散りゆく命と報復の剱
私は中心から50000km離れた、モースという町で生まれた。
私にはお姉ちゃんがいて、小さい頃から2人暮らしをしていた。
姉ちゃんは手先が器用で、家事や、裁縫は、まさに1級品レベルだった。
対して私は、不器用だったため、家事はまったく出来なかった。
私が料理を作る度に、お姉ちゃんは、食べてくれた。
美味しいと言って貰えた時は、飛び上がるほど喜んだ。
今となってはお世辞だったのでは、と思う。
でも、不器用な私でも、得意なことがあった。
それはモンスターの討伐だった。
私は生まれつき、剣捌きが上手かった。
だが、お姉ちゃんは、モンスター討伐が苦手で、剣ではなく鎌を使っていた。
理由は「かっこいいから」だと。面白い姉だよ。
私は、お姉ちゃんと一緒に居たい、と思った。
でも、こんな幸せな生活も、長くは続かなかった。
私が8歳の時、創造神から派遣されたトップランカーが、私たちの街を襲った。
そいつは白髪で、帽子をかぶり、スーツを着ていた。
そしてそいつは、目に付いたヤツを全員殺して行ったんだ。
町では悲鳴が耐えず響き、血で染まっていく。
その時私たちは頼まれていたモンスター退治の帰りだった。
???「おやおや...こんなところにお嬢さん2人...」
私はそいつを見ただけでヤバいやつだと本能的にわかった。
ミツキの姉「あなただれ...」
姉が口を開いた瞬間。
もう腹を切られていたのだ。
???「残念ですねぇ、お嬢さん。お姉さんが殺されてしまって。」
私は悔しかった。こんな奴に姉の命が奪われたことに。
私は反撃として幼い剣をそいつに刺そうとした。
???「おや..お嬢さん。あなたも"殺しますよ"」
背筋が凍てつくような声。私は剣を下ろしてしまう。
そいつは次の獲物を殺りに消えた。
私はすぐにお姉ちゃんの元に駆け寄った。
ミツキ「お姉ちゃん!お姉ちゃん!」
何度も何度も声を浴びせた。
お姉ちゃんの体が..体温を失っていく
お姉ちゃんはすごく弱い声でこう囁いた。
ミツキの姉「ミツキはね...まだ秘められている力を持っているの...私にはない。とても強い力が。私がいなくなっても...自分らしく生きてね...。」
言い終わった時、姉の体は冷たくなっていた。
秘められた力...自分らしく生きる。
お姉ちゃん。私、最期の言うこと聞くよ。
白い髪が、インテッドに舞う。
私は、髪を切ったのだ。
幼少期の頃とおなじボブほどの髪の長さに。
そして、跪いて鎌を床に置き、鞘から剣を取り出した。
そして、剣をやつに向いて構える。
クォーモロス「嗚呼、懐かしい。幼少期のあなたを思い出します」
は?何言って
クォーモロス「覚えていないのですか?あの"大切なあなたの姉"を殺したのは私ですよ?」
突然の告白に、一気に殺意が増す。こいつは殺さなきゃいけない。
ミツキ「やっと見つけた...なら必ずコロしてやる。」
私はこの時、笑いが止まらなかった。
狂ってしまったのか、もしくはこの状況に諦めた笑いなのか...分からなかった。
クォーモロスに向かって踏み込む。
今までの3倍くらい速い。
奴の顔に、少し焦りが出る。
そして、それはクォーモロスの左手をとらえた。
だが..堅い..!?
クォーモロス「手には鋼鉄を仕込んでいるんです。手袋していたから気づきませんでしたか。」
そして距離をとるための蹴りが飛んでくる。
私は間一髪躱す。
私も少し焦ってしまった。やつの弱点はどこだ。
クォーモロス「おや、考え事ですか。相手から目を離すのは死の合図です。」
そして素早く剣が飛んでくる。
それを剣で受ける。それを起点に、クォーモロスの斬撃が無数に飛んでくる。
全て剣で受ける。金属音が鳴り止まない。
そして奴が剣を振り上げ、隙を作る。
ここだ....ここを突かないと殺れない!
そして剣で喉を突いた。
だが、奴はそれをさっき切った左手で受け止めたのだ。
今度は私に出来た隙をクォーモロスは見逃さない。
クォーモロス「さぁ死にましょう。」
そして音速にも近い刃が飛んでくる。それは私の頭を狙っていた。
剣では受けられない。なら...あそこしかない!
私は賭けに出た。止められたら勝ち。止められなかったら負けだ。
そのままやつの刀は頭目掛けて飛んでくる。
最後まで引きつけろ....集中しろ。
その時目を瞑った。そして全神経を集中させる。
ミツキ「ここだ!」
そして私は歯で刀を噛んで止めた。
さすがのクォーモロスも顔に焦りが出てしまう。
そして、クォーモロスに大きな隙ができる。
ここを見逃して、トップランカーは名乗れない。
そしてそのままやつの首に狙いを定めて剣を振る。
確実にとったと思った。
だが、無情にも甲高い金属音がなる。
そう、奴は首にも鋼鉄を仕込んでいたのだ。
クォーモロス「勝ったなんて油断するのは未熟です。」
私を嘲笑うかのように奴の斬撃が腹に刺さる。
それは私の"GAMEOVER"を意味していた。
私はその場に崩れ落ちる。痛くない。
痛くないのだ。なのに体は言うことを聞かない。
クォーモロス「さぁトドメをさしてあげましょう。何か言い残すことはありますか?」
奴はそう問う。
ミツキ「きゃは。元々私ではお前に勝てると思ってねぇよ。」
クォーモロス「そうですか...なかなかいい相手でしたよ。ミツキ。」
ミツキ「なぁ、クォーモロス。お前が言ったこと覚えてるか?」
クォーモロス「はい?」
ミツキ「勝ったなんて油断するなよ?ヒヒッ」
私は計画どうりだった。
奴の背後からとんでもないスピードで迫ってくる人物が1人。
そう。エリだ。
エリ「消えてくださいよ。」
エリの拳が奴の顔に刺さる。
奴は血を吐き、鼻血を出しながら笑う。
クォーモロス「これはこれは...創造神の継ぎさんですか...!もう少し殺り合いをしていたいのですが...少し分が悪いので私は退かせてもらいます。」
エリ「まて!!」
エリが止めた頃には、もうクォーモロスはテレポートで居なくなっていた。
エリ「ミツキ!!またこんなに怪我して...速く町に帰るよ!」
私を抱えたまま、ダッシュで町へと戻る。
どのくらい時間が経っただろうか。
町へ着いた時、もう光は明けかけていた。
私を抱えたまま、エリはかなり長い距離を走ってくれた。
門番「ミツキ様!!どうなさったのですか!?早く医者を!!」
そして私は医者によって運ばれた。
エリ視点
ミツキを抱えて3時間ほど走ったおかげで、門をくぐる時にはもう疲れ果てていた。
もう立っているのが不思議な程に。
ミツキは医者によって病院に担ぎこまれた。
私は、安心感と、膨大な疲労によって、そのまま門の前で倒れてしまった。
目が覚めた時、外は朝だった。
驚き、ベッドから飛び起きると、ユウリと少女がビックリしてこちらを向いた。
その途端ユウリが私のもとへ走ってくる。
ユウリ「もぅ....めっちゃ心配したんだよ!?..」
???「丸1日寝てたからびっくりだよね。」
そんなに眠っていたのかと再度驚いてしまった。
エリ「そういえばミツキは?どうなったの!?」
ユウリ「....ミツキは....」
もう...僕らと一緒に冒険に行けないかもしれない。