♯.1 『ゲーム・スタート』
『自分だけの武器を手に、自分だけの冒険へ』
俺がこのフレーズを目にしたのはこれで何度目になるだろう。
漫画雑誌の広告。テレビのCM。電車内のディスプレイに至るまでありとあらゆる媒体で宣伝を繰り返しているそれは最新鋭のVRゲーム。
【ARMS・ONLINE】
数年前に発表されたフルダイブ技術を使ったゲームだ。
フルダイブ技術とは五感の全て、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚をほぼ100パーセント、仮想空間に再現することができる技術。
開発当初はかなり大型の機械を必要としたらしいが、技術が進歩するにつれて小型軽量化を果たし、今ではHMDと呼ばれる小型のヘルメットのようなものが一般的になっていた。
今年の初頭。
希望者を募って行われた三ヶ月間にも及ぶベータテストは一月前に終了し、ようやく今日、製品版の発売と製品版サーバの稼働の日を迎えていた。
HMDは有線でネット回線と繋いである。このご時世でどうして有線なのかと思うかもしれないが、不意かつ突発的な回線落ちに備えるという目的からフルダイブ技術を用いた製品は全て有線でのネット接続が推奨されているというわけだ。
昨日の夜にアカウントの取得も終わらせているし、三十分も前に食事もトイレも済ませた。
だから俺は自分のベッドに横たわりながらその瞬間が訪れるのを今か今かと待っているのだ。
壁に掛けられた時計がカチカチと規則的なリズムを刻むなか、じっと目を閉じてその瞬間を心待ちにしていると程なくして念願の瞬間が訪れた。
ワクワクしっぱなしの心を抑えることなど出来るはずもなく、俺は少しだけ上擦った声で呟く。
「ゲーム・スタート」
小さく呟かれた声に反応してHMDが自動的に俺の意識をかの世界へと誘っていく。
HMDは睡眠誘導で俺の意識をゲームの中へと移すのだとマニュアルには書かれていた。そして実際に瞬く間に重くなる瞼に抵抗することも無く俺は自分の意識を現実の身体から手放した。
一瞬の静寂の後、真っ暗な空間に俺の意識は現れた。
どうして意識だけなのかといえば、自分は確かにここにあるのに俺という存在はこの場所にはまだいないと感じてしまっているからだ。
だからなのだろう。
自覚できた今の俺は自分の身体を持たずに漂う幽霊のような存在のようだった。
『初めまして。あなたの容姿を設定してください』
突如として聞こえてきた機械音声アナウンスに続いてホログラムで形成されたコンソールが出現した。
このコンソールを操作するためなのか、それとも予め用意されているものなのか、この瞬間に俺の身体は顔が無く服も着ていないマネキンのようなものへと変貌していた。ちなみにこの時の俺の体が男性なのはアカウント登録の際に入力した自身の性別が反映させられているからだ。
キャラクタークリエイトに置いて最初に決めるのは顔。
顔を構成するパーツは目や鼻、耳に眉など数十種類にも及び、それらを組み合わせることで現実の自分に似せた顔や自分が理想とする顔を作り出すことができるようになっているらしい。
俺は予めHMDに登録してあった現実の自分の写真に似せてキャラクターの顔を作り、続いて髪の設定に入った。
髪型は現実にありそうなものから、アニメやゲームでしか見たことのない一風変わったもの。さらには歴史の教科書に載っている偉人がしているようなものなど、ありとあらゆるデザインが髪型一覧としてラインナップされていた。ついでに言えば髪の色も自由に設定できるようで、髪型と髪色の組み合わせはそれこそ無数にあるように思えた。
俺がその中から選んだ髪型は至極シンプルなもの。前髪が目に掛かるかどうかというくらいの長さで、横は耳たぶが見える程度。後ろ髪は短く、色は紺に近い青。
出来るだけ普通そうなものを選んでいたらどこかのアニメの主人公のようになってしまった。
とはいえ今さら奇抜なものを選び直す気にはなれず次の体格の選択へと移る。
体つきはあまり筋肉質にはならないようにして、身長は現実のそれに三センチほどプラス。肌の色は現実のそれに近くなるようにして体格の設定を終えた。
『初期装備を設定してください』
再び機械音声のアナウンスが流れる。
初期装備、とりわけ防具は大きく分けて三種類あるらしい。
一つは全身を鎧で覆っている重装タイプ。
二つは胸や腕や脛などの要所要所だけに鎧を付けた軽装タイプ。
そして三つ目が金属製の鎧を一つもつけていない最軽装タイプ。
試しに最軽装タイプを選択してみるとコンソールにいくつかの上下セットの洋服が表示された。用意された中には冠婚葬祭に用いるようなフォーマルなスーツのような服もあればどこかの工場で着るようなツナギみたいな服まで用意されていてそれはまるでどこかの大型ショッピングセンターに来たみたいだと思った。
