57.紹介される。
ゴリラ先生は笑い、バナナ組の紹介を始めた。
「まぁ、大弥が起きる前に移動したいしサクッと自己紹介していくぞ。まずはバナナ組。」
「中学3年生の大隈魔李。」
「マリです。えっと、攻撃魔法が使えません。なので、防御後方支援特化形の魔法使いです。回復と補助を頑張ります!」
魔李は先ほどのゴリラ先生の冗談で少し気が緩んでいたからか、言葉こそ少しどもったが真珠と琥珀に紹介する声はすんなりと出た。
剣吾は、魔李がしっかり話せたことに、珍しいっと思いつつ、気に食わないと思い始めた優男のおかげなのかっと考え、複雑そうな顔を浮かべる。
「中学2年生の花ヶ浦剣吾。」
「先ほどは攻撃どうも。動画も見ているだろうが、剣の使いだ。下半身強化のために、ゴリラ先生の指示のもと、大盾をやってる。以上」
剣吾は少しぶっきらぼうに、琥珀を見ながらはなす。その様子に琥珀も、ほんと俺、初対面男子に嫌われるよなぁっと考え、苦笑いする。
「そして中学1年生の若宮弓菜。」
「ユミナです!風の弓使いです!色々教えてもらっちゃってありがとうございます。頑張って追跡弓をマスターします!」
弓菜は琥珀から見られていることにドキドキしながら、元気よく答えた。
弓菜の少し浮き足たった自己紹介に、剣吾は余計に眉の皺を深くして、あからさまに不機嫌な顔をした。
「まぁ、隠してたのにお前たちがバラしてたからアレだが……ユミナは追跡弓や物理速度などの遠距離後方弓に育ててる。」
もう少し黙って苦労させた方が判断力が育つから黙ってたのになぁ。っとゴリラ先生が嫌味を混ぜつつ琥珀と真珠を見ながら話す。
嫌味に真珠が頬を膨らませながら、なら先に説明しとけば良かったじゃないっと拗ねたようにいう。
「まあいい、動画で見てると思うが、バナナ組は後1人いる。今は、残りの帝亞列島…言わずもがな常識がある奴らと訓練している。中学一年生の江辻槍真。奴はバナナ組の中で唯一単体で潜れる素質のある魔法槍の実力者だ。」
「槍真は、中距離司令塔にするつもりだから、琥珀はあちらに合流後色々見せるつもりだから、確認しておいてくれ。今後、合同のダンジョン攻略をする機会があるはずだから。」
ゴリラ先生は、改めて緩風の調べの二人に視線を移した。
「バナナ組はバランスの取れたチーム構成となる。今後のダンジョン探索によっては他のチームと連携せるより、緩風の調べを分隊し、合同化する方が効率的だと職員間での共有だ。」
「琥珀と真珠から見たバナナ組について、後で軽くまとめておいてほしい。勢門先生が次の機会に報告して欲しいそうだ。チーム共有する伝達訓練でもあると言われているから、しっかりな。」
2人に説明後、バナナ組の魔李、剣吾、弓菜を見る。
「そのうちバナナ組にもチームアップの際の注意点などを教えるが、今は個別での実力上げが先だからおいおいの授業で説明する。」
ゴリラ先生は、多分その分野は私より駕与丁澪先生の講義で詳しく説明されるからね。っと付け加えつつ説明を続ける。
「まずは、塾で会った人の所属や名前、得意武器については覚えなさい。そちらの3人とも、2人は緩風の調べの城戸兄妹だ。先ほども体験と見学したと思うが、双方とも弓が使える。」
琥珀、自己紹介っとゴリラ先生が話すと、琥珀が話し出す。
「僕は城戸琥珀。高校2年生だよ。4回生チーム緩風の調べのチームリーダーで、正式な武器は魔法。回復魔法・防御魔法・トラップ魔法に長けた後方支援型だよ。攻撃魔法も使えるけど威力が弱いからあんまり期待出来ないかな。実家が弓道場だから、弓は使えるけど、あんまり得意じゃないんだ。一応杖は組み立て式の魔法弓だから、後方からの援護攻撃もできるよ。」
琥珀の説明に、そうは言うが、超攻撃特化じゃないだけでそこそこ攻撃力も実力もある奴だ。万能型で、引っ張りだこで、すごい奴だからな、こいつっとゴリラ先生がニヤリと笑いながら付け加える。
「うちのルール上、チームリーダーが塾に所属してチーム結成年数で回生着くから誤解されやすいが、チーム全員が4年目じゃないからな。」
「緩風の調べほど、学年などがバラバラなのも珍しいが、琥珀より経験長い人もいるし、逆に変わらない年齢や年数の人たちもいる。あんまりバカを晒すなよ。特に剣吾は動画でもやらかしてるから、気を引き締めてね。」
しっかりゴリラ先生が剣吾に釘を刺すと、元々琥珀に対して苛ついていた剣吾は余計にムスっと不貞腐れた。
その様子に、魔李も弓菜も普段元気でカラッとした性格の剣吾の様子に首を傾げる。
ゴリラ先生はニヤリと笑みを作りつつ、剣吾の様子に色々経験しててよろしいと笑う。
「緩風の調べ、屋台骨、自己紹介。」
「褒めてくれるのは嬉しいですけど、言葉のチョイスがちょいちょい古いんですよ!」
大弥を起こさないよう声を抑えつつ、真珠は拗ねたように声をゴリラ先生に文句を言ったのちに話し出した。
「えっと、城戸真珠です。中学2年生です。弓とトラップ魔法を併用して戦います。後方支援型です!」
「ダイヤがご迷惑おかけしました。ダイヤが実家の道場通ってたから、幼馴染みなんですけどちょっとおバカなので、迷惑かけると思いますが、何かあれば言ってください。」
剣吾さんごめんなさいっと真珠が謝ると、剣吾は同い年だったのか、、、しっかりしてるなぁ、俺は大丈夫っと真珠に優しく声をかける。
「マジで、大弥はコントロール不可能だから、絡まれた時は城戸兄弟か緩風の調べの担当教員の勢門先生に声かけてくれ。帝亞列島の新宮先生は当てにならないからな。」
あと先生は火に炎魔法を混ぜるだけだから、対応出来ませんッと言うとバナナ組は首を傾げつつ頷くのであった。
「緩風の調べは、実力は数値に出にくい後方支援チームだから企業スポンサーはついてないが、侮るなかれ。敵の足止めや回復薬の調合、情報整理については、プロと謙遜ない。ベテランチームが引き抜きかけたり、スポンサーしてくれている実力者たちだ。差が開かないように、修行しろよ。」
ゴリラ先生の話に弓菜が、私たちお笑い枠になってるもんなぁ、剣吾のせいでっと剣吾を見ると剣吾は顔をそっと背けた。
ゴリラ先生はそろそろ槍真の様子も気になるし、合流するぞっと真珠と大弥の前にズガズガと歩きよると、大弥を雑に持ち上げ俵担ぎにする。
「ちょっとゴリラ先生!もっと優しく抱えてよ!」
真珠の抗議に、ゴリラ先生は引きずってもいいんだぞ?っとゴリラ先生が真珠にいうと真珠は何も言えずに押し黙る。
大弥が落ちないかとソワソワしつつ大弥が担がれている方のゴリラ先生に並んで歩く。その様子を見ていた琥珀がするりと、ゴリラ先生の反対横に並んで、先生力持ちだよねっと苦笑いしつつ歩く。
「ほら、お前たちも行くぞ?」
そんな様子に呆気にとられたバナナ組は、慌ててゴリラ先生の後ろをついていくのであった。




