第1話 スライムに倒されし男
色々な方の作品を見て自分でも書きたくなって初めて書きました。
おかしな箇所が多々あるかと思いますがご容赦ください><
「帝国軍を蹴散らし、必ずや吉報をお届けいたします!!」
俺は陛下にそう確約をし、王都を後にした。
王都を発って3週間、第1師団と第4師団を引き連れ、俺は軍団長として会戦の場にいる。
敵軍は多く見積もっても3万、こちらは4万、数的優位はこちらにある。
こちらの布陣は、第4師団歩兵第8連隊と歩兵第37連隊を前衛に、第1師団歩兵第1連隊を右翼、左翼に歩兵第49連隊を配置し、後備として騎兵第1大隊と第4大隊を本陣付近に配置した。
今は鶴翼の陣形となっている。
一方、敵は方円の陣を取っているが、不可解なことだ。
「副官、敵は方円の陣を取っているが、どうみる?」
「彼我の戦力差は1万、そこまで守備を固めなくてはならない状況ではありません。増援部隊か若しくは伏兵でもいるのかと思われます。」
俺の副官であるヒルメス・フォン・ヒューバート少佐は言った。
「後備の騎兵は1中隊を本陣の守備に残し、残りは全騎を敵の右翼及び左翼前方にある森の偵察にだせ、伏兵がいないようならばその場で待機、伏兵に遭ったら退却させろ。」
俺は命を下した。
数刻経った後、偵察に出した騎兵からの伝令が来た。
「軍団長、右翼左翼ともに伏兵はありませんでした。」
「よし、副官!伝令を出せ!前衛部隊は前進し敵を殲滅せよ!!」
「次に右翼左翼にいる歩兵連隊に、敵が我が前衛を囲む動きを見せたら横槍を衝け!」
「最期に最右翼左翼となった騎兵大隊へ、そのまま伏兵と化し敵が隙を見せたら叩け!!」
「御意!!!」
副官は伝令将校に伝えるため、天幕を出て行った。
そして俺は本陣にいる騎兵中隊長を呼んだ。
「貴君はこれから本陣を発ち、大きく迂回して敵の真後ろに回れ、そして敵の兵糧を探し燃やすように。」
「軍団長!それでは本陣の防備が空となってしまいます。
「大丈夫だ。本陣は我が家の騎士たちだけで十分だ。それに奇襲を受けそうになったら逃げる。」
「御意!それでは直ちに出立します。」
「武運を祈る。」
中隊長が出ていくと入れ替わりにヒルメスが戻ってきた。
「軍団長。今のはセオドライト・フォン・クローネル大尉では?何か御下命されたのですか?」
「うむ、戦場を迂回し敵の裏に回り兵糧を焼けと命じた。」
「!!!!?それでは本陣の防備がなくなってしまいます!!」
「安心いたせ。これより本陣を前線に移す。ここからでは戦局がよく分からないからな。」
そうして俺は歩兵第8連隊司令部へと本陣を移転した。
戦局は俺の読み通り動いている。
我が軍の前衛を敵の前衛が食い止め、そこを敵の右翼、左翼が包囲しようとしていた。
しかしそこに我が軍の右翼左翼が横槍を入れ、戦況は我が方に有利となっている。
「あとはセオドライト中尉が敵の兵糧を焼けば積みだな。伏兵は使うまでもなかった……かな?」
2刻ほど経った頃、突然、天幕が開き疲れ切った男が入って来た。
「セオドライト中隊の伝令です!緊急のため失礼をお許しください。」
「何があった??落ち着いて申してみよ。」
「我が中隊は戦場を左翼から大きく迂回、敵の背後に回ろうとしていたところ、敵の大軍と遭遇、交戦中であります!」
「何!?敵の数は??」
「少なくとも2万……多ければ3万はいるかと。我が軍を包囲する形で動いている模様です。」
「なんだと……!?」
「注進!注進!!最右翼にいる騎兵第1大隊より、敵軍3万と交戦中とのこと!!」
「・・・・・」
こちらが包囲しようとしていたと思ったが、実際は敵に包囲されようとしているのか……。
しかも、敵軍は合わせて8万、こちらの倍の兵力だ……。
「歩兵第8連隊はこれより戦場から離脱。後方の山に陣地を作れ。」
「軍団長!山上の陣地は囲まれたら終わりです。ご再考を!」
「このままでは包囲殲滅されてしまう……。故に山の上に陣を張り敵の目を引き付けて友軍の撤退を援護するのだ。」
そういって俺は副官の進言を退け、山上へと向かった。
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帝国軍10万に囲まれて4日
俺は100人の将兵とともに山上にいる。
兵糧も水も底を尽いている。
2個師団4万の兵を率い順調に進軍していたのにこの有様だ。
「軍団長。もうすぐ夜が明けます。この機に乗じて敵は攻め上ってくるでしょう。私が残兵を率い突撃をかけますのでその隙を衝いて脱出してください。」
