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12.5 閑話 少女の想い、邂逅と祝福…。


 私事、クレセント王国第一王女ペリティアは盗賊に襲われていた。


 「隊列を崩すな!」


 外からナターリアの声が聞こえてくる。


 ちらりと馬車から外を覗く、状況が思わしくないのが分かる。


 「ここで終わるなんて……。誰か……、助けてよ……。」


 悲劇の王女として、盗賊共にその身を凌辱される未来が浮かぶ……。


 ドドドドドドドドドドドド……。


 何かの音?近づいて来る。


 怖くなり、耳をふさぐ……。


 そして……、ふさいでいる筈の耳に有象無象の悲鳴が届く。

 

 「な、何……。もう終わりなの?」


 怖い……怖い……怖い……怖い……怖い……怖い……。


 更に力を籠め、耳をふさぎ目を瞑る。 


 そして外界の情報を受け付ける事無く、時間が解決してくれるのを待つ。


 私は分かっているこんな事をしても何の解決にならない事を……、だが私は恐怖でそれをするしかなかった。


 そして、それを遮断するかのように、誰かの手が方に添えられる。


 この手つきは覚えている。


 その皮膚は固く小さい、それでいて優しく包み込もうとするその手……。


 私は意を決し、顔を上げる。


 「ナターリア……。」


 「終わりました。ペリティア様……。」


 「よくやったは、ナターリア!」


 私は第一王女!見っとも無い所を見られはしたが……。


 王女としての威厳を吐き出し、ナターリアの労をねぎらう。


 「はい……、有難うございます。ですが……、私達は助けられました。それでペリティア様からお礼を……。」


 さっきの音と言い、冒険者でも通りかかったのかしら?


 「分かりました、その者の所へ案内しなさい。」


 あくまでも王女として、お礼を言わなければ……。


 出来れば礼儀のある方だといいんだけど……。


 はぁ~、冒険者なんて無礼なの多いから会いたくないなぁ~。


 ナターリアに誘導され、馬車を下りる。


 あたりを見渡せば……、どうやったのか、肉片と化している盗賊たち。


 うえっ!


 そこいら中に血の匂いが満ちていた。


 吐き出しそうになるのを抑え、ナターリアの後をついて行く。


 そこには自分より少し年上の少年がいた。


 あ~~~!


 優しそうな瞳、黒い髪、理知的な表情……、あの人が私の英雄……。


 私はその姿に、見蕩れていた。


 私は一目惚れと言う物をこの時したのだろう。 

  

 だが私は王女……、それなりの態度で答えなければ……。


 「私達を助けてくれたのは、あなた方がでしょうか?」


 「結果的にそうだな……。」


 不愛想に答える少年……、それはいかにも面倒くさそうにも見える。


 王女に対し無礼であろう!つい言いそうになる言葉を飲み込みペリティアは続ける。


 「有難うございます。大変助かりました。私はクレセント王国第一王女(・・・・)ペリティア・クレセントです。以後お見知り置き下さいませ……。」


 これでも一国の王女ですよ……。


 何気に本音をちりばめ自己紹介をするペリティア。


 「これはご丁寧に……。我はシンラ神国、名代(・・)ライズ・フロストだ。以後お見知り置きを……。」


 あれ~?


 もしかして私より立場が上なの?


 畏怖する対象である自分が、畏怖しなければならない相手……ペリティアにとって誤算である。


 服装を見ても……ただの冒険者には見えない、神々しいまでのオーラが漂ういそうにも見える。


 この人、何?シンラ神国って……、聞いた事も無い。


 それに名代って、王様の事よね。


 私の英雄は王様……、あの勇者に嫁ぐよりは……。


 この機は逃せないわ!


 そうしてどうにか言葉を繋ぐ。

 

 「す、すいません。此度は助けて頂き有難う御座います。この御恩はどうお返ししてよろしいのか……。」


 「いえいえ、気にしないで下さい。我らの前に虫が集っただけですので、ただ少し駆除したまでです。」


 「ですが……。このままお返ししては、クレセント王国末代までの恥……、何かいい案は……、ナターリア!何かありませんか?」


 「金銭等でいかがでしょう……。」


 「何を言っておいでですの。一国の名代に金銭の価値などないでしょうに……。」

 

 ナターリアと話し始めた私をあの人は見つめている……、えっ!もしかして私をご所望?私って罪な女……ふっ。


 ふと彼に声をかける少女がいる。


 「お兄様、如何いたしましたか?」


 はぁ~~~~~~~~~~~~~!


 おっ、お兄様……?


 獣人よね!


 獣人風情がライズ様をお兄様って!どういう事よ!


 するとあの人はその獣人に私達を紹介する……。


 獣人風情の挨拶なんて……。


 と思っていた私だが、その言葉使いその仕草は、クレセント王国王族教育を受けた私でも、見蕩れる優雅さをしていた。


 その獣人少女を見蕩れていた私の後ろから怒声が届く。



 「なんだその獣人は!王女様から離れろ!」



 私の身を案じ、親衛隊員が声を張り上げたのだろう。


 何!今のカーテシー見てなかったの!


 この獣人は、あなたが知ってる獣人と違うでしょ!