自分としてはあまりきちっとしたものは趣味じゃないというわけで俺はこれまたファンタジー系のアニメに出てくるような一般的な市民の服を選んだ。
服の色も選択可能だったので髪の色に合うように紺色に近い青を選ぶ。
『専用武器を選択してください』
VRゲーム【ARMS・ONLINE】にはその名の通りに専用武器と呼ばれるものをもう一つの自分のキャラクターのようにして育てられるシステムがある。
最初期の段階でもその種類は千差万別。
コンソールにある一覧を適当に下にスライドさせてみるだけでも数十種類の武器の名前と画像が並んでいた。
武器として代表的なもといえばファンタジー系の代名詞とも呼べる剣だろうか。他には近代武器の代名詞とも呼べる銃やこれまたファンタジー系のゲームには付きものの魔法使いが使う杖や魔道書。
ちょっと変わったものではおおよそ武器とは呼べない大型の盾まである。
一つ一つ順々に目に留まったものから手にとって、試しに数回振ってみることにした。
いくつかの武器を試した結果、俺は一番手に馴染み一番気に入った武器を選択した。すると腰の後ろ側にずしっとした重さが加わった。選んだ武器がホルダーと共に出現したようだ。
ちなみにこの武器の形状はキャラクタークリエイトが終わるまでは完全には解らない仕様になっているらしい。何でもソーシャルゲームにありがちな最初のガチャのような仕様になっているようで、最低限ここで試しに持った形に近しくはなるみたいだが。結局何が言いたいのかというとつまりは俺がキャラクタークリエイトを終えてゲーム世界に一歩踏み入れたその瞬間に自分が選んだ武器種の真の形状が決定するということのようだ。
『あなたの名前を入力してください』
キャラクタークリエイトの最後は自分の名前。
コンソールに映し出されたキーボードを使い、この世界で自分の分身となるキャラクターの名前を入力する。
「Y……U……U」
最後に変換キーを押して決定。
『ユウ――貴方の冒険に幸多きことを……』
暗かった周囲が白く染まっていく。
ここからいよいよ始まるのだ。
ユウとしての俺の冒険が。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「――っ、眩しい」
思わず自分の手で目の前を遮る。
視界を埋め尽くす白い景色から抜け出した俺は天高く昇っている太陽の光が差し込んでいる神殿の中に出た。
まだ新しい石造りの神殿はまさにファンタジー世界にある建造物そのもの。
近くにいるNPCの頭上に何らかのアイコンのようなものが浮いているのが気になったりもしたが、友達とゲームの中で会おうという約束をしていた俺はあえてそれを無視して次々と現れる他のプレイヤーの間を抜けて神殿の外へと出ることにした。
神殿の外へと出た俺の目に新鮮な景色が飛び込んでくる。
神殿と同じように石造りの似たような家屋が建ち並ぶ町並みに比べ服装も髪色もバラバラのプレイヤーと妙に生活感が漂っているNPC。
大勢の人で溢れ賑やかな町並みは見ているだけで心が躍った。
「っと、まずは合流からだな」
神殿からは今も新たなプレイヤーたちが町の中へと繰り出している。
立ち尽くしている俺の横を通り過ぎて行くプレイヤーたちや神殿の近くの他にもこの場から軽く見渡してみた限りでは目的の人物は見つけられない。
俺が捜しているのはこのゲームを始めるきっかけにもなった人物。
同級生であり、昔からの友達でもある久我春樹だ。
春樹との付き合いは十年近くにも及び、もはや腐れ縁といっても過言ではないだろう。俺よりも数段上の廃ゲーマーを公然と自称する春樹は自分が誘う形で始めることになったのだからと、俺にこのゲーム内での体の動かし方や戦い方をレクチャーしてくれる約束になっている。
神殿ではチュートリアルを受けられる旨が記された案内を目にはしたが、敢えてそれを無視した俺にとっては春樹との練習がチュートリアルの代わりだ。
しかし、春樹に出会うことが出来なければ俺はいつまで経ってもチュートリアルが受けられずに右も左も分からない初心者のままでいるしかない。
焦る気持ちを抑えつつ春樹に連絡を取る手段をコンソールにあるマニュアルから探していると、突然俺の目の前に昔の黒電話のような形をしたアイコンが浮かび上がった。
けたたましい着信音を止めるべくすかさず黒電話のようなアイコンに触れてみると春樹の声が聞こえてきた。
『悠斗、今どこにいる?』
「春樹か? って、あれ? 春樹にゲーム内の連絡先を教えた覚えは無いんだけど」
教えるもなにも会ってすらいないのだ。当然知らないはずだ。
