表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Enptiness  作者: Jupited.i
1/8

空虚の世界




「どうしてエリは...中心を目指しているの...?」

そう問う少年。そして答える少女。


「この世界の真理は、中心にある。でもそれだけじゃない。私の...大切な人が、待っているはずだから...」

そして少女は思い出す。いつからこう思うようになったのだろう、と。

そして、少女は過去を辿り始めた。













































「ここは....どこ?」


目を開けると、そこには薄く霧が立ち込める世界が広がっていた。

知らない景色を目の当たりにし様々な疑問が、頭に溜まっていく。

まるで堆積する泥のように。

それに比例して、私の不安も大きくなっていった。


「誰かー...誰かいませんかー...」

混乱する頭をよそに、口は反射的に助けを求める。

辺りを見回すと、先程の助けが届いたのか、謎の人物が近寄ってくる。

???「あ...あの...大丈夫ですか?」


近づいてきた人物は、身長は150cm程の男の子で、若く見えた。

???「あ...あの...大丈夫...ですか...? もしかして...怪我してるとか...?」

私からの返答がないのが気にかかったのか、彼は再び声をかけてくれた。

「いや怪我は...ない。大丈夫」


その答えを聞いて安心したのか、彼は息を漏らす。

「ね。質問していい?」

???「...?....いいよ?」

「それなら......君って、名前なんて言うの?」


彼は意外な質問に少し驚きながら答える。

???「僕?僕の名前は...ユウリ。」

彼は、おどおどしながらも答える。

「ユウリ...ね。ユウリって呼んでもいいかな?」


ユウリ「う...うん」

少しの沈黙の後、私は軽い質問を投げかける。

「ね。ユウリ、この世界に来たのいつ?」

すると、彼は目を閉じ、考え込んでから答えた。


ユウリ「んと...多分...3年前くらいかな」

「3年前!?」

驚いた。こんなに小さな少年が3年もこの世界にいたというのだ。

ユウリ「ほら...これ見て」


そう言うと彼は時計のようなものを出してきた。枠は金色で、少し錆びている部分もあったが、とても神秘的に見えた。

そして真ん中にあるメーターには「107224536」と書かれていた。

ユウリ「分かりづらいけど...これって僕がこの世界に来てからの秒数なの。」


そう言うと、彼は続けて説明する。

ユウリ「1年って31536000秒だから...ざっと3.4年かな。」

その桁の数字の暗算をその速度でできるとは...私よりも遥かに賢いようだ。

ユウリ「あの...あなたの名前も...聞かせて欲しいな。」


「私?私は.....えーと。」

頭には記憶がある。だがモヤがかかったように思い出せない。少し頭痛がする。

ユウリ「..............」

だがここで教えないと相手が困ると思い、嘘でも答えることにした。


「私の名前は...エリ。」

ユウリ「エリ...いい名前だね。......エリちゃん、って呼んでもいいかな...?」

エリ「いいよ。」

そう言うと彼は恥ずかしそうに言う。


ユウリ「え......エリ...ちゃん?」

言い終わると、さらに恥ずかしそうに俯く。

私は彼を見てすこし口角が上がってしまったが、すぐに真剣な顔に戻す。

エリ「あのね。私、気づいたらここにいたの。だから、この世界について教えてくれないかな」

ユウリは少し沈黙した後ゆっくりと話し始めた。

ユウリ「この世界は...『空虚の世界』と言われているんだ。」

エリ「空虚の世界...?」

ユウリ「そう。そして...この世界。とても大きくて、果てが見つかってないんだ。僕たちが.....今いるところも、世界の中心から40,000,000km離れている。それで___」


そして急に、彼はとても恥ずかしそうにした。

エリ「ど...どうしたの?」

ユウリ「え...えとね.......それで........この世界の人たちって....その.....せ....生殖器が.....ないんだ。」


彼は精一杯振り絞って言う。

ユリ「つ....つまり...この世界では人が生まれることはないって事ね。」

ユウリ「そ...そう!...そういうこと...」

彼は少し明るく答えた。


そして彼はコホンと咳き込み、改まって話し始めた。

ユウリ「そして、この世界には、『創造神』がいる。」

真剣な雰囲気に、思わず息を飲む。

ユウリ「名前は........エル。」


その名前を聞いた刹那、私の頭の中の南京錠が、解かれていくように"思い出す"。

エル.....エルは...!!エルは...............!!!

冷や汗が止まらず、過呼吸になる。

頭痛が酷くなり、吐き気もしてくる。

苦しい...苦しい......

そして立ちくらみがし、その場に倒れ込む。

そして意識を失った。



















































































目を開けると、そこにはユウリがいて、私の顔を心配そうに覗きこんでいた。

頭は...柔らかいものに体重を預けている。

こんなに幼い少年に覗かれているということは、膝枕をされているのだろう。

ユウリ「大丈夫....エリちゃん....?」


ユウリが心配そうに伺ってくる。

ユウリ「大丈夫...じゃないよね。リメンバーシックの症状結構苦しいし...」

エリ「心配かけちゃってごめんね。もうなんともないから平気だよ。」

多分返事をしないと、彼は心配でいっぱいになっていただろう。


そうするとユウリは話し始めた。

ユウリ「いや...これに関しては...僕が悪いんだ。この世界の特徴を教えてなかったから。」

申し訳なさそうだった顔から一変し、彼は真剣な顔になり、話を続けた。


「この世界はね、原因不明の......リメンバーシックっていう病気があるんだ。この病気はこの空虚の世界にいる全員......が持っている病気で、何か大切なものや人物を思い出そうとすると酷い頭痛...や吐き気に襲われるんだ。そして酷い場合は......意識を失う。そして、この症状がでると、1人の人物を忘れてしまうんだ。」


色々な情報が頭に入ってきて、処理がしきれない。

だが不明な点があった。

エリ「ね。ユウリ。」

ユウリ「...?」


エリ「私にリメンバーシックの症状が出たのに、なんで誰も忘れていないの?」

私の質問に対する回答は、案外単純だった。

ユウリ「うーん...まだ僕しか知ってる人いないから...忘れなかったとか?」

彼は首を傾げながら言う。


ユウリ「さ、そろそろ行こうか。」

エリ「どこに行くの?」

膝枕をやめて、彼は足音を鳴らしながら私の先を行く。

ユウリ「図書館だよ。」


と...図書館...?

ユウリ「エリちゃんも...この世界に来たばかりなら、1回くらい行ってみよ...?」

エリ「う...うん...」


そうして私はこの世界について知るため、図書館を目指した。

そして私は新天地へと歩を進めた。

彼の離れゆく背中を眺めながら。

Jupitedです。

読んでいただき、ありがとうございました。

まだまだ至らない所がありますが、これからもよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