61/93
61話
稀人を燃やした理由はもう一つ、魔道具の材料などにされないためだ。心配し過ぎかもしれないが、可能性がわずかでもある以上は無視出来なかった。
稀人はおそらく【時間停止】スキルを持っていた。
そのスキルを使い、俺の周囲の森の部族の首を切ったのだろう。そして俺相手では歯が通らず、怒って殴ったところ逆に拳を痛め、うっかりスキルを解除してしまった。予想としてはこんなところか。
初めて人を殺しても別に何も感じなかった。
俺はこれまで数え切れない野生動物や魔獣の命を取っている。別に人間だから特別とかはない。
ましてこれだけの悪人相手ならためらうこともない。
北の部族の長の稀人を失い北の部族は戦意喪失。逆に森の部族は仲間を殺され怒り狂う。
結果は森の部族の圧勝。
北の部族は全員処刑されることとなった。
「ムノー……あなたが行ってしまうのは寂しいです」
「俺が居なくても大丈夫だ。健康に気をつけろよ」
俺は森の部族に別れを告げ、歩き出した。