『あー、それなら俺が前に言っておいた通りHMDに携帯連動のアプリをインストールしたんだよな』
「ああ」
『その専用アプリを入れておくことであらかじめ登録しておいた人にはこの中からでも電話が出来るんだよ』
春樹に言われるがままインストールしたアプリには同じように言われるがまま春樹の連絡先を登録していた。
それがこんな意味を持っていただなんて驚きだ。
『インストールするときに説明しておいたはずなんだけどな』
「お、おお。そうだったか?」
『まあいいけどさ。それで、悠斗は今どこにいるんだ?』
「えっと、まだ神殿の前だな。春樹こそ今どこにいるんだよ」
『俺は悠斗より先にこっちに来てるからな。一足先に町の中をブラブラしてたってわけさ』
「へえ、少しズルいな」
『はははっ、とにかく神殿の前にいるならさ、ここからすぐに着けるはずだからその場から動かずにちょっと待ってろ』
すぐに着くと言うからにはそれ程遠くまで行っていないのだろう。しかし、この町の事をろくに知らない俺は解らないなと声に出さず自嘲気味に俯いた。
それから春樹は通信を切らないまま移動を始めたのだろう。俺の耳には春樹が走る息遣いが聞こえてきた。
『で、悠斗。お前は今どんな格好をしてるんだ?』
「そうだな、顔は現実の俺とそんなに変わらないと思うぞ。なんていうか髪型は普通で色は紺に近い青。服も髪と同じ紺に近い青色の普通の服だな」
『OK。それだけ分かれば十分だ』
この言葉の後、五分と経たずして人込みをかき分けて一人のプレイヤーが現れた。
金の瞳に金の髪。全身を覆う複製品のようなチープさが目立つ鉄製の鎧が少しだけ貧相に見えるが、それは初期装備だから仕方のないこと。
俺の目の前で足を止めた金髪のプレイヤーに話しかけてみることにした。
「えっと、もしかして、春樹なのか?」
声を掛けられたプレイヤーは一瞬警戒の表情を浮かべたものの直ぐに安心したように笑った。
「おっ、ってことは悠斗か。良かった良かった、すぐに見つけられたみたいだな」
どうやら目の前のこのキャラクターこそが春樹が作り上げたこの世界での自分の姿らしい。
「あ、ああ。そうだな。でも俺は――」
「あー、そうだよな。ここじゃ悠斗じゃないんだよな。悠斗は名前何にしたんだ? ちなみに俺はハルだ」
春樹改めハルは明るく笑ってみせる。
どんなに格好つけたキャラクターの姿になろうともこの笑い方は俺の知っている春樹と何一つ変わっていないように感じられた。
「俺はユウだ」
「悠斗だからユウか。ははっ単純だな」
「お前が言うな」
俺も春樹も本名から一文字取っただけという長く使うことになるキャラクターネームを決めるには随分と安易な発想だ。
「とりあえずフレンド登録を済ませようぜ」
ハルがそう言いながら俺の目の前でコンソールを出現させて何かの操作している。
次の瞬間、俺の元にハルからのシステムメッセ-ジが届いた。
『ハルからフレンド登録の申請が来ています。許可しますか? YESorNO』
迷うことなく俺はYESを選ぶ。すると俺のフレンド一覧に最初の一人が登録された。
「これでいつでも連絡出来るぞ」
「ん? さっきの連絡方法は使わないのか?」
ハルの元にも俺に承諾された旨を伝えるシステムメッセージが表示されたのだろう。何度か手を動かしてコンソールを消していた。
フレンドになる特典の一つにゲーム内通信が出来るようになるというものがある。しかしこれは先程のアプリがあればあまり意味がないような機能のようにも思えるのだ。
「あれはお前も知っての通り同期させたアプリを使った電話だからな。ここじゃフレンド通信の方が楽なんだよ。それにゲームの外の知り合いとの連絡なんてよっぽどじゃないとしないからな」
「でも結局は同じなんだろ? それにアプリなら現実の知り合いとはいつでも連絡出来るってことだろ。いくら楽だからって言っても元々知り合いのハルとわざわざフレンド登録する必要ないんじゃないのか?」
「ところがそうじゃないんだなー。フレンド登録しておくと相手の現時点のレベルとかログイン状況とか、今パーティを組んでいるかどうかなんかも知れて結構便利なんだぜ」
「ふーん。まあそれならそれでいいけどさ」
「いまいち理解してないだろ。はぁ、それはさておき、ユウはどの武器を選んだんだ?」
フレンド登録を終え、俺の装備を眺めていたハルが突然聞いてきた。
俺が選んだ武器は体の陰にすっぽり隠れるように取り付けられているホルダーに収まっているために正面から見たのではどのような武器種を選んだのかわからないみたいだ。
それに比べてハルが選んだ武器はこの位置からでも丸分かりで、昔話に出てくる木こりが持っているような斧だった。木を削って作られた長い柄が特徴の斧が革製のバンドで鎧の背中に止められているのが見える。
