人物紹介 ネタバレ注意
◆◆バナナ組◆◆
◆花ヶ浦 剣吾
14歳/中学2年/剣使い
金髪を逆立てた元気印。
足腰の鍛えがまだ甘く、また、急激に身長が伸びたせいで体のバランスを崩しいるため、転けることもしばしば。
座学や説明を聞くのが苦手で、考えるより先に体が動くタイプ。
お調子者で空気を読めず、トラブルメーカーになりやすい。
体力は有り余っており、動きながらであれば記憶力や飲み込みも悪くない。
単純明快な思考と行動は仲間の援護を助け、盾役・特攻隊長として大きな役割を持つ。
父親から受け継いだ「相手に合わせて動く戦法」が身に染みついダンジョンHTハイスクール塾を「説明を聞かないで突っ走る」失敗で退塾処分。
ゴリラ先生評:
「単純明快、バカでいい。突っ走る馬鹿が仲間を守る“盾”になるんだ」
◆若宮 弓菜
13歳/中学1年/弓使い
黄色が混じる緑髪を高く結った少女。
毒舌家で正義感が強く、サバサバしすぎて協調性に欠ける。
他人の間違いは容赦なく指摘、大人や先生相手でも遠慮しない。
小型の弓と和弓の二本を使いこなす弓使い。
狙撃の腕は大人顔負けだが、仲間が視界に入ると集中力を欠くのが弱点。
敵の動きは読めるのに、味方に合わせられない性質を克服するため、連携の訓練中。
探索テストでは、味方が避けられない矢を撃ち当ててしまい不合格。
ゴリラ先生評:
「正義感は本物。でも仲間を“敵扱い”してどうする」
◆江辻 槍真
12歳/中学1年/槍使い+風魔法
茶髪に金髪が混じり、メガネをかけた理屈っぽい少年。
槍の腕前は高く、触媒を使った風魔法も扱える。
だが説明や要約が下手で、話を聞くのも苦手。結果として意思疎通に失敗することが多い。
優しい性格なのに「面倒くさい」と置いていかれることも。一人で生き延びられる実力はあるが、語彙力や指示の分かりやすさに課題あり。
ゴリラ先生からは「努力の鬼」と評価されており、常に仲間を見て、指示を出せる存在になるよう訓練中。
探索テストでは仲間から途中で見捨てられ、不合格となる。
ゴリラ先生評:
「お前は努力の鬼。誰より辛くても、その分伸びしろがある」
◆大隈 魔李
14歳/中学3年/魔法使い(回復・支援・トラップ)
黒髪で気弱な少女。
名門探索者の家系に生まれた魔法のサラブレッド。
魔法の腕は一流だが、幼少期の失敗による火傷の痕がトラウマで、戦闘中に混乱することがある。
緊張すると詠唱を噛み、不発を起こすことが多い。
後方なら実力を発揮できるが、前に出されると萎縮してしまう。
回復魔法の腕は塾でもトップクラス。トラップ魔法にも才能を見せ始めている。
探索テストでは前衛に回され、緊張で魔法を失敗し不合格。
ゴリラ先生評:
「怖がりでいい。その分、仲間の痛みに寄り添える」
◆◆先生◆◆
◆ゴリラ先生
性別:女性/担当:実技指導/名前:非公開
破天荒で筋肉質、戦場仕込みの豪快な女教師。
生徒からは「ただのゴリラ」と揶揄されることもあるが、実際には中級・中位ダンジョンを単独で攻略する実力者。
指導法は一見スパルタだが、生徒の性格・癖・戦い方を鋭く見抜き、最適な役割を与える天性の観察眼を持つ。
「馬鹿でいい」「突っ走れ」と口は悪いが、その言葉の裏には生徒を守る温かさがある。
実は塾長・柚須玄真の 実の妹。
見た目も性格も対照的な兄妹だが、互いに深い絆を抱いている。
◆柚須 玄真
性別:男性/役職:塾長
バナナ組が所属する塾の若き塾長。
端正な顔立ちと落ち着いた雰囲気を持ち、女性教師や生徒から「美青年塾長」と囁かれることも多い。
その物腰は柔らかくも、芯の部分は極めて厳格。
生徒たちへの課題増加や説教は容赦ないが、それは彼なりの期待の裏返しでもある。
ゴリラ先生の 実の兄。
妹のことを誰よりも心配し、時に叱り、時にからかう姿はシスコンと誤解されるほど。
戦闘面では冷静な分析力に優れ、現場経験も豊富。塾全体の方針を決めるブレーン的存在。
生徒たちの評:
「厳しいけどイケメン。……でも妹のことになると急にキャラ崩れる」
◆駕与丁 澪
性別:女性/担当:学科指導(座学・知識分野)
黒髪ストレートに眼鏡をかけた、知的で物腰柔らかな女性教師。
ダンジョン学、魔物学、資源学など座学全般を担当。
常に冷静で、感情を露わにすることは少ないが、時折見せる照れや動揺が人間味を与えている。
ゴリラ先生の豪快さを制御しつつ、精神的な支えとなる存在。
生徒たちの心のケアも得意で、特に気弱な魔李の成長を陰で支えている。
実は玄真に対して密かに惹かれており、彼の「妹溺愛」ぶりに複雑な感情を抱くことも。
◆◆世界観◆◆
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1.ダンジョン出現とスタンピートの記憶
数十年前、日本各地に突如として「異質な洞窟」が現れた。
当初はただの謎の地形とされ、研究者たちが調査に入ったが――戻ってきた者は誰一人いなかった。
その後判明したのは、洞窟はダンジョンであり、
魔物が内部に潜んでいること、そしてダンジョンが「安定」するまでは死に戻り(リスポーン)現象が発生しないという事実であった。
リスポーンが起こらないまま調査者が全滅した結果、
魔物の存在が長らく見過ごされ、
やがてダンジョン外に魔物が溢れ出す 多発スタンピート事件 が勃発する。
この事件は日本中を揺るがし、20代後半以上の世代は生き残りとして深いトラウマを抱えている。
彼らにとってダンジョンは「忌まわしき恐怖の記憶」である一方、
