過去と未来
何にもないような普通の日々。
いつものように、幼馴染と過ごせたあの日々。
それは唐突に、消え失せた。
それは自分でも解らずに漠然とした意識の中で起きていた
「なあ?答えてくれよ?」
問いかける。
その問いかけに答えられる者は居なかった。
なぜなら俺は、今全てを失ってしまったから。
虚構の世界を、高めに見上げて見えたのはただの自己満の視覚だけだったから。
またこの世界に戻りたい。心から想う。
途方もなく繰り返されてきた、嫌な思い出が束になって積み重なっているのに。
この争いが終わりを告げ、もしもこの世界が無事なら、
この世界で生き続けて幸せになりたいと望む。
「-----さようなら」
唐突に少女の声がした。その少女の顔を黙視することすらままならない。
「俺の力なんてこんなに小さかったんだな。」
、、、もうだめ。私は、もう貴方を救えない。
掠れた声の主は、
、、、その声の主は俺の使う神器の声。
心に問いかける。まだ望むならどうするべきか?
心は答える。もう不可能だと
「夢は、、、おしまい」
その声を聞いたら急に目眩がした。
そうかもう、終わるのか。
「・・・・すまんな、救えなくて」
そう思ったら、、、夢は急に冷めて現実に戻された。
第一幕「神器適性が来ました!」
「ん、、、むう、、?」
「どう?夢は覚めた?」
懐かしい声がする。
ああ、、、そうかまたあの夢を見ていたのか。
「今は何時だ?」
「昼過ぎくらいかな。もう日が真上になるからね」
そうか、、、もうそんなにたってたのか、、、
「アキト、、、いくら前世を引き継いでる特別な子だとしても寝すぎじゃない?」
特別な子というのは前世の記憶と使命、そして運命さえも引き継ぐ子供のことだ。もう16になるのに子供扱い。
そしてこの少女は幼馴染のレン・アルベルグ。
まあひとまず置いといて俺はどうしても聞きたかったことを聞いてみる。
「なあ、レン」
「ん?どうしたの?」
「いまのこの状況について説明を求む。」
そうすると幼馴染のレンは「あとでね」と言って微笑んだ。
俺らはアキスカ諸国の騎士だ。ってより騎士学校で勉強を取り組む騎士だがな。まぁこれでも騎士試験を超えては来たんだ。一応国を守るために戦っては、いる。
この国のために従事してるかって言われれば一概にそうとも言えないけど。
さっきみたいにサボって寝ることが主だからな。
で?
いつまでこの状況だろうかと書こうとした時にレンは言った。
「アキト、膝枕どうかな?」
そうなんだよ。
なんで膝枕されてる訳?
いつものことだからいいけどさ。
「あとって言ったろ?」
「むぅ、いいじゃん。聞いたって」
「最高だ。」
「えへへ〜」
全く現金だな。
その言葉を口にしたら何故か鉄拳(ものすごく痛い)が顔にクリーンヒットする為口を閉ざした。
その瞬間に当然声が飛んできた。
「アキトさん、団長がお呼びです!」
ぱたぱたと小さな少女がやってきた
彼女は団長の秘書のフレアだ。
「どうした?」
「わかりません。しかし緊急事態であることには変わらないと思われます。」
「そうか。すぐ行くわ。レン、行ってくる」
「了解です!組長!」
・・・そうだった。組長だったな。
因みに階級制度がこの騎士団にはあるんだが、なんの間違いか上から2番目の騎士副長って言うやつだ。
・・・正直疲れる。
「まあ、行ってやりますかね」
そう独り言をぼやきながら騎士団長室のドアをノックした。
「失礼します。団長」
「久しぶりだな?アキト。さて?なんでここに君を呼んだのか分かるかい?」
あいにも変わらずに青年だな。
それで200年以上生きてるのが信じられない。
「いえ、、、存じませんが」
「そうか。じゃあ話すよ。まず君の身体の検査。そして武器の適性検査だ。君のような貴重な人材に武具もなく戦わせるのはさせたくない。でも君のような【前世の記憶】を持つものには普通の武具は脆すぎる。
だから我々は総力をもって神器を獲得した。
神器を持つ上で必要なことはわかっているな?」
「はい。まずはこの世界と多数の世界との均衡を保つこと。あとは過去に滅びた世界の奪還、、、ですよね?」
「その通りだ。そのためにアキトたちの持つ【魔障】の力が必要となる神器を扱ってもらう。」
その一言を言うと団長ことアレクが後ろの隠し部屋へ案内してくれた。
そこは何度も入った事があるから見慣れているが、相変わらず埃っぽいな。果たして掃除しているのだろうか。
「さて。今回のは君に合うのか、、、今まで君の【魔性】に適合してくれなかったからなあ」
今までといっても五回くらいか。神器は珍しいものだから仕方はないが。
「今用意する。待ってろ」
そういった瞬間に団長の後ろから大きな箱が出てきた。
「これだ。双剣型だな。見た限り。能力とかは未知数。使いこなせるかい?」
「やってみせます。」
それだけ言って双剣を持ち上げ掲げる。
適性があると声が聞こえるらしい。
そう考えてた瞬間耳に音が流れる、、いや声か。
---------ねぇ
------------答えて?
