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キソウチカラ ♯.25

 俺の撃ち出した弾丸がダリエルのHPを着実に削っていくなか、メイスによる攻撃を受けていたエアレイがその両頭剣に黄色い光を纏わせた。

 それがアーツの光であることに気付いたのと同じ瞬間、地面に突き刺さった両頭剣の刀身を中心にして突然、円形に地面が隆起したのだ。

 グラグラと揺れる戦闘場は俺たちの戦いを中断させることに成功していた。


「セッカ、一度集まるぞ」


 ここでまた戦いの流れが変わると直感した俺は即座にセッカの呼びつけていた。

 それと同じようにムラマサがヒカルと一緒に俺たちのいる場所に駆け寄ってきた。


「すまない。倒しきれなかった」

「気にするな。それは俺たちも同じだ。全員が無事だったのだから十分だと思うべきなんだろうさ」

「それで、これからは四人一緒に戦うんですよね」

「……多分、向こうもそのつもり、だと思う」

「そうだね。彼らならそうするはずさ」


 終結した俺たちと同じように四人が集まったエアレイたち。

 戦いが停まっていたのは呼吸を整えられるだけの僅かな時間。

 何度目かになる戦闘の再開は、遂に終幕へと向かうのだった。


「来るぞ! 各自戦う相手をしっかりと見極めるんだ」


 ムラマサの指示が飛ぶ。

 最初の戦いで俺たちが劣勢に追い込まれたのはこれが原因だ。自分の武器や戦い方と相手の武器や戦い方というものに相性があることを骨の髄まで解らされた。

 だから同じ轍は踏まないように、俺たちは自分が戦うべき相手を見定める。


「一人では行くなよ。向こうも有利な相手を狙うはずだからな」


 ムラマサに続いて俺も叫ぶ。

 有利な相手がいると判ればそれと戦おうとするのは自然なこと。それが俺たちにすれば面倒なことだとしても、最初にそれがばれてしまった自分たちを責めるべきだろう。

 そしてそれに対応する戦い方は二度目の戦いで俺たちは知っている。

 仲間の不利な部分を補うように手を組めばいいだけだ。


「一緒に戦う人を変えようよ。私はユウと…」

「……なら、私はムラマサ、とだね」


 二手に分かれて、といっても広さの限られた戦闘場の上、仲間の場所は手に取るようにわかる。

 それが解るようになったのもこの戦いで得た数字では表せない経験がこの身に馴染んできたからだろうか。

 俺とヒカルにはエアレイとヘレンが、ムラマサとセッカにはタランダとダリエルが。

 二人組になっても戦う相手を変えられれば、自身の有利などすぐに消えてしまうと知ったエアレイとヘレンは別々になることなく俺たちに攻撃を仕掛けてきた。

 俺が撃ち出す弾丸はエアレイの魔法によって相殺され、小回りの利く攻撃を得意としているヒカルもまたヘレンの二刀の短刀によってその優位性を損なわれているのだった。


「このままじゃ、最初の頃の二の舞ですね」

「そうだな。だが、最初とは違うこともあるぞ」

「なんです?」

「俺たちもこの戦いで成長しているってことさ」


 そう言って俺はヒカルとヘレンの間に割って入った。

 剣形態となった剣銃はヒカルの短剣に比べ重さも威力もある。横一線の一撃で二刀の短刀を軽くはじき返すと、今度はヒカルが俺とヘレンの間にするりと現れ短剣を数回連続して振ったのだ。