若い世代にとっては「死んでも戻れる舞台」「配信で稼げる産業」となり、
世代間の倫理観の断絶を生み出している。
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2. リスポーンと命の軽視
現在、安定したダンジョン内部には 入り口前に「魔法陣」が形成され、死んだ探索者はそこから復活する。
この特性を利用して、
・SNSや動画配信で「死に戻り実況」を売りにする若者
・死を遊戯のように扱う「リスポーン信者」
・魔物を間引かず、死を受け入れることこそ救済とする「破滅思想の宗教」
などが現れ、社会の倫理観は大きく揺らいでいる。
死が軽視される風潮は危険だが、国も完全に否定はしない。
スタンピートを防ぐためには魔物を狩らせ続ける必要があるからである。
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3. 国と産業構造 ― 冒険省と探索省
ダンジョンの発見から間もない頃、国は二つの省庁を設立した。
・冒険省(東京管轄・東日本)
・探索省(大阪・名古屋・福岡管轄・西日本)
いずれも同時期に誕生したが、運営方針や利権構造の違いから、現在に至るまで犬猿の仲である。
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◆冒険省(東京・東日本管轄)
・東日本最大の権力を持つ。
・東京には大迷宮級ダンジョンが三つ存在し、自然と全国から強力な冒険者が集う。
・「冒険者の自由」を掲げるが、実態は規約と利権構造に縛られた世界。
・特に「大迷宮産の資源は省への卸しを推奨」という掟があり、他へ流すと嫌がらせや圧力を受ける。
有名チームは 《輝絢爛》
リーダー「輝夜姫」は、ダンジョン内で、仲間を自分の元へ呼び寄せる《ダンジョンワープポート》という超レア魔道具を所持。
これは、本来「特定条件下でのみ可能なスキル《ダンジョンムーブ》」を強化した存在で、現存が確認されているのは輝絢爛のみ。
その力を用いた死んだのちにリスポーンエリアから戦闘場所へ戻る、「ゾンビ戦術」、「即時復帰戦闘」を得意としており、SNSで大きな話題を呼び、冒険者人気を加速させている。
冒険省の文化は過激で派手。
SNSでは「死に芸」や「リスポーン配信」が横行し、若年層の死生観を大きく歪めている。
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◆探索省(大阪・名古屋・福岡・西日本管轄)
・西日本を管轄。
・大迷宮級は大阪と名古屋。
・福岡は中級ダンジョンが集中する特異地域で、若い探索者の育成拠点となっている。
・京都にも重要拠点があるが、大迷宮規模には届かない。
冒険省と違い、探索省は 教育・倫理・安全性を重視する。
・リスポーンを過剰にSNSで流さないことを推奨。
・探索者名の変更制度を奨励し、プライバシーや悪質な死に芸を防ぐ。
・倫理教育を徹底し、若い世代の死生観を守ろうとしている。
一方で問題点もある。
・大迷宮が少ないため予算が少なく資金難。
・ベテラン探索者に対して「お金が……」と愚痴が出るほど渋い支給もあり、「がめつい」と言われがち。
・ただし、冒険省のような陰湿な利権いじめはなく、現場の士気は冒険省よりも健全。
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両者の対立
・表向きは「協力関係」を装うが、実態は利権争いと理念の衝突。
・東日本の冒険省は「強さ・派手さ・即効性」を重視。
・西日本の探索省は「教育・育成・倫理観」を重視。
・SNS文化でも、冒険者は過激・死に芸路線、探索者は堅実・教育志向という対比が鮮明。
この東西の構図は、ダンジョン産業の発展と同時に、
日本社会の価値観を二分する大きな要因となっている。
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4. ダンジョンと社会
スタンピート
・ダンジョンから魔物が大量に溢れ出す現象。
・ダンジョンが「間引かれない」ことで発生する。
・国が探索者を推奨し続ける最大の理由。
ダンジョン資源
・魔石:魔道具や武器・エネルギーの核。
・魔獣素材:食料・衣料・薬品に転用可能。
・ダンジョン宝具:映像配信用の魔道具など。
これらは現代日本における「石油」や「レアメタル」に匹敵する資源であり、
国際的な抑止力・経済力の源泉になっている。
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5. メディアと大衆文化
・ダンジョン配信は 国が推奨。
・若者の間では「死に戻り動画」「生配信バトル」が大人気。
・テレビなどのオールドメディアも追随し、探索番組は高視聴率を記録。
・SNSでの拡散により、探索者はアイドルや芸能人以上の人気を得るケースもある。
しかし同時に、命の価値が軽く扱われる風潮を助長し、
それを憂う大人たちとの対立を深めている。
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6. 倫理の揺らぎ
・「死んでも戻れる」という新常識により、命の価値観が二分化している。
・スタンピートの恐怖を知る大人世代は、命を軽視する若者に憤りと恐怖を抱く。
・一方若者世代は「命は戻る、だからこそ挑戦できる」と考える。
この倫理の分断が、探索者社会の最大の火種でもある。




