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26話
近くの町に行っては、適当に出店を出してお菓子を振る舞ったり、作った小物を売ったりし、家に戻る、を繰り返す日々。
前世で言うところのキッチンカー、移動コンビニだな。
これはこれで悪くない。
というか一番気楽で良い。
俺の出店は、自作の押し車。
町の石畳を傷つけないように樹脂のタイヤを6輪付けている。
今日も適当に商売し、もう夕方。
さて、帰るか。
……。
家では夜には、版画で文字を彫っている。
俺の作業スピードは1分に本3ページだ。
文字を彫る場合は左右逆になるが、頭の中で完成像が出来ているので、特に下書きも何も要らない。
これを町の本屋の連中に卸すのだ。
けっこうまとまった収入になるから、割の良い内職だ。
本の内容は、今まで俺が異世界で見た本そのまま。
だが問題ない。何せ、それらは時代が流れて失われているから。




