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プロローグ
「糞ガキが!」
築何十年にもなる古びたアパートに父の怒号が響く
瞬間、目の前に自分の顔と同じ位の足が迫ってくる
「うっ・・・」
あまりの痛さに泣きそうになるが泣いたらどうなるかは体が覚えている
(耐えろ....耐えるんだ)
腫れた目で父の顔を見る。これが間違いだった
「なんだその目は!」
おそらく睨んだように見えたのだろう。父はそばにあった未開封の酒瓶を大きく振りかざす
(あ、やばい。)
咄嗟に避けようとするが体がなぜか動かない
(これ....死....)
唸るような音が体中に響く。痛みは不思議と感じなかった
泣くのを堪えようとしたが声がまず出ない。目の前が徐々に赤く染まっていく
鼻に届いた鉄臭さが何が目を染めているのか教えてくれた
「おい、これ死んでねぇよな....」
父の顔が徐々に歪んでゆく
「あー!この糞ガキ!起きろ!起きないとおま....」
父の声と共に意識が段々遠ざかっていく中、心の中で強く思う
愛されたかった。と
享年15歳、僕の人生は幕を閉じた
はずだった