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07.ネロの変身。


 「いや~それにしても、神十徳ナイフもそうなんですが、神調味料も凄いですね。」


 そう言うのはアウラ。


 現在、3人は小屋の中で食事中。


 単に湯通ししただけの兎肉……。


 醤油が有れば完璧なのだが……、有るのは神調味料……。


 どこからどう見ても、赤いキャップの半透明容器のマヨネーズ……。


 「確かに神調味料だ……。」


 ライズにして見れば前世には存在しなかった、懐かしの味。


 最強にして最高!正にキング・オブ・マヨネーズ!


 「兄ちゃ、これ酸っぱい!」


 「何を言うネロよ!この酸っぱさが癖になるんだぞ!」


 説明しよう!このマヨネーズは、どんなダークマターだろうともマヨネーズ味に変えてしまう優れものなのだ!


 雪山にして貴重なタンパク源を、美味しく変えてしまう。

 

 神が言っていた『あと3年は戦える……。』あの言葉はこれが有ったからなのだろう!


 「そうなの?でもネロそのままも好き!」


 獣人特有なのかネロにとって、薄味が好みの様だ。


 (確かにキャットフードとかは味薄かったような……。)


 「それなら、自分好みに調味料として活用したらどうだ?味の強弱が有った方が、上手さを感じることが出来るぞ!」


 「うん、やって見る。」


 「ネロは素直でかわいいな!」


 「うん、ネロは素直!」


 よしよしとネロの頭を撫でてやる……。


 一方アウラはその光景を羨ましそうに見ていた。


 それに気付いたライズは、フォローの為言葉を探す。


 「アウラはアウラで、一生懸命なのが伝わって来てるからな……。頼りにしてるよ!」


 「そっ、そうですよね~。」


 納得したのかしないのか、微妙な所だが、唐突にライズの前に頭を突き出す。


 これはこれで分かり易いと、アウラの頭も一緒に撫でる。


 しばらくそんな感じに食事を行なった。


 食後、ライズは一人温泉に浸かり、色々と考えをめぐらす。


 これからの予定……。




  一、自分達の能力確認。危険度を計る指標の為の、ステータス確認と育成方針の確立。風呂上がったら早急に行おう。


  一、場所の確認。一体全体ここが何処かと言う事、一概に北方とも言い難い。これからの予定を組むためにも必要。


  一、食糧の確保。何体かの獣(魔獣含む)がマップに引っかかったが……、いつまでも肉だけと言う訳には行かない。これについては明日、狩り、採取で何とかしよう。


    生産がしたい所だが、現状では不可。


  一、拠点の整備。いつまでここに居る事になるか不明な為、少しでも住みやすい所にしよう。


  一、人形作成……。幼女神の社なのだが屋根は有る……、なら後はそれっぽい物と言う事での人形作成……、雪だるまでも作ってよ……。




 とまあ、こんな所なのだが、現状情報不足な訳で……。


 「はぁ~。何とも……。まっ、何はともあれ屋根が有る所で休めるか……。」


 体も温まり、風呂から出て小屋に入る。


 アウラ、ネロの二人は小屋の中で囲炉裏の前で談笑していた。


 アウラは省魔力(1/10)モードに戻っており、ネロの膝に乗っている。


 そして小屋に入って来たライズに気付いた二人は、声を掛ける。


 「ライズ様、ゆっくりさせて貰ってました。」


 「兄ちゃ、お帰り!」


 「ああ、いい湯だった。」


 ライズは囲炉裏を挟み二人の前に座る。


 「さて、それじゃ今後の方針……の前に、確認するか。」


 「了解しました。」


 「確認?」


 「そうだな、ネロがどういった風になりたいかの確認かな。」

 

 「ネロは、兄ちゃのお嫁さんなる~。」


 (んっ?幼女神の記憶はないのか?)


 どうやら幼女神の加護がないネロだけ、記憶がリセットされている。


 それでいて、言語を話せるといった矛盾を抱えている。


 幼女神が何かしたんだろう……。


 「そうなれるか確認するんだよ。」


 ネロは分かったように頷く。


 「アウラは把握してるんだろ?」


 「ええ、ほぼ把握しておりますので、後ほど説明させてもおらいます。」


 「それじゃ、気を取り直してステータスの確認からするよ。」




 ステータス

 

   名前:ライズ・フロスト(霜山一/ファスト・フロスト)年齢:9 /127 種族:人種ハイヒューマン族


   職業:賢者 LV:9/10  


   スキル:ウインドウ 健常 隠蔽 真理解放 限界突破 全属性解放 肉体強化 纏身術(とうしんじゅつ)


