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ウンコと、ギルドと、蛮族系女子。


「ヒャハハーッ!! ほらほら受付嬢! さっさとアタシに見合ったイカレたクエストを持ッてきなァァー!!」


「お、お客様、受付台から降りて下さい!」


 体育館程の広さはありそうな、大きなギルドに入った俺達の目に飛び込んできたもの。

 それは、悪い奴らは皆友達と思ってそうなチンピラの皆さんと、ギルドの受付台に乗って棍棒を振り回しているド派手な髪色をした美少女の姿であった。


「ほらほら早くしなァ!! CCC《トリプル・Cランク》のアタシに見合った、村を襲撃するとか、子供を泣かすとかそんなイカレたクエストをさァァー!!」


「そ、そんなクエストはありませんっ」


 目ん玉をひん剥き、舌をベローンと出しながら、受付台を棍棒でガンガンと叩くヒャッハー系美少女の姿を見て、俺は故郷の母校を思い出していた。


「ブリ(懐かしいな。学級崩壊ならぬ、ギルド崩壊か……)」


「……」


 俺の隣にいる少女は、もはや言葉も出ないといった表情で、マンボウのように口をあんぐりと開けている。

 まったく、なんという間抜け面であろうか。


「ブリ……(少女よ、この程度で怯んでいてどうする。舐められないようにするためには、第一印象が肝心なのだ。だからあのヒャッハー女をブッ飛ばしてこい)」


「なんで!?」


「ブリッ(グーでいけよ、グーで)」


「バカなの!?」


 我が母校のおはようございますの挨拶は、まずグーで始まっていたからな。これくらいが丁度良いのだ。

 おはようも起立も礼もいらない。まず相手の顔面にグーを決める、これだけでなんとかなるというものだ。


「ブリ(ほら、さっさと受付台まで行くぞ)」


「あっ、ちょっ待って!」


 ジロジロと絡み付くようにして少女を睨んでくるチンピラ達は無視して、俺達は一直線に受付台へと向かう。

 ……俺に気付いたチンピラ達が次々に変な悲鳴を上げているが、それはどうでもいいな。


「クエストォ、クエストホラァ!! 通行人をシバくとか、子供の風船全部割るとかあンだろオがよォォー!? ……アアン? なんだテメー、新入りかッ?」


「いえ、私は、その……」


 ほら、今だいけ! グーだ! グーでいけ!


「なんだァ? モヂモヂモヂモヂしてんじゃねぇよ!! テメーはモヂ子か、アアン!?」

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