 そんなことを思っていたペリティアではあるが、目の前の彼から殺気が放たれる。


 何!こ、怖い……。


 彼が私に質問してくる、でも……。


 ペリティアは怖くて体が動かない、それを察したのか彼は穏やかな表情を見せる。


 こ、怖い……、でも……。


 「はい……、その通りです。ですが……彼女達は、今気が付いたばかりで現況の把握が出来ておりません。ここは私の顔を立てて、寛大な裁きをお願いしたく存じ上げます。」


 私は精一杯、弁解と彼への減刑を申し立てた。


 彼はこちらを見て微笑んでくれてる、良かった!私の想いが通じたのね。


 私と彼のそんなやり取り……。


 しかし無礼な親衛隊員はそれをぶち壊す。 


 「ペリティア様!そんな下賤な輩に何を!」


 分かっていた……、分かっていたわ!


 騎士なんて、脳筋がいる者よ……。


 私の意をくんでくれるのは、ナターリアだけ……。


 するとナターリアが動く。

 

 流石、私のナターリア。


 ナターリアが無礼な親衛隊員を締める。 


 その後、彼はナターリアと話す。


 ちょっと悔しいかしら……、これって嫉妬?


 「そこの女は、ペリティア様の行為を無碍にし、そしてナターリアの行為すら無視しようとしている。情状酌量の余地があるとはとても思えぬ。だがペリティア様の顔を立てねばこちらとの亀裂も生みかねない。故に死罪にはしないでおこう。その下の罰則は何になる?答えよ!」


 でも私の想いも組んでくれた彼……、やっぱり私の英雄様!


 無礼な親衛隊員は暴れだそうとする。


 「アウラ!」


 彼がそう言うと、親衛隊員が倒れた。


 えっ?何が起こったの?アウラって何?


 私はは混乱する。



 「大丈夫だ、死んではいない。」


 その一言で安堵するが……。


 一体何者なのよ、私の英雄様は……。


 すると獣人と彼が話す。


 えっ?一体何を話してるの?どういう事?これでも、学園で主席なのよ!私の教育が下等教育?


 どう考えても、二人の話はクレセント王国の教育が遅れていると聞こえる。


 何故……?


 「シンラ神国……。」


 不意に、私の口から彼の国の名が漏れた。


 私は答えに思い至った。


 国が違えば教育水準も違う……、二人が私達以上の知識を持ち合わせ、それでいて彼は道理に基づき核心をついて話してくる。


 この人たちが居ればクレセント王国は救われる……。


 少女の顔を脱ぎ捨て、私は王女の顔をする。


 「ライズ様お願いがございます。どうかライズ様の知識を我がクレセント王国に広めてもらえないでしょうか?」


 それはクレセント王国第一王女としての私、一世一代の大博打でもあった。


 まだ何も知らないライズと名乗る少年。


 だが彼は一国の王……、彼に頼むと言う事はその国の傘下に入ると言う事……所謂属国……。


 苦渋の決断ではあるが、彼がクレセント王国にさえ来てくれれば、勇者に犯された王国は救われる。


 そう私の直感が告げていた。


 そしてその報酬は……。


 ………………そうよ! 


 私は閃く!


 私自身!


 先程までの王女の顔から、恋する少女の顔へと変化する。


 そして醜聞を気にする事無く、クレセント王国と私の事を話していた。


 実感する恋心……、初恋とも言える私の恋……それにより盲目的にライズを信じてしまっていた。


 そしてライズの行使する契約魔術……、伝説の賢者の系譜……。


 それはシンラ神国なる国の偉大さを、実感する物であった。  

 

 驚愕する私は、シンラ神国入りを決意する。


 「ふむ。では、シンラ神国国民になると言う事で儀式をするか……。アウラ、表に……。」


 アウラ?


 さっきも出てきた?


 抑揚のない口調で彼は話す。


 そして後方の馬車?から一人の女性が姿を現す。


 わぁ~……、綺麗~……。


 そこには、見た事も無いほどの絶世の美女……。 


 「お呼びでしょうか……。」


 声も透き通った心地良い声……。


 はっ!


 私は疑問視する。


 ライズ様の声があそこまで届くとは思えない……、なぜ彼女に届いたの?それに彼女は何?


 そう考えるのも束の間……。


 彼女の自己紹介、そして儀式が始まる。


 彼女により、そこには幻想的な風景が広がる。


 それは見惚れている内に終了する。


 はっ!


 何、今の?


 私はまたしても混乱した。


 「アウラ様、私達に一体何が……。」

 

 私の質問にアウラ様は丁寧に回答してくれた。


 魔眼………………。 


 私の知識によれば、過去の勇者が持っていた。


 隣国、ギュスタフ帝国初代皇帝、その人。


 それは吟遊詩人達が歌う物語として世界中に広められている。

  

 500年前の戦乱期の英雄……、奴隷落ちした彼が仲間とともに一国の皇帝まで成り上がる物語を知らない人はいないだろう。


 残念ながら皇帝になり5年で亡くなってしまったが、その薄命さも人気の一つとなっている。 


 余談だけども、史上最大の好色家としても有名で、帝都全体が彼の子孫ではないかとも言われている。


 クレスト教とは別に神と崇める人もいるほど……。


 はぁ~……、何でこんな能力が全員に……。


 これ一つで国が興せる能力よ!


 『必要以上の能力は身を亡ぼす。』


 学園にて偶々目に留まった勇者を研究していた学者の文献、その一説が頭に浮かぶ。


 規格外すぎるわよ……。


 だけど……。

 

 「…………そもそもシンラ神国はどこにあるのですか?」  


 親衛隊員による質問……、それに答えるアウラ様……。


 途中、調子に乗りアウラ様に叱責されもしたけど……。


 私の答えは見つかった。


 クレセント王国の立て直し、そしてその後はライズ様と……。


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