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31話
50年ほど経った。
何故か俺の隣には、ブツブツ文句を言いながら菓子を出店で売る、元洋菓子店店長のばあさん(店は子どもに譲ったと)。
そして週末には、辺境伯夫妻が子どもを連れて、ばあさんの店にやって来る。ついでに俺の店にもくる。
「とうとう、あんたには敵わなかったですわ」
「まいどあり〜」
「毎回、毎回、あっと驚くお菓子を作って、当たり前のようにレシピを投げ売りして。その気になれば、王都の一等地でお菓子作りだけで優雅に過ごせるだけの腕がありながら……」
「あざした〜」
横でブツブツと同じ話を何度も言うあたり、ばあさんは、もう年だな。お菓子作りも、細かな作業が出来なくなっている。
「……」
「……? おい、ばあさん、しっかりしろ!」
ふと静かになったと思ったら、ばあさんはいつの間にか眠るように息を引き取っていた。
最近は寝過ごさず人間関係リセットがなかったが、そうだよな。人は寿命で死ぬものだ。
俺は相当精神的に参ってしまったらしい。
自宅に帰り、寝て、起きた時には、周りに何もなくなっていた。
ってかここは宇宙か?




