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08.5 閑話 親子喧嘩。


 異世界生活2日目。


 ライズは氷を削り、氷像を作っていた。


 「よし出来た!」


 その氷像と言うのが……、幼女神より頼まれた御神体。


 小屋の中に置かれたその氷像を眺める。


 「ちょっとやりすぎたか……。」


 必要以上に作りこまれた、その氷像は神の間で見た幼女神そのままであった。


 ただ一点違うのは、不必要に底上げされた胸……。


 「別人だな。」


 ライズのぼやきに反応したのか……、氷像がカタカタと動き出す。


 「嫌がらせかい?これは……。」


 「おっ!久しぶりだな幼女神。」


 「相変わらずだね、君は……。と言っても一日ぶりだけどね。で、直ぐに御神体作成とは、見上げた心掛けだね。感謝するよ。」


 「いや、聞きたい事があったからだ、気にするな。」


 「聞きたい事って何だい?アウラが大抵答えてくれてると思うけど。」


 「それなんだが……。ぶっちゃけ……、なんで雪山なんだ?」


 「そこに山があるから……。」


 見えていない筈の氷像は、気持ち山頂を眺めそう告げた……。


 一拍の間を置きライズが切れる。


 「なんだ!そのワンダーフォーゲル的な言い訳は!ふっざけんなよこのクソ幼女!」


 「君は神に対しなんだその口調は!いいだろう本当の事を教えてあげるよ!耳を掻っ穿ってよく聞くのだよ!」


 売り言葉に買い言葉とはよく言ったもので幼女神は、逆切れしながら真実を告げる。


 「温泉に入りたかったのだよ!」


 「………………。」


 あまりにどうしようもない真実と、その所為で初っ端、高難易度ステージへと飛ばされた事実……。


 ライズは目を丸くし、氷像を見つめる。


 そしてプルプルとこぶしを握り締め、口を開く。


 「ふっ……、ふっざけんなよ!一体全体どういうことだ!完遂者特典フル活用だよ!馬鹿じゃないのか!馬鹿だろう!いや馬鹿だ!普通考えれば、転生者は草原or森の低難易度スタート!もしくは町中スタートだろ!いきなり雪山!ましてや火山地帯って!どんなムリゲーだよ!自称ゲーマーが作った世界じゃ、バランス崩壊してるんじゃないか!と言うか、草原ステージ、荒野ステージ、森林ステージ、海域ステージ、砂漠ステージ、と来てからの雪山or火山じゃないのか!その辺どうなんだこのクソ幼女!」

 

 捲し立てるように、言い切ったライズは氷像を見る。

 

 「だって仕方ないじゃないか!温泉発見したんだし!」


 幼女神は反省の色なし……、ライズはそう判断した。


 「ああそうか!それなら思う存分入ればいいだろ!」


 氷像を握り締めると温泉の中に投げ込んだ!


 「ああ~~~~~!溶けてしまう~~~!」


 氷像は源泉掛け流しの温泉の熱により、瞬く間に幼女神の面影がなくなりただの氷の塊へと変貌していった。


 「一生溶けてろ!」


 そうして、アウルーラ初の神と使徒による親子喧嘩の幕が閉じた。


 (ちょっとやりすぎたか……。)


 ライズは内心、やりすぎのような気もしたが、これからの事を思うと頭を抱えたくなる。


 故に、この思いは胸の内にしまうことにし、生きることに精を出すのであった。



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