13 久しぶりの前世の夢
タイトルでお分かりの通り。
今回は、通常回じゃないぞ。
久しぶりに見た夢の話だ。
見たのは前世のやつ。
もちのろん。
俺が灰色人生を送っていた頃の事だな。
ほら、飛行機が空飛んでて、自動車が地べた走り回ってて、高層建築のビルの中で会社員があせくせ働いている世界の。
他の人たちは皆一生懸命がんばってる。
朝起きて、学校いって、会社にいって、習い事してみたり、掃除炊事洗濯してみたり。
俺もがんばってみた。
朝起きたり、学校いったり、会社にいったり、習い事はしてなかったな。
炊事掃除洗濯はしてみた。
でもだめだった。
うまくいかんかった。
それだけの話だ。
特に山もない夢の内容だ。
やめやめ。
この話しゅーりょう。
なんか話してたら暗くなる。
もうちょっと聞きたい?
うーん。
じゃあ、もちょっとだけ。
でも話せる事なんてないぞ。
俺は毎日色味のない生活を送ってるし。
ほらあれだな。
なんていうかあれあれ。
皆がカラーテレビを見てる中、モノクロテレビを見てる感じ。
分かる?
伝わるかな。
ともかく、シリアスだった。
そんなでも、ちょっといい話は転がってるもんで。
財布を落とした女性に、落とし物しましたよーって言ってあげたり。
アイスを落とした子供に、アイス……はなかったんでスーパーで買ったばかりの、指にはめて食べる交通整理用のコーンみたいなお菓子をあげたりしたな。
あと、鳥が空からおとしたオタマジャクシが瀕死だったから、近くの川にそっとリリースしたり。
これでどう?
他に話せる事?
ないない。
人に話して面白いような事なかったもんで。
あれだ、生まれる世界を間違えたってやつ。
不幸なもんだねー。
誰も悪くないから余計にねーえ。
でも、俺が見てたのは夢なもんで。
ちゃんと最後にはオチがつきますよっと。
で、そんな夢が終わる間近。
ブドウスライムがサンバをしながら道路を占拠したり。
Xさんが俺と一緒になぜか歌を歌い出したり。
花大陸が頭上から花吹雪を散らし始めたり。
最後はそんなカオスで終わりましたとさ。
うん、自分の夢ながら意味が分からないな。
だけど滅茶苦茶すぎてすぐに夢だって分かったよ。
あーやっぱ夢だったな。
夢で良かったなって。