4話
3話のときもそうでしたが、会話って内容を考えるの難しいです……
「さあ、次はここよ」
またまた、目の前に現れた門を開ける母親。ところで、先の龍崎家でもそうだったが、インターンホンがないとはいえ、ごめんくださいの一言もなしに入るのが普通なのだろうか。
前世の日本であれば、中に人がいるかどうかの確認を何かしらしていた。インターンホン、声掛け、ドアをノック、などといった誰かが中にいることの確認をしていたものだ。
では、なぜ俺の母親は先程の龍崎家、そしてこちらのお宅に対して、人がいるかどうかの声掛けなしに家に入るのだろうか。母親が人がいるかどうかを確認しない、ズボラな性格であるというような仮説は抜きにして考えてみる。
まず思いついたのは、母親ないし、我らが根津家が偉い立場にあるということ。だが、これの可能性は低い。たとえ、上の立場のものであったとしても、わざわざ居るかどうかを確認しない理由がない。ましてや、先ほどの龍崎家とは対等な関係だったように思える。
では、これはどうだ。先ほど行った龍崎家も実際にはプライベートな場ではなく、ただ、カナさんがよく行く場所に母親が瞬間移動したという説。
うーん、だとすればわざわざ門を開けずに、門の内側の敷地内に瞬間移動すれば良いのではないか。まぁ、これは目の前にいきなり人が現れたらびっくりしちゃうのを防ぐ配慮なのかもしれないが……。先ほどの場所もそうだが、ここもどう見ても人の家の門のようにも見える。ここをプライベートな場所じゃないとするのは無理があるだろう。
そういう文化という説はないだろうか。人の家に来たとしても、別に人がいるかどうかの確認をしない文化。この世界はきっとそうなのかもしれない。……だが、そういうことってあるのか?例えば前世でいう日本以外の国であったとしてもインターンホン、ドアにノックといった文化はあったはず。まぁ、近代西洋とかは知らないけど。
気になる。こういう自分の常識とは違った行動をされると違和感でしかない。なぜ、こういう行動をとる、今回だと取らないかを知りた……
「ちょっと!あんた勝手に人の家に入らないでよ!門を叩くか、声掛けをしなさいよ!勝手に入ってきたら怖いじゃない!何回も言わせないでよ、もう!」
ドタドタドタと、建物の中から飛び出してきた女性がそう母親に言ってくる。
なんということでしょう、俺が立てた仮説は全て外れ、最初に抜いた説である、母親ズボラ説が正解だったなんて……
気をつけなければならない。こういうタイプの母親は子供の部屋にノックをすることなく入っていくことが多い。これから気をつけなければならないのかよ。面倒くせー。最悪、鍵をかけても瞬転で部屋に入ってきそうだ。俺は今後、プライベートな空間は無いのかもしれない。
「えー、良いじゃない、さっきカナさんは何も言わなかったわよー。良いじゃない、いつも勝手に入ってきてるんだから、私たちの中でしょう?」
「カナの度胸とうつわが大きいだけよ!あんた達根津家の瞬転は気配なしに急に現れるんだから、急に門を開けて入ってくるとかびっくりするんだから。って、誰の度胸とうつわが小さいよ!」
言ってない。
「誰も言ってないわ〜。ねえ司」
「司?ああ、その子があんたの息子ね。初めまして。猿島家の長女、巴よ」
「ほら司、初めましてだって。初めましては?」
まだ歯が全部生えてないので喋ることできないです。
「あうあうぶぇぶぇあ」
ほらね。
「あら〜良くできましたね〜」
「かわいい〜!」
こんな適当な言語ともいえないものを発しただけで、こんな褒められるなんて赤さん、最強やんけ。むっちゃ自己肯定感上がる。
「お願いだから、このまま育つのよ。母親のようにズボラになっちゃ駄目よ」
「ちょっと、司に変なこと言わないでもらえる?」
ちょっと調子乗ろうっと。
「ばあばあばあ、ぶぇいるどえば、えぁいあいあ」
「「きゃー、かわいい!!」」
