8、娯楽
子供はやっぱり遊びが好きなんだ。
今回のストーリー要素
サバイバル ★★★(島での遊び方、他)
感情度 ★☆☆
危険度 ☆☆☆
ほっこり度 ★★★(3人の夜の過ごし方)
無人島生活に慣れてくると心の余裕が生まれてきた。その典型的な物が娯楽が増えたことだろう。
物を投げて標的にぶつける遊び、相撲や走ること、泳ぐこともちろん3人はあらゆるものを使って遊びを考えることがうまかった。
クモを戦わせたる遊びは3人が特に夢中になった遊びで、自分で捕まえてきたクモを戦わせ、負けたクモは勝者が食べることができた。焼いたクモはチョコレートのような風味があって2重に楽しめた。
自然の中では遊びは周りを探せばいくらでもあった。貝殻を削って魚を捕るモリの先端や矢じりにしたりもしたし、綺麗な物は丸く削っておはじきにした。実際に作ったモリや弓矢は獲物を仕留める能力のある最高の武器にもなった。
ユリの一番好きな遊びはロープ結びでタケシに教わっていろんな結び方を覚えた。タケシは様々なロープの結び方をこの島での生活が始まる前から知っており、当時タケシが通っていた学校の男の子たちの間で流行っていた物だった。
それに手を加えてタケシ流の結び方や遊びのルールを加えてゲームにしてしまった。
ロープ結びの速さを競ったり、3人で協力して木の棒や丸太をロープでやぐらを組んだり、遠くの標的に向かってロープを投げて捉えて遊んだ。
タケシは大人顔負けの生命力と行動力、問題を解決する発想力がある子供だったが、やはり男の子の部分もしっかり持ち合わせており、それが時々ユリを疲弊させた。
タケシは島で一人で暮していた頃から好きだった遊びが樹の上からしょんべんをする事だった。
木の上から下の標的や木の幹に止まるセミ、飛んでいる虫に向かって自分のしょんべんを命中させる。それを最初に見たマリは楽しそうで羨ましいと思ったがユリの反応は違った。
一度、風が吹いた時にしょんべんの雫がユリの足元に飛んできたことがあり、それ以降ユリは住居付近でのタケシのしょんべん行為を禁じた。
日が暮れてからの最大の遊びはもちろん火遊びでいろんなものを焼いてみたり、流れ着いた漂流物のゴミを溶かしたりして遊んだ。
毎晩、火遊びの時に3人が楽しみにしている飲み物があって、それは鍋に少しだけ砂糖を入れてそれが溶けて色づくまで焦がし、そこに水を入れて3人だけしか知らない飲み物を作る。
ユリがその飲み物にキャラメル水という名前を付けた。少しだけキャラメルの風味があるからだ。
砂糖はこの生活では貴重品で街へ食料調達の時に必ず仕入れる。砂糖はお寺では和尚へのお布施の代わりに使われたりもするので墓に備えられている物を頂戴したりもした。
街から持って帰った砂糖は3人には貴重品でそれを大事に大事に使うのだ。
海が時化ってしばらく街へ行けなくなったり、食料調達が難しい時の為に長期保存ができる食料を穴倉に保存しているのだがそこに砂糖も一緒に入れていた。
しかし、しばらくすると穴倉に大量にアリが発生してしまって大惨事となってしまった。それからは砂糖の袋の周りをアリが嫌う塩で包み込み、砂糖の存在を守っている。
遊びを通して3人は知識を増やし、体力を付け、個人の能力に相応の自信を培ったが気を付けなければならないことが過信だった。能力に伴わない自信は大事故を起こす。自分の限界をきちんと知ることは事故防止には絶対に必要な事だった。
一番小さいマリだって大人顔負けの体力や生き抜くためのサバイバル能力があり一人で何かをさせても心配がいらなかった。それがマリへの自信につながりタケシとユリへの信頼へと繋がった。
マリは最初、タケシに対して懐いてはいても言葉を発することはなかったが一緒に暮らし始めて半年ほど経った時、突然タケシに対して言葉を発した。それはマリがタケシに対して完全に心を開いた証拠だった。これでマリが会話を許した相手はユリとタケシだけという事になる。
母親の存在がなくなってからはユリだけが唯一の会話の相手だったがそれが初めて2人に増えた。タケシはマリが言葉を発しない時にもうまくコミュニケーションをとっていたのだが言葉はそのコミュニケーションをさらに助けた。そして会話はこの島での生活の最大の娯楽になった。
〈〈 次回、島に台風が襲う。台風の中で3人はどのようにして過ごすのか。また、そこで偶然手に入れた3人にとっての初めてのペット。ご期待ください。〉〉
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