですね」
コロシアムから離れ、俺たちは町の転送ポータルを使い自分たちのログハウスへと向かった。
獣闘祭に向かうことになりこのログハウスにあるアイテムは全てパーティで分配して持ち出していた。残っているのは備え付となっている設備が残っているだけだ。
鍛冶を行う炉然り、リビングにある休憩するためのソファ然り、各個人用の部屋にあるベッド等の家具然り。
ログハウスに戻ってきた俺たちはそれぞれに自分のレベルアップに繋がることを模索した。
各々別れて、思い思いに地力を伸ばすべく行動を開始する。
時間は無いために無駄な行動はするべきではないはずだ。
(ここから見えるのはムラマサ、とヒカルか)
ログハウスで自室となっている工房から覗く窓の外ではムラマサとヒカルが組み手を行っていた。
ムラマサは刀をなぞりアーツを発動させている。色的に最初に発動させたのが風の力を宿した≪風刀≫ではなく炎の力を宿したアーツ≪炎刀≫。その次に氷の力を宿した≪氷刀≫だ。
これまでの戦いのように一つの属性のアーツを切り札的に使うのではなく様々な属性を切り替えて戦うことにしたらしい。
それが刀を新調したムラマサが目指す理想的な戦い方だと話していたことを思い出す。
今まではそれを必要する場面というものに遭遇していなかったことと、その戦法が完成しきっていなかったこともあり使ってはいなかったのだが、次は使うことになる。というよりも使わざる得なくなると思ったらしい。
その為に戦法を完成させなければならないと判断したということだ。
ヒカルは自分の使う状態異常を付与する攻撃がプレイヤーにはあまり効果が無いと割り切って当初の≪短剣≫スキルにあった純粋に攻撃力を上昇させるアーツの精度を伸ばす決断に至ったらしい。
対人戦という枠では確実な方法だとも言える。
「ん? これはセッカか」
俺だけでなくムラマサとヒカルの体にも淡い光が宿っている。
視界の左上にあるHPバーは俺は満タンのままだが、ヒカルとムラマサは組み手を行っていたために僅かにHPを減らしていた。それが光を纏った瞬間から徐々に回復しているのだった。
パーティ内での攻撃役は俺、ムラマサ、ヒカルの三人もいれば十分と判断したようだ。だからこそセッカは回復スキルの熟練度を上げるのと同時にその回復量を確認するという目的もあるのだろう。
それ以外にも目的はあるのかもしれないが、一人部屋に籠っているセッカの本心を知る術はない。
「どっちにしても皆しっかり自己研鑽してるんだよな」
頼もしく、心強い仲間を目の当たりにして俺は自分がどうすべきなのか考える。
レベルを上げることはこの短時間では確実に不可能。
装備の見直しをしようにも現時点の武器は俺が持つ素材で作れる最高水準の武器。防具は俺の腕ではこれ以上強化することは出来ない。やはり専門にしているプレイヤーには劣るのが現状か。
「となればスキルしかないんだけど」
俺はコンソールを開き自分のステータス画面を表示させた。
ユウ レベル67 所属ギルド『黒い梟』
HP 3670/3670
MP 3360/3360
ATK 630
DEF 590
INT 570
MIND 510
SPEED 620
LUK 440
AGI 490
DEX 600
装備 剣銃――装弾数・2
特性 MP銃・鬼払い
頭――なし
首――なし
外着――ディーブルーシリーズver1.5
内着――ディーブルーシリーズver1.5
手――なし
腰――ディーブルーシリーズver1.5
下半身――ディーブルーシリーズver1.5
足――ディーブルーシリーズver1.5
アクセサリ 総重量7/10
『証の小刀』重量2
『黒翼の指輪』重量1
『妖精の指輪』重量1
『呪陀の腕輪』重量1
『輝石の腕輪』重量2
――輝石効果1・火属性
――輝石効果2・未設定
――輝石効果3・未設定
――輝石効果4・未設定
『ローズニクスのタリスマン』重量0
所持スキル スキルポイント・6
≪剣銃術≫レベル・3
アーツ――≪リロード≫
――≪インパクト・スラッシュ≫
――≪アクセル・スラッシュ≫
