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Enptiness  作者: Jupited.i
7/8

最善の策

今回はユウリ視点で進みます。

ミツキちゃんは植物人間になった。

体は生きているが、脳が死んでいる。

医者からも、治ることはほとんど無いと言われた。

エリちゃんにはこんなこと伝えれなかった。


???「ユウリ...ミツキちゃんの事なんだけど...」


僕が振り返ると、その子は1言。


???「クォーモロスに頼もう。それしかない。」


エリちゃんが食べていたパンを少し吹き出しながら言った。


エリ「クォーモロスってミツキを殺そうとしたトップランカーだよね?危ないよ..」


だが、その子は落ち着いた様子で返す。


???「もちろんそう。でもクォーモロス以外頼れないんだ。あいつは多分特効薬を持ってる。」


エリ「そう...そうなんだけど...」


エリちゃんは何か言いたそうだ。

でも僕も同じ気持ちだった。不安もあるが、それ以外方法がないと思った。

そこで僕は切り出した。


ユウリ「僕がクォーモロスに頼みに行く」


そういうと2人は、とても驚いた顔で僕の顔を見つめた。するとその子は、


???「相手はトップランカーよ。あなたが抵抗したところで肉片になるのがオチよ。」


と冷たく放った。

エリちゃんはその子の意見を肯定した。

2人が止めても、僕は行かないといけないんだ。


ユウリ「僕はミツキちゃんを助けたいんだ。ミツキちゃんが助かるなら...僕の命なんてどうでもいい。」


僕の言葉を聞いて、その子は、呆れたようにため息をついたが、エリちゃんは違った。


エリ「ユウリがそこまでいうなら...」


ユウリ「ありがとう。今日の夜出発する。クォーモロスの場所はあの子に聞いた。」


???「うん。この殺戮者コンパスで確認できるようにしてる...だから行ってらっしゃい。」


殺戮者コンパスとは、ミツキちゃんが流した血をそのコンパスに吸わせることで、その傷害を与えた人物の場所の方角が8方位で表されるというものだ。

朝ごはんを勢いよく食べた僕は、そのまま外へ出て、剣の素振りを始めた。











夕方、晩御飯を食べると、すぐに殺戮者コンパスを持ってクォーモロスを探した。

案外近く北東に2km地点にいるとの事だった。

そして、15分ほど歩くと、2km地点に着いた。

その時、天から舞い降りてきたのは、クォーモロス。真の殺戮者の姿だった。


クォーモロス「おやおや。ミツキ付属の少年。殺されに来たのですか?」


クォーモロスは優しく、だが、殺意を向けて言葉を発した。

僕はその時、恐怖を覚えた。

だが、ミツキちゃんのためだと自分を囃し立てると、クォーモロスにこう返した。


ユウリ「ミツキちゃんが植物状態になったんだ。僕たちはこの世界の中心に行かなくちゃならない。だから、特効薬を..」


クォーモロス「無理です。」


奴は、僕の話を遮った。


クォーモロス「まず、ミツキを助けるのと中心に行くこと。なんの関係があるのですか?ミツキなど必要あるのですか?」


少しムッとした。だが正論であった。

僕はこのままだと、何の成果もなく終わると察し、ある提案をした。


ユウリ「なら...僕と戦って、勝ったらミツキちゃんの特効薬をください。」


クォーモロスは怪しげに口角を上げる。


クォーモロス「ほう...オモシロイ...力試しということですね...いいでしょう。その案、乗らせていただきます。」


そういうと奴は剣を抜いた。

周りの空気が一気に冷えたような気がした。

そして僕も奴に剣を構えたが、少し震えている。


クォーモロス「始めますよ。」


そういった途端、奴は風のように僕に近づいてきた。

そして剣を横降りした。

あまりの速さに、剣はその攻撃を追えない。

もう勝負は着いたと思った。


だが、僕は目の前の光景に目を疑った。

奴の剣がとてもスローなのだ。


(これがミツキの言ってた"能力"か..!)