<私はアクリュエン>
名前を聞いた気がした。
その次の瞬間には目の前に長い銀髪を結えた小さな女の子の姿が見えた。
「、、、きみは?」
俺は少女に問いかける。
「私は神器<アクリュエン>。君の前世の人が使ってた、、、見た事ないの?」
前世?何で知っている?いや、、、それよりも前世が使っていた神器?
どういうことだ?そういうと「彼女」は心を読んだかのようにこう述べた。
〈私は貴方の剣となる。貴方は私の使用者となる。神器アクリュエンの使命は撃墜と崩壊。使うも壊すも貴方次第〉
-----なるほどな。こいつの使用者の記憶が入ってくる。
神器の使い手になるのは、俺の夢でもあったから
「わかった。お前の使い手になってやる!俺に力を分けてくれないか?」
〈それでこそあの人の前世を持った新たなマスター。さぁ私を使いこなして見て〉
そういうと現実に戻ってきた。
----------銀髪の少女〈アクリュエン〉も一緒に。
ん?おかしくないか?何故来てるんだ?
「マスター、よろしく。」
「、、、質問があるんだが」
「なに?」
「なぜお前がここにいる?双剣の姿じゃないのか?」
不意に後ろから声がした。団長だった
「適性値が高いとこうなるんだよ?」
「あっ、団長そうなんですか?」
聞いたことのない事実を聞かされ驚いた。
「そう言われていたんだが、本当にそうなるとはな」
ん?団長の言い方に少し違和感を感じた。
「あの、団長。それってまさか今までの前例はないということですか?」
「そうなるが、、、まぁ後は君に任せる」
んな横暴な。
「団長っ・・・もういないし」
あの人いつもすぐ消えるんだよなぁ・・・
「・・・どうしたの?」
「・・・いやなんでもない」
「マスター、ちょっと良い?」
「なんだ?」
「ふふ、、、」
そう笑うと何故か俺の腕に抱き着いてきた。
「なんだよ。突然に?」
「マスター暖かい。」
不思議だな。ほんと不思議な生き物だ。いや、、、待てよ?生き物ではないか。
ん?足音が聞こえる。しかも二人分の
「ちょっと待て、少し離れてくれないか?」
「ん、分かった。」
そして足音はこの部屋に入って来た。
「アキト、レンを連れてきたよ。」
・・・団長かよっ!?しかもレンも来たっ!?
「アキトー!適正神器出来たんだね!おめでとう!」
「おう、ありがとな」
ここでレンの目は不審の目に変わった。
そりゃそうか、こんな少女が俺の傍にいりゃ、その反応は妥当なのか・・・
「アキトの隣にいる子・・・誰?」
まぁそう言われるんだよな。
「私は、神器<アクリュエン>。今日からマスターの神器」
「・・・ん?ちょっと待って?他の人はそのまま武器だよね?なんで人の形してるの?」
まぁこれも妥当な疑問だよな。
「適正値が高いとこうなるらしい。団長曰く」
「そうだという見解だがね」
「・・・要するに根本的な原因はわからないと?」
「そうなるな。団長こいつの部屋とか制服的なのはどうします?」
これも重大な問題の一つだ。こいつには寝場所もないし、今の服をこの騎士団領地で着ていると相当怪しまれることは確定だ。
「神器の部屋は君と一緒でいいだろう。服はこちらで調達する。今すぐにできないから部屋まで瞬間移動させるけどいいか?」
・・・一緒に暮らすのか。ダメだろおい。
「一緒に暮らすんですか?ベット一つしかないし、神器とはいえど一応女子の姿なんですから、、、」
「安心しろ。一緒に寝ろ」
ダメだ。この人頭がイカれていやがる。
こういう時は助けを求めるのが一番いい。
「なぁレン、何とかならないか?」
「っていわれましても・・・神器だしね。一緒にいたほうがもしもに備えられるというか・・」
・・・
「なあアクリュエン?何とかならん?」
ダメ元で聞いてみる。
「私はマスターと一緒にいたい」
ですよね。知ってたわ。
「じゃあ送るか」団長の声がした瞬間、自室に飛ばされていた。
こうして俺の新たな日々はスタートしたのである。
第二幕「」
「ん?朝か・・・」
「マスター、おはよう」
そこにはテキパキと家事をしてる神器<アクリュエン>の姿があった。
「家事してくれているのか?」
「そうだけど・・・ダメだった?」
「ダメなわけはないが、いつもやってたことだから、なんか違う気がしてな」
「そう?まぁ朝ごはん出来たし、食べて?」
