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プロローグ②

前回①からの続きです。遅くなってしまい申し訳ございません

「蜜柑どこだ?あれ、ないのか…?まじか~。ストック無かったか。いいや。外行くの面倒だし。」


伯はこたつから出ずに手元にあるリモコンでテレビをつける。


「う~ん。つまんないなぁ。はぁ、いつになったら、先輩来るんだろ。」


 時計を見てみる。時刻は午前十時ぐらいを回っていた。今日は来客ーもとい先輩が来るというので、いつもより早く起きてマラソンやトレーニングなどを済ませていた。こたつの中でうたた寝をしようとしていたらーピンポーンと、チャイムが鳴った。


「おーい。伯いるか?」

「ちっ、なんでこのタイミングで来るかな。はぁ~い。今行きます。」


 そう言って、玄関を開けると20代後半くらいの女性がいた。


「遅いぞ。伯。もっと早く来いよな。外寒いだぞ。」

「すいませんねぇ。なら先輩がもっと早く来tbyんhら。」

「先輩に口答えするなよ。」


 手にはいつのまにかグーが握られていた。


「くっ、今のご時世こんなこと許されてるのか。捕まるぞ。さy…稲垣先輩。」

「うむ。よろしい。んじゃ、失礼しま~す。」


 そして、ずかずかと伯の部屋の中に入っていった。


 彼女の名前は稲垣沙雪。綾野伯の先輩だ。伯が15歳なのに対し約10歳も離れているのはー


「何ですか、先輩?今日の用事は。仕事ですか?」

「う~ん。そう言えばそうだし、そうじゃないと言えばそうじゃない。」

「どっちなんすか?」


 いわゆる、仕事上の先輩、後輩だからだ。


 伯は、9年前の事件以降、しばらくの間、強い人間不信やうつ病、物を食べなくなったためによる栄養失調などによりひどくやつれていった。学校にも通わず、孤児院でもいじめられていた。あの事件のことは報道されることなく、事故として処理された。また、彼があの大企業ー綾野電気コーポレイションーの元・御曹司であることは誰も知らない。元と、いうのも企業の中で話合いで伯は、この状態では企業を継ぐことは難しいと認定され、国に根回しをして彼と企業のつながりが無いように工作されたからだ。なお、差出人無名で毎月大量のお金が孤児院に振り込まれていた。きちんと対処してるからいいだろ。というのが会社の見解だ。そんなこともあってか誰とも話さなかった。孤児院の方でも彼の対応に手を焼いていたころ、国からの使いのものだ。という者が現れた。彼らは、伯を引き取りに来たという。この国から提案ー命令に孤児院は全会一致で受け入れた。

 伯はその日のうちに移動が決まった。車に乗った後、伯は彼らに


「何?今更。国が僕に何の用?」


それが数か月ぶりに発した言葉だった。それに対し彼らは、来れば分かるよ。としか答えなかった。車が着いたところは、大きなビルだった。そこに入り、最上階にエレベーターで登る。とても大きな扉があり、男が扉をノックし、失礼します。と言い中に入る。

 中には白髪を生やした50代くらいの男がいた。彼は白いスーツを装い、ここのトップである。と言わんがごとく、貫禄を放っていた。伯を連れてきた男たちは部屋から一礼をし部屋を去る。

男が話しかけてきた。


「初めまして、綾野 伯君。私はここの支部を任されている田島 隆晴だ。わざわざこんなとこ路まで来てもらってすまないね。立ってないで、こっちに来て、座りなさい。」

「僕に何の用?ここって確か、国が認可していて、支援している、非魔術師や一般人が働いているNMCだよね。」


NMC-NOT MAGIC COMPANYーとはその名の通り魔法が使えない人、習ったがうまく扱うことが難しい人のために作られた会社だ。中には国から正式な認可を得て、援助を受けている会社もある。ここー岡崎掃業ーもその中の一つだ

 

「何?両親を失って、友達一人もいなくて、しかも魔法も使えない、そんな人生真っ暗な僕をここに入れてどうするの?同情?それともあの会社と同じように僕の存在を世間に出さないようにするため?」

 

 伯は忌々しそうに言った。彼は今、魔法を使えない。いや、使えなくなったと言った方がいい。あの事件の時、段ボールに入っていたのは、ソフィアリヴィア鉱石というもので、壊すとまぶしい光を放ち、ある程度の範囲内にある魔力を根こそぎ吹き飛ばしてしまうものだ。この鉱石のせいで、両親は魔法を使うことなく、殺されてしまった。まだ幼かった伯は、この光を浴びてしまい後遺症として魔力を生成できなくなってしまい、魔法師の道が閉ざされてしまった。強くなりたいと思っていた伯にとってこれは決して認めたくない現実であった。

 