   加護:幼女神シンラ


   称号:幼女の使徒


    HP:78/78 MP:266/266  


    STR:21 DEX:38 VIT:24 INT:49 AGI:26 MND:39 LUK:―


  


 「うん?まあ次……。」



 パーティー

   

   眷族

 

   名前:アウラ・フロスト 年齢:1/∞ 種族:精霊種無霊族


   職業:使い魔(ライズ・フロスト) LV:1/10  


   スキル:精霊術 同調  


   加護:幼女神シンラ(リンネシステム)


   称号:ライズの眷族 新妻


    HP:78/999 MP:266/999  


    STR:99 DEX:99 VIT:99 INT:99 AGI:99 MND:99 LUK:―



   眷族

 

   名前:ネロ・フロスト 年齢:8/62 種族:亜人種猫獣人族


   職業:従者 LV:1/10 


   スキル:隠形 軽身 獣化 爪牙 火炎 健常   


   称号:ライズの眷族 新妻 


    HP:24/24 MP:103/103  


    STR:12 DEX:8 VIT:12 INT:8 AGI:20 MND:8 LUK:33



 「うん!やっぱり可笑しいよね。」


 「兄ちゃ、何がおかしいの?」


 (ネロにはどこまで話していいんだろ?)


 ピロロ~ン!


 幼女神からメールが届いたようだ……。


 ライズは確認してみる。



   

 To:ライズ


    全部話してもいいけど、理解できないよ。


    幼女神より


   追伸


    御神体、早く作ってよ!僕も会話に混ざりたい!



 (て、言うか!覗いてたのかよ!まあネロについての回答が得られたからいいが……。)


 「御神体か……。」  


 「シンラ様から信託ですか?」


 アウラはライズに何があったか察知したようで、質問する。


 「ああ、運営からメール来たよ。ネロに話してもいいってさ。」


 「そのことですか……。先ほど、シンラ様とライズ様の関係についてネロさんに説明させていただきました。」


 「えっ!もう?」


 「兄ちゃ、神の使徒!すご~い!」


 ネロが、もう既に知っていた。


 「それじゃ俺の心配は取り越し苦労だったわけか……。」


 「そうですね。序に言いますと、ネロさんにはこの世界の基礎知識等インストールされております。」


 「ネロも十分チートだな……。」


 ネロは、いきなり8歳でこの世界に産み落とされた訳だが、新生児並みの知能でないことにライズは疑問を持っていた。


 神による基礎知識の導入……。


 それだけで十分な説明として、事足りるのであった。


 「それじゃ後は何を覚えるんだ?」


 「強いて言えば、今のネロさんは知識はあるが、使い方がわからない状態です。知識を活用する知恵と経験を育んで貰います。」


 「要するに、知識としては知っていても、見聞を広め経験を積まなければ、それが何かわからないって事か……。」 


 「ネロは、いっぱい勉強するの。アウラお姉ちゃんが教えてくれるって、それで兄ちゃのお手伝いするの!」


 「そうです。私がネロさんを立派な淑女にしてみます。」

  

 二人がライズに向かい、テンションの上がった顔で近寄ってきた。


 「おっ、おう。頑張れよ。」

  

 二人がライズの入浴中に何かを話していたのだが、それは二人がライズ攻略の共同戦線を張るだとか、序列がどうだとか、賢者の嫁はこう在るべきだとか、そんな女子会だろうとライズは予想した。


 あながち間違いではないのだが、ライズは二人の思惑を看破しており、仲良くやる気になっている二人に水を差すのは得策でないと、静かに見守ることにし口を閉ざすのであった。


 二人はしばらくキャッキャッと燥いで居たが、それも終わり一呼吸置く。


 「それじゃ話し進めるぞ!」 


 そうライズが言うと二人はライズの言葉に耳を澄ます。


 「まずは俺のステータスだが……、冒険者でいうところのBランク相当だな。魔術師だとAランクってところか……。」


 一般の人族のステータスは年齢に比例して成長し、大体15~20位で止まる。


 それを肉体的、知識的に訓練、学習することにより上昇する。


 また、魔獣を倒すことにより、魔獣の持つ魔力の一部を継承するという、この世界独特の法則も存在する。


 両方を合わせ、それぞれの職業の水準向上が所謂レベルアップと言う訳だが……、幼女神の趣味なのは否めない。


 ライズに関しては、ステータスリセットされているが、今までの職業レベルがそのままなので、ステータスの上昇率が異常なのだ……。


 9歳ではあり得ないステータス値を示している。


 更には限界突破も保持してるため、このまま行けば、人種限界値99を数年内に超えることだろう。


 「まあ、予想はしてたが……。」


 「上位種ですからね。」


 「アウラは99で固定なのか?」


 「そうですね。一応は人種人族基準ですから、その限界値表示となってます。私はこれでも精霊種最上位に位置しますので、その基準に収めようとすればそうなってしまいますね。」