副官の言葉にただ頷くしかなかった。
夜が明け、副官の号令が聞こえる。
彼は公爵の次男でと当年27の才のある男だ。勇敢でもある。
惜しいかな将には恵まれなかった。
山上に陣を張る愚を主張していたが、俺が頑としてその献策を聞き入れなかったのだ。
軍と軍がぶつかり合う音を聞きながら、俺は単身で脱出を図った。
今は軍の指揮官の地位も伯爵の地位もただただ重いものでしかなかった。
こんなはずじゃなかった。
俺は自他ともに認められる麒麟児だ。
有能で名高い王国の宰相アクセル・フォン・オクセンナ公爵に認められた唯一の男だ。
宰相の娘との結婚も間近に迫っていた。
無能な貴族から理不尽な嫉妬を買い、戦働きがないことを揶揄されていた俺は武功に焦り帝国に侵略することを献策したのだ。
疲れた……
山を降る途中、疲労困憊となった俺は小さな洞穴を見つけ休憩を取ることとした。
「ここならば暫く休むことが出来る。ちょうどいい所に洞穴があったもんだ。天に感謝する。」
何も知らない俺は洞穴に入るとすぐに眠りに落ちてしまった。
「……なんだこれは!?く、臭いし動けない??」
俺の身体はベトベトする粘着性のゼリーのようなもので覆われていた。
スライムだっ!!!
もがけばもがくほど身体に纏わりつくスライムにより体力が次第に奪われていく……
「王国の麒麟児とも言われたこのノーバート・フォン・ヘレフォードが最弱モンスターの手により死ぬこととなるとは……」
と言葉にすることも叶わず、俺の視界は急速に暗転していった……
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気付くと一人草原の中にいた。
手は動く、足もあるようだ。
顔を触る頬っぺたの柔らかい感触が伝わる。
「あれ?俺死んだはずじゃ……」
立ち上がってみる。視界が低い。
よく見ると手足も短いし、背も低くなっているし、着ている服も見覚えがない。
「よく分からんが生きている……」
辺りを見渡してみたがまるで覚えのない場所だ。
遠くの方に町が見える。
「取り敢えずあの町まで行ってみよう。」
町の方へ向かい歩き始めた……
町へ着き衛兵に聞くとモンタナという町だった。
「王都まではずいぶん遠いな……」
酒場への道を聞き衛兵に礼をいって町の中へと入っていった。
町の入り口から大通りをまっすぐ行って右へ曲がった角に酒場があった。
俺は中に入ると
「俺はノーバート・フォン・ヘレフォード!伯爵だ。今は手持ちの金はないが王都に帰ったら金を送るから食事と酒を頼む。」
酒場のマスターだけでなく、その場にいた客が一斉に俺を見ている。
「おいおい笑わせてくれるぜ!突っ込みどころ満載だなww今をときめくノーバート・ヘレフォードだと!?奴なら死んだぞwwスライムに喰われてなwwwwww」
「しかも酒?ガキが酒とか10年早いんだよ!!」
「無一文のくせに堂々とぬかしやがって!気に入らねーな!!!」
あっというまに客の男どもに囲まれた。
ボコボコにボコられ酒場の外に放り投げられた。
「もっと上手い冗談考えたらまた来るんだな!」
全身が痛い。
くそう俺が何をしたっていうんだ。
そして酒場から立ち去ろうとしたとき、酒場の裏から中年の女性が出てきた。
「あんたちょっとこっち来な。顔くらい洗わせてあげるから。」
血で汚れてしまったのかな。
俺は好意に甘えることにした。
「あんたここらの人じゃないね?この町には軍に入った人が多くてね。ほらっ、こないだの戦争でうちの国が大負けしたじゃない?あれで知り合いが死んだり捕虜になったりしてみんな気が立ってるのよ。」
「だからあんなスライム伯爵の名を騙ったら殴られても仕方ないさね。」
井戸から汲み上げた水で顔を洗っているとおばさんはそんな話をしてきた。
「ノーバート・ヘレフォードは死んだのか?」
「なんだ知らなかったのかい?1人で戦場から逃げて洞穴の中でスライムに溶かされたところを発見されたのよ。この辺の皆は『スライム伯』とか『クソ雑魚なめくじ』とか言って蔑んでるんだよ。」
「そうか……死んだのか」
だから水面に映る顔が見たことない顔なのか。
「だからあんたももうアイツの名前を騙ったりしちゃだめだよ。」
「わかった。ありがとう。」
俺は別人になってしまったようだ。
「ついでにコレ持ってきな。お腹空いてるんだろ?」
そういうとおばさんはパンをくれた。
今まで食べたことのないほど堅いパンだったが礼を言うとその場をあとにした。