「俺が選んだのはこれだよ」
腰のホルダーから取り出した武器をハルに見せる。
「お、それは片手銃か? また随分と珍しいものを選んだんだな」
「そうか?」
「このゲームのジャンルはファンタジーだからな。こういうゲームで一番人気なのは剣だ。銃もそれなりに使われてはいるけど遠距離攻撃がしたいなら魔法職を選ぶ方が一般的で次点が弓だな。それに比べると銃なんかは少数派だな」
「少数派、ね」
「ああ。特に銃や弓は銃弾や矢の装填に手間もかかる分、隙が出来やすいといってあんまり使われていないんだ」
ゲームに登場する武器には現実と同様に、あるいはそれ以上に得手不得手がある場合が多い。このゲームもその例に漏れず人によっては使いやすい武器、あるいは使い難い武器というものが存在するらしい。それが原因で人気のある武器種や人気の無い武器種という差が出来てしまっているらしい。尤も目の前にいるハルが俺がこのゲームを始める際にその程度のことは予め知らせておくべきだったと聞こえないように呟いたのには驚きだったが。
「そっか。ま、俺なら大丈夫だろ」
「え? なんで?」
「なんて言ってもこれはただの片手銃じゃないからな」
胸を張ってそう言うと俺はグリップの上の方にあるスイッチを親指で押した。
それは一瞬の出来事。
引き金が固定され、刀身が展開される。銃身は刀身の中心部となり、片手銃だったものが片手剣へと姿を変えた。
片刃の刀身を持つ片手剣は不思議なことに片手銃だった頃よりも一回りほど大きく見える。
【剣銃】
剣と銃、二つの顔を持つこの武器をキャラクタークリエイトの時に見つけた俺は全身に電流が走ったと感じたほど。
様々な武器を試しに使ってみた時にも俺の手に一番馴染んだのがこの剣銃という武器種だった。
ファンタジー系の王道武器でもなく、敢えて奇を衒ったネタ武器でもない。このゲームオリジナルなのかも知れないと思えるこの武器がユウというキャラクターに装備された姿を反射する鏡のような壁で見たときには驚くほど似合っていると我ながら思ったものだ。
「……はぁ」
「な、なんだよ」
瞬時に変形する剣銃を満足気に眺める俺を見てハルが大袈裟に溜め息を吐き出し、
「……あのな。剣銃っていうのはベータテストの頃に使い勝手の悪い武器の一つとして有名だったんだ」
続けてかなり実感の込められた言葉がハルの口から出てきた。
「んで、白状するとな、俺もベータ版の頃に剣銃を使ってみたことがあるんだよ。ベータテストの頃は今と違って武器の変更が自由だったし、製品版の時のためにもいろんな武器を使ってみるようにって推奨されてたからな」
「へぇ、そうなんだ。で、どんな感じだったんだ?」
「このゲームは武器に対応したスキルを習得して技、<アーツ>っていうんだけどな。それを使ったりするんだけど、剣銃は剣スキルにも銃スキルにも対応していなかったんだ。まあ、俺が見つけられてないだけかもって思って念入りに試行錯誤してる間にベータテストの期間が終わってさ。結局俺は剣銃という武器に対応したスキルを見つけることが出来なかったんだよ」
ハルが言うには製品版になり多少の仕様変更もあるはずだがベータテストを経験したプレイヤーの多くは敢えて使い難かった剣銃を選ぶことはないだろうという話だった。
ベータテストの経験をもとに作られた攻略サイトにはプレイヤーたちの総評を統計して使いやすい武器がどれかなどという情報が事細かに記されているらしい。
俺が事前の下調べを怠ったことは事実だが、それの時点で使えないとされている武器種を選んだからといってキャラクターを作り直す気にはなれなかった。元々ゆっくりと自分の好きなように進めるつもりだったのだから、別にいいのだと自分に言い聞かせるように胸の内で呟き、
「ま、使い続けていれば化けるかもしれないし、製品版では変わってる可能性もあるんだろう。だから俺はこれを使い続けるよ」
「そっか。まあユウがいいっていうならそれでいいんだけどさ」
もう一度グリップの上のスイッチを押すと剣銃は片手剣の形態から片手銃の形態へと変形した。
「んん? ちょっと待って!」
「今度は何だ!?」
「これ、銃弾を込める場所はどこにあるんだ?」
「は? そんなもん、ここに――ってアレ?」
剣銃をホルダーに戻す俺を止めたハルの言葉に促され、俺は自分の剣銃へと視線を移す。
現実の銃ではありえないような、ゲーム独特のデザインをしているせいで直ぐに気付くことは出来なかったのだが、俺が持つ剣銃には銃弾を込めておくシリンダーのようなものも、銃弾を即時に換装することのできるマガジンのようなものも見当たらない。
