表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/37

1月17日 危惧

 一月十七日



 ……あれから、一週間が経った。当初の目的を忘れ、女子Aをおちょくるのに愉しさを見出していた俺であったが、さすがに違和感を感じ始めていた。アマツが学園にやってきてから八日が経つ。それから荊原は、一度として登校していないのだ。そのうえ、メールも電話も、一切返さない。

 もしや、と思う。

 もしや荊原は、アマツのヒントから独自に犯人を見つけたのではないか?

 そして――、

 荊原の消息が分からなくなっているということは……。

 いやまさか!

 考えすぎだ!

 けれど、ただ単に学校を休んでいるだけでなく、一週間も連絡がつかない、というのは。

 少なくとも、普通じゃない。

 つまり異常事態だ。

 俺はまず、警察に電話することを考えた。けれど、荊原がやろうとしていることを考えると、警察はマズイと思いなおす。荊原自身が、純粋に被害者というわけではないのだ。もしもアイツが既に復讐を果たしていた場合、警察を呼ぶことは逆に仇となる。放課後殺人クラブを一向に捜査しない警察に、不信感を持っているというのもあった。

 俺は考えた末、とりあえず彰に電話してみる。そういえば、捜査チームは二班に分かれていたのだ。俺に内緒で、何かをやっているのかもしれない。

 そんな、淡い希望。

 それは当然のごとく、否定された。

「そうだね。あの女とはファミレスで会ったとき以来、なんも関わってないよ。考えすぎじゃないのソーちゃん? 一週間学校サボるくらい普通……いやでも、一週間音信不通ってのは普通じゃないよな、確かに。ましてやソーちゃんからのを、あのビッチが。……ん、しょうがない、捜させるか。どっか行きそうなところとか、ある?」

 ……荊原が行きそうなところ。ダメだ、何も思い浮かばない。意外と付き合い浅いんだよな、俺達。

 一つだけ、思い当たる場所と言えば。

「彰。あいつ市内で一人暮らししてるらしいんだ。その家を調べられないかな?」

「家ぇ?」

「ああ。どうにかならない?」

 渋い声色が返ってきた。

「まぁ、どうにかなることはなるんだけどさ。俺がその住所を調べるとすると、裏の道を使うことになるんだよ。ガラの悪いなんて表現じゃきかねぇゴミどもが、あのビッチの住所を知ることになるんだ。俺はお勧めしないよ」

 ……うぅ、確かにそれはゾッとしない。一応女の一人暮らしだし、そこらへんの配慮は必要だな。

「それに、そんなことをしなくてもソーちゃんなら、正規のルートでヤツの住所を調べるくらい、できるんじゃないの?」

「え?」

「アイツを使うんだよ」

 アイツ。

 そう言われて、すぐ思い至った。

 確かにそうだ。さすがに学園は荊原の住所を把握しているだろうし、学園の情報と言うのはつまるところ、あの男の掌の上なのだ。

 あの、便利な邪神、会長の。

 いやもちろんいいか悪いかで言えばとっても悪いことなのが……今はありがたい。もしかしたら人命がかっているかもしれないし、今は穢れた力を使ってでも住所を割りださなければ。    

 昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り響いたけれども、俺は教室には帰らず、生徒会棟へと向かった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