「さーて、、、どうしよう?」
歯が折れそうなほど堅いパンを齧りながら考えた。
「まずは金がないな。あと新しい名前も考えなきゃな。その前にコイツの能力を調べておくか。」
「ステータス!」
俺がそう念じると目の前にウインドウが現れコイツのステータスが表示された。
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名前:ヨシュア 年齢:13才
称号:麒麟児 スライムに倒されし者
レベル:1
物理攻撃力:12 魔法攻撃力:8 物理防御力:9 魔法防御力:8
HP:100/100 MP:100/100
【基本能力】
筋力:3(F-)
知力:2(F-)
魔力:4(F-)
体力:3(F-)
敏捷:4(F-)
幸運:5(F-)
【スキル】
≪基礎スキル≫
剣技(LV1) 飛燕
魔法(LV2) 閃光 さざ波 マジックミサイル
学習(LV1) 見取
鑑定(LV5) 詳細鑑定 識別
索敵(LV3) 詳細索敵
≪特殊スキル≫
合成(LV1) 合成
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剣技飛燕は衝撃波を飛ばす技、射程10mくらい?
魔法閃光は自身がピカッと光る、さざ波は水魔法で波打ち際の波程度の水が発生する。
マジックミサイル……物理攻撃力依存の魔法の弾、術者次第で複数発発射できる。
学習見取は技を見るだけで稀にそのスキルを取得する。
詳細鑑定、識別、詳細索敵は使ってみないと分からん。
「・・・使えるスキルはマジックミサイルくらいか?」
呟きながら道を進むと冒険者ギルドの看板が見えた。
ギルドには冒険者ギルド、傭兵ギルドや職人ギルドなどがあり、貴族や軍人以外の者はギルドに所属することで初めて「職」に就くことになる。
「冒険者は確か雑草集めて持っていけば金になるんだったな。入ってみるか。」
中は騒然としており、遠くでは冒険者同士が喧嘩しておりそれを野次馬がガヤを入れながら見物していた。
喧噪のおれは受付と思しきカウンターに行き、要件を告げた。
「ぼく冒険者になる手続きをしたいんです。こちらで出来ますか?」
コイツの年相応の口調で受付にいた若い女に話しかけた。
「ようこそ冒険者ギルドへ!登録はこちらで出来ますよ。私は受付をしているミーナといいます。登録をするには、この水晶に手を載せて名前を名乗ってください。」
「ボクの名はヨシュア!」
言われたとおり水晶に手を載せると水晶が点滅しだした。
ミーナは難しい顔をしている。
「登録完了しました。こちらが身分証となるギルドカードです。冒険者にはランクがあって簡単に言うとA~Fの階級があり、最初はFランクからとなります。依頼はあちらにある掲示板に貼ってありますのでやりたい依頼を見つけたら依頼書を剥がして受付に持ってきてください。」
女性の指さした方向をみると掲示板に色々な紙が貼りつけてあった。あれが依頼書だな。
「ありがとうミーナさん。さっそく見てきます。」
掲示板に行き依頼書を眺めていたら、とある依頼書に気づき俺は顔を顰めた。
「ミーナさん。ボクこの依頼を受けたいんですが。」
先ほど目に付いた依頼書を持って受付嬢に渡した。
「スライム討伐ですね。この依頼は「Fランク」になります。難易度としては子供でも棒切れがあれば倒せるレベルです。死ぬどころか怪我することも至難ですよw ヨシュアさんくらいの年なら楽勝ですね。最初に受ける依頼にはちょうどいいと思います。」
なんだかディスられている気がするがそのまま依頼を受けることになった。
「そういえばヨシュアさん、武器はもってるんですか?」
「……いや、なんもないです。」
「じゃあギルドで練習に使ってる木剣をお貸ししますね。今持ってきます。」
「それでは頑張ってください。無理はしちゃダメですよ?」
「いってきまーっす!」
「ステータスが低すぎるけど、スライム相手なら大丈夫・・・だよね?」
元気よくギルドを出て行った俺の背中にミーナが呟いた。
「さーて、スライムの野郎はどこにいるかな?」
町の北門から外に出た俺は早速スキル「詳細索敵」を使用した。
目の前に付近のマップウインドウが開いた。
「11時の方向、約3キロに魔物の反応か。この索敵スキルは便利かもしれんな。」
そこで俺の智謀が閃いた。
「ちょ、、、まてよ!?この状態でスキル「識別」を使うと……」
なんと!!魔物の名前、レベル、HPなどが表示された!!!