――≪インパクト・ショット≫
――≪アクセル・ショット≫
≪体力強化≫レベル・5
≪魔力強化≫レベル・5
≪攻撃強化≫レベル・3
≪防御強化≫レベル・3
≪魔法攻撃強化≫レベル・2
≪魔法防御強化≫レベル・3
≪速度強化≫レベル・4
≪強化術式≫レベル・1
アーツ――≪ブースト・アタッカー≫
――≪ブースト・ブラスター≫
≪鍛冶≫レベル・8
≪細工≫レベル・5
≪調薬≫レベル・5
≪調理≫レベル・2
≪魔物使い≫レベル・1 契約モンスター≪ダーク・オウル≫ 名称『クロスケ』
アーツ――≪召喚≫
――≪解放≫
これが今の俺。
スキル構成でいうと基礎パラメータ上昇スキルと生産スキルがだいたい半数ずつ。クロスケに関するスキルと武器専用のスキル、それと≪強化術式≫の三つが例外。
戦闘に特化したスキルを数えると僅かに二つ。その中には専用スキルがあるから純粋な戦闘用スキルはたった一つということになるのか。
「これは…多分、少ないんだろうな」
というよりはむしろこれで良く戦えてきたと言うべきだろう。
俺の武器が剣銃という当初不遇と言われてた武器だったとしてもそれから随分と時は流れた。今ではどの武器種でも優遇不遇は無いようになっているのだというのが常識だった。
勿論完璧に使いこなせるようになるまでに掛かる時間にはバラツキがあるらしいのだが。
「と言っても、残スキルポイントもそんなにあるわけじゃないからな。習得してもスキルレベルが上げられなければ使い難いままの可能性もあるんだよな」
当然、スキルレベルを上げる必要が感じられないスキルもある。≪魔物使い≫なんかはその典型だろう。一応スキルレベルが上がればクロスケに対して出来ることや、クロスケ自身が出来ることが増えたりするのだろうけど、獣闘祭では使えないし、何より俺がクロスケを使う場合は大概移動なのでこのままでも問題はないのだ。
「それに、覚えられそうな戦闘系のスキルも大概なんだよなぁ」
コンソールにある習得可能スキル一覧を見るとどれもこれもパッとしない。
まだまともだと感じるのは≪加速≫と≪火属性≫≪地属性≫の三つ。
属性スキルはそのまま耐性と攻撃手段が手に入るのだが、正直輝石に付与した効果があれば十分なような気がする。そして≪加速≫だが、これも≪強化術式≫にある二つの≪ブースト≫にあるSPEED強化があれば事足りる。
「やっぱりいらないんだよな」
習得可能スキル一覧を確認した結果行き着いた結論だ。
「となると今あるスキルのレベルを上げるくらいなんだけど…」
それでは何か状況を打破するきっかけにはなり得ない。
やはり何か欲しい。
問題はやっぱりその何かが解らないことだろう。
それでもと、何かを求めてスキルのレベルを上げることにする。
上げるならば≪剣銃術≫か。スキルポイントを一つ使ってレベルを一つ上げても基礎的なパラメータ上昇効果以外何も変わらなかったのでさらに1ポイント使ってもう一つレベルを上げることにする。するとようやくスキルに変化が訪れた。
スキル名≪剣銃術≫は変わらず、攻撃アーツも同じまま。変化したのは銃弾装填能力があるアーツ≪リロード≫が≪オート・リロード≫になったこと。
効果を調べるために工房にある的になるのもを探したが何もなかった。ストレージにある木材を複数取り出して縦に並べて適当な的を作った。これで部屋を傷つけずに試射できるはずだ。俺が的を外さなければだが。
狙いを付けて引き金を引く。
撃ち出された銃弾は真っすぐ木材に当たると数枚を貫通させて止まり、壁を傷つけることは無かった。
「これが≪オート・リロード≫の効果か。なんというか…そのまんま、だな」
撃ち出して減ったはずの残弾数は2のまま。それに反して俺のMPはほんの僅か減少している。つまり≪オート・リロード≫はその名の通り、銃弾を撃ち出すたびに俺のMPを自動消費して銃弾が補充されるアーツだということだ。
リロードの隙が無くなる、というのは確かにいいことだが、これだけではまだ足りない。
そう感じた俺は時間に許される限り自分に出来ることを模索し続けるのだった。