契り千切り嘘ひとつ
「さよなら。愛してました。もう逢うことはないのでしょう」
私はそう告げた。
彼女はひとしずくの涙をこぼしながらこう返した。
「わたしも愛してました」
雪がとうとうと降るクリスマスの夜の会話でした。
時はさかのぼり半年前。
私たちは浜辺に居た。
20数年の付き合いで、恋人としては10数年の付き合いの私たち。
そんな私たちはお絵描きをして遊んでいた。
「これなんだと思う?」
「ねこちゃんでしょ?」
「うん。じゃあ……こうして……出来上がり。これは?」
「うさぎちゃん。次はわたしが描くね」
そうして描いてるのをながめながら待つこと数分。
数分かけて出来上がった大作は……
「これは……くまちゃんだね。それも全身」
「うん。全身描いちゃった」
そうして私たちはお互いに描いては見せをしながら2人きりの時間を過ごした。
どれくらい経っただろう。
数時間も熱中していたみたい。
明るく青かった空は、焼けた綺麗な夕焼けになっていた。
「そろそろ帰ろうか」
私はそう言った。
名残惜しかったけども。
それは彼女も同じだったみたいで、名残惜しそうにこう返した。
「うん……そう、だね……」
そして次の日。
私は彼女からあることを告げられた。
とても重大で、私たちの分岐点になることを。
「わたしの夢が叶いそうなの。でもね……迷っているの」
「そう、なんだね。おめでとう!」
「うん……ありがとう」
彼女の夢は日本を離れて海外でしか出来ない夢。
しかし、私の身体は弱くて日本を、この病院の近くから離れられなかった。
だから、叶えるなら置いて行くしかない。
でも彼女は決めていたことがあって、それは――
お互いに愛し合っているなら夢は諦める、ということ。
なので、2人してどうしたらいいか困っていた。
「今すぐに決めないといけない訳じゃないでしょ? ならゆっくり考えようよ」
「そうだね。わたしたちなりの答えを探そうね」
しかし、最初は話合っていたけども徐々に話さなくなった。
そして月日が経ってクリスマスを迎えた。
今日は私たちが出逢った記念日と、付き合った記念日。
私はあることを告げようと決めていた。
「さあ、行こうか」
私の一言から今日のデートは始まった。
お昼ごはんを食べ、ゲームセンターで遊んで、そして夜ごはんを食べ、出逢った場所であり告白した場所でもあるところに来た。
そして私はこう言った。
「さよなら。愛してました。もう逢うことはないのでしょう」
私はそう嘘を告げた。
彼女はひとしずくの涙をこぼしながらこう返した。
「わたしも愛してました」
彼女も同じく嘘で返した。
私はもう長くなかったけどそれは隠した。
そしてお互いに背を向け歩き出した。
それぞれの未来へ――