そしてゆっくり動いていた間に、剣をかわし、奴に剣を振った。

クォーモロスは驚いた顔をしながらも、鋼鉄を仕込んだ手で受け止めた。

そして、奴は距離をとる。


クォーモロス「あなたの能力...とても厄介ですね...まぁいいでしょう。」


すると、奴はLuxviete(ルックスヴィーテ)を放った。

10数本の小刀が、僕を目掛けて飛んでくる。

またしても、剣が、ゆっくり飛んでくる。

全て剣で振り落とした。


クォーモロス「ほう...面白い。」


そういうと奴はまたしも唱える。


クォーモロス「servitus(セルビートス)。そろそろ死にましょう。」


すると、僕の近くに鎖が出現する。

それは僕の手足に結びつく。

それを見たクォーモロスは、剣で襲いかかってくる。

剣を振り上げた時、またスローになる。


だが、躱す手段がない。

手足は縛られ、剣は使えない。

そして、鎖も引っ張った程度では外れない。

そうしている間にも剣は近づいてくる。


僕は絶望した。この攻撃は避けられない。

そして、その剣が腹とゼロ距離になった時。

痛みが僕を襲った。

腹を尖ったもので開かれていく。肉がプチプチ...プチプチと切れていく。

血が腹から吹き出る。


だが、ずっとスローだ。痛くてたまらない。

何度も、自分が生きてるのか確認した。


(感覚ありってそういう事か...)


そして、剣が腹を斬り終わったとき、やっと時間が等倍で進むようになった。

僕の顔は鼻水と涙と血でぐしょぐしょだった。

それを見てクォーモロスは言った。


クォーモロス「感覚維持状態の擬似的な時間停止でしょう。まぁ最初の時点で分かっていましたが。」


その時、鎖が解けた。

開放された。

あんな痛みを知ってしまったら、もう自分から行くなんてできない。

ネガティブな考えが頭を埋め尽くす。


その時、僕の絶望した頭の中に、1人の女性が浮かんだ。

違う。僕はあいつを助けるためにここにいるんだろう?

なら自分なんて...死んでもいいじゃないか。

そして強く決意した。


ユウリ「クォーモロス、僕は殺るよ。君を。」


クォーモロス「はは。よく言います。」


そして僕はクォーモロスに向かって踏み込む。

少し遅いが確実にクォーモロスに近づいている。


クォーモロス「Infirmationis(インフィルマティオニス)。私も時間が無いのです。」


やつが唱えた魔法は何も起こらなかった。

そして奴に剣を振った。

奴は交わして拳を胸に刺してきた。

僕は後方に4mほど吹き飛ぶ。


ユウリ「なんで...時間停止されないんだ」


クォーモロス「さっきやった能力の効果ですよ...もういいでしょう少年。」


するとクォーモロスは僕に近づき、あるモノを渡した。

それは黒い手袋だった。


クォーモロス「この手袋をつけていると、相手の情報が見える。つけてみてください。」


そう言うので、手袋をつけてみると、クォーモロスの上に"V"と"蓄積"と見えていた。


クォーモロス「Vはランクです。そして、蓄積は能力です。」


ユウリ「凄いですね...」


クォーモロス「あとこれもです。あなたの強さは分かりました。特効薬をあげてもいいでしょう。」


すると瓶を1つくれた。


ユウリ「ありがとうございます...!」


僕は少し感動して泣きそうになった。


さっきまで向けられた殺意が、今は感心に変わっているからだ。


クォーモロス「傷が少し深いですね...よっと。」


そういうと奴は僕をお姫様抱っこする。


クォーモロス「fuga(フーガ)。さぁ街に戻りましょうか。」


するとやつの背中から翼が生え、僕たちは浮き上がった。

上からの景色は、真っ赤ながらもとても魅力的に見えた。

そして僕達は天を移動した。

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