それどころかどこに銃弾が込められているのかすら一見するだけでは確認出来ないような形をしていた。
不安そうに剣銃を見つめる俺にハルは何とも言えない表情でぽつりと言った。
「……どうなってるんだ?」
ハルの一言に俺は無意識に息を呑む。
二つの形態を使い分けることのできる便利な武器という印象が、たったひとつ抱いた疑念の為に変わってしまった瞬間だった。
「と、とりあえず、使ってみればわかるんじゃないか」
愕然とする俺を宥めるようにハルが言う。
「使う?」
「ああ。ユウに戦い方を教える約束してたからな。その武器の試運転も兼ねて一度戦ってみようじゃないか」
笑顔を取り繕いながらハルが町の端にある巨大な門を親指で差し示し、続けて町の簡単な説明を話し始めた。
「この町は周りをぐるっと壁に囲まれているんだ。んで、その四方に町の外と繋がった門があってな」
ハルが言うにはその門には日々行商人NPCが行き来しているらしい。
今後ゲームの中で商売を営むプレイヤーも出てくるだろう。その人たちは頻繁にこの門を潜ることになるはずで、同時に商売をしないプレイヤーも町から町の外へと出る時は必ずこの門を潜る必要がある。
町の出入りをするには確実に潜ることになる門なのだと教えて貰ったのだった。
「と、言うわけでまずは西側のエリアからだな」
「西、というとこの道を真っ直ぐか」
「だな。西側のエリアなら出てくるモンスターのレベルも低いし、なによりこの町の周囲なら自発的に攻撃してくるモンスターもいないからな。安全に練習できるだろ」
「練習ね。これで、か?」
自虐的に剣銃を掲げて言う。
「ま、まあ、剣形態なら十分に戦えるだろ。それに俺の斧はユウの持つ剣よりもモンスターに近付いて戦うことになるからな。よりモンスターに近い前線に出るのは俺だろ。だからユウは攻撃出来そうな隙を見つけて安全第一で攻撃してくれればいいさ」
「それだけでいいのか?」
「最初だからな。ざっくりとでも戦闘の流れみたいなものを感じてくれればそれでいいさ」
同じ初期レベルのキャラクターといえども、それを扱う人は違う。
ベータテストを経ているハルと俺との戦闘経験の差は文字通り雲泥の差がある。だからといって戦闘の全てをハル任せにするつもりなどない。折角一緒に戦っているのだ。力を合わせないなんて考えられないことだ。
「んじゃ、そろそろ行くか?」
「ああ。そうだな」
俺とハルが目指すのは西側にある門。
ゲームの中に流れる時間は現実よりも早いようで、相談している間に既に空は赤く色付き始めていた。
「西側のエリアにいるモンスターは基本的に動物型だ。問題なのはその大きさなんだけど、ま、俺たちなら大丈夫だろ。でも、その前に」
「なんだ?」
「俺とパーティを組もう」
大通りを歩いて西側の門を目指していた道中にハルがいった。
このゲームのシステム上、厳密にはパーティを組まなければ俺とハルは同時に同じ場所にいるだけプレイヤーに過ぎず、戦闘で得られる経験値やアイテムを共有できない。その問題を解消するためにハルがパーティを組もうと言ってきたのだ。
先程のフレンド登録と同じフォント、同じ様式で今度はハルからのパーティ結成の申請を受けるかどうかという確認画面が現れた。
俺はそれにも迷うこと無くOKを押すと左上にある自分のHPゲージの下にもう一つ、ハルのHPゲージが小さく追加された。
そのまま暫らく歩いていると目的の門が見えてきた。
神殿やこの町の他の建物と同様に石造りの門の横には長い棒を持った睨みを利かせる門番らしきNPCが二人、門を挟んで立っている。
俺たちはNPCの横を通り過ぎ、開かれたままの門を潜り町から一歩足を外へと踏み出した。
するとそこにはこれまでとは違う景色が広がっていた。
「――凄いな」
言葉を失うとはこのことなのか。俺は一面に広がる草原を前に呆然と立ち尽くした。
このゲームのジャンルはファンタジーだと謳う公式の言葉を証明するかのように、目の前に広がる草原には現実では一度も見たことも無いくらいに広大な緑が広がっていた。
「お、他の人も始めてるみたいだな」
既に俺たちの他にも数名のプレイヤーが思い思いにモンスターとの戦闘を繰り広げている。
「ん? おい、ユウ。あそこを見てみろ」
ハルが指を指した先には緑の地面の上に巨大なウサギのようなモンスターが耳を立てて辺りを警戒するように小刻みに顔を動かしている姿があった。
「うん。最初の相手としたら申し分ないな」
「そうなのか? 他の人たちに比べると随分デカイ気がするんだけど」
「大丈夫だ。ほら、行くぞ。俺が先に攻撃を仕掛けるからユウは後から来てくれ」
背中の斧の柄を握りながらハルが告げる。