「おいおい、意外と使えるじゃねーか。ちょうどスライムが点在しているから向かうとするか。」
俺は表示された魔物の反応の1つに向かって歩き出した。
「いたっ!スライムだ。」
そこには我が怨敵スライムが1体呑気に草を食べていた。
スライムの身体の中心に赤く丸いものが見える。
「あれはもしかして核??なんでそんなものが見えるんだ???はっ!?鑑定スキルか??って1回唱えると常時発動状態になるのかよ……。」
俺は木剣を抜刀し、スライムに襲い掛かった。
「この!クソ!スライムがッ!!!!この俺を殺しやがってッッ!!!!!」
核に向かって滅茶苦茶に剣(木)をふるった。
どのくらいたっただろうか。スライムは溶けて消え去り核だけが残った。
「これが討伐証明部位か。」
それは人間の大人の拳大の大きさだった。
俺はそれをポケットに突っ込み、次のスライムのいる場所へと向かった。
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3時間ほど経っただろうか、俺はスライムの核5個を手に入れていた。
「もう日が暮れるな。宿も探さなきゃならないし、そろそろ帰るか。」
モンタナの町も門が閉まってしまうかもしれない。
俺は急ぎ足で町へと向かった。
冒険者ギルドに着いた。
受付にミーナさんがいたので話しかける。
「戻りました。スライムの討伐証明部位を持ってきたので換金をお願いします。」
「おかえりなさいヨシュアさん。スライム5体ですね。少々お待ちください。」
「スライム1体で銅貨5枚、5体なので銅貨25枚になります。」
「ありがとうございます。それと近くで宿屋を探したいのですが、どこかにいいところありますか?」
「それでしたらこのギルドに宿泊施設がありますので、どうぞご利用ください。1泊食事つきで銅貨10枚になります。」
受け取った鍵の部屋に移動した俺は、自分のステータスを確認した。
「ステータスオープン!!」
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名前:ヨシュア 年齢:13才 冒険者ランク:F
称号:麒麟児
レベル:1
物理攻撃力:12 魔法攻撃力:8 物理防御力:9 魔法防御力:8
HP:100/100 MP:100/100
【基本能力】
筋力:3(F-)
知力:2(F-)
魔力:4(F-)
体力:3(F-)
敏捷:4(F-)
幸運:5(F-)
【スキル】
≪基礎スキル≫
剣技(LV3) 飛燕
魔法(LV2) 閃光 さざ波 マジックミサイル
学習(LV1) 見取
鑑定(LV6) 詳細鑑定 識別
索敵(LV4) 詳細索敵
≪特殊スキル≫
合成(LV1) 合成
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・・・レベルあがっていない。けどスキルが微妙に強化されている。
暫くはスライムを狩ってレベルを上げつつ、装備を整えることにしよう。
簡単な方針を決めて、俺は眠りについた。
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あれから3か月が過ぎた。
俺は毎日スライム討伐をこなしている。
最近では1日で30体ほどのスライムを倒すことが出来るようになった。
ただし、問題が……
「ステータスオープン!」
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名前:ヨシュア 年齢:13才 冒険者ランク:F
称号:麒麟児 スライムスレイヤー
レベル:1
物理攻撃力:12 魔法攻撃力:8 物理防御力:9 魔法防御力:8
HP:100/100 MP:100/100
【基本能力】
筋力:3(F-)
知力:2(F-)
魔力:4(F-)
体力:3(F-)
敏捷:4(F-)
幸運:5(F-)
【スキル】
≪基礎スキル≫
剣技(LV15) 飛燕 月光 浮舟
魔法(LV12) 大閃光 うねり マジックミサイル×8
学習(LV 1) 見取
鑑定(LV23) 詳細鑑定 識別
索敵(LV20) 詳細索敵
≪特殊スキル≫
合成(LV1) 合成
