『家出少女と酔っ払い』
東雲ゆりあ16歳は、今日も大好きな彼氏と会うために橋の上のいつもの待ち合わせ場所に行く。彼氏の名前は、前田新治16歳。いつものように目と目が合うがキスには至らない2人。2人で楽しくおしゃべりをして、解散する。この繰り返し。
東雲家と前田家は、共に名家で、2人とも超有名財閥の跡取りである。そのためか、両家は関係が悪い。日本で1,2位を争うライバルである。日本の覇権を狙って、日夜、戦いが繰り広げられる。ある日、いつものようにゆりあと新治は橋の上で落ち合う。
今日は、気分転換にスマホで会話しようかと2人で不思議な展開になる。2人が同時にメッセージを送信する。2人の画面には一言だけ。
「にげろ!」2人は顔を上げて、お互いを見る。
新治「わり!今日は、用事を思い出した。また、今度な?」
ゆりあ「うちも!学校の宿題やるの忘れてた!へへ、また明日ね?」
2人とも背中を向け、全速力でその場から、走り去ろうとする。その刹那、両者の背後に東雲家の特殊部隊と前田家の特殊部隊が空間転移して、現れた!
新治「オヤジ!?」
ゆりあ「ママ!?」
両特殊部隊がにらみ合う!
ゆりあの母「ゆりあ?加勢しなさい!」
新治の父親「新治?サポートに回れ!」
東雲家&前田家「この勝負!数の多い方が優勢になる!」
乱闘が始まった!激しく血しぶきが舞い上がる!バッサ!バッサ!それぞれの特殊部隊が切り伏せられていく!遠くでは、サイレンの音が近づいてくる!
ゆりあ「やめてよ!ママ!」
新治「やめろ!オヤジ!」
ゆりあの母が新治の父親に切りかかろうとする刹那、新治がそれを防ぎ、ゆりあの母にカウンターをとっさにかけようとした!
ゆりあ「ママ!」
ゆりあが両者の間に突っ込む!
新治「やべ!止まらない!」
新治の護身用のナイフの刃がゆりあの左眼球を鋭く切り裂く!その場に沈黙が漂う・・・。ゆりあの左目から、だらだらと血がこぼれおちる・・・。新治がやっとの思いで声を振り絞ろうとした時・・・、ゆりあがゆっくりと顔を上げ、精一杯の笑顔で言葉を発した。
「しんちゃん?うちらの間には、巨大な川が流れてるみたいだね?だから、こうやっていつも橋の上で会ってたんだね?」
新治:「ゆ・・・ゆりあ?俺は・・・俺は・・・」
ゆりあの体から、殺意ではない、なにか冷たい悲しいものが出てきた。それは、ゆりあの中に眠っていたゆりあの守護獣であるフェンリルだった。その大きさ、ビル9階建てに匹敵する。その場の誰もが沈黙するが、ゆりあの母親は、歓喜の声をあげる。
「これよ!?これよ!?ゆりあ?!でかしたわ!私は、これが欲しかったの!さあ!?ゆりあ?敵を全部噛み殺すようにそのバケモノに命令しなさい!」
ゆりあの耳には、何も届かなかった。新治の声も母親の声も周りで、慌てふためく特殊部隊のみんなの声も。ゆりあにとっては、もう彼氏も家族もどうでもよくなっていた。
ゆりあ:「フェンリル?広域凍結魔法......」
フェンリルは、悲しく魔法を発動する。ゆりあを除くその場の誰もが一瞬で氷の塊の中に閉じ込められた。サイレンの音がさらに近くなる。ゆりあは、フェンリルの毛を握り、その場を去るように命令して、その場から姿を消した。
1月24日午後22時頃、神宮寺アルファは、今日も今日とて、ギャンブル場を練り歩き、ぼろ儲けして、ウハウハだった。この高揚感と戦利金をうばわれやしないかとハラハラしながら、近く河川敷に酔いを醒ましに行く、モデル級の美人で40歳であった。
暗い河川敷・・・女が1人で歩いてたら拉致られて、港の倉庫で・・・とかいう展開もありうるのだが、彼女、神宮寺アルファは、世界に3人しかいない世界級魔法の使い手でその名も顔も誰もが知る有名人であり、そんな彼女に手を出すバカはいなかった(汗)
しばらくして、帰宅を試みるアルファだったが背後で何かが音を立てる。
アルファ:「あ!?このアルファ様に手をだそーっていうのか?」
しかし、そこにいたのは、1人の少女と犬?のような大型の生物。犬のような生物が言葉を発した。
「頼む。この子を保護してくれ?あなた様の噂はかねがね存じております、アルファ様」
アルファ:「あ~?いったい何だっていうだい?」
しかし、少女の左目から、流れる血と血で汚れた白いTシャツが街灯の光で照らされているのを見て、アルファは無言で自宅に少女を担いで、帰宅した。
結衣:「おねーちゃん!?どーしたの?その血は?」
アルファ:「私のじゃない。この子のだ。それより結衣?お湯と手術具の準備しな?」
結衣:「は、はい!」
結衣が急いで準備する。アルファが少女の潰れた眼球を摘出して、止血して、包帯で介抱して、手術は終わった。結衣は、その様子を黙って、見守っていた、謎の生物と一緒に。神宮寺家はその日慌ただしかった。少女が目を覚ますと、発狂と大暴れで部屋の中はめちゃくちゃ。その度にアルファが少女に鎮静剤をうち寝かせる。1時間後、結衣が見守る中少女は、ゆっくりと目を覚ます。
ゆりあ「ここは・・・?」
結衣:「大丈夫。ここは、安全なところよ?」
ゆりあ:「あなたは?」
