26、夏祭り
夏祭りに来ていたマリとタケシだったが人ごみで二人ははぐれてしまう。
今回のストーリー要素
サバイバル ★★★(祭りでの盗み術)
感情度 ★☆☆
危険度 ★★★(マリとはぐれる)
ほっこり度 ☆☆☆
タケシとマリは夏祭りに来ていた。
祭りの出店は地元の有力者や暴力団が取り締り、出店の売り上げの全てが現金取引で、おまけに領収書やレシートが存在しない。
また売り上げをいちいち記帳している店はほとんどおらず、店を閉めた後で売り上げ金額と在庫の数から収支を計算する。
また各出店の防犯意識は薄いにも関わらず、一店舗当たりの売り上げは大きかった。出店の後ろにまわればどこにお金を置いてあってどうやって金庫を開けるかは明確だ。
出店のお金を盗むのに適した時間帯は、暗くなり始める7時ごろから花火が始まる8時半までの間だった。
そして客はさらに無防備だ。普段なら冷静な消費者たちが何の価値もないお面や光る風船など値段に釣り合わない商品でも簡単に財布の紐を緩める。
今日は特別、財布の中身にも執着をしない日だからいつもよりもたくさん金を抜き取ったとしても、財布をきちんと元に戻して置けば誰も金が抜かれたとは思わない。
タケシの作戦は7時から8時は出店を中心に金を集め、花火が始まる頃になったら大勢の集まる海岸で個人の財布を狙う。
着慣れない浴衣や履きなれていない下駄が普段よりもずっと人々を無防備にさせている。
背の低いタケシは人ごみに紛れやすく、腰元に挟んだ財布や女性の手提げカバンを簡単にあさる事が出来た。
マリを茂みの中に隠して30分という短時間で次々に財布から金を抜き取って歩いた。
誰もが花火に気を取られて上を向き、自分の腰回りやカバンに気を配らないのでいつもの繁華街でのスリよりもずっと簡単に大金を集められる。
この日だけでタケシとマリは平均的サラリーマンの年収の3分の一ほどを稼ぐことができた。
タケシは引き際もきれいだった。
花火のクライマックスを迎える前にはすでに仕事から離れており、人混みが駅の方へ動き出す頃には会場から姿を消していたかった。
思ったよりも大きな収入があったことが嬉しく、軽い足取りでマリの所へ戻ったが、茂みの中にいるはずのマリはどこにも見当たらなかった。
しばらくその周りを探したがマリの姿がどこを探してもいない。タケシは焦った。
マリと離れたのはほんの短時間だったが、退屈したマリは花火を見るために人ごみに紛れてしまったかもしれなかった。
〈〈 次回、マリはタケシと無事に会うことが出来るのか。ご期待ください。〉〉
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