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月の姫と英雄たち  作者: ドラキュラ
反董卓連合軍編
39/155

第二十五幕:連合軍離反

今度からは3000字にします。


でも、時々は5000字になるかもしれません。(汗)

袁術ならびに劉備、孫堅の軍団は連合軍から離れ洛陽を目指した。


しかし、連合軍もこれを黙って見ている積りはない。


「袁術、貴様は連合軍から離反するか」


馬上に乗った貴公子と言える風貌を持つ男---袁紹は同じく馬上の男---袁術に問い質した。


「そうだ。貴様等と共に居た所で埒が明かん。我等はこれより単独で夜姫様を助けに行く」


「強がりを申すな。貴様に何が出来る?」


「さぁな。しかし、遅く動き出した貴様と居るよりはマシだ」


「貴様・・・・・・」


袁紹は見た目麗しい顔を険しくさせ眉を顰め腹違いの男を睨みつけるが袁術も負けないとばかりに睨み返した。


「貴様が亀のように遅く来たせいで夜姫様は攫われたのだ。夜姫様は貴様が来るまで単独で時間を稼いでいた。それを貴様は自らの手で壊した・・・夜姫様は何と言うだろうな?」


「・・・・・・・」


「私は夜姫様を助ける為なら何でもする。貴様が壁となり立ちはだかるならそれを退けるまでだ」


袁術の啖呵に孫堅と劉備は黙って見ていたがその言葉には賛同していた・・・夜姫を助け出す為なら何でもする。


それは三人で取り決めた事であり邪魔する者は容赦しない。


劉備としては袁紹には恩があり出来るなら戦いは避けたいというのが本音である・・・しかし、この場合は何も言わないでおいた。


「・・・この私を敵に回して無事で居られると思うのか?」


「無事で居るさ。何故なら私達には夜姫様の加護があるからだ」


「貴様っ!!」


袁招が袁術の胸倉を掴もうとしたが袁術はそれを避けて軍を前進させる。


劉備もそれに続くが敢えて袁紹とは顔を合わせないようにして孫堅の軍に隠れるようにして進んで行くがこれは仕方ない。


袁紹にも恩がある劉備としてはこのような形で去るのは気持ちの良い事ではない・・・だが、事が事だけにこの場は割り切るしかないのだ。


「袁術っ。貴様など呂布に首を刎ねられてしまえ!!」


袁紹の罵声が袁術に届くが彼はそれを無視して洛陽を目指した。


『連合軍から離反した。後は夜姫様を助け出すだけだが・・・どうするか』


董卓は恐らく洛陽を捨てるだろう。


これは閻象の情報だから間違いないと袁術は見ているし孫堅もまたそうに違いないと言っている。


洛陽を捨て長安に逃げられたら厄介だ。


何とか洛陽で夜姫を取り戻したい所だが董卓の事だから殿には呂布を就かせる事だろうし自分達に利用されない為また足止めする為に洛陽を焼き払ったりするかもしれない。


董卓の性格を鑑みれば躊躇わずにやりそうな気がする。


洛陽は長安に続いて歴史ある都だ。


歴代皇帝の墓だってある。


そこを焼き払う事は冒涜であるが董卓なら躊躇わない。


何故ならこれは戦だからだ。


戦に正義も悪も無い。


要は勝てば良い。


どんなに汚い手を使おうが勝てば歴史に残るし生きられる。


それを董卓は知っているからこそ何事にも躊躇いが無いのだ。


こと戦などに関しては尚更と言える・・・・・それを袁術は恐れていたが同時にその躊躇わない決断力を羨ましく思っている。


自分にはその決断力が無い。


袁紹に関してもそれは言えているが。


その袁紹は・・・・・・・・・・


「くそっ。袁術ばかりか孫堅と劉備まで行ってしまうとは!!」


腹違いの弟について行った孫堅と劉備に歯ぎしりしながら残った兵達を見る。


そこには曹操も居る。


曹操は何も言わずに居るが何を考えているかは凡その見当はついている。


『どうせ私と同じだろうな』


袁紹としては袁術が勝手な行動を取ったのは憤激ものだが・・・今にして考えればそれはそれで良い。


彼等を利用して自分達は危ない眼に遭わずに夜姫を救えるのだから。


袁術は自分が軍を動かすのが遅いと罵った。


なら、今度も遅くしようではないか。


しかし、頃合いを見計らって最高の時に自分が颯爽と現れる所が違う。


恐らく董卓は呂布を向かわせるだろうから向こうとぶつかり合うのは必至であり彼等は傷つくがそこへ自分達が駆け付ければ問題ない。


そこを突いて一気に雪崩れ込み董卓を打ち滅ぼしてしまえば自分は勝者として歴史に名を残すであろう。


歴史書にはこう書かれる筈だ。


『悪名高き董卓を打ち倒し連合軍を引き連れた名将である袁紹』


“取らぬ狸の皮算用とは嫌だねー”