「避けれない」


 体にいくつかの切り傷を刻み、HPを大きく減らすヘレンは顔を顰め、堪らないというように後ろに大きく飛び退いた。

 追撃しようとヒカルの前に出ようとする俺に五つの火球が降り注いだ。


「ヘレンこっちだッ!」

「エアレイ、ありがと」


 熱と黒煙が俺の追撃を阻み、同時にヘレンの安全を確保して見せたのだ。


「まだ俺たちの方が有利なんだ。このまま押し切るぞ」

「はいっ」


 多少ダメージを受けようとここで体制を整えられるよりはいいと俺は黒煙のなかを突っ切った。


「くッ、正面から来るかッ!」

「来るさっ」


 俺の行動はまったくの予想外という訳ではなかったのだろう。ヘレンを庇うように前に出たエアレイは咄嗟に両頭剣の片側の刃で俺の剣銃の刃を受け止めていた。


「ここまで近づけば有利も不利もないさ。そうだろ?」

「……くッ」

「エアレイから離れて!」

「させません!」


 刃を撃ちわせる俺にヘレンがその短刀で襲い掛かってくるもそれはヒカルによって防がれてしまっていた。

 一本の短剣で戦うヒカルと二刀の短刀で戦うヘレンでは俺とエアレイのようにとはいかない。寧ろ距離がある方が有利不利がないのだ。通常ならばこの事実は覆しにくいのだろうが、ダメージを受け、且つエアレイを助けようと飛び出してきた格好のヘレンではヒカルの短剣を防ぐことができなかった。

 それに短剣が仄かな光を帯びていることにも一瞬気を取られてしまったのだろう。

 俺からすれば効果が出るかどうかわからないアーツの発動でも、相手からすれば危険な代物であることは変わらない。


「そんな……」


 ヒカルの一撃はヘレンに残されたHPを完全に奪い取っていた。

 この試合が始まって最初となる脱落者が現れた瞬間だった。





 ムラマサがセッカと共にタランダとダリエルと戦い始めてから数分。事態はこれまでにない速さで動きだしていた。

 タランダが使う曲刀の刃がセッカの振るうメイスと打ち合う度に刃毀れを起こし始めていたのだ。

 しかし、タランダは余裕を崩さない。


「これは…少々予想外だね」

「……負けない」


 苦笑しつつも連続して攻撃を仕掛けてくるセッカに対応していくのだった。


「タランダ! くそっ、邪魔だっ」

「オレが行かせると思うかい?」

「思ってなんかいないさ。だから無理にでも押し通る」


 武器を破壊されつつあるタランダを助けに行こうとするダリエルをムラマサは刀による攻撃と巧みな位置取りで防いでいく。

 ユウとヒカルのタッグとは違い、ムラマサとセッカは最初から自分たちが不利になる相手と戦うことは無いように気を付けて動いていた。

 具体的な方法で言えば、ムラマサのアーツ≪風刀・伸≫による攻撃での分断。

 まがりなりにも一度その効果と威力を目にしていたタランダは思わず足を止めてしまい、反対に知らないダリエルは構わず前進してきた。そのたった一度のズレがこうして終始自分たちの戦いに影響を及ぼすことになろうとは、とタランダは誰にも聞こえないように呟いていた。

 更なる誤算がセッカの振るうメイスを曲刀で受けるたびに刃毀れが現れていることだ。

 打撃武器はモンスターの爪や牙などの部位破壊に適しているということは知っていたが、こうしてプレイヤーに武器に対しても同様の効果があるとは思わなかった。

 実際にはその効果が発揮されているとしてもモンスター相手に比べれば数分の一程度にシステム側が抑えているのだが、この時のタランダは曲刀の刃を立てて受け止めてしまっていた。ユウによって強化されたセッカのメイスは正面から見れば普通の物でも上から見れば十字型で、その角は敢えて鋭さを抑え打撃武器としての威力を引き出している事と相まって武器を叩き割る効果をより引き上げていた。


「オレたちの方が有利になったな」


 それはユウとヒカルがヘレンを倒したのを見ての一言。

 優位に立った者の言葉以外の何物でもなかった。


「だが、まだ決着がついたわけじゃない」


 ダリエルがそう言いながらもこの展開が自分たちにとって好ましくないもの、というよりも絶望的なものになったことを理解していた。

 これまでの戦いから自分たちとユウ達との戦力に明確な差は無い。

 あるとすればそれぞれの武器と戦い方の相性。その一点を突いて戦うことで最初こそダリエルたちが優位に事を進めていた。

 だが、今はどうだ。

 自分たちは分断され、ムラマサたちはその実力を如何なく発揮させてしまっているではないか。

 どうしてこうなった?

