異世界転生
なろうの小説あまり読んだことがないのですがもしかしたら今回少し長いのかもしれません
「どこだ...ここ...」
寝ている体を起こし周りを見てみると、真っ白で終わりのない空間が広がっていた
起きる前の記憶とこの空間の雰囲気から、少なくとも地球ではないことに気づいた
「あ!起きた」
どこからともなく聞こえたその声は耳ではなく頭に直接届いた
「そう、これはテレパシー。君と一時的に脳内をリンクしたんだ」
「だから君の頭に直接語り掛けたり考えてることが共有できるんだ。
まあ諸事情で僕の考えてることは共有できないことになってるけど」
何を言っているんだ?いろいろと理解できない
ただこいつが俺のなにかを知っているのは確かだ
「俺は死んだの?まずあなたは誰?それから…」
「わかったわかった、全部説明するから。まずはどれからがいい?」
質問するならまずはこれだ
「俺は死んだのか?」
「うん。記憶通り父親からの暴力でね」
おかしい。
こいつの話していることが真なのかは分からないが、生死の問題に感情の変化が全くない
俺にとって生きるとはこんなものだったのか?
「いいや、死んだってこと教えるとパニックになる人が多くてね。
面倒だから感情の急変を抑えているんだ」
「なるほど、それよりさっきからテレパシーやら感情を抑えるやら
あんたはいったい何者なんだ?」
それを待ってたと言わんばかりに軽く咳払いをする「なにか」
鼻で少し大きめの息を吸い、今までよりも大きな声でこう言った
「僕は時の神クロノス。まあ今は気軽にクロノスでいいよ
ここには君を異世界に転生させるために来た」
「神」...状況からしてなんとなくそう思っていたががまさか本当に存在するなんて
それに異世界転生?輪廻転生とかは聞いたことがあるが異世界転生なんて夢物語だろ...
だけど…もしそれが本当なら…母さんに…
「なぁ、死んだ人はみんな異世界に転生するのか?」
「いいや、何人か転生した人もいるけどそれも数えられるくらいしかいないよ
君がさっき考えていた通りほとんどが輪廻転生かあの世で過ごす
ちなみに残念だけど君のお母さんは転生してないね。記録上は輪廻転生してる」
「そうか」
溜息と一緒に言葉が出た
母さんは新しい人生を歩み始めたってことか。俺のことも忘れて…
ここで一つ疑問が出てきた
「じゃあなんで俺は転生できるんだ?」
みんなが転生できないのに俺だけができる意味が分からなかった
前世でもそこまで良い行いをしたともいえない
「前世が不幸だったから」
なるほど、前世が不幸だからもう一度チャンスを与えるってこと...でいいのか?
「でも俺より不幸な人なんていっぱいいるだろ。なんで俺なんだ」
「抽選だよ。僕が思う不幸な人のリストから抽選で選んだ」
「なんで一番不幸な人を選ばなかったんだ。その人が幸福を与えられるべきだろ」
「うん、いい質問だね」
姿は見えないが、クロノスが頷いているように思えた
「確かにその人のおかれていた「環境」で言えば不幸に順位がつけられるね。
でも君たち人間には感情がある」
「…何が言いたいんだ?」
「例えば精神力が強い人と弱い人がいたとしよう。前者には虐待と食事の異常な制限
後者には虐待のみをするとしよう。さてどちらが不幸でしょう?」
「え..前者だろ」
「正解は「わからない」だ。状況的には前者のほうが不幸だろうけど、もしかしたら精神の弱い後者のほうが前者より感じている不幸の数値が高いかもしれないだろう?だから抽選にしたんだ
チャンスは公平だしね」
納得はしたが自分よりも不幸な人のことを考えると少し申し訳なくなる
「腑には落ちてないけどわかった。で、もう行くのか?」
「いいや、君には特別に≪恩恵≫を授けるからもう少し後かな」
「≪恩恵≫?」
「うん、まず異世界は魔法とかがある言わばファンタジー世界なんだ
だから戦闘とかが結構一般的なんだよね」
「ファンタジー...」
前世にいた数少ない友人からそういう類の本を借りたことがあった
剣や魔法で魔物を倒し世界を救ったりするその爽快さや非現実が味わえて一時期ハマっていた
読み始めた頃は自分も魔法が使えて、平和を求めていつしか旅に出るなんて考えていた
多分あの頃の俺の世界は父親といたあの狭い空間で
その世界から抜け出すことを旅と称して妄想に溶け込んでいたんだと思う
しかし、まさか本当にそんな世界に行くことになるなんて
「で、≪恩恵≫っていうのは?」
「≪恩恵≫は言わば神様からのプレゼントだよ。戦闘とかに役立つ加護みたいなものかな
向こうの世界では極まれに持っている人がいるけど、今回は特別に二つあげよう」
「二つってすごいのか?」
「うん、向こうの世界でもいるにはいるけどホントに1~3人くらい」
これってもしかして、ひょっとして「チート能力」がもらえたり?
初期から全魔法が使えたり、不死身だったりするのか!?
「残念だけどそんな≪恩恵≫をあげちゃったら世界のバランスが崩れかけないからね
でも君の頑張り屋な性格ならもしかしてとんでもない力になれるかもね」
「そうか…で、俺の≪恩恵≫ってどんなの?」
「口で説明するよりも自分の目で見たほうが分かりやすいね
ステータスオープンって言ってみて」
「え…ス、ステータスオープン?」
突如目の前に表のようなものがでてきた
ステータス
名前:未設定
所属:人間(転生者)
HP:120/120
MP:34/34
攻撃:18
防御:24
魔法適正:2
魔術適正:2
≪スキル≫
なし
≪ユニークスキル≫
なし
≪称号≫
(転生者)
≪恩恵≫
・運命を変える力
運命を変えることのできる力。その可能性は未知数
・能力開花
凡人の努力は才能をも勝る
「なんだこれ、全然意味が分かんねぇ」
「まあ要するに「無限大の可能性を持つ力」と「努力は必ず報われる」みたいな」
「なんかもっとすごいのを期待してたんだけど」
「運命を変える力はまだ何とも言えないけど能力開花はすごいと思うよ」
「マジで?」
「うん、魔法にも得意不得意があるんだけど不得意のものも得意にできる力だよ
魔法は才能って言われてるから不得意を得意にするのは相当難しいんだ
実質全属性潜在能力ありみたいなものだね」
聞けばなかなかいいものに思える
「この≪スキル≫とかは?」
「≪スキル≫はいわゆる特技とかいろいろ、君の新しい両親が持っている≪スキル≫
を引き継ぐことが結構あるかな。君はまだ生まれてないからないけど」
「次に≪ユニークスキル≫これはほとんど≪恩恵≫と一緒かな。神が与えたものじゃなくて
生まれして持ってる個性みたいなもの。≪恩恵≫と同じくらい珍しい」
「最後に≪称号≫その名の通りその人に与えられる名誉みたいなものいわゆる通り名だね」
さすが神、教え方もうまい。さすがは全知全能だ
「あっ、そろそろ転生が始まるね伝えたいことは伝えたし丁度いいね」
「もうか、クロノスありがとう。抽選とはいえこんなチャンスをくれて」
「いいよいいよ。次は幸せになってね」
突如体が光におおわれた
「じゃあ行ってくる」
「ああ」
目の前が真っ白になる
すると…
「ちょっと待って!伝え忘…たこ…が!」
前言撤回。神も少しはおっちょこちょいらしい