24、情報屋の仕事
タケシの持つ特殊能力について。
今回のストーリー要素
サバイバル ★★★(タケシの知られざる能力)
感情度 ☆☆☆
危険度 ★★☆
ほっこり度 ☆☆☆
千佳はタケシが優れた運動神経を持っている事には直ぐに気付いたが、物の動きを正確に予測できる物理的感覚が驚異的なことに驚いた。
もちろんこんな仕事をしているので自分もそういった感覚が鋭い方だと思っていたし、仲間の中では神業かと思えるほど指先が柔軟な人たちを何人も知っていたが、タケシの能力は控えめに言っても誰もが束になってもかなわないレベルだった。
その能力にはちゃんとした名前がある。ハンドアイコーディネーションやハンドデクステリティーと呼ばれるもので一般的にはゴッドハンドと言われたりもする。
またタケシは自分が転がしたボールを自分の狙った所で正確に止める事も容易にしたし、物の動きを予測することにも長けていた。
また動いている物体に物を投げて正確に当てる事も得意だった。物体に力が加わる時の方向、速度、距離を正確にそして瞬時に計算することができる。
千佳はビリヤード場にタケシを連れて行き、その繊細で卓越した能力をしっかりと自分の目で確認した。
その能力は島の生活以前から身に付いていた能力であったが今はその能力に人間の神経の感覚を敏感に察知する能力も身に付けていた。
それはスリの仕事から得た技術で人は自分の身にどれだけの重力がかかれば刺激として認識されるかという実証をたくさんの検証から得ていた。
体が停止している場合や人と会話している場合、何かに集中している時、またはリラックス状態の時、年齢、性別などでその感覚は微妙に違い、その都度調整は必要だったがその能力で相手が身に付けている物を盗み取る事も可能だった。
そういう天性の才能が活かせる仕事が唯一、この仕事だった。
千佳はタケシを子供扱いはしなかった。最初からこの仕事は大変危険な仕事だと誤魔化さずにきちんと説明した。また仕事の内容は事細かく、金額もすべて打ち明けたし、本来子供には聞かせたくないような大人の汚い社会の仕組みもすべて隠さず教えた。
その内容は自分たちの仕事の金の流れの仕組み、依頼主やターゲットの個人情報や大人たちの汚い性事情までためらわずにしゃべった。そういう事を正直に明かすことでタケシは安心することを知っていたし、教えれば教えるほどタケシは悪賢く成長した。
そこからタケシは最近の流行の詐欺事件の手口、ヤクザ組織の仕組み、株、経済、法律について社会の勉強をしていった。
この世界はとても悲惨で憤りを感じる世の中のはずなのに心のどこかでそんな汚い部分になぜかワクワクさせられた。
その汚く暗い社会が確実に存在し、秩序がきれいに整備されていないからこそ、金を稼ぐチャンスが身近にもごろごろと転がっている事を知る。
悪者がたくさんいる世界の方が爽快で大冒険が期待できる。若いタケシにとってはそれは未来への希望に思えた。
ただ同時に千佳はいつまでもタケシにこの仕事をさせたくないとも思っていた。
タケシはこの能力を使いこなせればいつまでもこの仕事で大きく稼ぎ続ける事は容易であろうが、そのことがいずれ自分の世界を狭くする。
今は生活の為に仕方なく悪に染まったとしてもいずれそれが若い可能性を潰す事は目に見えていた。
そういう仲間たちをたくさん見てきたからだ。
この仕事にスリルを感じている今は楽しいかもしれないがいつかそのうち心を病み、人を憎む日がいずれ来る事をタケシの将来の為にはよくない事だと思っていた。
いずれタケシには別の仕事を与えたいと思っていた。タケシが自分の能力を生かしながらも安心してマリと暮らせれる場所を提供したかった。
※この回の皆さんの感想をお聞かせください。もし、身近にこのような能力を持っておられる方がおられたらその話も聞きたいです。よろしくお願いします。
〈〈 次回、プラネタリウム。タケシとマリの島以外での生活や楽しみに触れる。
ご期待ください。〉〉
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