 作戦は上手くいっていたはずだ。

 疑問がダリエルの頭を埋め尽くし、その動きを鈍らせるのだった。





 ヘレンがこの戦闘場から去ったことで俺たちが完全に有利に立った、と言っていいのだろうか。

 こういってしまうと何なのだが、俺個人の意見としたらまだこの戦闘の行方は未定。一人欠けたとしてもその個人の厄介さは変わっていない、そう思うのだが。


「何か一気にやる気が削がれてませんか」

「ヒカルにもそう見える、よな。やっぱり」


 確かに、俺とヒカルのタッグと戦っていたエアレイにとってはこの状況は不利そのものだろう。俺がエアレイの立場になったとしたら同じことを思うのは間違いない。

 それと同時にまだ戦っている仲間がいるということも間違いないのだ。

 だからこそ、仲間が相手を倒し増援に来るのを信じ持ち堪える。

 俺ならばそうするだろう。

 それ故にヘレンが居なくなったその一瞬だけでも諦めた表情を見せたことに対して驚きと戸惑いを感じたのだ。


「どうした? もう諦めたのか?」


 俺と勇猛果敢に戦った相手だからこそ、俺はどうしても問い掛けずにはいられなかった。


「均衡は崩れたんです。つまり、この戦闘の行方を決めるのは今や俺じゃないってことですよ」

「だからってここで辞めるつもりなのか?」

「俺が戦う意味はないでしょう」


 両頭剣を下ろし、全身から力を抜くエアレイは完全に戦う意思を失くしているようだった。


「っていうか、口調変わってないか?」

「これが素ですよ。さっきは、その…戦闘中だったから」

「ああ、そう」


 自分で言っておきながらしゃべり方はこの際どうでもいい。

 完全に戦う気の失せたエアレイは俺が止める間もなく戦闘態勢を解いていた。


「どうするんですか?」

「ムラマサたちを手伝いに行ってもいいんだけどさ、正直俺たちの手伝いがいると思うか?」

「要らないんじゃないですか」

「だよなぁ」


 俺とヒカルのエアレイとヘレンとの戦いは終わった。

 未だ一人残ったエアレイが単独に俺たちと戦うことを望んでいる観客からしたら消化不十分だろうが、これが結果だ。諦めたものが負ける。至極当然の事であり、仕方の無いことだ。


(多分、ムラマサたちが負けた場合は再開されるんだろうけどな)


 言ってしまえば勝ち残った者同士の戦い。それが始まるのを予感しつつも、現実にはそれは起こり得ないのだと考えていた。

 俺とヒカルに比べ自身を有利に戦闘を進めている二人が負けることはないだろう。

 それが分かったからこそ、解ってしまったからこそエアレイも諦めたのかもしれない。


「作戦では俺らが勝っていたはずなんですけどね」


 ムラマサたちの戦いを同じ舞台の上から観戦している俺とヒカルから少し離れた場所で地面に座るエアレイが呟いていた。


「実際、最初の頃は完全に俺らが優位だったじゃないですか」


 そう。それは間違いない。少なくとも俺たちがタッグを組むまでは確実に敗北の一途を辿っていたはずだ。


「勿論、あなたらペアを組むことも考慮していたんです。なのに…」


 なのに負けた。エアレイはそれが信じられないのだと暗に言っているらしい。

 そしてその解答を敵であった俺に訊ねている、と。

 教えて、とまでは言わないのはまだ小さなプライドが残っているからか。それとも完全に戦闘が終わっていない為に答えてはくれないと思っているからなのか。


「はぁ。だったら俺たちが盛り返した場合の対処方も当然考えてあったんだよな?」


 ため息を吐いてから、俺は自分に有利な情報収集も兼ねてエアレイの問いに答えた。

 まあ、完全に答えているわけじゃないんだけど。


「そんなこと当たり前じゃないですか。例えば有利な相手と戦えなかった場合はそれこそあなたらと同じようにペアを組んで戦う予定だったんです。今回はそれがあなたたちの方が早かっただけで」

