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秘密の話し合い

「お父さん! 私、お昼ご飯もお父さんと一緒に食べたい! これから、お父さんがお城でお仕事する時は、お昼ご飯も一緒に食べよう? ね、お願い!」

「プリム……! そ、そうか、お昼ご飯もお父さんと一緒がいいか! わかった、ならそうしよう! お父さんもプリムと一緒に食べれるなら嬉しいからな!」


……そうしてお父さんにおねだりをして、それを満面の笑顔で快諾されてから、はやひと月が経った。

現在、私は沈んでいる。

理由は勿論、この1ヶ月、お父さんがあの女性とお昼ご飯を一緒する事がないからである。

停滞したこの状況に、私はフレイ君ともう一度話し合いをすべく、お父さんに気づかれぬよう、夜にこっそりとフレイ君を自室に呼び出した。


「はぁ……こんな時間にごめんね。作戦、うまくいかないねぇ、フレイ君」

「いや、構わない。けど、そうだな。……考えてみれば、プリムと俺が一緒に昼食を取るなら、旦那様はもしあの女性から誘われても、断ってしまっていただろうな。娘達と食べるから、と」

「えっ! そ、それじゃ私達、家族ぐるみで仲良くなってお父さんとあの人の仲を進展させるどころか、二人の邪魔をしちゃったって事!?」

「…………恐らく」

「えええ~~~!!!」


フレイ君から告げられた衝撃の事実に、私は自己嫌悪を顕に大声を上げ、目の前のテーブルに突っ伏し頭を抱えた。


「うぅ、どうしたら……っ、今更また別々にお昼食べようなんて言えないし……! でもこのままじゃあお父さんがあの人と過ごす時間を奪ったままにぃ~~!!」

「……プリム。こうなったらやはり、彼女側の協力者を求めよう。前に計画していた通り、二人の休日を合わせて偶然会わせるんだ」

「! 街でバッタリ作戦だね! そうだね、わかった! 協力者は、やっぱりあの薬師の女性?」


フレイ君からの作戦変更の提案に、私はテーブルに沈めていた顔を上げ、フレイ君を見つめた。

私と目が合うと、フレイ君は力強くこくりと頷く。


「ああ、それがいいと思う。プリム、俺に3日くれないか。3日の内に、あの薬師の女性の家を必ず探し当てる。4日後に、二人で協力を頼みに行こう」

「え? う、うん……それはいいけど、あの人の家を探し当てるって、どうやって? 一人じゃ大変じゃない? 私も手伝うよ!」

「いや、大丈夫だ。任せてくれ。……ただ、明日から3日間、午後はプリムの側を離れる事を許して欲しい」

「え、午後だけ? 街中の住宅地を探すんだよね? 一人で探すって言うんなら、1日中離れても構わないよ? 大変でしょう?」

「いや、午後だけでいい。庭仕事はやりたいし……何より、1日中プリムの側を離れるのは、俺が嫌だから。たとえ、プリムの役に立つ為でも」

「え……?」

「じゃあ、明日から3日、午後は別行動な。……おやすみ、プリム」

「え、あ、う、うん……? おやすみ……」


話を纏め、おやすみの挨拶を交わすと同時に、フレイ君は一瞬じっと私の顔を見つめて、次いでくるりと体を反転させると、静かに私の部屋から立ち去って行った。

私はしばしボーっと、フレイ君が消えた扉を見つめる。


「………………。……えっ、と? わ、私、今……フレイ君に、何言われた……?」


"1日中プリムの側を離れるのは、俺が嫌だ"……なんて聞こえたような気がするんだけど……え、空耳?

空耳……だよね?

けど、もし空耳じゃなかったら…………って、いやいやいや、ないないない!!

だって、フレイ君だよ?

キラキラの美少年だよ?

対する私は…………そりゃ、お父さんと、あのお母さんの遺伝子のおかげか、結構可愛い容姿してるとは思うけど……っ、でも、キラキラのフレイ君だよ?


「うん、ないないないない……って! そうだよ! フレイ君は私の護衛なんだから、そういう役割的な意味で、離れたくないなんて言ったんだよ、うん!! そうに決まってるじゃない、もう、馬鹿だなぁ私!!」


あはははは、と渇いた笑い声を上げながら私は立ち上がり、テーブルからベッドへと移動する。

布団を持ち上げモゾモゾと潜り込み、目を閉じる。

けれど、何故かやけに体がポカポカして、頭がふわふわして、その夜は、なかなか眠りにつく事が、できなかった。


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