おお、これはありがたい。机に乗っていたのはどれもおいしそうなものばかり。
「これはうまそうだな。」
そういうと嬉しそうに「ありがとう」と言った。
実際に食べてみるとすごくうまい。レストランとかより下手したらうまい・・・
「すげぇうまいぞ!ありがとう」
そういうとまたも嬉しそうに「マスターの為なら、また作るよ?」と言ってくれた。
「ありがとな!明日からも頼むわ」
「ん、マスター承知した」
これは嬉しい。言っちゃなんだがレンの料理は美味いのだが見た目が・・・ちょっとアレなとこがあるけどアクリュエンは見た目も味も完璧だ。そして食べ終わり少し休んでいると、なんか暇になったので
会話を作るために一つ聞きたかったことを聞いてみる。
「なぁ思ったんだけどさ?お前の名前呼びにくいじゃん?何て呼べばいい?」
「ん、なんでも構わない。マスターが呼びやすい名前なら何でも。」
と言われたので俺はこう呼ぶことにした
「じゃあアクってのはどうだ?」
「ん、それじゃ悪者っぽい」
そうだったこれじゃ悪者っぽい。一理あるな。じゃあどうしようかな?
「でも、マスターがそう呼びたいなら別に構わないよ?」
「ん~やっぱ変えたほうがいいかもしれん。アクリとか?」
我ながらそれっぽい名前が出てきたと思った。アクリュエンもそう思ったようで「私はそれがいい」と言ってくれた。
「じゃあアクリで呼ぶ」
この時自室のドアがノックされた。
「やあ、起きてるかい?アキト?」
「はい、起きてますよ?団長」
「君の神器の制服ができたから神器とともに出てきてほしい」
俺は「早いな」と、そう心の片隅で思いながら
「行くぞ」と言って荷物を持って自室を出た。
「一緒に来てくれ。今から行く部屋に制服が置いてある。」
と言うなりそそくさと行くので「待ってくださいよ」と言いながらついていくとそこは≪更衣室≫と書かれた部屋だった。ちなみにここは女子更衣室でも男子更衣室でもないらしい。理由は適正値の高く人化した神器用の更衣室という名目で作られていた部屋だったのだ。
要するにやっと使われる部屋になったのだ。
「じゃあアキト。彼女の着替えを手伝ってやってくれ。」
・・・団長おい。おかしい点が多すぎるぞ。
「団長?流石に着替えは手伝えませんよ?」
「なんだ?神器の手入れをするのが神器使いである君たちの使命でもあるのだが?」
・・・それっぽい理由並べやがって。
「いやいやっ!?流石にできませんよっ!?そもそも神器とはいえ女性じゃないですか!変態扱いされるじゃないですかっ!」
「マスター、、、ダメ?」
こいつ上目目線で訴えやがって。断りづらくさせやがって
「・・・仕方ないな」
「そうだ。それでこそアキトだ」
いや?俺が悪の代名詞になりそうなんですがそれは?
「じゃあこれで。着替え終わったらしっかりと教室に迎え。転校生扱いで向かい入れるからな」
そういうと団長は消えてしまった。
「・・・・・・まじですか」
団長の魂胆かこれ。
そして着替えさせて教室へ向かった。
「おはよーっす」
そう言いクラスに入ると「適正神器出来たんだって?」やら「おめでとう」やらがクラス中から浴びせられた。
このクラスは全員前世の記憶がある。20人くらいのクラスだ。
「おーい。静かにしろー。」
そう先生の一喝が入ると、みんな静かになり各々の机へ戻っていく。
「さて、今日の日程だが・・・あー・・・」
ん?何か言いづらいことでもあったのか?
「そうだなぁ・・・アキト。」
なんでか突然呼ばれたんだが?まぁ予想はつくし行くこととする。
おそらくアクリについてだろう。
「こいつの適正神器が人化したことはみんな知ってるだろう?」
まぁこいつがここにいる以上、そして俺が説明している以上はな・・・。
人化した理由はハッキリとしているが、その過程が不明らしい。
流石は古代からある武器。よく分からん。
これからの学校生活や私生活に色々支障が出てきそうだからなぁ。
さて、この状況どうしようか。
取り敢えず女体だと色々倫理的にやばいし。
まぁ、明日から考えようかな。
今日は疲れたし、アクリはちょっとした検査があるらしいからな。
この段階だと、まだ本編にすら入ってませんが、
次回以降は内容を濃くするように努力しますので、
ここでは前章として捉えてください。