結衣:「神宮寺家の3女の結衣といいます」
ゆりあ:「結衣さん?あの・・・。お腹空いた・・・」
結衣「そっか!そっか!元気そうで何よりだよ?今おにぎりを持ってくるね?」
戻った結衣は、そこにゆりあがいないことに気付く。台所で皿が割れる音がした。結衣は、台所で包丁を握りしめて、こちらをにらみつける少女の姿を見つける。
結衣:「お嬢ちゃん?危ないから、それをゆっくり床に置きなさい?」
少女は、しばらく沈黙したあと、包丁を強く握りしめて、結衣に突っ込んできた。結衣は、反撃せず、横腹に刃がめり込む。結衣は、ゆっくりと少女を包み込む。
結衣:「大丈夫。大丈夫。あなたは、1人じゃない。」
少女が我に返り、結衣をゆっくりと見上げる。
少女:「あ・・・あの・・・私・・・そんなつもりじゃ・・・ご・・・ごめんなさい・・・・」
少女がその場に崩れ去り、結衣も崩れ去る。アルファと結衣の夫やアルファの配下の者たちが駆けつける。
配下:「お嬢!?大丈夫ですか?このガキ!!!」
乱暴に配下が少女の髪を掴み、殴りかかろうとした刹那。
アルファ「やめな!」
結衣:「大丈夫!ゲンさん!急所ははずれてるから」
ゲン:「し、しかし、お嬢?その血は?」
アルファの拳骨がゲンの頭に叩き込まれ、結衣は、アルファの手術で事なきを得た。
その晩、少女は、結衣と一緒に同じ布団の中にいた。
少女:「あ・・・あの・・・結衣さん?ごめ・・・ごめんなさい・・・ほんとうにごめんなさい」
結衣:「ん~こんな傷大したことないよ?ほら?」
結衣が刺されたはずの箇所を少女に見せると、そこには、綺麗な肌があった。
少女:「え?」
結衣:「あのね?結衣ね?結衣も・・・世界級魔法の使い手の魔女なの」
少女:「そ、そうなんですか?」
結衣:「ちなみに、あなたを手術した私の姉のアルファもね?」
少女:「私、でも、なんて償いをしたらいいか・・・?体を売ってでも結衣さんに賠償金払います」
結衣:「じゃあ・・・1つ・・・結衣のお願い聞いてくれる?」
少女:「はい」
結衣:「私の妹になりなさい。そして、私の家族、神宮寺家の娘になりなさい」
少女:「え?」
結衣:「な~に?聞けないの?」
少女:「い、いえ結衣さん」
結衣:「うん。いい子だね。それから、私のことは、結衣さんじゃなくて、おねーちゃんって呼びなさい?わかった?えっと・・・」
少女:「ゆりあです、おねーちゃん」
結衣:「ゆりあ・・・東雲ゆりあって言ったりしない?あなた?」
少女:「は、はい。そのゆりあです。」
結衣:「そっか。大体状況は理解したよ。じゃあね、あなたに新しい名前をあげる。ふぶき。神宮寺ふぶき。これからは、あなたは、ふぶきちゃんよ?」
ふぶき:「ふぶき?あの?その名前の由来は?」
結衣:「これから、あなたに私の使う魔法のうちの1つである氷の魔法を授ける。そしたら、あなたは、これから、氷の魔女として生きることになる。見たところ、ふぶきは、眼球が片方ないし、あなた?魔法使えない、非魔法使いでしょ?」
ふぶき:「!?」
結衣:「やっぱり。この神宮寺家はね、王家なの。王家は人々や神々の上にたつものとして、魔法やそれに匹敵する戦力を己が持っていることは、基本的に当たり前なの。じゃないと、この弱肉強食の世界で生き残れない。実際に、あなたは、無力だったから、自分の人生に負けたんでしょ?そこの犬っころは別としてね?だから、あなたに戦力をあげる。それで、自分とあなたが守りたい者たちを守りなさい?」
結衣は、世界級魔法を行使して、氷結魔法の宿った眼球をふぶきの左眼球があった場所に移植した。
ふぶき:「つめた!(汗)」
ふぶき:「なんか、体に力がみなぎる!すごい・・・。お、おねーちゃん?ほんとにこんな事してよかったの?また・・・私・・・もし・・・」
結衣がぎゅ~っとふぶきを抱きしめる。結衣の舌がふぶきの中に入っていく。
ふぶき:「ん~~~~~!?・・・・・・ふ~~~~うん・・・んん・・・」
ふぶきは、何か安心したようにふとんに倒れ込む。相当、精神的にも肉体的にも疲れていたのだろう。結衣は、そっと掛け布団をかけてあげて、その場を後にした。
次の朝。
ふぶき:「お!ねーちゃ~ん?おはよう!」
結衣:「おはよう?ふぶき?元気になったようね?」
ふぶき:「私ね?決めたの!おねーちゃんを守るガーディアンになる!」
結衣:「ふふ。嬉しい。頑張ってね。期待してるからね?」
ふぶき:「うん!頑張る!」
ある戦場で敵は、ふぶきに語り掛ける。
敵:「お前?姉の言いなりだな?哀れな奴」
ふぶき:「ば~かだな?私は、自分で好きだから、自分の意思でやってるんだよ?おねーちゃんは、私に命令やお願いをしたことなんて1度もないよ?たとえ、これがおねーちゃんの手のひらの上のことだとお前が言っても、それでも、私が今ここにいるのは私の意思!それがすべて!そして、お前はこれからうちらに喰われる!いくよ!?アイビス!」
ふぶきの相棒にして、弟となり、結衣の弟となった、謎の犬のような生物と呼ばれたフェンリルがふぶきの掛け声とともに敵に突っ込む!