ハルに続いて逃げられまいと物音を立てずにそっと近付いて行くと、残り5メートルくらいといったところでハルは駆け出した。
剣銃を剣形態に変形させる前に、俺は銃形態のままウサギ型モンスターに狙いを定めてみる。するとウサギ型モンスターの上に『グラス・ラビット』という名前と一本のHPゲージが出現した。
俺に銃口を向けられても、ハルが駆け出して近付いて行ってもグラス・ラビットはその場から動こうとはせずにその場で時折地面から生えている草を食べているような仕種を繰り返している。
警戒心が無いのか。それとも単純にこういう仕様なのか。どちらにしてもこの調子だと先制攻撃を仕掛けられるのは明らかにプレイヤーの方だ。
「戦闘開始だっ!」
ハルがグラス・ラビットに向けて力一杯、斧を振り下ろす。
【ARMS・ONLINE】は全年齢対象のゲーム。プレイヤーやモンスターに流血表現のようなものはなく、攻撃が命中してダメージを与えたとしてもグラス・ラビットの表面のテクスチャが剥がれ、素体のポリゴンが攻撃の跡に沿って露出するだけ。
それがこのゲームの傷の表現であるらしい。
不意打ちとなったハルの持つ斧の攻撃はグラス・ラビットにとって一定以上のダメージを与えることに成功したらしく、グラス・ラビットはビクビクと体を痙攣させている。
「よしっ、スタンしたぞ!」
「わかってる!」
スタンと呼ばれる動きを阻害する状態異常を発症したグラス・ラビットは誰の目にも分かる程の大きな隙を見せた。
俺はホルダーから抜いていた剣銃を素早く剣形態へと変形させて駆け出す。
だが、俺がどんなに速く走れたとしてもそれまで立っていた場所からグラス・ラビットのいる場所に辿り着くまでは距離があり過ぎた。
「くっ、ダメだ……けどッ」
残念ながら辿り着くまでの間にスタン状態は解かれてしまったようで、俺が近づけたその時にはグラス・ラビットの痙攣は収まってしまっていた。
それでも迎撃に出るまではまだ少し時間が必要なはずだと俺は無我夢中で剣銃を振り抜いた。
「あたれえぇっ!!」
剣筋などあったもんじゃない。
それでもどんなに不格好であったとしても無我夢中に放った斬撃はグラス・ラビットに命中し、その背中を横一文字に大きく切り裂いた。
「よし、いいぞ」
ぎこちなくも攻撃を命中させた俺にハルが頷く。
「俺も負けてられないな」
ハルが繰り出した背後からの不意打ちはグラス・ラビットを大きく仰け反らせ、僅かながらもその動きを止めた。
再び生じた隙を攻める俺とハルが繰り出した攻撃はグラス・ラビットのHPを三割近くも削り取り、ハルもその結果に確かな手応えを感じているようだ。
「このまま押し切るぞ」
体を仰け反らせたグラス・ラビットが体勢を取り戻す前にハルが攻撃を加え、それに続き俺も攻撃を与える。
最初にスタンを併発させたハルの攻撃も、その後に体を大きく仰け反らせた俺の攻撃も、そのどちらも互いにとって最初の一撃、いわば不意討ちのような効果があったのだろう。
故にこの後、何度も斧で切りつけているハルの追撃はグラス・ラビットの動きを止めることはできなかった。
それに加え今ではハルの追撃も俺の攻撃もはグラス・ラビットのHPをあまり削れなくなっていた。今では攻撃の度に数ドットずつしか削れていない。確実に減っているといっても大した成果はあげられないのが現状だ。
俺たちの攻撃が効き辛くなってきた頃、遂にグラス・ラビットが大きな反撃に出た。丸太のような両腕を振り回しかなりの至近距離で攻撃を仕掛けているハルに殴り掛かっていったのだ。
追撃を与えた後に時折動きを止めてしまっていた俺に対して常に果敢に攻撃を繰り出していたハルは強攻撃の後に生じた技後硬直に襲われてしまい目の前で繰り出されるグラス・ラビットの攻撃を回避する術を持たない。
せめてもの防御にとなんとか斧の刃を寝かせ体の前に構える防御するだけで精一杯みたいだ。
断続的に硬い金属同士がぶつかり合うような音が聞こえてくる。
ハルの持つ斧の刀身が金属製なのは見てすぐに分かったが、グラス・ラビットの爪もまたそれに匹敵しているほど硬いとは思いもしなかった。
「あぐっ」
振り抜かれたグラス・ラビットの腕に弾き飛ばされ、ハルが地面に転がる。
「…っ、ユウ、逃げろっ」
背中を強く地面に打ち付けたハルが呼吸を乱しながら叫ぶ。
「ひっ」
一瞬の出来事に戸惑う俺の周りが突然暗くなった僅か数秒後、俺はグラス・ラビットの最大の攻撃方法を身をもって思い知らされることとなった。
視界を暗闇が埋めつくすと同時にもふもふの感触が圧し掛かってきたのだ。
背の伸びた草の絨毯が下にあることに加え、ゲーム内での痛覚は元々あまり強く感じることはないように設定されているのだろう。実際に感じた衝撃と痛みは想像していた程ではなかった。