「ははっ。そんなことはしないよ。むしろ逆だ。君の人生に明かりをつけてあげようか?私なら手助け程度はできるけどね。」

「は?何言ってー」

「君は魔法を使えない。だから、人生真っ暗だと言ったね。どうしてかな?魔法は使えなくても明るい人生を送っている人は山ほどいるよ?いいかい。君は魔法を使えないから真っ暗なんじゃない。自分で自分を暗くしているだけだ。唯一信じ、憧れていた魔法を使えなくなり周りに嫉妬しているだけだ。君は確か、強くなりたいんだっけ。魔法は確かに唯一無二で絶対的な力だ。鍛え方次第ではたった一人で本当に一騎当千になりうるからね。だがね、所詮、魔法は「個」だ。「数」には勝てない。」

 「さっきから何一人言ってんだ。勝手にべらべら喋んなよ!!マジ何なんだよ!!それに魔法が「数」には勝てないとか意味わかんない事言うなよ。」

 「意味わからないも何もごく普通なおかつ君が今までの人生で経験してきたことだろ?実際、君の両親はたった三人に殺された。そうだろ?」

 「それは!あいつらがあの鉱石を使ったからでー。」

 「ほら、何であれ魔法はたった一つの石っころに敗れただろう。「数」を出すまでもない。」


 伯は何も言えず下をうつむく。


 「ああ、ごめんごめん。君を傷つけたいわけ時じゃない。所詮、魔法も完璧じゃない。魔法がこの世のすべてじゃない、ということを言いたかったんだ。いいかい、これからは君たちの時代になっていく。そん時、君たちの手の中には魔法しかない。そんなのつまらなくないか?だから、私はたくさんのものをここで君に学んで欲しい。そう思っていたんだが…。」

 「だから何一人で言ってんだよ。第一ここに入るって決めたわけじゃない。」

 「そうした場合、君はどこに行く?もう、孤児院との話は済んでいる。」

 「ちっ、分かったよ。まぁ、あんたがそこまで言うなら、言うこと聞いてやる。」


 伯の第二の人生が始まった。初めは誰にも懐かず、一人で掃除をしていた。しかし、大きな企業のフロントや廊下での掃除は集団作業だ。どうしてもコミュニケーションが必要になってくる。引き取られ一週間もすれば、自然と「会社」の雰囲気に馴染んでいった。勿論、魔法以外の事も多く学んだ。人との繋がりや連携をとる事。たまには勉強や自分を守る方法なども学んだ。


そうして、九年がたった。今でも「会社」に努め、きちんと「清掃業」をしている。

 

 「んで、何の用っすか?先輩?あ、みかん、ありがとです。」


伯は沙雪が持ってきたみかんを食べつつ聞いた。

 

 「あ、そうだった。ほい、あんたに渡すものがあるんだった。これ。」

 

そう言い、大きな茶封筒を取り出し渡した。伯はそれをもらい、開けて中を確認する。そこには「合格通知書 綾野伯殿 貴殿を第三魔法学園に合格したことをここに通知します。」と書かれていた。

 「ナンスか?これ。同性同名の人もいるんすかね?って、イタっ。今まじで痛かったんすけど。頭を急に叩くな。」

 「いや~、お前がボケたことを抜かすからだ。正真正銘お前の事だろ。」 

 「やっぱり~。でも変ですよ。だって僕、そんな試験受けてませんもん。しかも、魔法適正Dなんすよ俺。ここって、魔法学ぶところですよね。俺、魔法適正ないっすよ。それにずっと仕事してたんで、学校通ってなかったし。これからも、仕事する気でいたんですけど。」

 「だからだろ!!ずっと学校行ってないから、会社が入れさせたんだろ。義務教育しないで、仕事ばっかだったからだろ。ほら、会社で学んだことを発揮できるいい機会だろ。それに魔法適正は無くても魔法は使えるだろ。」

 「いや、そうなんですけど…」 

 「ああ、それと勘違いするなよ。これは会社からの命令であり、決定事項だ。今日中に引っ越しの業者来るし、学園都市の学生寮に移るぞ。おっと、お前に拒否権はないぞ。何度でも言うが、決定事項だからな。」

 「はあぁ。魔力適正があればすんなり行こうかなって思うのに。」

 

 伯は大きくため息をついた。魔力適正とは魔法を使う上での判断するものだ。魔法を使う上でオバーヒートしないか、どれだけ精巧に使えるか、どれだけの魔力を保有しているか、など多くある。伯は使うための魔力がないため、魔力適正がDだった。

 

「わかりました。行きますよ。行けばいいんでしょ。判定がDでいじめられるかもしれないけど行きますよ。」

 「そうか、行く気になったか。それじゃ、準備しろ。」

 「あんたは、皮肉とかそこらへんいっつも無視しやがってっい!?」


再び、鉄拳が飛んできた。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 その日の夕方には、マンションを出て学生寮につき荷物を整理した。入学式までには、まだ日数があったので、学園都市を回って過ごした。 

 

 -入学式当日、伯は人生で初めての学生(学園?)制服を着て、初めて通う学園まで行った。

 

 「はぁぁ。まじで面倒だな。まぁいいか。ポジティブに行くか。よし、学園生活楽しんでやる!!」 

 

 そうして、多くの不安と希望とだるさを胸に抱き、伯は正門をくぐった。



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