うおー、褒められるの楽しい!赤さん何言っても喜んでくれるの最高やんけ。
「うぇいあ、うぇいんま、んまーっまーぅ……」
眠くなってきた。そこそこ大きな声を出したとはいえ(赤子レベル)、たったこれだけ喋っただけで、体力が削れたというのかよ。まじかよ、貧弱すぎるだろう、この身体。ちょうど良かった。このまま変にかわいがられ続けたら、変にハマって戻れなくなるところ……だっ……た…
「あらら、寝ちゃったわ。うりうり、かわいいわねー」
「ほっぺたぷにぷにじゃない、もう食べちゃいたい」
「駄目よ、私が食べるんだから」
「いや、我が喰らってやろう。1人残らずな」
司くんの寝顔がかわいすぎて、お花のズボラな性格なんて気にしなくなり、うとうと寝てしまった司くんをお花と楽しんでいたところ、急に声がした。
さっきまでいなかった気配に身体を向けてみると、そこには誰もいなかったはずの場所に、ここにいるはずがない、鬼が存在していた。
「なんでこんなところに鬼が!?結界をかんつうしたっていうの!?」
「いや、結界を強引に開けようとしたら、私が絶対気づくはずだわ。ちょっとあんた!一体どうやってここに入ったって言うのよ!」
急いで鬼から距離をとる。おハナは司くんを守らないといけないから、あたしが戦わないといけない。鬼に有効な奥義って、あたし苦手なものが多いのよ、まったく!もう、最悪!
「なに、呼ばれただけだ。誰かが我を召喚したようでな。そしたら、人間が2人もとい、赤子を合わせると3人ときたか。まぁ、腹の足しにはなるだろうな。どうやら貴様らは十五家の連中と見た。面倒だから抵抗はするなよ。喰いづらいからな」
「呼ばれた!?誰かが鬼を召喚したって言うの!?そんな、大量の気を消費するようなこと、一体誰が……!」
「ふむ、確かにこの場に我を召喚したものはいそうにないな。我の名はアブェイル。貴様らを喰らうものだ」
「名前持ちの鬼!?お花!何してるのよ!あんた司くん連れてさっさと逃げるのよ!」
「やろうとしてるわ!でも気が練れないの!瞬転が使えない!」
「逃げたがっているが、無駄だぞ。我が奥義、混沌区域に貴様らはいるのだからな」
なによ、混沌区域って……その領域では気が練れないってこと?でも、あたしは頑張ればあいつに“禁視“を使えるわよ。あたしが強引に気を練れるのに、なんでお花が……そうか、出産後だからうまく気が練れないんだわ。……でも、もしかしたら……!
「お花。あたしが今から強引に隙をつくるわ。その隙になんとか瞬転を使って誰か助けを呼びなさい。あたしごと瞬転を使おうなんて余計なこと考えなくてもいいんだからね!」
「ふむ、逃げる算段がたったようだから始めるか。食事を」
名前持ちなんて、どれだけ隙を作れるか分からないけど、やってやるわ!あいつに聴かれないように、まずはお花に伝えて……
もって、10秒かしらね。印を結んで……
禁言!!
『お花、5秒後にあいつに禁視をかけるわ!合図をするから隙を見逃すんじゃないわよ!』
お花が驚いてこちらを見る。
『バカ!頭に直接喋っているんだから反応しないの!』
まったく、もう……
「急に黙ってどうした?最後の祈りか?」
『……今よ!禁視!』
お花の姿が消える。良かったわ。成功したようね。
「なんだ?急に何も見えなくなったな。ふむ……品がないことは、あまりしたくはなかったがしょうがない」
鬼が腕を大きく振るう。どこ狙って攻撃しようとしてんのよ、こいつ。……いや違う、広範囲で攻撃する気だわ……!どうにかして避けないと!
何か策はないかと周りを見渡すと、とんでもない情報があたしの目に入ってきた。
……瞬転でお花と一緒に逃げたはずの司くんが、さっきお花がいた場所に取り残されていた……
登場人物の紹介を作中できちんとしないで、すみません。お花は主人公の母親です。
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