「起きろ、ユウ。おいっ、しっかりしろ!」
ぼんやりとする意識のなかで微かに誰かの声が聞こえてくる。
全身を包む動物の匂いは遥か昔の記憶を呼び覚ます。
小さい頃、俺の家には一匹の大型犬がいた。モコと名付けたその犬は俺が生まれる前から家にいて家族同然の存在だった。
俺が小学四年生になった頃だっただろうか、モコは死んでしまった。
事故でもなんでもなく寿命だったのだと今では納得しているのだが、その時の俺はただ悲しくて悲しくて、それから一週間は学校にも行かず塞ぎ続けて困ってしまったと今でも偶に親に笑い話にされることがある。
思い起こせばあの頃、俺はモコと一緒になって寝ることが好きだった。その時は必ずお日様の匂いとモコの温かさ包まれ安心できていたのだ。
「いい加減にっ、起きろってんだ!」
「――ッ! ……ハル?」
「やっと気絶から戻ったみたいだな」
「気絶? …してたのか」
「まあな」
頬が熱い。
気絶と呼ばれる状態異常を治すためにハルに叩かれたのだと気付くのと同時に、少し離れた場所でこちらの様子を窺うグラス・ラビットの姿を見つけ自分が置かれている状況を思い出していた。
太陽が沈み赤みがかっていた空が徐々に夜へと変わる。
戦闘中にもかかわらず夜特有の冷たくも優しい風が俺の身体を撫でた。
「早く体勢を立て直せ」
俺の気絶の状態異常を治したハルが傍から離れ、再び戦線に復帰していった。
今度のハルは攻撃を受けまいとグラス・ラビットの動きを注意深く観察し余裕を持って回避している。
その様子を俺は眺めつつ、俺は深く息を吸い込んで立ち上がり、溜め込んでいた息を吐き出す。戦闘中のハルとグラス・ラビットを前に深呼吸をしたのだ。
再び剣形態の剣銃の柄を強く握り締める。
俺の視界の左端にある二人のHPゲージは双方とも半分にも満たない状態にまで減少していた。
それでもハルが戦闘を続けようとしているのは自分が初期レベルだから負けても失うものはないと判断しているからなのかもしれない。それにハルや俺が繰り出した最初の攻撃の時のようにグラス・ラビットをスタン状態にすることができなくとも戦うことは出来る。
戦えるのならば勝つことだって。
そんな俺の想像が間違いだと気付かせたのは信じたくもないたったひとつの現実。
ハルが与えるダメージに比べ軽く体を掠めただけのグラス・ラビットの攻撃が与えるダメージとの間に到底埋めることの出来ないな差が現れていたのだ。ハルの斧が与えるダメージは良くてグラス・ラビットの残HPの一割の半分以下。それに比べグラス・ラビットの攻撃は当たりさえすれば必ず二割以上ハルのHPを削り取っていた。
ジリ貧となってしまった戦闘に転機が訪れたのはグラス・ラビットの行動に変化が表れだした頃。その変化とはグラス・ラビットにこれまでよりも大振りな攻撃が増え始めたことだった。
そしてグラス・ラビットの攻撃が大振りになればなるほどに受けるダメージも増えてしまう。
俺の想像を証明するかのようにハルのHPゲージは目に見えるほどの減少を繰り返していた。
「チッ、ここまでかっ。ユウ、逃げるぞ!」
「え!? え?」
グラス・ラビットの大振りの攻撃を掻い潜りハルが駆け寄ってくる。そのまま二人並んで逃げ続ける。
程なくして同じ場所で全身を独楽のように回し続けていたグラス・ラビットも俺たちが離れたことを確認すると、ゆっくり草原の奥へと去って行った。
ここまで離れてしまえば俺の剣銃の刃もハルの斧も、グラス・ラビットの腕ですら相手に届くことはない。完全に戦闘は終わった。
俺たちの敗北という結果だけを残して。
「はぁはぁはぁ、ふぅ。悪ぃ、無茶だった」
減少したHPでは次の戦闘などできるはずもなく、俺たちは再び町へと戻ってくることになった。
町まで戻ってくる道中、俺とハルはこのゲームにおけるエリアというものについて話をした。
エリアとは町の外の戦闘可能領域のことを指し、エリアには雑魚モンスターが闊歩していること。その中でも強力な個体がボスモンスターと呼ばれているということ、またエリアにはエリアボスと呼ばれる特別な個体も存在しているということ。
ついでにエリアボスとはパーティを構成する最大人数である四人を集めて戦うことが基本なのだとということも。
「…はぁ……」
初めて経験した戦闘がこれではこの先一人でやっていける自信などあるわけがない。
最初のエリアに出てくるような雑魚モンスターの一種にすら二人がかりで勝てないのではどうやってレベルを上げていけばいいのかわからない。
一人でのんびりプレイしようなんて夢のまた夢だったのだろうかと考えている俺にハルが不思議そうな顔をして問いかけてきた。
「どうしたんだ? そんなに落ち込んで」
