美術の時間~粘土細工~
ある美術の時間のことです。
その日の授業は、粘土を使って手を造る授業でした。
私は、針金を芯に入れ、その周りに粘土をつけて手を造って行きました。
しかし、中の芯が細い針金なので思うように形ができませんでした。
上手くできている人に、どんな芯を使っているのか聞いてみようと思い周りを見渡しました。
針金を使って上手に造っている人もいましたが、
それらとは比べ物にならないほど上手にできている人がいました。
私は、芯に何を使っているのか知りたくて尋ねました。
「どんな芯を使ったらそんなにうまくできるの?」
すると、その子は愚者を見るような眼でこちらを見た後言いました
「手を造るのに最も適したものなんてひとつしかないじゃないか」
私はムッとしましたが、それが何か知りたいので聞きました。
「それって何なの?」
すると、その子はあきれ顔で言いました。
「君も今持ってるじゃないか!!・・・製作の邪魔だから向こうへいってくれないかい?」
私は追い払われてしまい、自分の席へ戻りました。
その後、結局何が芯だったのかを考えました。
しかし、私には思いつけませんでした。
だいたい、
「今持ってるじゃないか」と言われた時、私は手に何も持ってなかったのに・・・
そう思いながら、私は自分の手を造っていきました。
作者の茂吉です。
今回のは、どこがホラーか解りにくい気がしますがご了承ください。