「それじゃ、俺たちの方がペアを組むのが早い場合の対処方は?」

「え?」

「え? じゃねーよ。当然あるんだろ? そういう場合に対する作戦ってやつも」

「も、勿論ですよ。当たり前じゃないですか。それはですね、えーと、その…」


 考えてなかったな。

 こう言ってしまうとなんだが、エアレイが口に出す作戦とやらには自分が有利な状況にあるという前提が常に付いて回る。

 自分が有利になるようにと作られた作戦というのはまだいい。寧ろ作戦というもの本質を鑑みるに当然だともいえる。

 だから問題はその後、代替案の方だ。

 本来なら自分が不利になった時に備え、且つなった場合の対処を作戦の中に組み込んで置く。それが正しい作戦であり、自分が有利な場合にのみ機能するそれは不完全だともいえる。

 というか本来なら不利にならない状況を作るのが作戦の存在意義だろうが。

 エアレイの口に出すそれはどんなに不利と思える場合でも自分たちに逆転の目が、それも確実に逆転勝ちができる可能性が少なくない程度に残されている不利の中での話だ。

 それでは意味は無い。

 ホントウのイミでの不利というのは自分の勝ち目が無くなった時を指すのだから。


(って言ってもそれは俺がそう考えているだけ、なんだけどさ)


 物事の捉え方など人によって如何様にも変わる。

 不利という言葉一つとった所でそれが正しく何を指しているのかは本人にしかわからないことなのだ。

 そうなのだとしても俺とエアレイの間には考え方の違いが確実にある。それはもう、摺り合わせをしてどうにかなるなんてことはない程に。

 だからだろうか。

 俺はエアレイとケリをつけようという考えには至らなかった。

 エアレイが戦闘態勢を解いていることも大きく関係するのだろうけど、それ以上に俺はエアレイという人に対する興味を失っていたのだった。

 こうなればもう、その言葉通りにムラマサたちの戦いの行方を見守る以外ない。

 もし、ムラマサたちが負け、残っているもので決着をつけるということになるのだろう。しかしそれはそれ。なった時にどうにかすればいい。

 作戦も何もない。俺がそう感じ考えているのだから。



 ※



「向こうは決着がついたようだね」


 両頭剣を鞘へと収め戦う意思を失くしたエアレイとそれよりも先に消えて行ったヘレン。

 それがユウとヒカルが行っていた戦闘の一先ずの終着点であり、また自分たちの戦闘が終わると同時に始まる始発点だった。


「……こっちも終わらせる」


 セッカはそのメイスを強く握りしめ、薄い光を纏わせていた。

 今でこそ後衛に回り回復役をこなすセッカだが元々はそのメイス片手に一人果敢に冒険に出て戦ってきた経験を持つ。

 使う機会こそ減ってきた戦闘系のアーツも確実にその身のなかに息づいているのだった。


「……行くよ」


 メイスが宿す光の色は白。

 それは回復魔法を多く習得したことでただの威力強化だったアーツが変化したものだった。

 その名を≪聖殴打≫

 回復魔法と同系統である光属性であることを示し同時に打撃系武器≪片手鎚≫に属していることを表している名だ。


「これはッ! 受けちゃ駄目かッ」


 曲刀で防御することに早々に見切りをつけタランダはセッカの振り回すメイスを必死に回避していた。

 この時、セッカの使う武器が両手鎚――ハンマーであるならばまだ違ったのだろう。両手で扱う武器はどうしても大振りな攻撃になりやすく、その間には明確な隙というものが生じてしまうからだ。その分威力も高いのだから要は使い方で、熟練したプレイヤーになればなるほどその隙すらコントロールしていると感じる戦い方をしてくるのだ。

