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第3話 ゼウスの権能

 会場の上空に瞬く間に厚い雲が覆い始めた。個人レベルでできる魔術ではない。そしてその雲はみるみるうちに黒く変化していった。


「何事だ!」


 試験官の一人が叫んでいる。


「なんだ・・・・・・これは・・・・・・」


 俺の眼前にいる男は呆けた顔で上空を見つめる。その場にいた誰もが目の前で起きていることに理解が追いつかないようだ。

 通常、魔導士が扱う魔術は行使できる範囲がある程度限られていると魔導書に記述があった。そうすると、このような当たり一帯を覆い尽くす程の天候操作など魔術の範疇を軽く超えている。まさしく神の御業だ。


「これが権能・・・・・・」


 自分でもよくわからない力でもって、目の前の相手目掛けて雷を放つ。


「「「アイギス・アスピーダ!!!」」」


ドォオオオオン!!!


 会場中に煙が立ち込める。上空を見ると、幾重にも張り巡らされた結界があった。確かこの結界は一つ作るだけでも複数の魔導士が必要な魔術だったと昨日読んだ魔術書に書かれていたことを思い出した。おそらくあの結界は上級魔導士が張り巡らしたものだろう。そこまでするほどの技だということか。俺は自分の両手を見つめる。

 もう一度空にある結界を見つめる。よく見ると結界の一部分が破損していた。あの結界が破れたということは目の前の男はどうなったのかと思い、目をやると男は肩から血を流して倒れていた。


「それまで!! あなたがこれを・・・・・・!?」


 先ほどの試験官がこちらに近づいてくる。


「よくわからないけど、たぶんそうなのかな」


「よくわからない・・・・・・か。これは上級魔導士ですら扱えない代物よ。神の力だわ」


 神・・・・・・脳内に語りかけてきたあの声は神だったのか。なぜこの力が与えられたのかも検討がつかない。試験官は目の前に立ち、宣告する。


「あなたは合格よ。だけど、その力は危険すぎる・・・・・・私はエスメラルダよ。よろしく」


「合格・・・・・・ですか」


「ええ、そうよ。あと、あそこで倒れている子は生きているわ。急所は外れてる。だけど、あの結界が破れるとは・・・・・・」


「ディオス! 大丈夫!?」


 ディオスを心配したティファとユーリが走り寄ってきた。


「おう、大丈夫だよ。なんか合格したみたい」


「良かったじゃない! だけど、あれは何なの!? はじめてみたんだけど!」


 ユーリは興奮気味に聞いてきた。ティファも気になるようでうんうんと頷いている。


「まぁ俺は優秀だからな」


 自分でもよくわからないので、適当に返事をし、疲れたといってその場を後にした。

 そうして、入学試験は終了した。俺が放った技で中断があったが、全受験生が試験を受けることができたそうだ。


「ディオスのあれって一体なんなの? あんなの出来るなんて凄いね!」


 ティファは本当に驚いた様子でさっきから何度も尋ねてくる。


「本当だよ。心配して損した! ディオスと対戦していたあの子大丈夫かな〜」


「おいおい・・・・・・俺の心配してくれよ。俺だって結構殴られたんだから」


「そうだね〜よしよぉ〜しっ」


 ティファは俺の頭をやさしく撫でる。ニヤニヤしながら、ユーリにもご褒美をしてもらおうと目をやると何故か頬を膨らまして睨みつけられた。


「それより一週間後に迎えの馬車が来るからそれまでに荷造りしないとな」


 ユーリが場の雰囲気を変えるために、今後の話をはじめた。何が必要だとか、それまでに何をするかとかを話していたが、俺は権能について気になっていて話があまり入らないまま、気付くと町に帰っていた。


「「じゃあね〜」」


 二人と別れ、家路につく。謎の声が言うにはこれは夢ではないらしい。加えて俺は一度死んでいるらしい。自分の記憶が断片的になっているのも気になるし、権能についてもわからないことばかりだ。しかも為すべきことってなんだ。


「あ〜! もうわかんねぇ! 寝るか」


 そうして眠りについた。


――ディオスよ――


 夢の中でまた謎の声が聞こえた。


――権能を使いこなせ――


――それは万物を支配する力――


――世界を救う力――


――世界の秩序を、均衡を取り戻すのだ――


――奴らはもう動き始めている――


――それが“ゼウスの権能”を持つ者の運命―― 

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