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「・・・・・」
そうなのだ。レベルが上がらないのだ。何かの呪いなのだろうか……。
スキルは使えば使うほど上がるようだ。
常時展開している「索敵」「鑑定」スキルはかなり上がってきている。
しかしレベルはいくら何でも「1」はないだろう。
意味が分からない。
レベルが上がらない状態で他の討伐依頼に手を出すことには気が引ける。
1度死んだから慎重にいかなければ……
今日は気晴らしに町中を散策しに出た。
いい加減ギルドから貰った木剣も買い換えねばならない。
この3か月である程度の小金が貯まったので、一気に装備更新しよう。
そう思って歩いていると突然若い女に呼び止められた。
「よ、よ、ヨシュア!!??あんたこんなとこにいたのッッ!!!!!!!!」
俺は女の方を見た。
全く見覚えがない。
年は18くらい?
背は俺より高く160㎝はある。
髪は黒色で肩の辺りまで。
顔は色白で目が大きい。髪と同じで黒い瞳だ。
割とかわいらしい。
ただし、胸は……残念だった。
「ちょっと!?聞いてるの???っておい!!ちょっ、、、まてや!?」
足早に立ち去ろうとしている俺に女は語気鋭く言い放った。
「何か御用でしょうか?」
「何その口のきき方?どーしちゃったのよあんた??幼馴染の顔も忘れちゃったの???」
どうやら「ヨシュア」の幼馴染らしい。
今まで「ヨシュア」の知り合いから声をかけられなかったので、俺もすっかり油断していた。
「幼馴染なんですか?ボク3か月以上前の記憶がないんです……。」
「えっ……。ほんとに私のこと忘れちゃったんだ……。」
女の子は涙目になっている。
「ほんとごめんなさい。じゃあボク急ぐんで!さよなら!!!」
泣く女は苦手である。
厄介なことになる前にトンズラしよう。
俺は走り出した。
そろそろ撒けたかな、と思い後ろを振り返ると真後ろに鬼がいた。
「おい、、、マジで逃げるとか、、、というか私から逃げ切れると思っているの??」
女は足がクソ速かった。それだけではない足音も聞こえなかったし、なんなら気配すら感じなかった。
「え~~っと、まだ何か御用ですか?」
恐々と俺は聞いてみた。
「御用ですかじゃないわよッッッ!!!幼馴染がッ!女の子が泣いているのに逃げ出すとかッッ!!」
ええ、自覚しております。クズですとも。
「ごめんなさい。初めて知り合いに会ってびっくりしちゃって……。」
「それにしたって酷いじゃない?あんたときたら昔から………
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道のど真ん中で延々と説教された。
たまに行き交う人からは冷やかされたりもした。
恥ずかしい。
「それであんた今なにやってるの?」
「ボクはいま冒険者をやってま
「冒険者ァッッッ!!!??」
食い気味に被せてきた。
「アハハハハハハハ……あの弱虫ヨシュアが冒険者やってるの?ちょっと笑いすぎて涙出てきた。」
失礼な奴だ。
「そういうあなたは名前は?何の職をしているのですか?」
キレ気味に俺は聞いた。
「あたし?あたしの名前はアリサ・フォン・クローネル。父はクローネル子爵であんたがいた村を含めた領地の領主をやってる。だからあたしは領主の娘ね。今は第4騎士団で騎士見習いをやってるわ。」
「そうだ!あんたあたしの従者になりなさい。大丈夫よ戦になってもあたしが護ってあげるから。感謝しなさい。」
俺の意向を全く無視してアリサはとんでもないことを言う。
「ボクはしばらく冒険者を続けようかと……。」
「なによ?あんたあたしの言うことが聞けないの?そんなに冒険者を続けたいなら冒険者もやってもいいわ。」
「冒険者も?」
「そうよ。あんたはあたしの従者をしながら冒険者もするの!それで文句ないでしょ?」
王国の麒麟児ノーバート・フォン・ヘレフォード伯爵であったこの俺が何でこんな小娘の従者などにならなくてはならないんだ……。
適当に話だけあわせてしらばっくれてトンズラしてしまおう。
「わかりました。それならば結構です(お断りします。)。」
「そう、分かればいいのよ。」
「今日はどうしても外せない用事があるのでこれで失礼します、マスター。」