「このゲームのモンスターはみんなあんなに強いのか?」
「全部じゃないぞ。中には強いのもいるけどな、大概は適正レベルなら勝てるくらいだ」
「グラス・ラビットの適正レベルはどのくらいなんだ?」
「そうだな、大体10の後半くらいか。このエリアでは強い部類に入るだろうな。なんたってエリアに出現するエリアボスモンスターの一種だからな」
「は?」
「といっても、最初のエリアの最初の方に出てくる奴だからすぐに勝てるようになるさ」
あっけらかんと答えるハルに俺は信じられないとでもいうように尋ねてみることにした。
「そんなボスモンスターに戦いを挑んだのか?」
「ああ」
「初期レベルなのに? 俺の初めての戦闘で? 練習として?」
「おお。そうだ。初めての戦闘でグラス・ラビットに一撃を加えられたんだ。ユウは筋が良いんじゃないか」
「説明しろ」
「何を?」
「何で俺がそんなモンスターと戦うハメになったのかを、だ!」
「いや、な。最初は手ごろなモンスターを探してたんだよ。でも、そこでグラス・ラビットを見つけたもんだからさ、これはチャンスだと思って」
「戦った…と」
「いや、普通は戦うだろ。エリアに出て直ぐにエリアボスモンスターに出会うなんてことはなかなか無いんだぞ」
「そうだな。戦うかもしれないな」
「だろ!?」
「俺たちが初期レベルじゃなかったらな!」
勝てる可能性が低いのに戦いを挑むなんてことは勇敢でもなんでもなく、ただ無謀なだけだ。
「まあまあ、俺もユウも無事だったんだからいいじゃないか。それにユウだってこのゲームの戦闘の雰囲気は掴めただろ?」
「ああ、そうだな。嫌というほどにな」
戦闘中でなく町に戻っていれば減少したHPは自然に回復していく。
まだ最大値の低い俺たちはこうして話をしている間にHPは完全回復を果たしていた。
「それで、次はどうするんだ?」
ゲーム内の時間は既に深夜になっている。草原エリアに出てくる雑魚モンスターにどんなものがいるのか知らない以上、俺には夜に戦闘をすることが得策かどうか判断できるほどの情報もない。
「そうだなあ。次は……と言いたいところだけど、実はこれから予定があるんだ」
「予定?」
「これからベータテストの頃の仲間と会う予定なんだ」
製品版の稼働日はベータテスト経験者であろうとなかろうと変わらない。
ベータテスト出身者であるハルが最初に俺と会うことを優先させてくれたとはいっても、この日ベータテストの頃の仲間と会いたくなるのは当然のこと。
俺はその気持ちを否定するつもりなどなかった。
「で、ユウはこれからどうするつもりなんだ? 良かったら仲間に紹介しようか?」
「あー、いや、いいや。遠慮しとく」
「そうか?」
「俺はこれからエリアに出て、今度こそレベルを上げるよ」
「そっか、わかった。頑張れよ」
一人で戦うという俺をハルは止めようとはしなかった。それどころか応援してくれている。
「んじゃ、パーティを解散するか」
「わかった」
ハルがコンソールを操作すると『パーティが解散されました』というメッセージが届くのと同時に俺のHPゲージの下にあったハルのHPゲージが消失した。
「ああ、そうだ。最低限のスキルくらいは憶えた方がいいぞー」
と言い残し、ハルは町の中心部へと消えていった。
さて、次はどこに行こうか。
後ろにある門へ振り返り、その先に広がるまだ見たこともないエリアに心を躍らせていた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
キャラクターネーム『ユウ』
レベル『1』
【実数値】[基礎能力値](装備加算値)《スキル加算値》
HP 【500/500】 [500]
MP 【250/250】 [250]
ATK 【60】 [50] (+10)
DEF 【40】 [50] (-10)
INT 【50】 [50]
MIND 【50】 [50]
SPEED 【60】 [50] (+10)
LUK 【10】 [10]
AGI 【50】 [50]
DEX 【50】 [50]
『装備・武器』
専用武器・【剣銃】
――(ATK+10)
『装備・防具』
頭・【なし】
首・【なし】
外着・【初心者装備・最軽装・ジャケット】
――(DEF-10)(SPEED+10)
内着・【初心者装備・最軽装・半袖シャツ】
腕・【なし】
腰・【なし】
脚・【初心者装備・最軽装・ズボン】
靴・【初心者装備・最軽装・ブーツ】
『アクセサリ』 装備重量【0/10】
なし
≪所持スキル一覧≫ 保有スキルポイント【5】
なし
<所持アーツ一覧>
なし
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
17/5/5 改稿