09 暗闇とホラー彫刻
あれから数日後だ。
さびしい。
人がいない方が気楽な俺だけど。
さすがにちょっと寂しい。
例によって例の如く。
Xさんは旅立った。
なんか、俺がこの星で一人で住んでるって事を知ってから、たまに様子を見に来てくれるようになった、宇宙船の人と旅立った。
Xさんはいい意味で気を使わなくて良い人?
だったからなー。
ちょっと恋しいぜ。
そんなXさんロスの中でも俺の日課は続く!
笛を吹いたり、ブドウスライムを育てたりしていくぜ!
そんな中、俺は彫刻という趣味に目覚めた。
木材をほりほりして、形を作っていくという工程が面白くてな。
秋鮭をくわえたクマとか、古代ギリシャって感じの人とかほってる。
最初は見るに堪えないクオリティだったけど、何事も続けてみるもんだな。
今では展覧会出品なみ(自画自賛)の彫刻をつくれるようになったぜ。
もっとでかいやつ作ってみよ、と思ってこの間はドラゴンを掘ったりした。
見せる人がいないのがちょっと残念なくらいだ。
でもあれだな。
ちょっとリアリティを求めすぎたな。
暗闇で見ると、びびる。
深夜起きたとき、夜風にあたるかーって外に出たんだけどさ。
家の外に置いといた彫刻の数々、いきなり見たら、びびるぜ。
火を噴くドラゴンに、大鎌を持った死神、なんかよく分からんけど酔っぱらった時に作った触手モンスター。
あれほど心臓に悪い光景ってなかなかないよね。
そういうわけで、彫刻の趣味ブーム終了。
楽しかったけど、次のブームがくるまでは待機で。