29.5 閑話 エレクシアの場合
私はエレクシア・プロトニク、元プロトア帝国第3皇女……。
と言うのも、13歳の頃プロトアの名を返上し、冒険者になったからだ。
12歳の夏……、領地視察に初めて出た私は、現実を目の当たりにした。
賢者様がもたらした平和、それが偽りであった……。
賢者様が悪い訳ではない。
現地に到着した私が見た物は、年の頃は私と同じ位の、少女奴隷……。
生気の抜けた目で、主人と思わしき男の後ろをついて歩く……、その身は私達とは違い体毛が濃く頭上に耳、お尻には尻尾……、獣人である。
次の町に行くとエルフの少女……、その次の町では魔人の少女……、その次は……、その次は……。
幾多の領地視察……、私の目には奴隷の姿が焼き付いていた。
何故?
疑問に思い父に尋ねる。
父はそう言うものだと諭してくる。
助けられないの?
その質問に父は口を濁した……。
その年、私はいろんな人に聞いて回った……。
そして皆、口を噤む……。
次の年……、書置きを残し私は家を出た……。
私の目的は一つ、真実の追及……。
その過程で彼女達を救えればとも思っていた。
市井の暮らしを見るには、その者と暮らすのが一番……。
たまに皇城に来ていた商人に聞いた。
私は剣術を嗜み、周りからは天才と呼ばれていた事もあり、それなりに自身が有った。
そして冒険者ギルドの門をたたく。
だが皇族ではさすがに拙い……、貴族として登録するも、受付で煙たがられたが無事登録は出来た。
さあ、冒険の始まりだ……、好奇心と不安が渦巻く。
私は討伐主体にクエストをこなした。
ゴブリン!
初の邂逅は、驚きながらもなんとか倒した。
二回目からは余裕が生まれ、本来の力を出す事が出来た……、瞬殺!
その時点で、私は強いと自覚した。
ある時、いつも通りギルドに行くと、ある情報が飛び交っている。
魔物の異常繁殖……。
それにより幾つかの村が被害に合い、寒村となったと言う。
住人は無事避難したとの報告もあったらしい。
そして私はあるクエストを受注した。
寒村となった村の、現地調査……。
もう既に、魔物は居ないらしいが、万が一の為との事。
私は寒村へ向かう。
そして到着して私は唖然とする。
そこは前に領地視察で来た事のある村……、その内部は……。
明らかに誰かが魔物により食い散らされた痕……、そしてあの日見た少女達の衣服……。
そう……、魔族と称される奴隷達を餌に、彼らは逃げ果せたのだ……。
主人としての怠惰……、強者としての責務……。
全てを押し付け逃げ出した住人達……。
こんな事が有っていい訳がない!
私は許さない!
弱者を蔑ろにする強者を……。
その悪意を漫然と許容しているこの世界を……。
私が出来る最善!私自身が強者となり、全ての悪意を受ける決意をする。
そして5年の月日が流れる。
場所はフロスト王国……。
そこで私は傍若無人に振る舞う圧倒的強者と出会う……。




