第2話 主人と従者
冒険者ギルドの受付に行くといつも世話になっている職員から声を掛けられた。
「ヨシュアくん、あなたに指名依頼が来てるわよ。」
指名依頼とは、特定の冒険者に依頼したい場合に使われるもので、大抵は貴族や大商人から高レベル冒険者に対して行なわれる。だから俺のようなFランクにそんな依頼来るわけが無い。
「何かの間違いでは?」
「ところが間違いじゃないのよ。必ず受けてもらうようにって添え書きまであるの。」
そう言ってギルド職員―――ラティアはため息をついた。
俺は確かにFランクだ。ただ、最近は魔法を覚えド派手に活躍していた。心当たりがあるとすればそれだけだ。
「依頼内容を聞かせてください。」
「それが内容は直接話すと、場所はね――――」
すんごく怪しいが特に失うものがないことに気付き俺は指定された場所に向かった。
「貴方がボクの依頼主さんですか?」
宿屋の指定された部屋に入ると若い女性が微笑んでいた。
「初めましてF級冒険者のヨシュアです。早速ですがご依頼内容を――――。」
言いかけたところで女性の言葉が遮る。
「あんた。あたしを見て何か言うことはないの?」
「・・・?いま申し上げているところですが??」
「ヨシュアのバカぁぁぁぁーーーーーーーーー!!!!!」
あ、この女思い出したわ。この身体の幼馴染だ。
「冗談ですよ。マイマスター。本日の御用件は?」
「ぎぎぎ、、、揶揄ったのねヨシュアの分際で。まあいい、用件をいうわ。」
涙目である。
「アタシ今度出陣することになったの。だから従者としてついてきなさい。」
ああ、そんな設定あったな。
「しかし、マスター。ボクはご存じのとおり貧弱ですが?」
「アタシが護るから問題ないわ。」
「御言葉だけでは信用できませんね。」
「ムキ――――――!!!あたしだってシントウ流門下で天才と言われるほどの剣士なのよ!!ちょっとそこで見てなさい!!」
室内なのに構わずアリサは抜刀した。
アリサの言うシントウ流とは剣の流派の1つで、他の2流派を合わせて3大流派と呼ばれている。
「これからアタシのシントウ流奥義を見せるわ。感謝しなさい。」
そういうと青眼の構えから一撃を放った。見えなかった。それに狭い室内なのにどこにも傷一つ付いていない。かなりの腕前だ。
あれが一の太刀か。前世で伝え聞いた知識から技名を推量した。
これは「欲しい」な。
理解出来ずとも「見る」ことが出来れば、詳細鑑定持ちの俺の見取に支障はない。
俺の持つ光魔法『大閃光』と水魔法『うねり』、そして今見取した『一の太刀』を合成して―――――
「出来た!!!『星海波』と名付けよう!!!」
早速詳細鑑定をしてみる
「星海波:光る波が前方100mに渡り放たれる。1つ1つの波の威力は一の太刀級である――――。」
突然のチートである。地上にいる敵や構造物なぞはこのスキルの相手ではないだろう。
ただし、空を飛ぶ敵には新たなそうだが。
もう一つ合成しておくか。
「マジックミサイル×8」と「詳細索敵」を加えると――――。
「オートミサイル×8」が完成した!!!
オートミサイルを発動するだけで付近にいる「敵」に命中する魔法である。
「・・・ちょっと?ヨシュア!聞いてるの!!」
自分の世界に没入していて全く聞いてませんでした。
「アタシは!これだけ強いから!あんたを守るなんて造作もないの!だから戦場に同行しろっ!!」
強いのならば俺が態々同行しなくてもよいのでは?と心の中で突っこみつつ、新スキルの試し切りをしてみたくなった俺は同行することにした。
「そ、それではマスター、必ずボクを守ってくださいね?」
「わかってるわよ!」
――――――――今世でもさっそく戦場にいくことになった。