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会話?

「勇者様勇者様勇者様!」

と連呼するコスプレ女に抱きつかれた勇人は固まっていた。

あまりにもわけのわからないありえないこの状況に、勇人の頭はまるで追い付かない。勇人の姿は真っ白に、繰り返される勇者様がゲシュタルト崩壊を起こした。

コスプレ女は

「勇者様……」

と、物憂げな声でも言ってきた。

勇人は一応その声の抑揚に含まれる感情を読み取れる程度の状態ではあった。

その言い方はとても勇人の興味を引き付けた。

眼球がその声のする方にものすごい引力でもあるかのごとくぎちぎちと向けられた。

「鼻血……でてますよ?」

ズキュウン!

勇人の脳裏に雷が落ちた。

「だ、大丈夫!大丈夫だから!」

特急で手のひらで鼻を覆い、コスプレ女に背を向けた。

ポケットから取り出したティッシュで鼻血をぬぐった。

「あの、大丈夫ですか?」

コスプレ女が心配そうに声をかける。

「え、あ、うん!平気!平気!」

何が平気なのかはわからないがそう明るく答えた。

その後、鼻にティッシュを詰めた勇人は彼女の方に振り返った。


しばらく沈黙


「あ、あの、はじめまして!僕の名前は勇人です!」

自分でも突然何を言いだすのかと思った。

「……」

無言で見つめ返される。

「趣味は本を読むこと! 5月生まれのA型です!」

「……」

風がひゅるると音を立てる。勇人の頭には後悔しかなかった。

「あ、あの……」

コスプレ少女が口を開く。

「はい! なんでしょう!」

思わず大声が出た。

「勇者様……ですよね?」

「……」

少しの沈黙の後、勇人は答えた。


「はい!」


もうわけがわからなかった。



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