誰かの声がするも袁紹を含め誰にも聞こえなかった。


彼の声は何処からともなく聞こえるが誰にも聞こえないのはどうしてであろうか?


“仕方あるまい。誰もがそういう考えを持つものだ”


また誰かの声がする。


しかし、こちらも同じく誰にも聞こえない。


“そうだな。所で、お前は袁術達を追っているのか?”


“無論。とは言え力が無い以上は足手纏いにならんように気をつける”


“豪く殊勝だな”


“姫君を護り切れなかった負い眼だ”


悲し気に答えるともう片方の声は感情を敢えて込めずに答えた。


“それで落ち込むか。やれやれ打たれ弱い男だな”


“放っておけ。それで・・・ここまでは史書通り、か?”


“正確には違う。洛陽まではちゃんと連合軍は存続する。ここだとその前に解散だ。もっとも行く場所は皆同じだがな”


“そうか。それにしても董卓という男はかなりやるな”


部下達を手足の如く動かし目的を達成したら速やかに逃げる。


これは戦闘に関しては文句ない。


10で言うなら8か9と言う所であろう。


“まぁ、辺境の将軍が時の権力者を物にしたんだ。史書にも載るぜ”


“しかし、その辺境の将軍という肩書きのせいで周りからは蔑まされているのだろ?”


“あぁ。実力はあるし人徳もあるだろう。実際あいつを含めて上の役職に居ない”


時の権力者を物にしたのなら普通は身内などを使い自分も上の役職に就くが董卓に関しては長安に行くまでやっていない。


これから察するに用心深く自分の向き不向きを理解している証拠と言える。


長安に行ってからは身内などを上の役職に就けたがそれにはそれなりの理由がある筈と声の主は推測しているようだ。


“なるほど。で、最後は子飼いの養子に殺されるのだろ?”


“そうだ。まぁ、それはあくまで史書の話。姫さんがこの世界に来た時点でもう史書通りには行かない筈だ”


“確かに余所の世界から来た者が現れた時点でそれは当然の成り行きと言える。どうなると思う?”


“さぁて・・・どうなるか。とは言え姫さんの力が戻るにはまだまだ時間が掛るから暫くは様子見だな”


“姫君の力はどれ位で戻る?いや、それ以前に我等は何時になったらここに来れる?”


“それも分からん。それは姫さん自身の問題だ。俺たちではどうしようもない”


“急がんと姫君の御身体が汚されてしまうぞ”


“そう言われても何も出来ないんだ”


仕方ないだろ、と声の主は言うが、もう片方はかなり焦りと怒りを宿す声だった。


“ええい!胸糞悪い!!これでは何の為の臣下か分からんではないか!!”


“俺に怒鳴るなよ”


“誰かにこの怒りをぶつけたいだけだ”


“迷惑だ・・・お、袁紹の方も動いたぞ”


話題を変えるように声の主は袁紹に眼を向けた。


「全軍、これより洛陽へ向かう。あのように勝手に連合軍を抜けた者共に後れを取るな。我々こそが皇帝と夜姫様を助けるのだ!!」


馬上で袁紹はこれでもか、と言うほど声を上げて兵達の士気を上げた。


だが、群雄達の何人かは既にもう連合軍で動くのが嫌になる動きさえ見せているのが見えるから彼の声も意味は成していないだろう。


“奴等はどう出る?”


“少なくともまだ離れないだろうな。姫さんが誰に救出されたかを見てから動く”


“つまり姫君を助けた物に味方する、と?”


“そうだ。まぁ、助けられたからと言って姫さんが必ずしもそいつに付いて行く訳じゃない”


“・・・予想はあるのだな”


“勿論。お前と同じだ”


“・・・そうだな”


声の主たちは互いの予想が一致している事に気付いたのか頷き合った。


正史では洛陽に到着した時点で意見が分裂し合い連合軍は解散となって三国の時代に突入するがどうやらここではまだ解散はしないようだ。


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