 そういう意味ではセッカはまだメイスの扱いに関しては熟練してるとまではいかず、まだまだ隙が残っているともいえた。

 だが、今は武器の相性が反転してしまっていることもあってか、タランダにとってセッカの振るうメイスは熟練したプレイヤーの振るう武器並みに脅威となっているのだ。


「こちらも始めるぞ」


 ムラマサがダリエルに向かって告げる。

 この戦いの結果は火を見るよりも明らか。それはダリエルも理解していた。しかし同時にこの戦いを棄てるという判断は違うと感じていた。

 この一点に関してだけはダリエルは早々に諦めたエアレイとは違う考えを持っているのだ。

 負けるにしても戦い抜いてから。

 勝てないのだとしてもそれもまた一つの経験となるのだろうと。


「はっ」


 ダリエルの振るう長刀はムラマサには届かない。

 タランダが使う曲刀よりも長いこの武器を持つダリエルが何故ムラマサと戦うプレイヤーとならなかったのか。それは単純に技能の差があると予選と第一試合の動画を見て判断したからだ。ちなみにその判断を下したのはダリエル本人。

 勝つためにそう選択したはずだった。

 しかし現実にはムラマサと対峙しているのは自分。

 勝てない、そういち早く諦めたのはダリエル自身であったことをこの時初めて気づいた。

 勝てないと思ったから、勝てそうな仲間にその相手を任せた。そう捉えればまだマシだが、真実は違う。

 一度気付いてしまえば、目を逸らしていた事実が次々と押し寄せてくる。

 仲間なら、タランダなら勝てるかもしれないと思ったのも事実。だが同時に勝てないかもしれないとも思ったのだ。理由は分からない、解らなかった。けど、今は気付いた。

 自分が勝てないと思った相手から逃げたのだ。無意識に。


「これでも、駄目なのかっ」


 連続して振るわれる長刀もムラマサは平然とした顔で打ち払い、その合間にダリエルのHPを確実に減らしていった。

 自分が逃げていたと気付いたところで即座に何かが変わるなんてことはありえない。気持ち一つで何かが変わるほど現実は甘くないのだ。

 その証拠に今にも自分のHPは潰えてしまいそうではないか。

 だが、不思議と気分はいい。

 理由は分かっている。全力で戦ったからだ。勝ち負けを超えた先にあるものを知ったからだ。

 そしてそれが自分の成長に繋がったと感じるのだから尚更。

 惜しむべくは自分の成長に繋がる時間がもうすぐ終わってしまうことだろう。

 試合時間でもなく、自分の残HPという砂時計が刻一刻とおわりに向かっているのだ。


「タランダが先に倒されるとはな」


 離れた場所でセッカの振るうメイスによってそのHPを全損させたタランダを見てダリエルは感慨深そうに呟いていた。

 自分より戦闘が上手いと思っていたタランダがムラマサよりも弱いと思っていたセッカに負けたという事実。


「結局…まだまだ研鑽が足りないということかっ」


 悔しさが込められた言葉も、顔がそう言ってなければ意味がない。

 そしてその時はやってくる。

 ムラマサの刀がダリエルのHPを全て削り取ったのだ。

 決着の仕方は到って静かだった。

 それまでと同じ、武器同士が打ち合う中で攻撃を加えていただけ。

 決して大きくはないダメージが積み重ねられ、いつしか勝負は決していた。





 離れた場所で戦いの行方を見ていた俺の近くにいるエアレイはそっと目を閉じていた。


「俺らの負けだ」


 エアレイの一言でこの試合は終わる。

 俺たちの勝利という結果を残して。



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