18 迷子と洞窟
なんて考えていたせいなのか。
迷ったぜ!
地底の底からこんにちは!
絶体絶命の状況にいる!
今までさくさく行き来していたのに、急に記憶喪失になる事ってあるよね。
何か特別な事があったわけでもないのに。
あれなんだろうね。
今何してたっけってなるの、誰か名前つけてくれないかな。
なんて言ってる場合じゃない。
上に戻る前に、通る洞窟があるんだけど、迷った。
どこが出口か分からない。
これじゃ、行き倒れるのも時間の問題だ。
俺の第二の人生ここまでかー。
まあ、しょうがない。
そこそこ楽しめたし。
本来あってないようなもんだから。
あの世の暮らしも悪いもんじゃないかもしれないしなー。
やる気をなくしたんで俺はその場に寝転がった。
駄目なもんは駄目。
無理なもんは無理。
だったら、得られない結果のために苦しい思いをするだけ損じゃん。
はいごーろごろー。
地面を転がりながら、俺はあきらめの境地に達する。
けれど、なんだかんだいって、天は俺を見放さなかったらしい。
ブドウスライムを腕に抱いたXさんが、何をしているんだろうみたいな目でこっちを見てきた。
きゃっ、恥ずかしい。
でもなんでXさんがここに?
すると里帰りしていたXさんが、ブドウスライムが騒いでいるのを見て、探しに来てくれたという。
しかもなぜか、家の中に俺の生き先の地図とかがあったから、それを見てだって。
おん?
そういえば、俺の荷物なんか知らない間になくなってるな。
研究所っぽい建物出るときはちゃんと地図あったのに。
まあいっか。
Xさんあざっす。
ははー、ありがたやー。
人間、一人でもある程度生きてはいけるけど、危ないところを助けるのは誰かとのつながりだったりするんかなあ。
しみじみ。
とにかく、命の恩人を蔑ろにするわけにはいかない。
帰ったら、美味しいものたくさんふるまってあげよう。