「これまでどおりアリサでいいわよ。用事があるなら仕方ないわね。あとで騎士団の駐屯地に必ず来るのよ?」
「(いずれどこかの騎士団の駐屯地に)必ず伺います。」
嘘は言ってない。
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漸くアリサから解放された俺は、当初の目的地である武器屋に寄った。
「いらっしゃいませ!」
10代後半の猫?の獣人の女の子の店員がボクを店に迎え入れた。
「こんにちは。早速ですが、ボクにステータスにあった装備を見繕ってください。」
「それではステータスを見せていただいてよろしいでしょうか?」
ボクはステータスを見せた。そして叩きだされた。
「レベル1で装備更新とか100年早いわ!!その辺の棒切れでも拾って使いやがれ!!!」
鬼(ケダモノ?)の如き形相である。
しかし、理不尽である。好きでレベル1でいるのではない。
「3か月間ずーーーっとスライムを狩り続けてもレベル上がらないんだから仕方ないじゃないかッ!!」
ボクはそう抗弁した。
「はい??失礼ですがお客様、教会にお祈りにいったことは?」
「ありませんがそれがなにか??」
「はぁ……、レベルアップをするには教会でお祈りをしなければならないんですよ?」
「えっ、えっ!!??」
「スライムとはいえ3か月も狩ってたのでしたらそれなりのレベルになると思いますよ?」
「あ、ありがとうございます!早速行ってきます。」
「レベルが上がったらまた来てくださいね。」
店員は、途中で見せたケダモノの顔とは全く違うやわらかな笑顔でボクを送り出した。
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教会に着いた俺はさっそくシスターに案内された場所でお祈りを始めた。
(れべるあげてくれれべるあげてくれれべr………)
祈りが通じたのか俺の身体がほんのりと熱くなる。
「レベルがあがったようですね。おめでとうございます。」
シスターに言われ、俺は祈りを止めて立ち上がった。
「これでレベルアップできたんですか?」
「はい、レベルアップされるときに身体がほんとりと熱くなりませんでしたか?私もお祈りするところを見てましたが、お身体が微かに光っておりましたので間違いありません。」
「そうですか。お世話になりました。」
そういって教会を後にし、冒険者ギルドにある俺の宿に戻った。
よーし!さっそくステータス確認しちゃおっかな?
「ステータスオープン!!」
ウキウキである。
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名前:ヨシュア 年齢:13才 冒険者ランク:F
称号:麒麟児 スライムスレイヤー
レベル:15
物理攻撃力:216 魔法攻撃力:322 物理防御力:486 魔法防御力:322
HP:2700/2700 MP:1400/1400
【基本能力】
筋力:18(E+)
知力:23(D)
魔力:14(E)
体力:27(D+)
敏捷:12(E-)
幸運:30(C)
【スキル】
≪基礎スキル≫
剣技(LV15) 飛燕 月光 浮舟
魔法(LV12) 大閃光 うねり マジックミサイル×8
学習(LV 1) 見取
鑑定(LV23) 詳細鑑定 識別
索敵(LV20) 詳細索敵
≪特殊スキル≫
合成(LV1) 合成
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ホクホクである。
思った以上にレベルがあがったとともに、基本能力も飛躍的に上昇した。
これでもうスライムを狩らなくて済むかもしれない。
そういや称号ってなんだ?「麒麟児」と「スライムスレイヤー」ってのがあるが?
ちょっと見てみるか。
「詳細鑑定!!」
詳細鑑定は「鑑定」よりもより詳しく調べることが出来る。
例えばこんな具合に
「どれどれ……「スライムスレイヤー:スライム系モンスター攻撃補正+20%」だと!?」
「じゃあこっちの「麒麟児」は?「成長力+130%」……ななんじゃこりゃ!!?」
今回の人生では楽が出来るかもしれない。デュフフ……。
お読みいただきありがとうございました。