03 メタボ気味なもこまき羊の話
一人暮らしは気が楽だ。
あと、人間社会で生きていないのも。
時間に縛られた生き方をしなくても良いから、好きな時間に起きて、眠れる。
といっても、最低限のスケジュールはしっかりこなさないとな。
自分のためにも。
同じ惑星で生きている動物のためにも。
そんなわけで目覚めた俺は、家の外に出て、自慢の角でもこまきな羊達を操った。
「メェー!」
「メェメェ!」
「メェッ!」
おらおら羊とも、動くんだよ!
で、そういえば昨日は説明していなかったな。
なんで俺がそんな事をしているのかって。
それは。
この惑星の羊が運動不足だからだ。
なんかここ、競争社会の競の字を忘れたような、ゆるゆるな快適環境らしくて。
色々な動物達が、ぐだぐだしちまってるんだよな。
それで、運動不足になってみんな肥満になってるってわけ。
それじゃ、健康に悪いから、俺が適度に運土させているってわけ。
あ、ちゃんともこまき羊達の意思は尊重してるぜ。
嫌がってるやつを無理に操ったりはしてないから。
まあ、そんな羊の寿命は短くて、ある日突然ぽっくり逝っちまってるけど。
やっぱり駄目だね。
自分に怠惰な生活っていうのは(ブーメランだって?)。
そういうわけで、俺はえっちらおっちら笛を吹く。
もこまき羊を右に移動させたり、左に移動させたり。
ぐるぐる回らせたり、直線的に走らせたり。
はいはいジャンプジャンプ。
リズムにのって足踏み足踏み。
ダンスみたいになってるけど、まあ運動になるならオッケーでしょ。
もこまき達も楽しそうに「めぇめぇ」いいながら踊ってるし。
いやあ、一糸乱れぬ団体行動って時には美にも通じるんだな。
俺はそういうのやった経験あんまりないけど。
だって、俺がまざると団体行動必ず乱れるからな。
人に合わせるのが難しくて。
だから、いつもメンバー選外状態よ。
とと、そんな悲しい思い出のアルバムはそっ閉じしておこう。
おかげでこの世界に転生した頃よりも、二回りくらいはスリムボディになったはずだ。
このままの調子で行けば、健康的なボディになれるだろう。
わがままぽっちゃりボディよさらば。
そのかわり、君達の体についてるそのもこもこ譲ってくれよ。
布団の中につめたり、編み物したりするから。
ちなみに一部の熱狂的なダンス好き&運動好きのもこまき羊達がなんかグループを組んでアイドル的な存在になってた。
羊の世界にもアイドルとかいう存在あるんだね。
他のもこまき羊にキラキラした目で見られながら、舞台上のアイドルみたいに注目あびながら踊ってたな。