 「なっ!なんですと~!」


 よくよく考えれば、そうなのかもしれない……、この世界の管理神こと幼女神の第一秘書的、精霊なのだ……。


 つまり……規格外……。


 「え~っと……。アウラ……様は、私なんかの使い魔で、よろしいのですか?」


 「えっ?意味が分かりませんが、現在問題点はないですよ。」


 意味が分からないと、アウラは言うがライズは納得がいかない。


 精霊種最上位……、大精霊であるアウラは種族によっては、信仰を集める対象の一人……、いや一柱になる。


 要するに位階の差をライズは気にしていた。


 その考えを遮るようにアウラが発言する。


 「それに様付けは止めてください。ライズ様は私の旦那様ですので……。」


 「本気で言ってるのか?アウラは大精霊だろ?」


 「その事は忘れてください……。昔、ヤンチャした時に付いた称号です。もう捨てましたから……。」


 遠くを見つめたアウラから哀愁が漂って来る。

 

 きっとアウラにとっての黒歴史……、そうライズは察し深く聞くことを止めた。


 いずれ語ってくれるその日まで……。


 「ならアウラはこれまで通りという事で……。次はネロだが……、ステータスは割と高めなのは種族特性だから分かるが……。」

 

 「魔力値ですね……、それについてはシンラ様より言伝があります。」


 アウラは何か聞いているだろう説明を補足する。


 「ネロ様は地球において人族では無かったとの事です。故に亜人種として転生に踏み切ったと……。それについては獣化すれば理由がわかると言っておりました。」


 「そうなのか?ネロは獣化できるか、スキルは持ってるようだけど……。」


 アウラからの説明を受けネロに質問してみるが……。


 「う~ん?分かんない。」


 ネロは首を傾げる。


 「出来ますけど、多分何が獣化か分からないのだと思いますよ。」


 アウラがネロの心情を説明する。


 「そうだな……。ネロ、変身だ!変身!それなら分かるか?アウラみたいに変態すればいいんだ。」


 目の前で何回か変態しているアウラを例えに説明してみる。


 「ライズ様!変態じゃありません!トランスフォームです!変質者みたいじゃありませんか!」


 (ああ、あれだったか……車からロボット的な奴……。)


 「あっ!!!、分かった!」


 何やらネロが思いついたように、立ち上がり……、詠唱らしき文言を口ずさむ……。


 『虎だ!虎だ!お前は虎になるのだ!』


 ネロそれは違う……、お前は猫だ!


 どこの穴出身なんだお前は!


 悪役レスラー養成機関……なのか?


 そもそもレスリングなんかできないだろ!


 これから刺客がどんどん送られてくるのか?


 それになんだ!


 詠唱なのか!その詠唱でいいのか!


 ここでライズは新たなるスキルを発現することとなる。


 『高速思考』……それにより導き出された答えが……。


 「幼女神か…………。」


 「そうですね……。」


 アウラも同意する。 


 ネロはと言うと、徐々に態勢を変え四つん這いになっている。


 そしてピコピコと可愛らしく動いていた尻尾が、怒髪天のように毛羽立ちピンッ!と天を突いている。


 それに伴い、全身の毛穴が開くためか、ネロはブルブルと全身を震わせる。


 (あれ?服はどうなるんだ……。)


 そんな疑問をライズは覚えるが……。


 次の瞬間、服を無い物とし、ネロの全身が漆黒の毛で覆われた。 


 どうやら、骨格から皮膚まで獣化が完了したようだ……。


 ネロは疲れたようで、ぐったりと伏している。


 「あれ?服は……。」


 「神衣ですから、シンラ様が手心加えてます。多分、心装とかそのような類≪たぐい≫です。毛皮と合成されたんではないですかね?」

  

 「元に戻るのか?」


 「そこは、シンラ様のご都合主義解釈でどうとでもなってしまうかと……。」


 「それなら良いんだが……。獣化解く度に裸じゃ、ネロも可哀想だしな。」


 「お優しいのですね……。でもライズ様はネロ様の裸をご所望じゃないのですか?」


 「いやいや……。獣化解くのは俺の前だけとは限らないだろ?それにその変態的な発想はやめてくれ……、これでも通算年齢は結構行ってる。ある意味人生達観してるからな……。」


 「そうでしたね。受肉した私とこれからアウルーラを永遠に生きるって意味で同類ですからね。」


 「まあそうだな。」

 

 それより、今はネロが心配だ……。

 

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